- 日時:令和7年5⽉19⽇(月) 17︓00〜18︓30
- 場所︓オンライン会議システム(Zoomウェビナー)にて開催
- 1.開会
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2.議題
(1)「ジェンダー統計整備状況調査」調査結果について
(2)「女性活躍・男女共同参画の重点方針2025(女性版骨太の方針2025)」の策定に向けて
(3)新たな「女性デジタル人材育成プラン」の策定に向けて - 3.閉会
【配布資料】
- 資料1
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「ジェンダー統計整備状況調査」調査結果について [PDF形式:1.2MB]
- 資料2
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「女性活躍・男女共同参画の重点方針2025(女性版骨太の方針2025)」の策定に向けて [PDF形式:3.8MB]
- 資料3
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新たな「女性デジタル人材育成プラン」の策定に向けて [PDF形式:1.2MB]
- 資料4
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井上委員提出資料 [PDF形式:390KB]
- 参考資料
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計画実行・監視専門調査会委員名簿 [PDF形式:114KB]
【出席者】
会長 | 山田 昌弘 | 中央大学文学部教授 |
委員 | 石黒 不二代 | 世界経済フォーラム 日本代表 |
同 | 大崎 麻子 | (特活)Gender Action Platform理事 |
同 | 桑原 悠 | 新潟県津南町長 |
同 | 小林 哲也 | 小林総合法律事務所弁護士 |
同 | 佐々木 成江 |
東北大学ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン推進センター教授、 横浜国立大学客員教授/学長特任補佐「ジェンダード・イノベーション担当」 |
同 | 治部 れんげ | 東京科学大学リベラルアーツ研究教育院准教授 |
同 | 徳倉 康之 |
NPO 法人ファザーリング・ジャパン理事、 株式会社ファミーリエ代表取締役社長 |
同 | 山口 慎太郎 | 東京大学大学院経済学研究科教授 |
同 | 山本 勲 | 慶應義塾大学商学部教授 |
内閣府 | 三原 じゅん子 | 内閣府特命担当大臣(男女共同参画) |
同 | 岡田 恵子 | 男女共同参画局長 |
同 | 小八木 大成 | 大臣官房審議官(男女共同参画局担当) |
同 | 大森 崇利 | 男女共同参画局総務課長 |
同 | 上田 真由美 | 男女共同参画局推進課長 |
同 | 田中 宏和 | 男女共同参画局男女間暴力対策課長 |
同 | 髙津 佳枝 | 男女共同参画局政策企画調査官 |
同 | 中山 奈津美 | 男女共同参画局推進課企画官 |
同 | 木田 衣里乃 | 男女共同参画局総務課男女共同参画分析官 |
議事録
○山田会長 ただいまより、第42回「計画実行・監視専門調査会」を開催いたします。
なお、本日欠席の委員は、井上委員、白波瀬委員でございます。
本日は、三原じゅん子女性活躍・男女共同参画担当大臣にも御出席いただいておりますので、一言御頂戴できればと思います。
三原大臣、よろしくお願いいたします。
○三原大臣 ありがとうございます。
女性活躍・男女共同参画担当大臣、三原じゅん子でございます。
本調査会に所属される委員の皆様におかれましては、大変お忙しい中、このたび改めて委員をお引き受けいただきまして、心から御礼を申し上げたいと思います。引き続き、皆様のお力添えをいただきたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いをいたします。
さて、本調査会におきましては、昨年末以降、「第6次男女共同参画基本計画」の検討と合わせた形で、現行の基本計画のフォローアップを行っていただくとともに、女性デジタル人材の育成、男女の性差に配慮した施策などにつきまして議論を重ねていただきました。
本日は、これまでの議論も踏まえつつ、「女性版骨太の方針2025」、「新・女性デジタル人材育成プラン」の方向性について、しっかりと時間を取って皆様で御議論をいただきたいと考えてございます。
先日は、男女共同参画会議の有識者議員の皆様から、「懇談会」という形で御意見を伺いました。本日は、専門調査会の皆様から、それぞれの専門的なお立場から御意見をお伺いしたいと考えております。
さて、現在、石破内閣におきましては、「若者・女性にも選ばれる地方」の実現を目指して取り組んでいます。私自身、大臣就任以来、日本の各地で女性起業家の皆さんをはじめ、地域で暮らす様々な女性の皆さんの声を直接お聴きしてまいりました。
こうした中で、地方におきましては女性活躍・男女共同参画のために取り組むべき課題がまだまだたくさんあることを痛感しているところであり、地方における取組を強化していく必要性を感じているところでございます。
また、企業における活躍、両立支援、経済的自立、あらゆる暴力の根絶、女性の健康への支援など、引き続き取り組むべき課題はたくさんあります。
これらを一層強力に推進をし、日本全体にあまねく浸透させることで、「女性がいつでも、どこにいても、自分らしく輝ける日本」を実現していきたい。そういう思いを日々強くしているところであり、是非皆様のお知恵をいただきながら、実効性のある女性版骨太の方針を取りまとめていきたいと考えております。
また、今回は、3年前に策定いたしました「女性デジタル人材育成プラン」の見直しにつきましても御議論をいただきたいと考えております。デジタルの活用は、女性の所得向上とか柔軟な働き方の実現など、多くの可能性を秘めています。取組を一層強化し、女性の経済的自立や各分野における女性活躍の「推進力」としていきたいと考えております。
本日は、ぜひ忌憚のない御意見をいただければ幸いでございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○山田会長 三原大臣、ありがとうございました。
大臣は公務のため、ここで退出されます。どうもありがとうございました。
本日は、ジェンダー統計整備状況調査の結果について報告いただくとともに、6月をめどに策定する「女性版骨太の方針2025」と「新・女性デジタル人材育成プラン」について、フリーディスカッションを行いたいと考えております。
それでは、議事に入ります。まず議題1、ジェンダー統計整備状況調査の結果について、内閣府の男女共同参画局より資料1の御説明をお願いいたします。
○岡田局長 男女共同参画局でございます。
昨年度実施いたしましたジェンダー統計整備状況調査の結果の概要について、報告をさせていただきます。
この調査は、公表資料を用いまして政府の各種統計における男女別データの有無などの状況を把握するもので、有識者で構成される検討委員会の主査を白波瀬先生に務めていただきました。取りまとめました調査結果につきましては、後日公表いたしまして、今後のジェンダー統計の充実の検討の基礎資料としてまいります。
それでは、詳細につきまして、担当の調査官より説明をさせていただきます。
○髙津調査官 ジェンダー統計整備状況調査の調査結果について御報告いたします。
今ご覧いただいている1ページ目ですが、第5次男女共同参画基本計画における記載を踏まえ、令和5年度に引き続き、令和6年度においてもジェンダー統計整備状況調査を実施いたしました。具体的には、調査票上における男女の別を把握する欄の有無を調査したものであります。
調査対象としては、政府統計の総合窓口であるe-Statに掲載の政府統計データについて調査を行いました。
令和5年度は基幹統計を対象に調査を実施しましたが、令和6年度は一般統計のうち特に重要な統計である特定一般統計を対象に調査を実施いたしました。
結果について、2ページ目をご覧ください。
こちらは、e-Statに掲載の基幹統計及び特定一般統計について、調査票上における男女の別欄の有無を調査した結果です。
上段のグラフの調査対象について見てみますと、基幹統計、特定一般統計ともに、②の「事業所、企業・法人・団体、地方公共団体」を対象とした統計調査が多くなっています。
下段のグラフの男女の別欄の有無の状況については、基幹統計では「一部の調査票で男女の別欄なし」が多く、特定一般統計では「男女の別欄なし:人に関する設問あり」が多くなっております。統計の種類によって、男女の別欄の整備状況に差が見られます。
さらに、男女の別欄のない理由を把握するために、ここに記載があります赤枠の部分、「一部の調査票で男女の別欄なし」と「男女の別欄なし:人に関する設問あり」に該当する統計を所管している府省庁に対してヒアリングを行いました。
3ページをご覧ください。
ヒアリングに当たっては、回答選択肢を設け、調査をいたしました。1段目の表でございますけれども、全体的な傾向として、「1.調査目的から、男女別を把握する必要がないと判断したため」が最も多くなっております。
そして、2段目です。統計数が多い「事業所、企業・法人・団体、地方公共団体」においては、「3.男女の別欄を設けることを検討したことがなかった」も多くなっております。
そして、3段目の表です。調査分野別で見ますと、「運輸・観光」で、こちらも同じく「3.男女の別欄を設けることを検討したことがなかった」も多くなっている結果となっております。
報告は以上となります。
○山田会長 ありがとうございました。
続きまして、「女性版骨太の方針2025」及び「新・女性デジタル人材育成プラン」の策定に向けた検討を行います。
内閣府の岡田男女共同参画局長より,資料2及び資料3の説明をお願いいたします。
○岡田局長 それでは、資料に基づきまして、「女性版骨太の方針2025」の考え方について説明をさせていただきます。
スライド1であります。
第1の柱は、「女性に選ばれ、女性が活躍できる地域づくり」であります。女性がやりがいを持って取り組める仕事の創出、女性にとって魅力的な職場づくり、そのための人材確保・育成及び体制づくりなどに取り組む必要があるとの基本的な考え方の下に、地域における女性の起業支援、地域における魅力的な職場づくり、地域における人材確保・育成及び体制づくりなどに関する施策が考えられるところでございます。
関連する資料を見てまいりますけれども、スライド2にございますように、地方においては女性の転出超過が続いております。
スライド3にありますように、女性が出身地域を離れた理由として、「希望する進学先が少なかったから」に続きまして、「やりたい仕事や就職先が少なかったから」や「地元から離れたかったから」とする回答が多くなっております。
スライド4に示しました地方創生2.0の基本構想の5本柱の第1にも、魅力ある働き方、職場づくり、人づくりを起点にした社会の変革により、「若者・女性にも選ばれる地方」をつくることがうたわれております。
スライド5にありますように、起業家に占める女性の割合は増加傾向にありますけれども、スライド6にありますように、大臣による各地の女性起業家との対話におきましては、ロールモデルの存在、ネットワークの構築、マッチングの強化などが重要なポイントとして議論されています。
第2の柱は、スライド10にありますように、「全ての人が希望に応じて働くことができる環境づくり」であります。どこに住んでいても、いかなるライフステージにあっても、その個性と能力を十分に発揮して働けることが重要であり、そのため、L字カーブの解消に向けた取組とか仕事と育児・介護・健康課題の両立支援などを進めていくことが必要との基本的な考え方に立ちまして、女性の所得向上・経済的自立に向けた取組の強化、仕事と育児・介護・健康課題の両立の支援、職場等におけるハラスメントの防止等に関する施策が考えられるのではないかと考えます。
データを見てまいりますけれども、スライド11にございますように、女性の正規雇用比率はほぼ全ての年代で以前に比べ高水準で推移しております。
スライド12にありますように、男女間賃金差異は、長期的には縮小傾向にありますけれども、依然として大きい状況にあります。
育児・家事の分担を見ますと、スライド13に見られるように、男性と女性とではそれぞれの時間に大きな差がありますけれども、スライド14とか15にありますように、若い世代では意識の変化が見られて、家事・育児等への考え方につきましても年代によって差があります。
スライド16にありますように、男性の育児休業取得率も上昇してございます。
しかし、例えば健康課題を見ますと、スライド17にありますように、女性特有の病気は20~50代などの働く世代に多い一方で、スライド18にありますように、子育て中の正規雇用労働者の女性は、「仕事や家事・育児等で忙しくて病院等に行く時間がない」、「病院が空いている時間に行けない」ため、気になる症状に十分に対処できていないことが多い傾向にありまして、対応が必要だと考えられます。
第3の柱は、スライド20にありますように、「あらゆる分野の意思決定層における女性の参画拡大」であります。女性の活躍推進は、多様性が尊重される社会の実現、持続的な発展の確保に不可欠な要素でございます。
このような基本的な考え方に立ちますと、下のところにありますように、企業における女性活躍の推進、政治・行政分野における男女共同参画の推進、科学技術・学術分野における女性活躍の推進などに関する施策が考えられるのではないかと思われます。
データを幾つか見てまいりますと、スライド21にございますように、部長、課長、係長に就く女性の割合は近年上昇傾向にございますけれども、上位の役職ほど割合が低く、また、女性役員比率は上昇しているものの、諸外国とのギャップは大きい状況にございます。
スライド22、23にありますように、政治分野における女性の割合は低い数字でありますことから、参画の障壁としての課題について調査を行っております。
スライド24、25にありますように、行政分野における女性管理職の比率、科学技術・学術分野での男女共同参画に関して、さらに推進する必要があると考えられます。
第4の柱は、スライド26にありますように、「個人の尊厳が守られ、安心・安全が確保される社会の実現」であります。個人の尊厳が守られて、安全・安心が確保されることは、男女共同参画社会を実現するための基盤であるとの基本的な考え方の下、下にございますように、配偶者等からの暴力、性犯罪・性暴力対策の強化、男女共同参画の視点に立った防災・復興の推進、また、生涯にわたる健康への支援等に各地域で引き続き取り組んでいく必要があるのではないかと考えます。
データを見てまいりますと、スライド27にありますように、結婚したことのある方の25.1%は配偶者から暴力を受けたことがあり、被害を受けた方の12.6%は命の危険を感じた経験があります。
スライド28にありますように、ワンストップ支援センターへの相談の現状を見ますと、被害時の年齢は約半数を10代以下が占めております。
また、29にありますように、地方防災会議の委員に占める女性の割合は、都道府県で2割を超えておりますけれども、市区町村では1割となっております。
第5の柱ですけれども、「女性活躍・男女共同参画の取組の一層の加速化」であります。多様性が尊重され、女性が暮らしやすい地域社会を実現するためには、男女別の影響やニーズに配慮した施策を推進することが重要であり、その前提として、政策・方針決定過程への女性の参画拡大、男女別データの把握・分析に取り組む必要があるということでございます。第6次男女共同参画基本計画の策定に向けた議論と軌を一にして、取組を一層加速化させてまいります。
次に、資料3に基づきまして、新たな「女性デジタル人材育成プラン」の策定について説明いたします。
スライド1にありますように、令和4年に男女共同参画会議において、「女性デジタル人材育成プラン」を決定いただきましたが、スライド2にありますように、プラン策定の3年後をめどに、プラン全体の施策の在り方について必要な見直しを行うこととされておりました。
3月の計画実行・監視専門調査会において、女性デジタル人材の育成をテーマに御議論いただきました。本日、新たなプランの骨子案について説明をさせていただきます。
スライド3にありますように、新たなプランにおいては、この3年間におけるデジタル技術の進歩、デジタルスキルを有する人材の需要の高まり、デジタル技術を活用した起業や就業機会の増加といった策定に当たっての基本的な認識を整理しますとともに、女性デジタル人材育成の意義を整理いたします。
また、スライド4にありますように、デジタルスキルを生かした女性が活躍する具体的な姿をパターン化いたしまして、パターン別に支援メニューを提示することで、どのようなメニューが自分に合うのか、分かりやすく示したいと考えております。加えて、女性がデジタル人材として活躍する上で必要となる社会基盤・環境の整備についても盛り込む予定でございます。
説明は以上でございます。
○山田会長 それでは、ただいまの御説明も踏まえ、議論を行いたいと思います。「女性版骨太の方針2025」及び「新・女性デジタル人材育成プラン」において、御意見、御質問のある方はZoomの挙手機能を使っていただき挙手をお願いいたします。順番にお願いいたします。議論を深めるために、他の委員から出された御意見についてのお考えなども積極的にお述べいただければと思います。委員の皆様方、挙手していただければ幸いです。
まず、徳倉委員、お願いいたします。
○徳倉委員 徳倉でございます。
御説明ありがとうございました。
議論の最初なので、簡単に1点、最初の部分で私が気になっているところですが、共有していただいている資料2、「女性に選ばれ、女性が活躍できる地域づくり」というところの「基本的な考え方」の1行目ですが、ここに「転出超過が続いており、『女性に選ばれる地方』を実現することが急務となっている」とあるのですが、この言い方といいますか、この後に出てくる、先ほどの地方創生2.0の話の中でも書かれているのですけれども、結局、女性だけに選ばれる地方というニュアンスではなくて、女性にも選ばれる地方と言うほうがニュアンス的にいいのではないかなと僕は思っています。
先週の御説明のときにもお伝えしたのですが、誰かだけが選ぶ地域ということよりは、そこに人が増え、そこにいたいなという人たちが若者を含め、若者も非常に転出超過が大きいので、もちろん女性の転出超過が非常に問題であるということで、我々は男女局のこの中では非常によく分かるのですが、これがいろいろなところに出回り、これをベースとして骨太としていくということになれば、我々は女性に選ばれる地方を目指すのだけれども、女性だけではなくて全体的に選ばれる地方を目指していく、その一丁目一番地がもちろん我々は女性なのだよというところでその後を書かれていくような、最初のスタートでニュアンスに誤解が生まれるような感じで、違和感があるなという私の感じがあるので、ほかの委員の皆さんの意見を聞きたいなと思って最初に言わせていただきました。
以上です。
○山田会長 ありがとうございます。
続きまして、小林委員、お願いいたします。
○小林委員 ありがとうございます。
今の徳倉委員との関係で言いますと、最初に「女性に選ばれる地方」というふうに出てくるわけですけれども、そもそも人口流出対策というのはほかにあるわけですから、そこにちょっとでも触れないと、いきなり「女性に選ばれる地方」というのは受け入れ難いのではないのかなという気はしました。
もうまとめて言いますと、あと、地方創生2.0のところです。「『女性活躍推進法』の枠組みの拡充」と書いてあったのですが、地方ということになるとやはり中小企業が多い、中小企業というか、むしろ零細企業も多いと思うのですが、100人以下の企業への一般事業者行動計画は努力義務のままなのか、今回、10年延長する改正の中に入れるのか、その点をお聞きしたいと思っています。
それから、女性起業家支援の取組を骨太の方針に取り込むという記述がありますが、「起業の環境づくりに向けた知恵の結集」ということが書いてあるのですが、その知恵の結集で出てきた具体的アイデアはどういうものがあるのか、もし分かれば御紹介いただければと思います。
それから、2番目のところで、「全ての人が希望に応じて働くことができる環境づくり」ということですが、治療と仕事の両立という問題が新たに出てきたわけですけれども、これは努力義務という書き方をしているので、いきなり出てきたものだから努力義務から入っていくということなのか、それとも、取りあえず強制はできないから努力義務ということでそのままにしているのかということもお聞きできればと思います。
あと、賃金格差の表ですが、全体として賃金格差はそうなのですけれども、もう既に新入社員の給与格差がほとんどなくなっているのか、それともそうではないのか、そこもちょっと知りたいところだなと思いました。
それから、これは前にも申し上げたと思うのだけれども、「あらゆる分野の意思決定層における女性活躍の拡大」というところでは、プライムを取り上げてるのですけれども、スタンダードとかグロースをどうするのかという問題が、全体に広げていく上では重要だろうと。
特にグロースにおいては、上場基準が変わったにもかかわらずガバナンス・コードの採用がいまだに努力義務となっていると聞いているので、その辺をどうするのか、何か取り上げるのかということをお聞きしたいと思います。
以上です。よろしくお願いします。
○山田会長 ありがとうございます。
では、治部委員、大崎委員の順番でお願いいたします。
○治部委員 ありがとうございます。
ジェンダー統計のところも意見を述べてよろしいのでしょうか。
実は、ジェンダー統計につきましては、前に男女局の別の会議でも意見を述べさせていただいたのですけれども、男女共同参画政策をエビデンスベース、科学的な根拠に基づいて進めるためには、極めて重要な、必須の基本的な知見であることは、この会議に御参加の皆様におきましては論をまたないところであるかなと思います。一方で、一般の理解がこの件について混乱しているということを感じております。
これは前回の男女局の会議で申したのですけれども、ダイバーシティ、インクルージョンという観点から、いわゆる性の多様性を受容する、性別を問わないことが新しい人権感覚としてはより正しいものであるというような、私から考えれば誤った認識が一部に広がってしまっているところがあると思いまして、ちょっと危機感を覚えたのです。
実は、4月の初めにNHKの朝のラジオで解説をさせてもらいました。そのときには、内閣府の皆さんも既に出されているワーキングのデータ等々を使いまして重要性ということをお話ししたのですが、そのプロセスで感じたのは、メディアの方も含めて、メディアとか教育関係の人権問題に対して比較的感度が高い、世の中をよくしたい、弱者には配慮したいと思っているような方が、男女別、性別欄の話をするときに、男女格差の実態を踏まえるというような重要性のところに思いが至らずに、すっと性の多様性のほうに関心が行ってしまう傾向をすごく感じましたので、ジェンダー統計を取ることによってどのような政策が可能になるのか、どのような予算措置の根拠になり得るのかといったことを、既にお持ちの事例で構いませんので、ぜひ積極的に発信をお願いできるとありがたいです。
私がラジオで申し上げたのは、通常、白書で言っているような政策意思決定における男女の数の格差であるとか、あと男性に関してメリットがあることも述べたほうがいいと思いました。自殺統計の男女を見ますと、明らかに男性が倍ぐらいいますので、そういったところに対する手当てにおいてもジェンダー統計が重要だということを一応述べてはおりますので、なぜ大事なのか、ここにいらっしゃる皆さんには当たり前のことをいま一度ぜひ資料として御発信いただければと思います。
以上です。
○山田会長 ありがとうございます。
大崎委員、石黒委員の順番でお願いいたします。
○大崎委員 ありがとうございます。
地域の女性の起業支援というのを盛り込んでいただいている点は、大変重要なことだと思いますので、ぜひ取組を強化していただきたいと思っております。
その上で申し上げたいのですけれども、私が日本代表を務めさせていただいている国連女性の地位委員会の「北京+30」の議論の中でも、再確認といいますか、改めて明らかになりましたが、女性の起業家支援に必要不可欠なのは構造的な障壁を取り除く政策アプローチということです。その文脈で2点、御検討いただきたいと思います。
まず1点目は、金融サービスへのアクセスの確保です。つまり、融資とか、GXを含めた補助金へのアクセス、それから、ベンチャーキャピタルを含めて投資のところでは非常に大きなジェンダーギャップがあるという現状がございますので、その現状をどのように解消するのか、しっかりと考えていただきたいと思います。
これには女性側へのアプローチも施策としてあると思うのですけれども、地域金融機関を巻き込んだ支援体制というものを明示的に組み込んでいくことも必要だと思います。地域金融機関との連携に関しましては、地方創生2.0で示されているマルチステークホルダーの方向性と合致するところがありますので、しっかり見ていっていただきたいと思います。
2つ目は、デジタル技術の活用の支援です。特に生成AIです。これを適切に活用しますと、ピッチ資料作り、経理処理、金融機関向けの事業計画、そういったものの作成を短時間でできるとか、非常に大きな効果がございますので、そうした実践的なツールの使い方を女性たちが学べる支援も欠かせないと思います。
以上、この2点を付け加えていただきたいと思います。
女性たちとの対話の中から必要な施策を考えていくというのは非常に大切なことなのですけれども、それを大前提としつつも、やはり大局的なジェンダー主流化の視点から考えることも非常に重要だと思いますので、アジア地域とか他国ではそういったことを解消する、そういったことを女性への働きかけと同時進行で行っている事例もたくさんありますので、そういったものを参考にしながら施策に取り込んでいっていただきたいと思います。
あとは、女性デジタル人材育成についてもコメントしたいのですが、それは後ほどセカンドラウンドでお話しさせていただきます。
○山田会長 今、御発言いただいて。
○大崎委員 分かりました。ありがとうございます。
女性デジタル人材育成プランの骨子案の基本的な認識のところに、「生成AIやロボティクス等の先進技術の普及」とありますけれども、それは非常に重要な背景認識だと思います。
つまり、昨今の生成AIの急速な技術革新と、それを企業等がどういうふうに導入していくかというような状況を見ていますと、もはやデジタル技術の習得、イコール所得向上という単純な図式は正しくないことが分かりますので、そういった前提でプログラムを設計する必要があると思います。
社会人の女性がリ・スキリングのベースで習得しようとしているデジタルスキルは、生成AIに取って代わられる可能性が高いと思いますし、生成AIに関連する高度なスキルとなりますと、今度は中高生の段階での介入と理工系分野への進学の促進が必要になってきますので、そういう視点。つまり、何を学ぶか、どういうふうに介入するか、どういうふうに産業連携、キャリア形成支援をしていくかという視点が、やはり女性デジタル人材育成と言うからには重要になってくると思いますので、そうした大局的かつ戦略的な視点を持っている専門家や団体からしっかりと聴き取りをしながら政策を策定していただきたいと思います。
もう一点、短めにしますけれども、この中で「柔軟な働き方」という言葉が多く使われているのですけれども、実態としては、ここで習得できるスキルから推察しますと、短期的な業務委託とか低単価の在宅ワークにとどまってしまうケースも想定されると思います。やはりディーセント・ワークとして成り立つような就業につなげていくための戦略をどう描いていらっしゃるのかを伺いたいです。
起業に関しても、「デジタル技術活用により、全国どこでも事業を展開し、支援を受けることが可能になる」と書かれているのですが、それは具体的にはどういうことなのか。先ほど申し上げたとおり、起業というのは構造的な障壁がたくさんありますので、こういうふうにイージーに行くのであればすばらしいですけれども、それがどういうことなのかということを具体的にお示しいただければと思います。
以上です。
○山田会長 ありがとうございます。
山本委員、佐々木委員の順でお願いいたします。
○山本委員 山本です。ありがとうございます。
まず、女性に選ばれる地域づくりについては、私も徳倉委員の言われたように、女性にあまり特化せずに、誰でもというところが大事なのかなと思います。
魅力的な職場づくり、企業づくりが大事だというのはそのとおりですけれども、そこはかなり時間がかかると思うので、中長期的に継続して取り組んでいくことが大事というようなメッセージを入れてはどうかなと思いました。
その中で、比較的地方の状況をよくできるかもしれないと思うのが情報開示だと思っています。例えば、実際には魅力のある職場や企業が地元にあるにもかかわらず、そうした情報が労働者には届かないで、職探しもせずに、地方を諦めて東京に行ってしまうケースも結構あると思います。そうした情報不足によって生じるミスマッチを解消する、それによって女性あるいは若者が地方に残る可能性は十分あると思うのです。
ちょうどこの点に関して、厚労省の事業で、公開求人情報の収集・分析に関する調査研究事業に私は参画しているのですけれども、そこで民間の人材サービス会社のデータを使って求人情報を分析・活用するという試みをしているのですが、地域別に見ると、民間のサービスは圧倒的に東京圏、大阪圏に偏っていて、なかなか地方では利用しにくいという状況があります。
地方ではハローワークの情報がかなり有用になっています。ただ、必ずしも多くの労働者がハローワークを利用しているわけではないのと、ハローワークには職種別とか地域別にどういう求人が増えているといったかなり有用な情報があるにもかかわらず、なかなか情報発信がうまくできていないということも分かってきました。
ですので、民間の人材サービスの地方参入を促すということをやりながら、一方で、ハローワークの情報を積極的に活用して、地方にもこういういい企業があるのです、いい仕事があるのですということを提示していく。それによって情報不足によるミスマッチを解消することが短期的に有効な策なのかなと思いましたので、検討していただければと思います。
あとは、中長期的に魅力のある職場、企業をつくっていくというところで、男女間賃金格差の是正とか女性の登用の推進などを挙げていらっしゃるのですけれども、それに加えて、地方ないしは中小企業ではまだ長時間労働が残っていますし、非常に硬直的な働き方が残っている。そこを修正することこそが第一歩だということ、すなわち働き方改革を進めることがまだまだ地方では大事だということを盛り込んでいただければなと思います。
加えて、硬直的でない働き方の一つとして、テレワークの普及というのも地方の問題を考える上では有効になるかと思いますので、そういったことも盛り込んでいただければと思います。
そうした働き方改革とか施策を進めることが、女性だけではなくて、多くの労働者に選ばれる企業になっていくといった効果があるというメッセージも入れてはどうかなと思います。
あと1点、全ての人が希望に応じて働くことができる環境づくりという部分は、とてもいいコンセプトだと思います。ただ、希望に応じて働くというところがややトリッキーだなと思うのは、L字カーブ、非正規雇用問題に関して言えば、不本意型の非正規雇用というのは少なくて、非正規雇用の9割以上が非正規雇用を希望して就いているという事実があります。ここだけを見ると、希望に応じて働けているということになってしまうのですけれども、実態としては、長時間労働や硬直的な職場を嫌って正規ではなくて非正規を希望している人が多いと思います。ですので、正規雇用を希望してもらえるような職場づくりを進めるといったメッセージも含めるべきなのかなと思います。
同じようなことは、管理職を希望しない人が多いというところにも当てはまると思うのですね。管理職を希望してもらえるように働き方を変えていく。管理職は労働時間がまだまだ長いということが指摘されていますので、その辺りの働き方も変えていくというところを含めていただければなと思っております。
以上になります。
○山田会長 ありがとうございます。
佐々木委員、徳倉委員の順番でお願いいたします。
○佐々木委員 ありがとうございます。
共有させていただいてよろしいですか。
私のほうからは、地方と科学技術・学術分野の視点から少し述べさせていただきたいと思います。
こちらは先ほど見せていただいた資料ですけれども、男女共同参画機構、男女共同参画センターの機能強化のところに、理系の進学推進を活発に行うところとか、デジタル人材という文言をしっかり入れ込んでいただきたいと思います。
また、この図の中で、学校・教育機関とあるのですけれども、ここの学校・教育機関を動かすためには教育委員会というのは非常に重要なところになってきますので、教育委員会としっかり連携できるような形が取れるシステムをつくっていただけるといいと思います。
また、いろいろな地域の自治体とお話しするときに、例えば、男女共同参画だと思って女性の起業のお話をすると、それは部署が違っているのでここでは扱えませんとか、女子学生の進学のところも男女共同参画とは別の教育長とかそこですと言われて、縦割りがすごくあって、これは全部男女共同参画関係の話ではないのかという、そこの連携が自治体の中でうまく回っていないので、地方の男女共同参画センターはそこをしっかりつなぐ役目とか、あと、いろいろ国がやっている支援を地方自治体の男女共同参画の課の人も知らなかったりするのですね。今日の参加者を見ても、自治体の方が非常に少なくて、これは自治体にメールでこういう傍聴ができるというお知らせがしっかり行っているのかどうかというのが、こういう会議を聞いていただいて、どういうことが地方でできるかというのを学んでいただくことが非常に重要だと思うので、その辺りもしっかり進めていただければと思っています。
また、こちらは高校所在地県における分野別入学者に占める女性割合ですけれども、トップと最下位のところでは、理学分野だと2倍以上の差があるのですね。工学だと2倍弱です。この差をなくすように、先ほどの男女共同参画センターとかがしっかり機能していただけるといいなと思います。
また、女子枠がどんどん増えていっているのですけれども、大学によっては募集人数に届かないものもぱらぱら出てきて、ここら辺も、地域における意識づけも非常に重要なことになってくると思うので、せっかく女子枠をつくったのにそこを希望しないというもったいないことが起きているので、この辺りもどうしてこういうことが起きているのかというのもしっかり分析をかけていただけるといいかなと思います。
これは以前もお見せしましたけれども、数学の点数です。PISAという国際的なテストですけれども、こちらが点数の差を見ているのですが、多くの国では男子のほうがちょっとだけ高いのですけれども、女子のほうが高い国もあります。女子のほうが高い国を見ると、全てジェンダーギャップ指数が高い国なので、ジェンダーギャップをなくすことで数学に対する女子の成績が伸びるということで、この辺りもしっかり両方一緒に上げていかなくてはいけないということだと思います。
また、こちらも先ほど見せていただいた資料ですけれども、大学の学生に占める女性の割合に関しては分野別ですけれども、職員に関しては分野別になっていなくて、分野ごとに非常に性質が異なっているので、分野ごとのデータをしっかりと出していただければ。出てはいるのですけれども、もう少し間隔を短く出していただけないとすぐ対応ができないので、ぜひ間隔を短く出していただければと思っています。
また、これは地方の問題も関わってくるのですけれども、研究者は特に別居割合が多いです。女性は半分、男性でも3割ぐらいですけれども、徐々に増えています。別居するときに、地方だとどうしてもほかに就職する大学とか研究する場所がないので、東京とか大阪だと近くに大学を探すことができるのですけれども、どうしても地方になると探すことができなくて、優秀な研究者を引っ張るためにも、地方の大学を強くするためにも夫婦一緒に雇うという施策が非常に重要だと思っております。
2024年女性版骨太のほうでも、共に研究者である夫婦の採用を一緒に工面することで、研究職の継続、家族との両立を支援する取組を「地域中核大学への支援等を通じ」と書いてあるので、この辺りはしっかり文科省を中心に進めていただきますと、本当に地方の大学改革に大きくつながると思っております。
これは、学協会男女共同参画のほうで調査しているものです。同居支援とか帯同雇用制度の利用希望に関して、「利用したくない」がオレンジで、「利用したい」が緑ですけれども、多くの方が利用したい、特に学生とか若い世代で、女性の場合は利用したいという人が多いです。
利用したくないということは、何で利用したくないのだろうという調査をかけますと、女性の場合は仕事の都合で移動できなかったり、どうしても安定した身分でいられない可能性がある、家族の都合で移動できない。男性のほうが家族の都合で移動できないということがあって、この辺りもしっかり我々も分析をかけていきますけれども、文科省のほうでも解析をしていただければと思います。
次に、健康についてです。こちらも先ほどの資料で、男女で異なる健康課題というのが出ているのですけれども、これら全てが女性特有の病気、男性特有の病気となっています。もちろんそこは非常に重要なのですけれども、男女で異なる健康課題といった場合には、こういう特有のものだけではなく、同じ病気なのだけれども、症状とか治療とか発症メカニズム、発症の頻度が違うということがある。それが性差医学、性差医療というものです。様々な疾患において性差があることが分かってきています。
ということで、こちらは「生涯にわたる健康への支援」のところのタイトルを、「性差を考慮した」という言葉を書いていただいて「性差を考慮した生涯にわたる健康への支援」に変更していただければと思います。
また、女性の健康総合センターの診療機能の充実、「生理の貧困」対策となると、先ほど言ったように、どうしても女性特有の病気をイメージされたり、また、男性の健康、男性が見過ごされてしまっているようなものが抜けてしまうので、ここにも「性差医療・医学」の推進というものを追加していただき、そのためには、その分野が推進されても、医師がそれを知らなかったら治療をしっかり受けられないので、医学教育も重要なので、その辺りもしっかり入れていただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○山田会長 ありがとうございます。
続きまして、徳倉委員、桑原委員の順でお願いいたします。
○徳倉委員 徳倉でございます。
先ほどの追加で1点、私自身が高松男女共同参画センターのセンター長をしておりますので、センター運営について一言お伝えさせていただきたいと思います。
全国にセンターがありまして、47都道府県で運営しているもの、都道府県でないものも2か所、あと基礎自治体で運営しているものがありますけれども、これからNWECが機構に変わり、そこから様々な発信をして、まず受け手が各地方にある拠点のセンターになりますが、現実、受け手のセンターの人材とか体制を考えてみると、忌憚なく申し上げまして、かなり脆弱です。
脆弱な理由は幾つかありますが、一つは、基礎自治体を含めてセンターの運営方式が指定管理とか、直営のところもありますけれども、そこにジェンダーに関する基礎知識を含めて政策立案に至るまでの人材が定着していないという非常に大きな問題があります。
機構がこれから様々研修を行い、0から1の研修ももちろんそうですけれども、1から5とか10から100というふうに強く推進していく場合に、それをきちっと受けて、それを各地方の中に各組織とともに共通語として運営をさせていく、理解させていく、企画・運営していくというふうになると、かなり高度な人材が必要になってきます。
ついては、そこに関して、今回の骨太の中でも、地方において女性の賃金についてもありますけれども、センターで働く人の賃金も、専門性があるがゆえに高い賃金で働けるのだ、意欲を持って活躍できるのだというような、ここ数年間に関しては国が各基礎自治体に対して補助を出していくとか、それを促していく。指定管理の場合は賃金がスライド式になっていないところが多くて、5年前とか10年前の賃金は最低賃金を何とかクリアしているというようなパートタイム労働者が非常に多い現状があるので、この辺をどう手当てするのかというところは、強力にその部分のバックアップがなければ、機構が幾らいいものを提供しても地方に浸透していくことが非常に難しいのではないかなと感じております。
そういうことを手当てすることによって、5年、10年先の男女共同参画の進み方というものが、中央はとても厚くていいものがあるのだけれども、地方にそれが流れていかない仕組みをどう変えていくのかというのも、ぜひ骨太のプランの中に組み込んでいただきたいと思っております。
以上になります。
○山田会長 ありがとうございます。
石黒先生、お願いいたします。
○石黒委員 全体の進め方でお願いというか、提言があるのですけれども、ここに参加していらっしゃる委員の方は、私も含めて長い間委員をやっていらっしゃる方が多いと思います。毎年、同じアジェンダが出てきて、それに対して発言をするのですけれども、去年もこのアジェンダがあったので、去年も同じことを言いましたというようなことになりかねない。
例えば女性の労働市場への参画とか、役員に占める女性の割合など、それらの進捗状況は統計を見せていただいているのですけれども、提言があったものに対しての進捗状況も何らかの形でトラッキングをしていただけないかと感じています。、。
毎年同じアジェンダを議論しているのは、そのアジェンダが進捗していないかだと思うのですね。ですから、進捗はあったのだけれども、特に進んでないもの、進んでないものはなぜ進んでいないのかという議論をしたほうがいいのかなと思って、進め方としてそういった視点を入れていただいたほうがよろしいかと思います。
今年の男女共同参画は、地方創生というのが非常に大きな柱としてあるということを伺っています。これも、男女、ジェンダーという観点からいうと、具体的に、東京に対して地方はいろいろな意味合いで遅れているというか、そこがまだ着手できていないということで、様々な対策が書かれていると思うのですけれども、いわゆる対東京という意味では、全体の底上げを自治体が意識をして対策を打ってくるとは思うものの、意識的なものや規則を変えても足りないのかなと思っています。、そこで、地方創生であれば、女性という視点だけでなく、どんな都市づくりをするのかというところから入って、各都市のいろいろな産業もあると思いますが、産業育成とか都市計画というところから入って、そこの中で女性の活躍がどういうふうにできるのかというようなことが議論できるともっと進むのかなと思いました。
私が例として最近お話ししているのは、JR東海がリニアモーターカーをずっと実験していらっしゃって、もう実地段階に来ていると思うのですけれども、あれは新幹線が走っているところと違うところを走らせるのですよね。災害対策という意味で、沿岸部ではなくて山のほうを走らせる。そうすると、ここに新しい都市ができる。今あるところの都市機能が拡大していくのですけれども、その都市をどういうふうに計画するかによって、リスクの分散にもなるし、新しい都市のつくり方という文脈で女性活躍ということを議論していくと、面白いと言うと語弊がありますけれども、非常に興味深い事例になるのかなと思っていて、そういった議論の仕方もあるのではないかなと思いました。
あと、非常に細かいところですけれども、女性の健康というところで、働いているから病院になかなか行けないというのがあったのですけれども、これは病院だけではなくて、特に女性が、例えば自治体に何か登録に行くとか、銀行に行くとか、こういったものは今のデジタル化の中で徐々には改善されてきたのですけれども、徹底的にデジタル化を進めることによって就業時間中に今まで行けなかった銀行だとか、病院も遠隔治療が進むと思いますので、徹底的なデジタル化をすることが一つの方策ではないかなと思います。
それから、他の委員も言われましたけれども、今、AIを中心に職業が変わってきているので、ただ、ちょっと前に女性のデジタル人材の育成の話で、私がIT専門なのでこういったものがありますということを御紹介したときに、いや違うのです、実はもっと低いレベルでの育成をしていかないといけないという御意見も専門家の方からいただいたのですね。
そういう意味では、もっと広い形で取り組まなくてはいけないのかなと思ったのですけれども、明らかにAIもこれからアプリケーションに組み込まれるという競争状態に世界中でなっていくと思います。AIのエージェント機能も非常に進んでくるので、そうすると職業も変わってくるし、デジタルでの女性の育成という中身も変わってくるので、本当にここのところはよくウオッチしていただいて、どんなデジタル人材を増やすのか、日々変わってくるので、ここが市場として大きくなるということは十分研究をしていただいて、そういったところを提言に盛り込んでいただきたいなと思います。
以上です。
○山田会長 ありがとうございます。
桑原委員、山口委員の順番でお願いいたします。
○桑原委員 桑原です。
今ほど石黒委員がおっしゃったように地方創生のお話は、私は地方創生の会議の委員でもあるのですけれども、国土形成や産業の話はかなり重要だと思うのですが、一方で、今回首相が女性に選ばれるとおっしゃっておいでで、こういう話になっているのかなと思っているのです。徳倉委員がおっしゃったように、女性だけに選ばれるとか、女性だけが活躍できるみたいな形で捉えられるのではないか、そういったところに配慮とかバランスが必要ではないかという御指摘がありましたが、私も同じ感覚を持っております。
共によい共同体をつくる同志だと思っているので、男女とか、あるいは現世代、次世代、それら両者が組み合わさって地方がよい形で成り立つのがいいわけだと思っております。
とはいえ、地方で女性が活躍するという歩みはどんどん進めなければならないと思っているのですけれども、既存の権利構造から生まれる流れを変える話になるのは確かでありますので、そうした権利のバランスみたいなものを見ることは必要かなと思っています。
特に地方では、今、男性こそ弱者ではないかとか、そういった分断や対立を生みかねない言論も見かけることがありまして、場合によっては記載のバランスを変えるとか、配慮をすることも必要ではないかと感じております。
以上です。
○山田会長 ありがとうございます。
山口委員、お願いいたします。
○山口委員 ありがとうございます。
女性版骨太の方針2025に盛り込む点として、長時間労働の是正について触れられていますが、この点について少しコメントしたいと思います。
これまでの様々な研究で、男女間賃金格差の最大の要因の一つに、いわゆる子育てペナルティ、子供が生まれることを契機として女性の賃金は大きく下がり、一方で男性の賃金は全く影響を受けないということがあり、それが最終的に男女間賃金格差につながるということが指摘されています。この子育てペナルティは、短期にとどまらず、子供が十分大きくなって女性がフルタイムで働けるようになっても残ってしまうことが同時に指摘されています。
この背景にあるのは、長時間労働が企業において人事評価や昇進につながるからということも明らかになってきています。もちろん長時間労働をした人に何らかの形で報いなければいけないというのも分かるのですが、我々のケーススタディーでは労働時間の長さとマネジメントスキルの間に相関は認められませんでした。ということは、長時間労働をした人を昇進させてしまうということは、必ずしもふさわしくない人が管理職に就いてしまうことにつながってしまい、人材の有効活用につながらず、個人にとってはもちろん、会社にとっても不幸なことではないかと言えると思います。
とはいえ、長時間労働をどうしても評価、昇進に結びつけてしまう風土は、日本社会においてかなり根深く、なかなかなくならないのではないかなと感じています。これを解決するために、行政の介入が有効ではないかと思います。最も強い形態の介入となると労働時間規制ということになったり、あるいは残業の割増賃金率の引上げということもあるかもしれないですが、そこまで強い介入に入らずとも、企業内における平均的な残業時間がどれぐらいであるかを開示させるような緩い規制も有効ではないかと考えていますので、そういった点も御検討いただければと思います。
もう一つ、女性デジタル人材育成についてもコメントいたします。様々な施策が取り上げられていて、どれも効果があると感じるのですが、一方で、どの要因がどの程度大きいのか、特にどの部分に対して働きかけが必要なのかということがあまりクリアではないと感じています。需要側、つまり会社とか産業側に問題があるのか、あるいは労働供給側に問題があるのかといった点について深掘りしてほしいなと感じました。
スキルのレベルについても、ハイレベルの人材が足りないのか、低いレベルの人材が足りていないのか、どの部分で障壁があるのかといったことについて把握することは、費用対効果が高い施策を見いだすためにも必要ではないかなと感じております。
以上です。
○山田会長 ありがとうございます。
ほかにいらっしゃいませんね。
では、私から3点ばかりコメントさせていただきたいと思います。
まず骨太に関しましては、7ページにオールド・ボーイズ・ネットワークについて記述していただいてありがたく思っております。動画も視聴させていただきましたけれども、よくできていると思います。ただ、ちゃんと見てくれるかどうかというのは心配でございます。
では、どうすればいいかといったときに、女性の社員も発言できるような雰囲気とか、そういうところにとどまっているので、何かいい方策がないのかなと私も考えていますので、その点、よろしくお願いいたします。
あと、女性デジタル人材に関してです。これは大崎委員、石黒委員、山口委員等もおっしゃいましたけれども、ターゲットがどうもはっきりしないと私も感じています。山口委員が言ったように、高度人材が必要なのか、もっと低レベルの人材が必要なのか。
私は両方必要だと思います。デジタルを専門とする人材の中に女性が少ないということもありますし、全くデジタルが分からない人だとなかなか適用できないので、そういう人たちにAIの使い方等も教えれば多少スキルアップする。両方必要だと思いますので、今後はデジタル人材と言ったときに、イメージされるのが1つではなくて、いろいろなデジタル人材の在り方があるというのも出していただければありがたいと思います。
あとは、佐々木委員が理系人材に関してコメントなさっていますが、もうそろそろ理系と文系という区分だけでいいのかというのが出てきたと思っております。
私は、高校時代は理系のクラスにいて、文学部に進学したのですけれども、山口先生もそうだと思いますが、社会学は文学部、経済学は文系と言われていますけれども、数学の知識がすごく必要な部分でもありますので、逆に理系・文系と言い過ぎることがむしろ文系は数学は要らないのだという意識にさせてしまっているような気もしなくもないので、そういうことに関する言及も必要なのかなと思っております。
私の意見、コメントは以上でございます。
これまでの御意見、御質問について内閣府から何かありますでしょうか。
○上田課長 それでは、御意見、御質問をいただいた中で、幾つか状況の御紹介等をさせていただきたいものをお答えさせていただきます。
最初のほうで女性活躍推進法の関係につきまして、101人企業において賃金差異、女性管理職比率の開示が義務づけられるというところの関連で、行動計画につきましても、これまでも101人以上の企業に対して義務という形で、それ以下については努力義務となっておりまして、それは今回も特段変わっていないという形になっております。
その理由としましては、やはり企業規模によって状況が異なるということと、一方で、当然中小企業におきましても取組が重要であるというところは変わりはございませんので、その点については、例えば賃金差異の分析のためのコンサルティングを行ったり、賃金差異の分析ツールを提供して、それを役立てていただくなどの取組を担当省庁のほうで進めていると伺っております。
それから、同じ女活法の改正を行っております労働施策総合推進法の中で、治療と仕事の両立支援の推進の部分について御質問をいただいております。これまで、治療と仕事の両立支援につきましては、法律に基づくものではない、ガイドラインに基づきまして取り組んできていると聞いております。今回、まずは法律上の努力義務ということで少し前進させることによって、より取組を進めていくと伺っております。
それ以外にも、これまでいただきました御意見の中で、例えば、全ての人が希望に応じて働くことができるというところで、御指摘のとおり、今、不本意非正規が非常に少なくなっているという現状がございます。
ただ、そもそも今の社会環境の中で、それぞれの方が本当に自分が希望される働き方を選べているかというと、そこはもっと根本に遡って考える必要があるというのは御指摘いただいているとおりかなと思っております。
先ほど御指摘いただいた、例えば正規を希望してもらえるような、あるいは管理職についても希望する人が減ってきてしまっているという現状が実際にございますので、それについてはどういったことが言えるかというのは、担当省庁のほうとも相談できることがないかというのを探してみたいと思っております。
また、健康課題の部分につきましても、「性差を考慮した生涯にわたる健康への支援」という言い方にしたほうがよいのではないかということとか、あるいは性差医療についても御指摘をいただいておりますので、こちらももう一度案文のほうを見直しまして、どういった形でできるか、こちらもそれぞれ施策担当省庁がありますので、そちらのほうと相談させていただければなと思っております。
私のほうからは以上となります。
○山田会長 ありがとうございます。
○大森課長 もう一つ、大崎委員から、デジタルを使うと事業展開できて支援を受けられるという中身についてですけれども、これまで三原大臣のサロンにおいても、地域に閉じるだけでなくて、オンラインで事業展開することが有用ではないか。または、地元では税理士や弁護士などのアクセスが難しく、専門的な相談が難しいという指摘もあって、域外の専門家とつながることが大事であると。地元では身近なロールモデルがないので、域外の先輩起業家とつながることも大事である。地元ではやりにくい相談もあるので、遠くの相談先とオンラインでつながってサポートを受けることも有効と。そういったことを踏まえてこのように書いているということでございます。
○山田会長 大森課長、ありがとうございます。
ほかに内閣府の方、よろしいでしょうか。
ありがとうございます。
では、時間が10分ほどありますので、委員の先生方。
大崎委員、治部委員の順番でお願いいたします。
○大崎委員 ありがとうございます。
大森課長、質問に対してのレスポンスをありがとうございました。参考になります。
私の次のコメントはそれとは関連していなくて、先ほど石黒委員がおっしゃった都市計画というような大局観のところ、大きなプロセスの中にしっかりと組み込んでいくのが重要ではないかという御意見があったのですが、私も全くそのとおりだと思っています。
特に私から申し上げたいのは、今、国を挙げてGXの取組を進めていて、全国で脱炭素先行地域が選ばれているかと思います。この取組は、まさにこれまでの経済の在り方や社会を変革するもので、農業、水産業、観光業と多岐にわたる領域で、デジタル技術とか再エネ技術も使いながら新たな産業を構築していく、地域社会の基盤を構築していくというものなので、そのプロセスにジェンダーの視点が欠けてしまうと本当に問題で、また新たな女性が排除された形での産業が構築されていくことになりますので、そこにジェンダー視点を組み込む、女性が参画するというのは、これはジャスト・トランジションと呼ばれていて、男女局の方々は皆さん、国際会議に参加された方は御存じと思いますけれども、気候変動のジャスト・トランジションでジェンダー主流化はマストであるというのが国際社会の常識です。
ですので、日本でもGXというのは各地で進んでいますので、そのプロセスにジェンダー視点を組み込む、女性の参画を組み込んでいくことで、起業や就業の創出は期待されますので、そういったところから考えるべきだと思いますので、追加でコメントさせていただきました。
○山田会長 ありがとうございます。
治部委員、よろしくお願いします。
○治部委員 ありがとうございます。
私は骨太に直接何か文言を盛り込んでほしいということではないのですが、今後、男女共同参画政策を進めていくために必要で、かつ、これまで白書等々からも抜けてた視点について指摘をしたいと思います。今日の議論ですと、桑原委員がおっしゃっていた、男性にも弱者意識があるのですという指摘とつながるところになります。
これまで、男女共同参画の政策というのは、基本的には男女格差が全体的に見ればあるという中で、女性が経済的に低い地位にある、困難を抱えているという大きな枠組みの中で格差の解消ということで進められていたと思います。そこについては私もかなりの進歩があったと考えておりますし、最近では民放のテレビ番組等々でも男女局で出している資料を使いながら番組を作っていることがあるので、相当進捗があるというふうにポジティブに見ています。
その一方で、委員の皆様は肌で感じていらっしゃると思うのですけれども、昨今、例えば女性を支援している団体に対して、SNSでうそやデマをばらまいてその活動を止めさせるとか、また大学でアファーマティブアクションを導入しますと、SNS上で強い反応が起きるという現実があります。かなり学内のコミュニケーション施策もやってきたのですけれども、一定の理解はありますが、残念ながら収まるということはありません。
今後、男女局ないしは男女平等の政策が主流化されていくにつれて、私が勤務先で見たようなバックラッシュはより激しくなっていくと思っております。今日、ほかの委員からのお話もありましたとおり、新卒で学歴が同じであれば男女の賃金格差はほぼなくなってきている中で、また、歴史的な女性差別の経緯を知らないような年代の人たちは、むしろ男性のほうが差別されているということを普通に述べます。
そういう中で、この局で議論していることの正当性をどういうふうに訴えていくかということは、真剣に政策広報のストラテジーを考えていかないと、私は日本も欧州のような極右が政権を取るようなことにはならないといいと思うのですが、そういう分断になりかねないと思っていますので、そこの手当てを今のうちというか、もう早くやったほうがいいと思うのですけれども、入れてほしいと思います。
具体的には、第6次計画の中で、男性の中で剥奪感がある、弱者性のある人たちに対して何らかの施策をきちんと言うということもあるでしょうし、一方で、X上で男性が弱者だと言われているような訴えの中には、デマもありますし、男女局の予算に関して何兆円もあると過大に言っている人がいるので、そういったうそに対して事実はこうですということを伝えていくことがそろそろ必要になってくるのではないかなと思っておりますので、述べさせていただきました。
以上です。
○山田会長 ありがとうございました。貴重な指摘だと思います。
ほかにありませんでしょうか。
それでは、大変恐縮ですが、時間の都合上ここまでとさせていただきます。
御発言し切れなかった内容があれば、当日、事務局にメールでお寄せいただければと思います。
これまでの御意見、御質問について何か内閣府からありますでしょうか。
○岡田局長 男女局でございます。
今日も、幅広い観点から様々な御指摘いただきましてありがとうございました。受け止めさせていただきまして、どのようなことを盛り込んでいけるか検討したいと思います。
今日、資料2にもございましたけれども、今年はまた先生方には計画の策定の専門調査会でも非常にお世話になっているところでございます。先ほど治部先生からは6次計画でという話がございましたけれども、その計画にも通じる御指摘も今日はかなりいただいたと思いますので、私どもで検討させていただきたいと思います。今日もありがとうございました。
○山田会長 ありがとうございました。
それでは、本日いただいた御意見も踏まえ、政府において「女性版骨太の方針2025」及び「新・女性デジタル人材育成プラン」の原案の作成作業を進めていただければと思います。お願いいたします。
皆様、活発な御議論をありがとうございました。
最後に、事務局から何かありますでしょうか。
○岡田局長 ございません。
今日もありがとうございました。
○山田会長 ありがとうございました。
なお、本日御欠席の井上委員より書面で意見が提出されたため、事務局から出席者に送付しておりますので、御確認をいただければと思います。その後、意見書については会議資料として内閣府男女共同参画ホームページで公開いたします。
それでは、本日の会議は以上となります。お疲れさまでした。ありがとうございます。