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第6次基本計画策定専門調査会(第5回)議事録

  • 日時: 令和7年7⽉29⽇(火)10︓00〜12︓00
  • 場所: オンライン会議システム(Zoomウェビナー)にて開催
  1. 開会
  2. 議題
      第6次男女共同参画基本計画策定に当たっての基本的な考え方(骨子案)について
  3. 閉会

【配布資料】

資料1
第6次男女共同参画基本計画策定に当たっての基本的な考え方(骨子案)[PDF形式:603KB]別ウインドウで開きます
資料2
井上委員提出資料 [PDF形式:693KB]別ウインドウで開きます
資料3
小林委員提出資料 [PDF形式:203KB]別ウインドウで開きます
資料4
治部委員提出資料 [PDF形式:198KB]別ウインドウで開きます
資料5
納米委員提出資料 [PDF形式:446KB]別ウインドウで開きます

【出席者】

会長 山田 昌弘 中央大学文学部教授
委員 石黒 不二代 世界経済フォーラム 日本代表
井上 久美枝 日本労働組合総連合会副事務局長
大崎 麻子 (特活)Gender Action Platform理事
北仲 千里 広島大学ハラスメント相談室准教授、
NPO法人全国女性シェルターネット共同代表
桑原 悠 新潟県津南町長
小西 聖子 武蔵野大学学長・人間科学部教授
小林 哲也 小林総合法律事務所弁護士
佐々木 成江 東北大学ダイバーシティー・エクイティ&インクルージョン推進センター教授、
横浜国立大学客員教授/学長特任補佐「ジェンダード・イノベーション担当」
治部 れんげ 東京科学大学リベラルアーツ研究教育院准教授
鈴木 準 株式会社大和総研常務執行役員
徳倉 康之 NPO 法人ファザーリング・ジャパン理事、
株式会社ファミーリエ代表取締役社長
納米 惠美子 全国女性会館協議会代表理事
橋爪 隆 東京大学大学院法学政治学研究科教授
山本 勲 慶應義塾大学商学部教授
内閣府 岡田 恵子 男女共同参画局長
市川 恭子 男女共同参画局 参事官
手倉森 一郎 男女共同参画局推進課長
中島 薫 男女共同参画局男女間暴力対策課長
三木 敏裕 男女共同参画局推進課課長補佐

議事録

2025-7-29 第6次基本計画策定専門調査会(第5回)

10時00分~11時59分



○山田会長  おはようございます。定刻となりましたので、ただいまより、第5回「第6次基本計画策定専門調査会」を開催いたします。
 本日御欠席の委員は、北仲委員、治部委員、山口委員です。よろしくお願いいたします。
 本日は、まず各ワーキング・グループにおける検討結果について、座長の皆様より、「第6次男女共同参画基本計画策定に当たっての基本的な考え方(骨子案)」として、それぞれ10分程度で御報告いただき、その後、意見交換を行っていただきます。
 まず、基本構想ワーキング・グループにおける検討結果について、鈴木座長、よろしくお願いいたします。
○鈴木委員  鈴木でございます。
 私から、基本構想ワーキング・グループにおけるこれまでの議論と骨子案のポイントを御説明いたします。
 資料2ページの「第1部  基本的な方針」につきましては、本年2月に開催された第3回の本専門調査会で提示されたコンセプトペーパーを踏まえて議論を行いまして、男女共同参画基本計画が目指すべき社会は何か、また、社会情勢や6次計画における基本的な視点、取り組むべき事項を整理しております。
 まず、「男女共同参画基本計画の目指すべき社会」は、5次計画同様、男女共同参画社会基本法をベースに、2ページの中ほどでございますけれども、①~④の4つを改めて提示しております。
 次に、2ページから10ページにかけまして、「社会情勢の現状、予想される環境変化」について大きく5つの項目に整理いたしました。
 3ページ、「(1)社会構造の動向・変化」では、人口減少、世帯構成の変化など。
 6ページまでお進みいただきまして、「(2)意識・価値観の動向・変化」では、固定的な性別役割分担意識、アンコンシャス・バイアスなど。
 7ページ、「(3)テクノロジーの急速な進展・進化」では、AIの利活用の拡大など。
 8ページ、「(4)安全・安心に影響を与える要因」では、災害対応など。
 9ページ、「(5)国際的な潮流」では、グリーン経済やデジタル経済への移行などにつきまして、それぞれ記載をしております。
 次に、これらの認識を踏まえた6次計画における基本的な視点等が10ページからでございます。
 具体的には、10ページ、(1)の①のところに書いております、性別にかかわらず全ての人にとって働きやすい環境づくりが重要であるため、その基盤として、多様で柔軟な働き方の推進、長時間労働の是正等を推進すること。
 11ページにお進みいただいて、③各地域の事情を踏まえた取組を促進し、女性にも選ばれる地域づくりを後押しするため、各地域における男女共同参画を推進すること。
 なお、この点に関しましては、皆様御存じのとおり、今年の通常国会で関係法律が成立いたしまして、今後新設される男女共同参画機構が、男女センターを支援し、様々な関係者と連携して施策を推進する中核機関として役割を果たすこととされております。この点は、10ページの中ほどの(1)の上にある ○に記述してあるところでございます。
 そのほか、また11ページにお戻りいただいて、④テクノロジーの進展・利活用の広がりを踏まえ、テクノロジー関係施策にジェンダーの視点を取り入れること、ジェンダー主流化と、男女共同参画を進める上でのテクノロジーの利活用促進などを盛り込んでおります。
 11ページの最後の(2)のところで「第2部の構成」とございまして、今回、6次計画骨子案第2部の構成は、今申し上げた基本的な視点等を踏まえまして、2つの政策領域、すなわち「Ⅰ  男女共同参画の推進による多様な幸せ(well-being)の実現」、「Ⅱ  男女共同参画社会の実現に向けた基盤の整備・強化」に加えまして、これらの取組を総合的かつ計画的に推進するための「Ⅲ  男女共同参画社会の実現に向けた推進体制の整備・強化」となっております。
 それから、Ⅰ、Ⅱの各政策領域の下に重点的に取り組む個別分野が整理されているわけでありますが、各分野で相互に関連する事項も含まれますことから、分野間の連携も考慮しつつ取組を行っていく必要がある旨、10ページの3の中の真ん中辺りの ○の2つ目に記述しております。
 以上が第1部についてです。
 続いて、第2部の政策編の中の基本構想ワーキングが担当した部分について報告します。
 まず、19ページまでお進みいただいて、ここからが「第2分野  政策・方針決定過程への女性の参画拡大」についてです。
 20ページの上の箱の中の最後の ○です。分野等によって進捗状況は異なりますけれども、国の審議会等の委員に占める女性の割合、東証プライム市場上場企業役員に占める女性の割合、男性の育児休業の取得率等が上昇するなど、女性の参画や男女共同参画が進展している分野がありますが、一方で、さらに取組を加速させる必要のある分野があることは多くが共通して持つ認識だと思います。
 このような状況も踏まえまして、6次計画においても目標を後退させることなく、2020年代の可能な限り早期に指導的地位に占める女性の割合が30%程度となることを目指して取組を進めることとしまして、さらに、その水準を通過点として取組を進め、2030年代には、誰もが性別を意識することなく活躍でき、指導的地位にある人々の性別に偏りがないような社会を目指す旨を【基本認識】に盛り込みまして、引き続き積極的に取り組んでいこうとするものでございます。
 なお、具体的な取組についてそれ以降に記述されておりますけれども、政治分野、司法分野、行政分野、経済分野等に加えまして、今回分かりやすさの観点から、5次計画では別分野に記載しておりました学術分野や教育・スポーツ・メディア等における女性の参画拡大に関する内容を第2分野に集約して記載しております。
 続きまして、96ページまでお進みいただきまして、「第9分野  地域における男女共同参画の状況に応じた取組の推進」の中の「4  環境問題への取組における男女共同参画の推進」、ここが基本構想ワーキングの担当でございますけれども、具体的な取組としまして、①気候変動問題等の環境問題や環境に影響を与える産業政策・エネルギー政策の政策・方針決定過程への女性の参画拡大を図ること。また③として、環境問題に関する施策の企画立案・実施に当たっては、男女別のデータを把握し、女性と男性に与える影響の違いなどに配慮して取り組むことを盛り込んでおります。
 次に、97ページ、「第10分野  男女共同参画の視点に立った各種制度等の整備」についてです。
 まず、【基本認識】には、2つ目の ○の最後の部分でございますが、男女共同参画社会の実現に向けて、税制や社会保障制度をはじめとする社会制度の全般について、社会情勢を踏まえて不断に見直す必要があること。それから、最後の5つ目の ○ですが、性別による差別的取扱いを受けず個人として能力を発揮する機会が確保されること等が重要であることなどを記載しまして、その考えに基づいて具体的な取組を盛り込んでおります。
 具体的には、97ページ、「1  男女共同参画の視点に立った各種制度等の見直し」では、今実際に見直しや様々な議論がなされております税制上の給与所得控除、年金や健康保険における被用者保険の適用拡大の検討、第3号被保険者制度、企業などにおける配偶者手当など、税制や社会保障制度について総合的な取組を進めることを盛り込んでおります。
 また、100ページでございますが、「2  男女の人権尊重の理念と法律・制度の理解促進及び救済・相談の充実」では、基本的方向として、人権尊重の理念に対する理解を深めるとともに、各人が自らに保障された法律上の権利や、権利の侵害を受けた場合の対応等について正確な知識を得られるよう、法律・制度の理解促進を図るための取組を盛り込んでおります。
 なお、少し戻ってしまいますが、98ページの「家族に関する法制の整備等」のところでございますけれども、別氏制度につきましては、ワーキング・グループにおいて、若い世代も注目しているとか、国のスタンスを示す必要があるのではないかといった議論がなされましたが、現在、氏に関する制度の在り方につきまして、御案内のとおり国会で28年ぶりの審議に入った状況にあり、継続審議するということになっておりますことから、現時点においては5次計画と同様の記載としております。
 次に、106ページにお進みいただきまして、「第12分野  男女共同参画に関する国際的な協調及び貢献」についてです。【基本認識】の2つ目の ○でございますけれども、ワーキング・グループでの意見を前回の本調査会で御報告した際には「未来のための協定」と申し上げたものですが、「未来のための約束」について盛り込みますとともに、107ページの最初の ○、6次の計画期間が2030アジェンダの実施期間と重複しますことから、SDGs実施指針の主要原則に則り、ジェンダー平等の実現を含む我が国の優先課題に取り組むことなどについて具体的な取組を盛り込んでおります。
 最後に、110ページでございます。「Ⅲ  男女共同参画社会の実現に向けた推進体制の整備・強化」につきましては、ワーキング・グループでの議論を踏まえまして、111ページの「施策の基本的方向」のところで、男女共同参画会議における監視・影響調査等の機能強化に取り組むこと。それから、ジェンダー統計の充実の観点から、人によってジェンダーアイデンティティーの在り方が多様であることに配慮しつつ、男女別データの重要性について周知啓発するとともに、その把握及び利活用の促進に取り組むこと。それから、若年層の声を踏まえて政策を立案することが望ましいとの認識に立ち、若年層とも意見交換等を行い、政策をよりよいものへとブラッシュアップすることなどを盛り込んでおります。
 以上、私からの御報告でございます。
○山田会長  ありがとうございました。
 続いて、人材・地域・意識ワーキング・グループにおける検討結果について、徳倉座長、お願いいたします。
○徳倉委員  徳倉でございます。よろしくお願いいたします。
 私からは、人材・地域・意識ワーキング・グループにおけるこれまでの議論と骨子案のポイントを鈴木座長に続き御説明いたします。
 まず、「第1分野  ライフステージに応じて全ての人が希望する働き方を選択できる社会の実現」で、まず資料の12ページを御覧いただきたいと思います。「Ⅰ  男女共同参画の推進による多様な幸せ(well-being)の実現」として、「第1分野  ライフステージに応じて全ての人が希望する働き方を選択できる社会の実現」についてでございます。
 第6次計画においては新たに第1分野を設けたところ、男女共同参画の推進を阻む従来からの根本的な原因として、家事・育児等の女性への偏りがあるだけではなく、男性の働き方も影響しているところ、性別を問わず個々の事情に応じて全ての人が多様で柔軟な働き方を選択できることが重要であることを踏まえ、このような表題にしました。
 【基本認識】においては、資料12ページに、全ての人が仕事と生活との両立のしづらさを感じることなく働き続けと記載しております。第5次計画の旧2分野においては、働きたい人全てが仕事と生活との二者択一を迫られることなく働き続けと記載されておりました。しかし、現在においては、仕事と生活のどちらかを選ばなければならない状況に追い込まれている人は少なく、むしろ仕事と生活のバランスをどうするかについて悩む人が大勢であることを踏まえて、「二者択一」という表現は使用せず、「両立のしづらさを感じることなく」としております。
 また、資料13ページに、「取得期間の延伸を含めた男性の育児休業の取得促進」と記載しているところ、男性の育児休業についてはここ数年で取得率が上昇してきており、共働き・共育ての流れは醸成されつつありますが、女性の就労継続やキャリア形成の視点からも取得期間が重要であるとワーキング・グループで御意見が出たことを踏まえ、「取得期間の延伸を含めた」としております。
 具体的には、専門調査会でも御意見がありました長時間労働の削減といった働き方改革のさらなる推進、ライフステージや個々の事情に対応した多様で柔軟な働き方の実現、男性の家事・育児参画を促進するための環境整備や、固定的な性的役割分担意識の解消に向けた男女双方の意識改革などによる共働き・共育ての実現に向けた取組の推進、仕事と介護の両立支援制度や介護保険制度に関する支援の周知や、両立支援制度も利用しやすい雇用環境の整備などを盛り込んでおります。
 続いて、35ページになりますが、「第3分野  女性の所得向上と経済的自立の実現」についてでございます。
 【基本認識】において、1ポツ目のとおり、女性の所得向上・経済的自立は、男女の置かれた状況の違いなどを背景に生じている困難を解消していく上でも重要な鍵となり、個人が尊厳を持って生きることとも関わるものとしております。
 女性の所得向上・経済的自立に向けた取組として、具体的には、L字カーブ解消や男女間賃金格差の是正に向けた男女雇用機会均等法の履行確保、改正女性活躍推進法の着実な施行や、専門調査会でも御意見がありました管理職の長時間労働の改善、非正規労働者の正社員転換や非正規雇用労働者へのリ・スキリング支援などによる非正規雇用労働者の待遇改善、出産や育児におけるキャリアブランクのある女性を対象とした再就職支援、労働者の能力発揮や就労継続の観点も踏まえた各種ハラスメントの意識啓発や防止対策の徹底などを盛り込んでおります。
 続いて、42ページ、「第4分野  生涯を通じた男女の健康への支援」でございます。
 「第4分野  生涯を通じた男女の健康の支援」について、【基本認識】において、男女が互いの身体的性差を十分に理解し合い、人権が尊重され、尊厳を持って生きることができることは、男女共同参画社会の形成に当たっての大前提であるとして、男女が互いの性差に応じた健康についての理解を深めつつ、男女の健康を生涯にわたり包括的に支援するための取組や、性差医学に基づく健康を支援するための取組を総合的に推進していくこととしております。
 具体的には、フェムテックの推進や妊娠・出産・産後ケアに対する支援、ライフステージごとの健康課題に応じた取組の推進など、生涯にわたる男女の健康の包括的な支援、健診やセルフチェック、相談事業の活用の促進や、女性の健康課題に取り組む企業の評価制度の活用・促進など、仕事と健康課題の両立支援、医療従事者のワーク・ライフ・バランスの確保、女性の就労継続、再就職支援など、医療分野における女性の参画拡大などを盛り込んでおります。
 続きまして、54ページ、「第5分野  テクノロジーの進展・利活用の広がりを踏まえた男女共同参画の推進」についてです。
 【基本認識】におきまして、STEM分野における女性の活躍促進、安全性、公平性や人権の尊重に配慮した開発、デジタルリテラシーの底上げ等により、男女が共にテクノロジーの発展に寄与し、性別にかかわらず誰もがその恩恵を享受できるよう取り組むことが重要であるとして、テクノロジー関係の施策におけるジェンダー主流化とデジタル等のテクノロジーの利活用・促進を車の両輪として進めるとともに、ジェンダード・イノベーションの取組をさらに進めることとしております。
 他方、急速なテクノロジーの進展には負の側面があり、男女共同参画社会の形成を阻害し得ることに留意し、対応が必要であるとしております。
 具体的には、科学技術・イノベーション政策、デジタル戦略、AI戦略、健康医療戦略等のテクノロジー関係施策のジェンダー主流化、ジェンダード・イノベーションの推進及び安心・安全な利用環境の整備、女性研究者・技術者の採用、登用、育成など、科学技術分野における男女共同参画の推進、研究・技術開発と育児・介護等の両立支援やハラスメントの防止など、男女の研究者・技術者が共に働き続けやすい環境の整備、女子学生・生徒の理工系分野の進路選択の促進及び次代を担う理工系女性人材の育成などを盛り込んでおります。
 続いて、87ページ、「Ⅱ  男女共同参画社会の実現に向けた基盤の整備・強化」についてです。
 【基本認識】において、様々な活動に多様な人材が参画することは、多様性が尊重される地域社会の実現、地域の経済社会の持続的な発展に資するものであり、女性などの多様な人材が様々な活動に参画でき、暮らしやすい地域にシフトする上で、誰もが働きやすい職場づくり、発言しやすい地域社会づくりが重要であるとしております。
 そのため、6次計画の他分野にある取組の推進や、地方公共団体、商工会議所、自治会、NPOなど、様々な主体の連携、また、先般、男女共同参画基本関連法も成立しましたが、男女共同参画センターなどの拠点機能の充実化を国が支援することが重要であり、これらの地域における男女共同参画の状況に応じた取組を推進し、地域社会の活力を高めることにより日本全体の活力をつくり出していくこととしております。
 具体的には、女性が働きやすい雇用環境への改善や、女性の育成・登用、起業の支援、農林水産業や地方議会等への参画の推進、固定的性別役割分担意識の解消など、女性にも選ばれる地域づくり、女性リーダーとなる人材の育成や地域内外のネットワーク強化など、地域活動における男女共同参画の推進、地方公共団体における関係機関・団体との連携、男女共同参画機構としての取組、男女共同参画センターの機能強化・充実などを盛り込んでおります。
 また、第9分野において、先ほど鈴木座長から御説明があったとおり、環境問題への取組に関する男女共同参画の推進についても盛り込まれております。
 続きまして、102ページになりますが、「第11分野  教育・メディア等を通じた男女双方の意識改革、利用の促進」についてです。
 【基本認識】において、男女共同参画の推進に係るほかの全ての取組の基盤としまして、また、様々な取組の実効性を高めていく観点から、子供をはじめ様々な世代で固定的な性別役割分担意識等を植え付けず、また押し付けない取組、そして、男女双方の意識を変えていく取組が極めて重要であるとしています。
 具体的な取組としましては、男女平等の理念を推進する教育・学習の一層の充実や、人生ステージに応じた様々な学び方、働き方、生き方を選べるよう、男女共同参画の視点を踏まえた生涯学習や能力開発の推進、多様なメディアを活用した戦略的な広報活動の展開、地域における広報・啓発活動の一層の推進、男女共同参画に関する各業界における自主的な取組の促進など、国民的な広がりを持って、地域に浸透する広報活動の展開と、メディア分野等の連携した積極的な情報発信などを盛り込んでおります。
 以上、手短でございますが、私からの御説明にいたします。
○山田会長  徳倉座長、ありがとうございました。
 最後に、安全・安心ワーキング・グループにおける検討結果について、小西座長、よろしくお願いいたします。
○小西委員  よろしくお願いいたします。
 私からは、安全・安心ワーキング・グループにおけるこれまでの議論を踏まえた骨子案のポイントを御報告させていただきます。
 資料の61ページを御覧ください。「第6分野  ジェンダーに基づくあらゆる暴力を容認しない社会基盤の形成と被害者支援の充実」についてでございます。
 まず、名前が変わったことを御報告しておきたいと思います。分野名について、5次計画の際には「女性に対するあらゆる暴力の根絶」としていたところ、「ジェンダーに基づくあらゆる暴力を容認しない社会基盤の形成と被害者支援の充実」とすることにしております。
 分野名を検討するに当たって、6次計画においては、男性・男児や性的マイノリティの方々など、暴力の被害者も多様であることを念頭に施策を講じていく必要があるという認識がございました。
 その上で、ジェンダー・ベースド・バイオレンスは、GBVと訳されたりしますけれども、国連機関等において、人の意思に反して加えられる有害な行為であって、男女間の社会的に起因すると考えられる違いに基づくものの総称であると定義されて、身体的、性的または心理的な危害を加え、または苦痛を与える行為、そのような行為の脅し、強制、その他の自由の剥奪を含むものとして用いられており、社会に根差す男女間の力の不均衡を理由とする暴力として、女性に対する暴力と同義で使われることもあるということを事務局からも御説明いただき、「ジェンダーに基づくあらゆる暴力」とすることで、社会における男女が置かれた状況の違いや根深い偏見等を背景に女性に対する暴力が行われることがあるということのほか、男性等への被害など、この分野でも扱っていくべきと考えられる対象を含めて表現できるのではないかという議論をしまして、このような分野名といたしました。「ジェンダーに基づくあらゆる暴力」とするに当たり、【基本認識】の2つ目のところで、女性に対する暴力の性質についても改めて言及しております。
 具体的な取組については、62ページの「1  ジェンダーに基づくあらゆる暴力の予防と被害者支援の基盤強化」において、被害者支援等の土台となる要素である社会全体での機運の醸成のための広報や教育・相談支援に関わる関係者等への研修を挙げております。
 「2  性犯罪・性暴力への対策の推進」において、各地域におけるワンストップ支援センターと関係各機関とのネットワークの構築の推進などの性犯罪・性暴力被害者支援のための取組を64ページの②のところで挙げております。
 66ページですが、「こどもに対する性犯罪・性暴力の根絶に向けた対策の推進」では、学校現場における取組を含め、特に子供の被害に対する取組について取り上げております。
 67ページ、「4  配偶者等への暴力の防止及び被害者の保護等の推進」において、DV防止法に基づく取組の推進や加害者プログラムの全国的な普及、69ページでストーカー対策、70ページでセクシャルハラスメント防止対策、人身取引対策、71ページに行きまして売買春対策、72ページに昨今話題になっていますインターネットを利用した性暴力等への対応などを盛り込んでおります。
 セクシャルハラスメント防止対策に関しては、先ほどもお話がありました、ほかのハラスメント防止対策と併せて取り組まれることもあることから、第3分野にあるハラスメント防止対策の徹底に関する具体的な取組のうち、セクシャルハラスメントに関わる部分についても取組を推進することをこちらでも明記しております。70ページでございます。
 72ページ、「インターネットを利用した性暴力等への対応」に記載の具体的な取組につきましては、これまでのワーキング・グループで出たAI活用の広がり等に伴うテクノロジーの負の影響などに関する議論も踏まえており、第5分野にも同等の取組を盛り込んでおります。
 74ページ、「第7分野  男女共同参画の視点に立った貧困等生活上の困難に対する支援と多様性を尊重する環境の整備」というところです。こちらの分野に関しても、ワーキング・グループの議論で様々な御示唆をいただいたところでございます。そうした御示唆を【基本認識】に盛り込んでおります。
 具体的には、近年の人口動態・世帯構成の変化を踏まえると、今後は当然高齢者の単身世帯が増えていくということ。それから、高齢女性は高齢男性よりも貧困率が高いこと。高齢女性の貧困の背景には男女の賃金格差等も影響しており、その解消、現役世代の高齢期も見据えた対策が重要な課題の一つである。それから、子育てや介護等がなく、行政との接点を持ちにくい者については、公的な支援を受けることが難しくなっていることに留意が必要であること。それから、インターセクショナリティの観点から、性的マイノリティ、障害者、外国人などを理由とした社会的困難を抱えている場合には、社会における性差に関する偏見等が相まって、より複合的な問題を抱えてしまうことがあるため、多様な属性の人々の人権が尊重される社会をつくることで、複合的な困難のリスクを減らせることなどを盛り込んでおります。
 具体的な取組としては、75ページのアの①、男女共にライフステージに応じてワーク・ライフ・バランスを実現できる働き方の推進等に向けた取組を行うこと。
 79ページのアの⑧、高齢者等の住宅の確保及び入居中の見守り等のサポート等への居住支援。
 81ページのエ、女性であることが相まって、さらに複合的な困難を抱える方々への対応などを記載しております。
 最後に、82ページ、「第8分野  防災・復興における男女共同参画の推進」というところです。前回議論の状況を途中で御報告した際にも、能登半島地震の状況も踏まえて議論を行っていることを申し上げました。能登半島地震で得られた教訓も盛り込みまして案を作成しております。
 【基本認識】においては、2つ目のところで、非常時には平常時における固定的な性別役割分担意識がさらに増大すること、それによる復興期における女性の就業継続の難しさ、あるいは復興期における男性の孤立や活力の低下という影響に言及しております。3つ目で、生活再建に向けた心身のケアの重要性。最後に、女性防災リーダーや民間支援団体等とのネットワークの構築が重要であることも盛り込んでおります。
 具体的な取組を御紹介しますと、84ページのイの③、平常時からの防災・危機管理部局への女性職員の配置や、女性職員が安全・安心に災害対応できるような環境整備を行うこと。同じくイの⑧で、女性防災人材の育成やネットワークの構築・拡大に向けた取組を促すこと。さらに、次のページのウでございますが、能登半島地震の教訓を踏まえた取組として、ガイドラインの内容の充実や地方公共団体の取組状況調査の検証、避難所チェックシートの平常時からの周知、災害時においても性暴力やDV等の被害の相談窓口の継続運営の維持、男女別のデータ収集や被害者の支援ニーズの的確な把握等の必要性などを記載しております。
 以上が安全・安心ワーキング・グループで担当した分野に関わる骨子案についての御説明でございます。以上でございます。
○山田会長  小西座長、ありがとうございました。
 それでは、ただいまの3つのワーキング・グループからの報告について、御意見や御質問のある方はZoomの挙手機能を使っていただき挙手をお願いいたします。基本的な考え方、骨子案の基本認識や施策の基本的な方向性、具体的な取組に関する御意見のほか、議論を深めるため、他の委員から出された御意見についてのお考えなども積極的にお述べいただければと思います。
 また、本日は、井上委員、小林委員、治部委員、納米委員から、骨子案に対する御意見を書面により提出されておりますので、そちらも御確認いただければ幸いです。
 なお、御質問については、一通り御発言をいただいた後でまとめて御回答いただきたいと思います。よろしくお願いします。
 まず、納米委員、お願いできますでしょうか。
○納米委員  ありがとうございます。
 事前に意見にもまとめさせていただいておりますけれども、3つの点から6ページに渡った意見を出させていただきました。
 1つ目は今回の資料に対する全体についての意見で、全体についての意見は5点ございます。
 1点目は、5次計画の策定のときよりも危機は深まっていると思いますので、その危機感をもっと打ち出してほしいという点についてです。
 全体についての2点目ですが、計画の進捗管理について、今回は骨太の方針の策定プロセスでやると書かれていたのですけれども、骨太の方針と基本計画とは枠組みが違うと思いますので、基本計画についての進捗管理は男女会議の下に設ける専門調査会においてやるべきだという点が2点目です。
 3点目がジェンダー主流化についてです。ジェンダー主流化については、言及されているのがDXに関するところ、健康医療戦略のテクノロジー関係のところ、そして、各地域における交通やまちづくりの分野といったところで言及されているのですけれども、ジェンダー主流化というのはもっと包括的な概念ではないかと思います。ですので、基本認識のところに挙げて、基本的な視点と取り組むべき事項のところでジェンダー主流化について記述すべきではないかと思います。
 4点目が分野の構成というか、特に不本意非正規労働者については記されているけれども、不本意ではない非正規労働や、女性自らが多様な正社員として働くことを希望するといったことをどう取り扱っていくのかということです。女性が非正規労働を選んだり、多様な正社員を選ぶことの裏側には、やはりバイアスがあるからそのようなことが起こるわけなので、そのことを取り上げていかないと格差は埋まっていかないのではないかということについてです。
 全体について長くなって恐縮ですが、最後ですけれども、女性活躍推進法の第2条のところについてもうちょっと取り上げるべきではないかなと思います。女性がいまだに活躍し切れていない原因は、男性中心の性別による固定的な性別役割分担を反映した職場の慣行があるということを明確に書くべきではないかと思います。
 あと、「女性に対する暴力に関する専門調査会」に関わってきた立場から、さらに検討していただきたいところでたくさん挙げております。
 また、男女共同参画センターの現場にいるという立場では、今回、男女共同参画センターのことについて書き込んでいただいたことを歓迎しておりますけれども、さらに踏み込んで、「地方公共団体が必要な人員及び予算を確保し」という文言を入れていただきたいと考えております。
 ひとまず以上でございます。
○山田会長  ありがとうございました。
 続きまして、石黒委員、山本委員の順番でお願いできますでしょうか。
○石黒委員  ありがとうございます。
 ちょっと長くなるのですけれども、私も納米委員と同じようなことで、危機感をもっと言及すべきだということです。私の分野では、テクノロジーの進展というのがいかにジェンダー平等に影響を与えるかという点ですけれども、具体的に申し上げると、特にAIです。中でも最近「AIエージェント」という言葉がありますが、これが進展することにより、新しいテクノロジーが女性の働き方に与えるインパクトは想像以上のもので、この点をもっとしっかり書くことが求められると思っています。
 AIエージェントというのを具体的に簡単な表現をするのであれば、現在のAIというのはコンテンツを生成するというのが今すごく広がっているのですが、それ以上に、AIがその後のタスクとかアクションも行ってしまうことができるのですね。これらは、近い将来、全てのソフトウエアに組み込まれるため、現在人が行っている企業のバックエンドのタスクもソフトウエアが代替することになります。ですから、ホワイトカラーの事務職などに与える影響は多大なものです。
 付け加えるのであれば、ブルーカラーも同様で、こちらはAIとロボットの組合せにより、今ロボットが行っているものが工場全体に影響を与えていくことになっていきます。つまり、インパクトが恐らく皆さんが想像する以上のものが起こってくる。それを男女共同参画委員会としてあらかじめ警鐘を鳴らすことが必要ではないかと感じています。
 今ここに書いてあるものは、具体的な施策というものはなくて、極めて抽象的な言い方しかされていないと感じているので、後からまた文章で出しますけれども、インパクトが与える影響をある意味警鐘を鳴らすことが、いわゆる政治が経済を主導的に牽引する役割を担うことが必要であると思いますので、こういった方向性を示すことが必要ではないかと考えています。
 もう一つ、施策としては、常にIT先進国の後を追うということではなく、最初から国際的なダイアログに参画してリーダーシップを取っていくことが政治の世界では必要だと思いますので、その点も言及をしていただきたいと考えています。
 以上です。
○山田会長  ありがとうございます。
 続きまして、山本委員、小林委員の順番でお願いいたします。
○山本委員  ありがとうございます。慶應大学の山本です。
 非常にバランスよくまとめていただいているなと思います。
 まず、全体的に、私は基本計画の策定に携わるのは初めてなので、これだけ読んだらすごくバランスが取れていると思うのですが、第5次からどこが変わったのだろうかという部分があまり記述されていない。座長から口頭では説明があったのですけれども、第5次でどこまでができて、どこが足りないので6次で重点的に取り組むといった違いを明示的に出さないと、何が新しいのかが伝わりにくいのかなと思いまして、第4次、第5次、第6次と進んでいますので、その違いを出すべきだと感じました。
 それに関連して、冒頭の4つの目指すべき社会というところで、この4つの項目は、多分5次と変わらないと思うのですけれども、④の後に、こうした目指すべき社会においては当然のことながら女性に対する暴力が根絶されている、昭和の働き方と言うべき男性中心の労働慣行から脱却しというようなことが書いてあるのですけれども、今回なくなっていて、それが何を意味するのか。それが達成されたから書かなくなったのか、あるいはもうこれは強調しなくていいということなのか、よく分からないと思うのですね。比べて見る人もいると思いますので、その辺りを意識されたほうがいいのかなと思いました。
 それから、3ページに「多様な幸せ(well-being)」とあります。これは今回の骨子のキーワードの一つだと思いますけれども、いま一つ「多様な幸せ」がよく定義されていないので、多様な人の幸せなのか、多様な種類の幸せなのか。ちなみに、第5次では「国民一人一人の幸福(well-being)」となっていて、これはどう違うのかというところです。恐らく多様な人の幸せといろいろな種類の幸せの両方なのかなと思うのですけれども、定義を最初に書いておいたほうが伝わりやすいかなと思いました。
 それから、5ページでビジネスの動向・変化をいろいろと書いていただいているのですが、ぜひそこに人的資本経営などと並べて、近年の変化という意味ではやはりDEIについて、今年になって反DEIの動きもありますけれども、近年の動きとしてはDEIが強調されてきていますので、やはり日本の男女共同参画の方針として引き続きこれを推進していくのだというメッセージも入れるという意味でも、ここはDEIを入れたほうがいいのではないのかなと思いました。
 それから、14ページ、第1分野のタイトルにもありますけれども、「希望する働き方を選択できる社会」とか、その下のほうにも「希望に応じて」というのが枠の中にありますけれども、希望の実現を強調するのはとてもいいことだと思います。ただ、先ほどほかの委員からもありましたけれども、希望が正しくなされているかどうかということです。例えば、長時間労働があるから正社員を選ばない、あるいは管理職を選ばないというふうになっている。なので非正規を選ぶから不本意ではないということなので、それでいいのかというと、そうではないと思うのですね。ですので、希望を実現するというのも大事なのですけれども、多くの選択肢があって、バイアスなく希望を持てることを目指すということも大事だと思います。
 それから、14ページのところで長時間労働の削減とかを入れていただいているのですけれども、上のほうで人的資本経営が最近の変化として見られるということが出てきていますので、労働時間を減らすということだけではなくて、例えばエンゲージメントの向上を性差なく進めるということですね。メンタルヘルスのことを触れていますけれども、エンゲージメントというのはその意味ではポジティブヘルスと言われていますので、今かなりビジネスで注目されているエンゲージメントについても入れていただきたいなと思いました。
 それから、14ページの同じところですけれども、管理職の労働時間がまだまだ長い。別のところでは記述していただいているのですけれども、ぜひ長時間労働のところで、しわ寄せが管理職に行くことを防ぐということを言及していただければなと思います。
 また、しわ寄せという意味では、大企業で長時間労働が是正されても、下請企業にしわ寄せが行ってしまっている可能性もあるという意味では、垂直的な取引慣行でのしわ寄せも防ぐべきだというところを入れていただきたいと思いました。
 同じく14ページですけれども、年次有給休暇について、病気休暇、シックリーブを⑫で入れていただいているのですけれども、これは配慮を必要とすべき従業員がシックリーブが必要だというだけではなくて、結局、シックリーブがないので保険的に年次有給休暇を取らずに残しておいて取得ができないということがあるので、④の辺りでぜひそこは入れていただきたいなと思いました。
 それから、勤務間インターバル制度についてですけれども、これは努力義務があるので、中小企業での導入率が低いことを踏まえて、導入を促すという記述も入れていただきたいと思いました。
 あとは、38ページに、「正規労働者への転換を望む非正規労働者がその希望を実現できるよう」とあるのですけれども、先ほど申し上げたとおり、不本意型の非正規は決して多くはないことを踏まえると、正規転換も大事なのですけれども、やはり就業環境として長時間労働をなくしたり、硬直的な働き方をなくして、それで正社員を希望する女性を増やすということを強調していくのが大事かなと思いました。
 最後になりますけれども、44ページの辺りで「AMEDや関係省庁等の各種研究事業の活用」というところが書いてあるのですが、ここでは健康課題についてのところで出てきているのですけれども、ほかの課題についてもこうした研究事業の活用はしたほうがいいと思いますので、広くこうした記述を入れていただきたいなと思いました。
 長くなりましたけれども、以上です。
○山田会長  山本委員、ありがとうございます。
 続きまして、小林委員、佐々木委員の順番でお願いいたします。
○小林委員  ありがとうございます。
 私のほうも、意見書として、時間がなかったものですから司法分野だけ出させていただいているのですが、5次計と比較したところ、ほとんど変わりがない記述になっているものですから、少なくとも5次計での要請をしたものについて、取組の概要についての年次報告というか年次開示を求めてはどうかと考えております。人数、女性割合は司法統計とか弁護士白書等で発表されているのですが、個々の取組はどういうことをやっているのかということがあまりにも表に出てきていない。ですから、そこはきっちりと開示していただいたほうがいいのではないかと考えております。
 それから、弁護士については、これは弁護士の実態の問題なのですが、ほとんど零細企業なのですよね。ですから、就業規則もないようなところというか、弁護士の雇用制度の問題もあるのですが、雇用ではなくて委任とか共同経営という形になるものですから、その辺をどういうふうに入れていくのか。ただし、弁護士会としてはそれは強制できないものですから、モデル案のようなものを何か提示してはどうかということ。
 あと一つは、法曹養成課程について、これは名宛て人が各法科大学院及び高等学校の進路指導担当者となっているのですが、実際、法科大学院においては学位授与機構とか大学基準協会等の評価機関の評価を受けなければいけない。入学者選抜の中に入れるというのはなかなか難しいですが、評価基準の中に男女共同参画の視点を取り入れるよう要請することによって、法科大学院、つまり、養成される側についてもそのような視点が入ってくるだろうということを考えました。
 それから、意見書のほうに書かなかったのですが、第1部の目指す目指すべき社会、12分野のほうとも関わってくるところですが、何が気になるかというと、女性差別撤廃条約の選択議定書の話です。選択議定書は御存じのとおり日本はまだ批准をしていない。批准していないとどうなるかというと、現在の裁判制度においては条約をそのまま裁判規範として用いられないことになって、これで救済が十分なのかという問題があります。多分その辺を配慮されて、鈴木先生のほうでは注のほうで選択議定書をわざわざ外してあるというところがあるのですよね。批准していないものですから選択議定書を外すにしても、その考え方を入れるとか、何かそのような表現ができないのかなということを考えました。
 または、それができないのであれば、目指すべき社会の4つの②の「男女の人権が尊重され、尊厳を持って個人が生きることのできる社会」の中に、男女の人権が尊重され、人権侵害に対しては救済手段が整備され、尊厳を持って個人が生きることのできる社会としてはどうかというのを考えております。
 それから、以前から申し上げているグロース市場のコーポレートガバナンスの適用の話です。今年、グロース市場の上場基準の引上げが発表されているのですが、コーポレートガバナンス・コードについては基本原則のみの適用なのですね。プライムとスタンダードについては全適用になっているので、グロース市場というのは実はかなり小さい市場で、プライムが昨日時点で1,622社、スタンダードが1,572社、それに対してグロースは610社なのです。ただし、少ないからいいという話ではなくて、スタートアップ企業はグロースの基準をやはり考えますので、その中にコーポレートガバナンス・コードの全適用を要請してはどうかなと考えました。
 以上です。
○山田会長  ありがとうございます。
 佐々木委員、桑原委員の順番でお願いいたします。
○佐々木委員  ありがとうございます。
 まず、第5次の基本計画を見ると、数値目標がそれぞれのところに入っているのですけれども、今回いただいたものには入っていないのですが、それは入ってくるのかということをお聞きしたいです。
 また、第5次と比較して、自分たちの分野になるのですが、科学技術・学術における男女共同参画推進という項目がなくなりました。一部が「政策・方針決定過程への女性参画拡大」という第2分野のほうに入ってきた感じなのですけれども、政策・方針決定にはどういう分野が入っているのか分からないので、まず第2分野のタイトルを「あらゆる分野における政策・方針決定過程への女性参画拡大」という言葉に変えて、かつ、どういう分野が入っているのかが分かるように括弧書きでしっかり目次の中に入れていただければと思います。
 第2分野の中に先ほど言った科学技術とか学術の話が入ってくるのですけれども、そのときに第2分野では科学技術を除いて学術だけにしてしまっています。科学技術を抜いたためなのか、今まで研究者と技術者というのがセットで使われていたのですけれども、技術者というものが削られてしまって、非常に不自然な文章になっております。
 また、同じような文章が、第5分野の「テクノロジーの進展・利活用の広がり」というところにはいっているのですが、ここでは第2分野では研究者だけだったものに技術者というものをつけ足して書いていて、そこの整合性が変になってしまっているので、第2分野のほうにちゃんと「科学技術・学術」と入れて、第5分野に入っている文章と同じ文章にしていったほうがいいと思います。
 また、「科学技術・学術分野」にした際に、第2分野の中にも、第5分野に入っている教員とか職員だけではなくて、学生のことも科学技術のほうにだけ書かれているのですけれども、そちらも第2分野のほうに持っていったほうがいいと思います。
 今言及した分野のところだけ文章を見ていったのですけれども、書きぶりが第5次と一緒で、進歩していないということが非常によくないと思います。我々はこれまで女性版骨太の中でもう少し進展するような文章を書いてきているので、しっかりそういう文章を入れて、進めているのだということが分かるようにしていただければと思います。
 また、第2分野の中で教育・スポーツ・メディアというのがまとまって書いてあるのですけれども、なぜ教育・スポーツ・メディアが一緒のものになっているのかが分からない。あと、専門技術と学術団体もまとまってしまっています。
 また、第4分野の医療と第8分野の防災・復興のところにも、同じような政策・方針決定過程への女性の参画拡大に関するような文章が入っているので、それもしっかり第2分野の中に入れて、区分をしっかりしたほうがいいと思います。
 また、第4分野は「生涯を通じた男女の健康への支援」と書かれているのですけれども、女性の話が多くて、男性の健康に関することがあまり書かれていないので、しっかり性差を見ていくという形の文章に仕上げていただければと思います。
 第5分野でジェンダード・イノベーションのことをいろいろ書いているのですけれども、言葉の使い方が間違っているので、その辺りは後でお送りしたいと思います。
 また、競争的研究費の中に性差分析を推奨するということを入れないと、なかなかそういうものが進まないので、そういうものも入れていただければと思います。
 第6分野は、犯罪をした人たちの更生プログラムをしっかりして再犯率を下げるという方向も入れていただければと思います。
 ちょっと戻るのですけれども、ジェンダード・イノベーションの第5分野のところでロボットとAIが今後有償労働に関して置き換わっていくということだったのですけれども、無償労働に関してはなかなか置き換わらない状況があります。無償労働の分野でも置き換わることでかなり両立しやすくなると思うので、そちらのほうはしっかり進むようにしていただければと思います。
 また、女性版デジタル人材の話は入ってなかったので、それも入れていただければと思います。
 以上です。
○山田会長  ありがとうございます。
 では、桑原委員、白波瀬委員の順番でお願いいたします。
○桑原委員  全体としてかなり充実した議論がなされていて、とてもよいと思います。
 治部委員の提出資料について私も同意見です。男性についての記述をもうちょっと厚く書いたほうがいいのではないかという御指摘でありました。
 現行の女性参画の動きも相まって、もしかしたら特に若い層に多いかもしれませんけれども、以前の社会観における男性よりは、何やら頑張っても報われないというような男性のモチベーションダウンといいますか、一部では弱者男性とやゆされるような層も生まれつつあるように聞いていますので、そういった男性に対する配慮が必要な兆しというところは感じる部分ではあります。
 また、87ページ以降の第9分野の「地域における」というところで、91ページで農林水産業だけが切り出されているわけですけれども、各地域における産業は多様でありまして、観光とか製造業なども非常に多く、産出額で見ますと農業がほぼメインを占めるという地方のほうが少ないのではないかと思いますので、ここだけ切り出してかなり充実して書かれてありますけれども、本当にこれでいいかどうか。各地域における産業のポートフォリオと整合する形で、より解像度を上げた整理が必要かもしれないです。
 以上です。
○山田会長  ありがとうございます。
 続きまして、白波瀬委員、大崎委員の順番でお願いいたします。
○白波瀬委員  大変ありがとうございます。
 基本的にずっと同じようなことを言っているのですけれども、この場でどこまで言っていいのかというのがあるのですが、正直なところを言わせていただきたいと考えています。
 まず、誰のための何のための計画なのかというそもそも論で、作業としては本当に大変なことで、どんどん膨らんでいるということも、御意見についてもまさしく御専門の先生方からすると、ここが足らない、あそこが足らないということですので、この枠組みから言うと当然の流れと感じています。ですから、ここでの目標値をどこに置いていくのかということです。PDCAサイクルという基本的なところ。2000年から始まっているこの計画について、ちょっと見たのですけれども、はじめというところの長さがどんどん長くなっている。ここで、どっちかというと背景の統計もはじめのところに入れているのですけれども、これを皆さん読みますかという話なのですね。
 ですから、誰が誰のために、計画のための計画というのを、全く同じことを以前も言ったような気がするので、これが全く書かれていないというのは、もう一回言うのは失礼かもしれないのですけれども、それは聞かないという御判断でしたから。
 でも、やはり国民のためにということを考えると、男女共同参画という現状はいまだこれだけの状況であるという現実を前に危機感という話もあったのですけれども、この点について正面から男女共同参画がどう対処するのかというのは、今までの3、4、5が既にありますけれども、5次計画で一体何ができたのか、マクロな数字ではあるのですけれども、実質的なものすごい丁寧なところでということが大切かと思います。
 そういう意味で、3つのワーキングをつくられたということは、ある意味でより深掘りというか、それぞれの分野でということがあったのですけれども、それが結局それぞれのお立場ということで、ここで全体的なところの計画を出すのだということであれば、その位置づけも明確にするということで、それぞれのお立場というのを中に入った形なので余計に大きくなっている感があるのが大変残念に感じた次第でございます。
 ですから、私の個人的な意見としては、思い切って、何のための計画で何を目指すのか、そういう意味では12分野というのが2000年から四半世紀ずっと踏襲されているのですけれども、これの見直しはどうして行われないのかというところについてはどこかでお考えいただくのがいいのではないかと感じた次第です。5次計画からの何が新しいというのは既に何人かの先生がおっしゃっていますので。
 あと一点につきまして、小西委員からジェンダーという言葉を出してきたと。ここで基本的に男女別というところで通されることについては、いろいろな分野でせめぎ合いがあることも事実であります。ただ、ここでジェンダーというのを出すことの意味も非常に大きくて、特にバイオレンスという議論になりますと、マイノリティという方々については今まで十分に見えてこなかった問題が縮小された形でということなので、これについての流れは大変よいと思うのですけれども、逆に言えば、男女でというところをどこまで死守していただくのか、私はもうそろそろジェンダーというところで踏襲していただいても、ある意味ではそれだけのことを多様なということをおっしゃっているわけですから、そこの整合性というのも私はやってもいいのではないかと考える次第であります。
 最後ですけれども、最終的には自治体のというか、計画を実際に展開する責任部局というのはレベルによって違うというのもよく分かっているのですけれども、実際の住民の皆様に近い自治体のところまで、実行がここの計画につなげていかれるわけですので、これは納米委員からもあったと思うのですけれども、現場のところで実行できるような予算あるいは環境というのはもう外せませんので、機構とかいろいろなセンターの再編成というのもこれはこれで非常に重要だとは思いますけれども、組織改革だけのほうに偏られると現場に十分な予算が行かないという皮肉もありますので、この点についても十分お考えいただきたいと考えております。
 それぞれの分野については何回も御検討されたところで、それぞれの内容についてはよくなっているのですけれども、それゆえに大きいところの視点がどうかなという疑問がありますので、ここで言わせていただきました。よろしくお願いします。
○山田会長  ありがとうございます。
 それでは、大崎委員、井上委員の順番でお願いいたします。
○大崎委員  ありがとうございます。
 私は、基本構想ワーキング・グループにも参画させていただいておりました。まず、全体について2点コメントさせていただきます。
 1点目は、納米委員が言及されたジェンダー主流化というものを、一定の政策領域、文脈で使用するのではなくて、基本方針のところで通底する考え方、アプローチとしてしっかり明示すべきであるという点に関しては私も賛同いたします。ですので、基本方針のところでしっかりとジェンダー主流化というアプローチ、それから、ジェンダーに関してもしっかりと定義を示すことが重要かと思います。
 ジェンダー主流化も最近そうですが、定義がはっきりしないまま、各自が独自に解釈し、これはジェンダー主流化であるみたいな感じで使われていて、いやそれは違うのではないのかというケースが結構ございますので、コンセプトの定義は計画の中で明確にすべきだと思います。自治体の現場で活用していくときに、男女共同参画基本計画にジェンダー主流化が書き込まれているとすごく動きやすいという実態もありますし、ジェンダー主流化というのは何なのかということを明示しておくことによって、自治体での本質的な取組に向けて基本計画がちゃんと役割を果たすことができると思います。それが1点目です。
 2点目は、治部委員、それから桑原委員も言及されましたけれども、男性のところです。第4次男女共同参画基本計画は、男性を一つの柱として非常に重要な領域として捉えられていたと思います。過去5年間の自治体でのジェンダーギャップの解消の進展や、企業におけるジェンダー平等推進の進展を見ますと、意思決定や規範、行動への影響力を持つ立場にある男性の役割は非常に大きい。しっかり腹落ちして、影響力を正しく行使することによって、企業風土、地域の取組は加速してきているということはいろいろなところで見られていることだと思います。もう一つは男性特有の課題です。これは健康の問題もあると思いますし、長時間労働、それからマスキュリニティーのような、ジェンダーに基づく暴力につながるような問題もあると思いますので、そこをしっかりと捉えていく。ジェンダー主流化、ジェンダー平等を進めるのだということであれば、ジェンダー規範が女性だけではなくどう男性に影響を及ぼすのかということもしっかりと捉えていかなければいけないのではないかと思います。
 個別のところですけれども、改めて提出させていただこうと思いますので、今はポイントを絞ってお話しさせていただきます。
 まずは、8ページ目の「安全・安心に影響を与える様々な要因」のところで、29ページ、第2分野の4番目、「経済分野」の「具体的な取組」の⑩に国連グローバルコンパクトとUN Womenが推進するWEPsの普及が言及されております。これに関して、井上委員が文書で提出されたコメントに、ISO53800、ジェンダー平等ガイドラインについても記述すべきというコメントを出してくださっています。私はこのガイドラインの策定の国際コミッティの日本代表エキスパートで参画しました。内閣府も経産省も厚労省もずっとそのプロセスに参画されております。そのようにして作ったガイドラインですので、日本の基本計画にもしっかりと明示すべきだと思います。
 それから、WEPsに関連して、5ページ目の第1部の基本方針のところで、「ビジネス・地域経営の動向・変化」の最初の ○で、企業や資本市場のための一連の国際指針、ビジネスと人権等ですが、これは多くの企業、投資家が参照している枠組みです。それを一連のものをしっかりと明示していただいています。その中でWEPsというものが記述されていますので、単に普及を行うということではなくて、もう少し具体的にこの枠組みの意義を書くべきだと思います。
 具体的に言いますと、「普及を図る」のところの後に、男女間賃金格差の要因分析や是正に向けた行動計画の策定、非財務情報の開示、投資家とのエンゲージメント等におけるWEPsの活用事例を収集・周知し、その実効的な運用を促進する、ここまで書いていただきたいなと思います。
 それから、34ページ、「6  教育・スポーツ・メディア等」のウの「メディア分野」に関しましては、スポーツやベンチャーキャピタルのところと同様にセクシャルハラスメントについても言及すべきかと思います。国連ビジネスと人権ワーキンググループの訪日調査報告書でも、メディア業界におけるセクシャルハラスメントについては厳しく指摘されておりますし、国内にも民間の調査があると思います。これがメディア業界における女性の昇進を阻んできていることも分かっておりますので、しっかり書くべきと思います。
 あとは、環境分野のところでもコメントをしたいのですが、時間が長くなってしまうので、一旦ここまでで終了させていただきます。ありがとうございます。
 続きまして、井上委員、橋爪委員の順番にお願いいたします。
○井上委員  ありがとうございます。井上です。
 まず、それぞれのワーキングの座長の皆様、大変お疲れさまでした。まとめが大変だったと思いますが、内容的にはよく理解をしたところでございます。
 それでいくと、今日の流れなのですが、そもそも事務局が計画の立てつけの話をして、その上で座長からの報告があったほうが分かりやすかったのではないのかなと思いました。
 それから、今回意見書を出させていただいておりますが、これも今日の議論に反映される内容という前提で聞いておりましたので、細かく書かせていただいたのですが、この取扱いがどうなるのか若干不安に思いながら、あとは細かく見ていただければと思いますので、全体的なところから発言させていただきたいと思います。
 この計画が終了するときには2030年になります。203050の目標もありますし、SDGsの最終的な目標も2030年というところでいくと、もう少しエッジの効いた内容であってもいいのではないのかなと思います。
 特にこの間、例えば令和4年の男女共同参画白書ではもはや昭和ではないということで、今までにないような白書を出しているのに、6次の中ではそういうものがあまり感じられないところもとても見受けられましたので、ナショナル・マシーナリーとしての男女局のやる気みたいなものがここにもっと出てきてという感じがすごくしましたので、先ほど白波瀬委員からもありましたけれども、過去にとらわれない内容があってもいいと思いました。
 今日の各委員からの御意見が反映されたものを踏まえて今度の議論になるのだと思うのですが、どこがどう変わったのか、どこを入れたのか、分かりやすいものをぜひ出していただいて、次に有意義な議論ができるようなことをしていただければと思います。
 それから、意見書で出した中の一つ、選択的夫婦別氏制度に関しては、計画実行・監視専門調査会でも出ていましたし、必ず皆さん発言されるところですが、今回も全く5次と変わっていないというところがあります。
 そういう意味では、5次計画の答申から閣議決定の間に変えられてしまった内容はとても充実した内容と私は理解をしておりますので、6次の書きぶりは変える必要があるのではないかということを強く申し上げておきたいと思います。
 以上です。
○山田会長  ありがとうございます。
 橋爪委員、最後に私が発言させていただきます。
 橋爪委員、よろしくお願いいたします。
○橋爪委員  私のほうからは、第6分野と第7分野につきまして簡単に意見を申し述べたいと存じます。
 まず第6分野でございますが、61ページです。先ほど小西先生からも御説明がございましたが、「ジェンダーに基づくあらゆる暴力」と表現を変更したことにつきましては、現在の問題状況を適切に反映するものでありまして、全面的に賛成したいと存じます。
 ただ、これがどのような概念かについては、なかなか一般的な理解があるわけでもありませんので、簡潔でもいいので定義を示すことが重要であるような感じがいたしました。また、なぜこのように今回の計画におきまして表現を変更したかについても、簡単に問題意識を提示することが有益であるように思いました。
 さらに第7分野です。74ページです。タイトルのところでは、「男女共同参画の視点に立った」という形で全体をまとめていただいておりますが、具体的な内容を拝見しますと、ジェンダーの観点からの問題解決が求められている課題と、ジェンダーを問わず男女いずれであっても同じように生ずる問題が混在しているような印象を受けました。なかなか難しいと思うのですが、可能であれば両者を区別しながら課題や対策についての整理をお願いできると幸いでございます。
 なお、1点だけ付言いたしますと、先ほど小林先生から、法科大学院の認証評価につきまして貴重な御提案をいただきましたが、実際に法科大学院で認証評価を受ける立場としましては、入試制度や進級制度について抜本的な改正をすることも困難であるという事情がございますので、具体的にどのような内容が実現できるかについてはさらに慎重な検討が必要ではないかということについても付言しておきたいと存じます。
 以上です。
○山田会長  ありがとうございます。
 最後に、私から少し発言をさせていただきたいと思います。
 座長、委員の皆様、事務局の皆様、素案の作成、本当にありがとうございます。特に、前に私が申し上げました、「女性に対する暴力」だとちょっとというところで、「ジェンダーに基づくあらゆる暴力」という表現をつくり出していただきまして、本当にありがとうございます。
 細かいところで私も何点か共有させていただきます。
 私は社会学を専門としていますので、地域・家族分野で少し発言させていただきますけれども、農林水産業における男女共同参画の推進、もちろん農業委員とかそういうことも重要なのですけれども、私は農山村地区における結婚支援などもしていますと、やはりまだまだ家庭内での女性の過剰負担というものが強いのでなかなか集まらないというところもありますので、その点を御検討いただければというのが1点です。
 あと、第10分野ですけれども、まず「働く意欲を阻害しない制度等の検討」の中で、税制や社会保障制度は、特に配偶者が正規雇用でない者に対する著しい不公平感をもたらしているという実態があります。私も話を聞いた中では、夫が自営業、妻がパートであるような家族において子供を産んでも何の恩恵もなかった、つまり、パートだと育児休業どころか産休も事実上取れずに、夫が正社員であれば受けられたであろう様々な特典も受けられないというところで、踏んだり蹴ったりみたいなところがあったと聞いております。
 あと、井上委員も言及なさっていましたが、選択的夫婦別氏制に関するところですが、ここだけではなくて、最近の議論の中では、仕事に支障があるからというところに矮小化されているような気がします。私もいろいろお話を聞くことがあるのですけれども、一つの例として、自分の家名を残したいからということがあります。その他に、大きくくくれば、自分の姓がアイデンティティーとしてあるならば、アイデンティティーを変更させられない権利みたいなものに、もちろん法律上はそういうものはないのですけれども、そういうものを包括されるようなものだと私は思っていますので、井上委員の意見書の中にあるように、家庭内の動向とか子供ということは削除しても構わないのではないかなと思っております。
 さらに、介護・育児支援ですけれども、桑原委員から観光業とか製造業とありましたけれども、地方においては介護、看護、観光、飲食など夜間に仕事をする人、特に女性が増えてきていることを拝見すると、どこかでそういう人々に対する支援というものを盛り込んだ文言も書いていただければと思います。
 あと、全体的にフルタイムのオフィスワーカーを前提としている記述だなという気はいたします。パートタイムや自営業の家族従業者やフリーランスの人たち、弁護士も自営業かフリーランスになると思いますので、確かに私の知り合いにも弁護士で出産して何もサポートがなかったという方もいらっしゃいますので、非正規だけではなくて、そういう人たちへの支援が書き込まれていたらいいかなと思いました。
 どうもありがとうございます。
 では、これまでの御質問について事務局から御回答をお願いできれば思います。よろしくお願いします。
○手倉森課長  推進課長の手倉森と申します。
 本日はたくさん御意見をいただきましてありがとうございました。いただいた意見は基本的に大きなものが多かったなという感想を持っておりますので、すぐお答えというのはなかなか難しいのですが、例えば納米委員でございますと危機感を出すべきといったお話がございました。確かに5次に比べて変わらない部分があるかと思います。一方で、女性の就業率等、変わってきている部分もございますので、そういった中でどのような工夫ができるのかというのをまた考えていきたいと思います。
 5次計画の進捗管理についてもお話がありましたが、そういったものをどういうふうに今回の6次の中で考えていくのかというのもあるかと思います。
 ジェンダー主流化につきましては、大崎委員からもいただいております。現在、個別分野で書かれてある、そういった中でジェンダー主流化をどのように位置づけていくのかといったお話だったかと思いますが、それも全体の構成の中で、全体を見ながら考えていくことかなと思っております。
 納米委員から、山本委員も共通するお話だったかと思いますが、働き方を選択する際に選択する前提となる部分でもう既に制限されている、あるいはバイアスがかかっているのではないかといったお話もございましたので、そういった部分はどのように工夫ができるのかというのを一つの視点としていただいたと考えております。
 山本委員から、5次との変化ということでございます。部分的には書いてあるかと思いますが、その辺はどのような書き方を工夫できるのかというのが一つあるかと思います。山本委員からは幾つかキーワードについて御発言をいただいております。Well-being、多様な幸せについての捉え方をどうするのか、あるいは、現在入っていないかもしれませんが、DEIの話とか、エンゲージメント向上とか、今までにない言葉をいろいろ御発言いただいておりますので、その言葉を一つ一つ意味をよく検討しまして、どのようにするのかというのはまた考えたいと考えております。
 小林委員から、司法の関係を御発言いただいております。5次と変わらないという部分でございますが、例えば弁護士会に要請とかが中に入っておりまして、これは今までなく新しい取組ということでございますし、あと法曹三者に対して自主的な取組、あと、適切な情報公表を行っていくことが肝要ということでございますが、今後、関係省庁とも相談ですが、どのような情報公表ができるのかというのをまた検討していく中で、どのような取組をしたのかというのがもっと公表されるべきではないかといったお話だったかと思いますが、そういったものを含めて情報公表の中でどのようなことができるのかというのは今後の検討かなと思っております。
 続きまして、佐々木委員については参画拡大のところでの整理のお話をいただきましたので、これは全体を見回すというお話になるかと思いますので、全体を見回しながら考えていくということかなと思っております。
 あと、男性の健康ということでしたが、男性の視点ということがもうちょっとあるべきではないかということで、これは桑原委員、大崎委員とも共通するものだったかと思いますが、部分的には男性の話、更年期でありますとか、自殺などのところで入っているところでございますが、全体の中でも男性の記述はどのようになっているのかというのはまたよく見たいと思います。
 白波瀬委員から非常に大きなお話がございました。誰のための計画、何のための計画といったことでございましたが、先ほど山本委員からもありましたが、5次と比べて何ができたのかといった話もありましたので、全体の中でそれも考えていくということかなと思っております。
 大崎委員につきましては、先ほどジェンダー主流化がございましたが、ジェンダー主流化、あるいは男性視点といったところで御意見をいただいておりますので、また全体の中で考えるということかと思います。
 井上委員からたくさん事前に書類で御意見をいただいております。本日の資料につきましては各ワーキング・グループでまとめられたものの報告でございまして、各ワーキング・グループでまとめられたものがそのまま出てくるということでございまして、いただいた意見については反映させられるところについては反映させる、あるいは検討しながら次回以降の会議の場で反映を考えていきたいと考えております。
 取りあえず私からは以上になります。
○山田会長  ありがとうございました。
○岡田局長  付け加えて1点。
 佐々木先生から目標についてはというふうに御指摘いただいたのですけれども、目標は年末に向けて御議論いただくという整理でございますので、今回は基本的な考え方、骨子ということで今日先生方に御議論いただいたということでございます。
 また、課長からも申し上げましたけれども、様々な御指摘をいただきましたので、検討させていただきまして、会長とも御相談をさせていただきたいと思います。また、関係省庁もございますので、そちらともよく協議をしてまいりたいと思っております。
 以上でございます。
○山田会長  ありがとうございます。
 事務局、よろしいでしょうか。
 では、これまでの議論を踏まえてさらに御意見等のある方は、Zoomの挙手機能を使っていただき御発言をお願いいたします。
 小西座長、お願いいたします。
○小西委員  皆様に「ジェンダー・ベースド・バイオレンス」という新しい語を導入したことについておおむね御評価いただいたと思いますので、それは大変ありがたく思っています。
 ただ、私としては、個人的な見解も入りますけれども、ジェンダー・ベースド・バイオレンスというのを今までのバイオレンス・アゲンスト・ウイメンという概念に変えることについて抵抗がなかったのかというと、そこはいろいろなことを考えております。そのことだけお話ししようかなと思っております。
 まず、どうしてジェンダー・ベースド・バイオレンスにしたかということに関しては、一番大きいのは現実を踏まえるということだと思うのですね。被害の支援の現場でも、女性以外の人と言ったら変ですけれども、ジェンダーマイノリティの方、男性、男児の相談も非常に増えております。そういうことを無視してこの題名でずっといくというのはやはり問題がある。そういう意味では、ジェンダー・ベースドという考え方のほうがいいと思いますし、日本国内の今までの男女共同参画の経過を見ても、ジェンダーと使ってほしいなと思うところでなかなか使えないという現状がずっと長いことありましたので、適切な使用ということは大変意味があると思っています。
 ただ、バイオレンス・アゲンスト・ウイメンというのは暴力の形がもうはっきり見えているわけですから、何を対象に支援するか、誰を対象に支援するかというのがすごくはっきりしているわけですよね。だけれども、ジェンダー・ベースド・バイオレンスという言い方は一つの考え方といいますか、そういう形になって、少し曖昧になる部分があって、そこはそれで曖昧になってしまわないようにしないといけない。
 特に、私のやっている分野は、女性の中でも弱者である人たちが大きな対象になってくるわけですので、ほかの分野に比べると、変な使い方ですけれども、むしろ保守的といいますか、女性の支援ということを中心にしないといけないような分野だと思っています。
 ジェンダー・ベースド・バイオレンスと言った場合には、恐らくバイオレンスに含まれているのがパワー・アビューズ、パワーの乱用ということが基本にあるのだということや、それからインターセクショナリティーなんかが強調されてくるというところで、政策的には広がって分かるところではあるのですけれども、実際の被害を受けた人の支援というところで曖昧になってはいけないなということは思いながら、でも変えるべきだと思って変えたということなので、そこのところは御理解いただければと思っております。
 以上でございます。
○山田会長  ありがとうございました。
 では、納米委員、鈴木委員の順でお願いいたします。
○納米委員  ありがとうございます。
 今のジェンダーに基づくということになると、これまで専門調査会は「女性に対する暴力に関する専門調査会」という名称でしたけれども、これも立てつけが変わってくるかなと思っております。
 これまで「女性に対する暴力に関する専門調査会」に関わらせていただいた立場から、また細かいことになってしまうかもしれないのですけれども、2点申し上げたいと思います。
 1点は、ここのところ支援者への攻撃、支援者へのいわれなき非難、差別が横行していて、支援の現場で萎縮してしまうようなことも起こっているのですね。そういうことは絶対に許されないということを書き込んでいただきたいというのが1点です。
 もう一点は、以前からずっと言っているのですけれども、加害者への言及についてです。今回かなり踏み込んで、例えば保護観察系の記述と加害者プログラムといった記述が書き込まれていて、これは恐らくは施設内処遇と地域内処遇とに区分されることなのではないかなと思うのですけれども、この2つがどのように関連づけられるのかといったことを意識していただきたいと思います。
 また、保護観察系のほうは保護観察所は全国にあるので全国で行われると思うのですけれども、地域内プログラムについても全国に普及させていくと書いていただいているのですが、後者については必ず数値目標を入れ込むことをお願いしたいと思います。
 以上です。
○山田会長  ありがとうございます。
 鈴木委員、大崎委員の順でお願いいたします。
○鈴木委員  ありがとうございます。
 一委員として、今まで出た御意見も踏まえて数点意見を申し上げたいと思います。
 まず、複数の委員から意見が出た、危機感を強調すべきでありますとか、エッジを効かせるべきでありますとか、ジェンダー主流化を基本的な方針として記述すべきというお話は、ぜひ具体的な文案を出していただいて、まずは事務局で御検討いただきたいと思います。
 それから、納米委員がおっしゃった男女センターの予算、人員の確保について、今タイミングとして重要だと思いますので、その必要性について書くべきだと思います。これも事務局で案を御検討いただきたいと思います。
 それから、石黒委員からAIやAIエージェントのお話がございましたが、そのインパクトは本当に大きいと思います。それらは働き方を代替する部分と補完する部分があると思いますが、女性の職業分布と男性の職業分布の違いを見ると、特に女性への影響は相当大きいと考えられます。しかも発展・展開のスピードがものすごく速い技術ですので、5年、10年たっても通用する書きぶりで、警告的な要素をどの程度含めるべきか分かりませんけれども、きちんと書いておくのが望ましいと思います。
 それから、第5次からどこが変わったのかわかりにくい、変わっていないというお話がかなり出ましたけれども、私は4次計、5次計、今回の6次計と3回にわたる策定に関わっておりまして、そういう意味では非常に責任も感じるところです。ただ、私たちは何が進んでいて何が進んでいないかを踏まえて6次計の策定に向けた議論をする必要が当然にあるわけですけれども、それを具体的にどこまで書けるかというのはまた別の問題で、前回計画からの変化をどう示すかは、実は毎回の策定で議論をしてきました。やはり普遍的に重要な事柄は変わらないものとして粘り強く書き続ける必要があると思いますし、他方、そうはいっても、もう少し今回工夫ができないかということはさらに検討が必要だと思います。
 山本委員から、労働分野のところでかなり具体的な御指摘がありましたが、私は全てそのとおりだというふうにお聞きしました。
 小林委員から、司法分野のところで年次報告あるいは情報開示というお話がございましたが、ここは基本構想ワーキングでも、情報開示をして社会と司法分野が対話をすることを求めてはどうかという趣旨の御意見も出ました。ここは先ほど事務局から御説明がありましたけれども、政府内での御調整をいただければと思います。
 それから、グロース市場に関するCGコードの話は、今CGコードの3回目の見直しの議論がスタートしていますので、必要があれば金融庁と調整をしていただくということかなと思います。
 佐々木委員から、5次計の第4分野について御懸念がございました。研究者や技術者という言葉遣いについては全体に適正に用いられているかどうか再度のチェックを事務局にお願いしたいと思います。
 それから、今回の第2分野のところは、あくまでも「政策・方針決定過程への女性の参画拡大」に関する事項を5次計の第4分野から切り出したということでございますので、それ以外の科技・学術分野での女性の参画拡大、研究の促進、研究環境の整備、理工系分野の選択促進などの論点は、きちんとほかの分野に漏れなく入っているということを確認させていただきたいと思います。
 それから、白波瀬委員からかなり大きなお話がございました。誰のための計画なのかということでございますけれども、もちろん国民のためのものだと私も思いますが、私の理解では、行政を縛ることに意味がある。今後、「基本的な考え方」を答申して、その後、政府において実際の基本計画をつくって閣議決定して、行政がきちんと責任を負う、行政が動かざるを得ないような計画にすることが重要だと思います。
 基本法上、総合的かつ長期的・計画的に講ずべき施策を書きなさいというのが法律の要請だと思いますので、計画の文章を読んでもらうということも重要ですけれども、行政がきちんとしっかり動く内容になっているかどうか、そういう視点で全体をチェックする必要があるかなと思います。
 それから、井上委員や山田会長から言及があった別氏制度のところは、先ほど御説明したように、今日の時点ではこういう書き方になっていますということでございますので、今日の御意見を踏まえてさらに男女局で御検討いただきたいと思います。
 山田会長から最後にあったお話に少し関係するのですけれども、巷間には女性活躍が進むと少子化も進むという、変な議論がいまだにあると思うのですけれども、出生率は共働き世帯のほうが高まっていて、専業主婦世帯やパート世帯のほうが下がっているというファクトがあると思います。今、専業主婦世帯、パート主婦世帯は非常に厳しい状況に直面していて、弱い方々が増えてしまっているのではないかと思っておりまして、そこにきちんと光を当てていくことは今回重要だと思います。
 さきほど、納米委員から、基本計画の進捗管理と重点方針の運び方の関係について御意見がございました。それに関しまして、今回、男女共同参画会議における監視・影響調査等の機能強化に取り組むと記述され、ここは5次計から踏み込んでいるところで、政府に強く求めるということだと思います。それから、5次計における中間年フォローアップのような取組をより充実させるという書き方も今回していて、この点からも政府にきちんと進捗管理をやれということを強く言っていると思います。
 基本計画を進めるに際しての、重点方針の取扱いプロセスとの関係については、推進体制全体について人的・時間的制約の中でどういうふうにやれば一番効果的になるのか、最大の効果が得られるようなやり方を政府にしていただくという趣旨で、現時点での記述になっていると理解しておりますので、そういう視点で男女共同参画局を中心に取り組んでいただきたいと思っております。
 基本計画を決めれば進むということではなく、決めたことの検証や評価、推進体制がある意味では最も重要だと思います。例えば、長時間労働の問題や貧困の問題など、多くの問題があるのですが、これらを解決する方法として生産性の向上や実質賃金の上昇が必要だと思います。生産性の向上や実質賃金の上昇があれば、かなり多くの問題が緩和、解決できる。逆に言うと、それがないと全く解決できないということで、どうしたら生産性の向上、実質賃金の上昇が起きるのかと言えば、イノベーションです。イノベーションは工学的な意味ではなくて、経済や社会を運営する技術という意味でのイノベーションでございまして、それは多様性を尊重するだけではだめで、実際に多様性を高めなければイノベーションは起きません。それから、ハラスメントや暴力をなくす。希望がかなうような制度設計をする。テクノロジーをうまく使う。それらができなければ社会を運営する技術は高まりませんので、問題を解決するための施策間の因果関係を意識した検証をやっていく必要があるということをぜひテークノートしておいていただきたい。
 つまり、アウトカムをいきなり操作しようとしてもうまくいかないし、長続きしないと思いますので、何をやったらこうなるという因果関係を今後計画に基づいて評価・検証して取組を推進することが決定的に重要だということを強調させていただきたいと思います。
 私からは以上でございます。
○山田会長  ありがとうございます。
 大崎委員、徳倉委員の順番でお願いいたします。
○大崎委員  ありがとうございます。
 6次計は5次計に比べて、実務者からすると進展があるなという点が幾つかございます。
 1点目は地方が手厚く取り扱われているという点です。先ほど来、計画というのは国民のためなのですけれども、誰が責任を持って実施していくのかというと、鈴木委員がおっしゃったとおり、やはり行政が中心になっていくと思います。日本全体で推進するには、省庁だけではなくて、一番重要になってくるのは地方自治体だと思います。
 私もいろいろなとこでいろいろな声を聴いてまいりましたけれども、いろいろな御苦労がある中で推進しているわけで、データや統計が必要だとか、男性リーダーの役割をしっかりと強化して、認識を高めていくことが必要だとか、自治体で男女共同参画推進に携わっている現場の方々の声をしっかりと踏まえた上でこの計画をつくることが非常に重要だと思います。これまでにも声を聴いて、それを反映されていると思いますし、今日も傍聴の方は自治体の方が多いと思います。そういった方々の声を踏まえて、実務者にとって使い勝手のいい計画にしていくことはすごく重要だと思います。それが1点目です。
 2点目は、6次計では経済分野を中心に国際的な規範とか基準がしっかり明示されていると思います。特に企業にとっては重要だと思いますし、一つの大きな動機づけ、モチベーションになると思いますので、それも前回に比べていい点かなと思います。
 3点目に、「ジェンダー」という言葉についてです。皆さん御存じのとおり、2次計画以降、「ジェンダー」という言葉が使われなくなって久しいわけですけれども、SDGs以降に国際文脈ではジェンダー視点の主流化という文言がSDGsに関連して書き込まれましたが、ここに来て、それ以外に関しても「ジェンダー」という用語を使って議論ができるようになり、なおかつそれが反映されているというのは、非常に大きな進展ではないかと思います。
 それに関連して、「ジェンダーに基づく暴力」に関してですが、国際機関、UN WomenとかEUを見ますと、「ジェンダーに基づく暴力」と「女性に対する暴力」というのは併用している、文脈によって使い分けている、もしくは一緒に使っています。
 例えば、全体的な観点から「ジェンダーに基づく暴力」を使う傾向が高まっていますけれども、女性の人権という文脈や、女性差別撤廃条約とか、EUの場合はイスタンブール条約など、条約に関連しては引き続き「女性に対する暴力」を用いていますし、国際女性デーや女性に対する暴力のキャンペーンでも引き続き「女性に対する暴力」を掲げてキャンペーンを行っています。使い分けをしっかりとすることが重要ではないかと思います。
 以上です。
○山田会長  ありがとうございます。
 徳倉委員、白波瀬委員の順でお願いいたします。
○徳倉委員  ありがとうございます。徳倉です。
 私は、人材・地域・意識ワーキング・グループの座長をさせていただいた部分から少しだけお話しさせていただきます。
 先ほど鈴木委員がおっしゃっていただいたことはまさにそのとおりで、その部分ははしょらせていただきまして、私自身はこのワーキングに入り、いろいろな先生方からお話を伺い、データも抽出しという中で、先ほど桑原委員もおっしゃられておりましたが、地域の中での多様性といいますか、地域ごとによって、もちろん産業構造もあります、例えば都道府県の中にあっても基礎自治体によってはかなりバランスが違っている中にあって、実はこのワーキングループの中でも、最初、地方という中の幾つかの事例でもかなり偏った表現、偏った地域というところがありました。
 偏っているものをどれだけ地方の中、地域の中で使えるようなものにするのかということはかなり苦心をさせていただきましたが、先ほど白波瀬委員のお話もありまして、これからお話があると思いますが、非常に大きな枠組みの中で、これを入れたらこっちも入れなければならないみたいにどんどん増えていくものをどう集約をしていくのかという作業も同時並行にしていく中にあって、発信といいますか、難しいところがございました。
 その中で、先ほど鈴木委員から、因果関係をしっかり出していく、ファクトを出していく中に、もう一つ私からはストーリーを出していただきたい。この計画の実行案の中には組み入れられなくとも、先ほどありましたが、これは誰のためのものになっていくのか、もちろん国民のためなのですが、行政の職員の皆さんがこれを読んで、我々の組織の中、我々の地域の中で何を実行し、何を成し遂げていかなければいけないのかというところまで読み解けなければ、その自治体の中でこの基本計画を基にした各自治体のそれぞれの計画や案がなかなかできていかない。
 それを今後、実行案を出していく、骨子を出させていただきますけれども、ここからこれを基礎自治体を含めて皆さんに説明する機会をしっかり設けていきながら、地域の中、地方の中でそれを実現していくステップみたいなものをストーリーとして出していく。そこには、各地域のセンターも巻き込んでいく。そこの専門職員を生み出すために機構も連携していく。そこに予算もつけていく。この正の循環をどうつくっていくのかというところまでストーリーにして発信をしていかなければ、各自治体の中でも男女共同参画に力を入れている部分、入れたいけれども入れられない部分、正直言いまして入れていない部分、こういうところの3つの層に分けながらアプローチをしていくというところを考えながら、案を出すだけではなくて実現させるものへというふうに変えていけるように、私自身も発信をしていきますし、この委員会を含めてやっていくべきところかなと思っておりまして、意見をさせていただきます。
 以上になります。
○山田会長  ありがとうございました。
 最後に、白波瀬委員、お願いいたします。
○白波瀬委員  大変ありがとうございます。
 私が大きなことを言ったからあれなのですけれども、1点目はこういう形で確認させていただいたというところはすごくありがたくて、逆に言えば、国民に向けてではなく、実質的に行政なのだと。ただ、行政であれば、実行しやすいというか。ただ、これは計画だけが上からどんどん流れていくという構図になっているのですね。実際、計画はあるけれども、策定までといったら、市町村まで行ったらものすごい差があるというのが現実で、実際に統計自体もつくることができないという状況だってあるわけですよね。
 ポイントなのですけれども、座長からもあったように、3つつくられたのであれば、3つのワーキング・グループで一つ立て直すというのは分かりやすいところだし、「ストーリー」という言葉は個人的にはあまり好きではないのだけれども、アウトカムというか、バックワードしてというか、考えたら、逆に言えば取捨選択しないといけないと思うのですよ。優先順位が必要なのですよ。そうではないと、こんなのが下りてきたら現場はもう本当に大変だと思うのですよね。
 そういうところまで完全に考慮することは、私だって素人なのでできないとは思うのですけれども、言いっ放しの無責任だけはしたくないなというのがこういう機会に参加させていただいたところの本当の事情で、実は小西委員からジェンダーの話もあったのですけれども、実際はハラスメントの問題は男の子の問題もすごく遅れていますし、要するにパワーだけではなくて、セクシャルハラスメントも現状的には決して無視できないのですよね。でも、そこをジェンダー・ベースドと言ったというのは、逆に私は女性に対する暴力というところで、もう完全ではないけれども、それに限定するという判断もあったと思うのですけれども、そうではなくてジェンダーということであれば、その辺りの説明はちゃんと前段階でやってもらわないと、計画のための計画ということだけでは、これに関わっていらっしゃる役員の方というか、皆さんの労力の不足になってしまうので、繰り返しですけれども、ただ上からどんどん流れるというような構造だけにはしないようにして、現場が疲弊してジェンダー平等がどんどん遠のくということだけはやめたほうがいいのではないかなという感じです。
 以上です。
○山田会長  ありがとうございます。
 これまでの委員の御発言について事務局から何かありますでしょうか。
○岡田局長  いろいろな観点から様々な御指摘をいただいてきまして、ありがとうございます。特に白波瀬先生の最後の御発言は、閣議決定の後のこともよく考えながら、今の段階から準備をして、思いを致してやっていくべきではないかという御指摘かと思いましたので、私どもは計画をつくっていくということだけでなく、この計画は5年間の予定でありますけれども、国の計画を参照してくださる方々のことも頭に入れながら、どのようなことを盛り込ませていただくと、日本全国に男女共同参画が今まで以上に推進されるかということを頭に入れて、引き続き作業してまいりたいと思います。
 今日いただきました御意見につきましては、先ほど申し上げましたけれども、山田会長とも御相談させていただき、また、関係省庁も多数いますので、調整した上で、次回の専門調査会におきまして素案としてお示しできるように準備をしていきたいと思います。
 以上でございます。
○山田会長  ありがとうございました。
 大変恐縮ですが、時間の都合上、ここまでとさせていただきたいと思います。
 事務局から連絡事項等はありますでしょうか。
○岡田局長  特にございません。今日もありがとうございました。
○山田会長  ありがとうございます。
 それでは、本日の会議は以上となります。皆様、お疲れさまでした。