- 日時: 令和7年5⽉27⽇(火)16︓30〜18︓30
- 場所: オンライン会議システム(Zoomウェビナー)にて開催
- 開会
-
議題
各ワーキング・グループにおける検討状況について - 閉会
【配布資料】
- 資料1
- 基本構想ワーキング・グループにおける検討状況 [PDF形式:333KB]
- 資料2
- 人材・地域・意識ワーキング・グループにおける検討状況 [PDF形式:350KB]
- 資料3
- 安全・安心ワーキング・グループにおける検討状況 [PDF形式:464KB]
【出席者】
会長 | 山田 昌弘 | 中央大学文学部教授 |
委員 | 石黒 不二代 | 世界経済フォーラム 日本代表 |
同 | 井上 久美枝 | 日本労働組合総連合会副事務局長 |
同 | 大崎 麻子 | (特活)Gender Action Platform理事 |
同 | 北仲 千里 | 広島大学ハラスメント相談室准教授、NPO法人全国女性シェルターネット共同代表 |
同 | 小西 聖子 | 武蔵野大学学長・人間科学部教授 |
同 | 小林 哲也 | 小林総合法律事務所弁護士 |
同 | 佐々木 成江 | 東京大学大学院理学系研究科生物科学専攻特任准教授、横浜国立大学客員教授/学長特任補佐「ジェンダード・イノベーション担当」 |
同 | 白波瀬 佐和子 | 東京大学特任教授 |
同 | 鈴木 準 | 株式会社大和総研常務執行役員 |
同 | 徳倉 康之 | NPO 法人ファザーリング・ジャパン理事、株式会社ファミーリエ代表取締役社長 |
同 | 納米 惠美子 | 全国女性会館協議会代表理事 |
同 | 山本 勲 | 慶應義塾大学商学部教授 |
内閣府 | 岡田 恵子 | 男女共同参画局長 |
同 | 小八木 大成 | 大臣官房審議官(男女共同参画局担当) |
同 | 市川 恭子 | 男女共同参画局参事官 |
同 | 大森 崇利 | 男女共同参画局総務課長 |
同 | 上田 真由美 | 男女共同参画局推進課長 |
同 | 田中 宏和 | 男女共同参画局男女間暴力対策課長 |
同 | 中山 奈津美 | 男女共同参画局推進課企画官 |
同 | 安藤 玲 | 男女共同参画局男女間暴力対策課課長補佐 |
議事録
2025-5-27 第6次基本計画策定専門調査会(第4回)16時30分~18時30分
○山田会長 では、定刻となりましたので、ただいまより第4回の「第6次基本計画策定専門調査会」を開催いたします。本日御欠席の委員は、桑原委員、治部委員、橋爪議員、山口委員でございます。
また、石黒委員、白波瀬委員は18時頃まで御出席の予定とお聞きしております。
まず、各ワーキング・グループにおける検討状況について、各ワーキング・グループの座長の皆様よりそれぞれ10分程度で御紹介をいただき、その後、意見交換を行っていただきます。よろしくお願いします。
まず、基本構想ワーキング・グループにおける検討状況について、鈴木座長、お願いいたします。
○鈴木委員 鈴木でございます。
基本構想ワーキングに関しまして、資料1を用いてご報告します。今、結論や方向性が何か明確に決まっているという段階ではもちろんなく、各構成員から意見を出してもらっている段階ですけれども、ワーキングでの主な意見を御紹介します。本日、本専門調査会の委員の皆様からも御意見を頂戴して、このワーキングが担当している分野について意見を集約していき、本調査会に上げられるようにしてまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
まず、一番上の「基本的な方針」であります。
1ポツ目です。この5年間、女性就業者は大幅に増えました。しかも、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、男女ともテレワークなど柔軟な働き方が広がりました。そうした中で女性登用も各所で一定程度進んできたわけですけれども、6次計画でスピード感を追求したいところですが、一歩間違えるとバックラッシュ的な動きにもつながりかねない。一部には女性登用への抵抗感が表に出てくる風潮もあるということで、女性だけではなく、まさに性別を問わず様々な課題解決が必要となっている中、男女共同参画社会実現のための施策においては、ある意味では慎重さや丁寧な言葉遣いも大事という意見が出ております。
次のポツです。今、GX・DX・少子化対策の拡大など、大きな政策のトレンドが省庁横断で進んでおりますので、それを踏まえる必要があり、中でも特に環境問題は重要ではないかという問題意識が出ております。
次のポツで、デジタルや環境の分野では、産業構造の変化と技術の変化が表裏一体で起きておりますので、ITなどの導入・投資が必要であると同時に、そのやり方は男女格差を生じさせないようにしなければならないという意見が示されております。
次のポツです。若者からしますと、男女共同参画の政策は若者の視点が抜けていると感じられているということがあり、また、テクノロジーを用いた深刻な暴力など、見えづらい課題も少なくありません。ですので、若者の視点をその具体的な意識の変化とともに取り入れる必要があり、若者を政策過程に巻き込むことを強く打ち出すべきではないかという意見が出ております。
このパートの最後のポツです。基本的な方針におきましては、能力発揮とか経済成長という話だけではなくて、当然のことながら人権の視点をしっかりと盛り込むべきという意見も出ております。
次のパートは「政策・方針決定過程への女性の参画拡大」です。
最初のポツです。やはりハラスメントの根絶が全ての分野における大前提であって、特にキャリアアップの上で重要ということであります。
次のポツです。アンコンシャス・バイアスのない評価の仕組みの必要性と、その仕組みを適切に行える人たちの育成が不可欠であるという意見であります。
その次のポツです。これまで、女性というだけで配置や評価に差がついていた上に、育児などのために働く時間が制約されるという二重の意味で問題があるということ。これはそれぞれに対処が必要でありまして、前者については若いうちから差異を生じさせない対応が必要であって、後者については時間当たりの成果を重視する方向での改革が重要という意見であります。
その次とその次のポツであります。6次計で30%目標をどう書くのかということは重要なポイントで、ぜひ御意見をいただきたいと思うのですけれども、目標の背景や理屈をきちんと説明しつつ、決して目標を後退させてはならないということ。
それから、この30%というのは全体的な目標値として必要なものですが、それそのものの評価はなかなかしにくいということで、業種別・企業規模別など、検証可能性が要るのではないかと。目標の重要性をきちんと説明することと併せて、その検証可能性を確保すべきという趣旨の意見がありました。
次のページをまたぐポツであります。女性役員や女性管理職の状況は、大企業は相対的に良好であるとしても、中堅クラスの企業で相当遅れている点に着目する必要もあるという意見です。
2ページ目、さらに次のポツであります。ジェンダー平等という人権からアプローチする話と、多様性がイノベーションと所得拡大をもたらすという経済合理性の話を両論で書くべきで、双方は矛盾するものではないという捉え方も重要だということでございます。
次のポツです。30%目標の達成は十分には見通せていないわけですが、指導的地位に立つ女性の候補の人材プールは拡大してきていると思いますので、一体どこまでそれができていて、さらにどうすべきか、プロセスを考えたここまでの成果と現状認識も必要という意見がありました。
次のポツ以降は、分野ごとでありますが、政治分野で地方議会などのジェンダー主流化に向けましては、主権者教育が重要であるということ。
司法分野では、現在、裁判官のみ成果目標がないという現状がありますけれども、そこは裁判官の働き方に着目したアプローチが有効ということ。それから、この分野はヒアリングを行ったところ、裁判官に関する成果目標の設定に慎重な意見が聞かれたのですが、もちろん裁判の中立性を侵すといったことは全く念頭にないわけでありますので、取組のプロセスとして、司法分野についても裁判官の成果目標の設定を念頭に置いた検討が望まれるという意見がありました。
さらにその次のポツです。転職等がかなり一般化している民間部門と対比して、行政や司法は採用からのプロファイルを追いやすいことから30%目標を達成できていない原因分析がより行いやすいのではないかという意見です。
それから、多様なキャリア形成と公正な評価はセットでありますところ、公務員というのは民間部門と比較してそこが十分できていないのではないか、その点の対策も検討が求められるのではないかといった意見がありました。
このパートの最後のポツです。今、経済社会的にスタートアップということが大変重視されている中でありますので、女性起業家についてハラスメントや資金調達の際の不利さなどについても触れるべきという意見です。
次のパートは、「環境問題における男女共同参画の推進」です。
気候変動への対策というのは、一般に想像されている以上に社会を変革するものであり、産業構造を劇的に変化させ、あるいはエネルギー革命を伴うものですので、そこにどうジェンダー視点を入れ込むか、どうジェンダー主流化を進めるのかということを明示する必要があるという意見であります。
その次のポツです。GXは特に雇用の流動化を含めて職業生活への大きな影響があり得ますので、取り残される人がいないように、いわゆる「公正な移行」を担保することが不可欠であって、そうした相当大きな視座から考えておく必要があるという意見がありました。
その次のパートは、「各種制度等の整備」であります。
これまでの基本計画では、税制や社会保障制度について、やや抽象的に、「世帯から個人へ」ですとか、「性別に対して中立的に」ということを原理原則にして見直すべきと言ってきたわけですけれども、もう少し見直しについて具体的な言及ができないのかといった指摘がありました。
次のポツです。選択的夫婦別氏は戸籍制度ともセットだと思いますけれども、今、特に若い世代が注目しているということ。もちろん皆様御存じのとおり、国会あるいは司法で様々な議論がある中ですが、国、行政としても前向きなスタンスを示す必要があるのではないかという意見が出ております。
その次のポツで、女子差別撤廃委員会の勧告のうち、制度的な課題について基本計画に盛り込むことを検討すべきとの意見もありました。
次のパートは「国際的な協調及び貢献」です。
最初のポツは、国際的なスタンダードとして情報開示が重要であるということを明確に書くべきであるということ。
それから、次のポツで、国連人権理事会のビジネスと人権作業部会の訪日調査報告書が昨年示されたと思いますけれども、そこで述べられた課題を計画へ反映すべきではないか。
あるいは、その次のポツにあるように、国際的な規範や基準を指針にする観点からは、ビジネスと人権に関する指導原則や、国連責任投資原則をしっかり書き込むことが重要という意見が出されております。
3ページに移っていただいて、次のポツ。昨年9月に国連未来サミットで採択された「未来のための協定」、これは科学技術や若者、ジェンダー平等を含むグローバルガバナンスなど広範なテーマが扱われているものでありますけれども、SDGsの後継として2030年以降の持続可能な開発の進め方を視野に入れたものでありますので、これを取り入れるべきではないかという意見も出されております。
最後のパートは「推進体制の整備・強化」であります。
データに基づいて施策の状況を把握し、課題を適切に分析した上で、施策を修正するという過程を一般化させて、あらゆる分野においてジェンダーの視点を反映することが重要ではないか。つまり、いわゆるPDCAサイクルがこれまで十分に確立できていないのではないか、それを確立すべきではないかという意見が最初のポツです。
次のポツです。ジェンダー統計、男女別統計の目的と必要性を明確にして、これを社会全体に広げることが重要ではないかという意見であります。
最後のポツです。男女共同参画センターに予算をつけていくことの重要性があるのではないか。日本は男女共同参画社会の実現のための推進体制にまだまだ課題があるわけですが、推進体制が世界的に弱体化していると指摘されておりますので、リソースの拡充が不可欠だという意見が出ております。
その他、ほかのワーキングに関する事項についても意見が出ております。
人材・地域・意識ワーキング・グループに関しましては、やはり女性の非正規雇用問題は相当深刻であり、まさにL字カーブの問題でありますが、非正規雇用問題の対応策の一つとして、男女センターも含めて非正規公務員の問題をきちんと取り上げるべきという意見がありました。
それから、地域での取組を強化しなければならないわけですが、NWECを発展させた新しい機構の新設が6次計の目玉であって、これをきちんと基本計画で位置づけるべきであると。
それから、テクノロジーは暴力などいろいろな問題をもたらしているわけですが、テクノロジーのプラスの面についても、きちんと理解し、把握をして記述をすべきではないか。
それから、健康に関してですが、健康そのもの自体にもちろん価値があって、それは人権そのものの問題だと思いますが、長く働くための手段のために健康が位置づけられているといった誤解を招かないようにしなければならないという指摘がありました。
安全・安心ワーキングループに関してですけれども、ここ5年間、5次計以降の大きな変化として、相対的な貧困の問題は仮に改善しているとしても、貧困線が下がっていれば貧困のレベルが下がって事態は悪化しているわけでありますので、絶対的貧困の問題が拡大しているのではないかということです。絶対的な貧困というのは教育における男女差にも影響が出て、これはまた長期的な問題になりかねないということで、貧困の実態把握を含めて取り上げるべきではないかという意見が出されております。
基本構想ワーキングからの御報告は以上でございます。
○山田会長 ありがとうございます。
続きまして、人材・地域・意識ワーキング・グループにおける検討状況について、徳倉座長、お願いいたします。
○徳倉委員 お世話になります。こちらからは、基本構想に準じて同じように御報告させていただきます。
人材・地域・意識ワーキング・グループということで、まず「雇用等における男女共同参画の推進と仕事と生活の調和」です。
職場の風土・意識等についてということで、1ポツ目でございます。長時間労働及び評価制度等、組織の中の風土を改善する仕組み、制度はできているけれども、風土をどう改善していくのか、そこを踏まえながら業務を改善して、効率を上げ、長時間働く人しか職場に残れない、もしくはそういう人しか評価されないという意識・風土を変えていかなければならない。
2つ目です。男女平均賃金格差や男性の育児休業取得率など、今回、情報開示が企業風土の改善に非常に効果的であることが分かってきております。情報開示によって組織風土を変えていく仕組みが求められているという指摘がありました。
3つ目が、職場においても無意識の偏見、アンコンシャス・バイアス等、思い込み、性別役割分担に気づいていただく、ここが大きなポイントになってきているという指摘が出てきております。
働き方の多様性について、1ポツ目です。企業によるジョブ型雇用の取組検討が大切。まずは「キャリアの自律性」が一つキーワードになるのではないかということと同時に、ジョブ型雇用では評価制度と連動していくことが重要であると指摘されております。
また、ショートワーカーの活躍機会をどうつくっていくのか、ここも大事なポイントとして取り上げられております。
次のポツです。就業希望のシニア全員が就業継続できるような環境を整えていくことと同時に、パートタイム就業者の就業調整がもっと緩和されれば、より多くの働くという人たちが出てくるだろうとされています。
次のポツです。ショートタイム、短時間労働者(パートタイム・フリーランスなどを含む)の方々が正規雇用者等の社会保障を含む雇用条件の格差是正を実現することで、よりそれぞれの人に応じたライフステージに合わせた柔軟な働き方ができてくるとあります。 続きまして、副業をしたいという人たちが副業できるような環境をさらに整えていくことによって、さらに働く人たちが増えてくる。労働力がどう増えていくのか、ここの御指摘がございました。
続きまして、生産性の向上、能力開発等について。やはり日本においては生産性を向上させることも大切なポイントである。
その上で、教育・訓練費用を増やしていけるようにすることや、基本構想でもありましたけれども、AIを中心としたDXやロボティクスを使っていくことが必要になってくる。
そして、教育・訓練を受ける対象やAIを使う人として、現在は短時間就業者が想定されていないということが指摘されておりますので、やはりここは問題ではないかということ。
そして、今後、パートタイマーの人や派遣社員の人たちの能力開発をする必要が出てきているという指摘がございました。
次のポツになりますけれども、企業自身が能力開発の機会を雇用者に与えていくことが自己啓発の可能性を含めて非常に重要になってくる。
続いて、能力開発の機会を増やしていくという意味で、最も優先順位が高いのは、企業による人材育成の機会の男女差を是正するような取組が必要ではないか。その意味では、女性活躍に関わる行動計画をより活用していくことも重要ではないかとされています。
ポツの最後です。仕事を通じた強みの発見、参照軸となる他者との交流機会、自分の強み、希望を知る機会、学んだことを実践する機会と学びを継続していく、この各種支援のスキームを展開していく必要があると指摘されております。
続いて、両立支援についてです。働き方、家族の在り方に対する価値観も個人ごとに非常に異なってまいりました。ライフステージに合わせて希望する形を自由に選択できるような制度をどのようにつくっていくのか、ここが重要になってくるとあります。
次のポツです。そして、育児だけではなく介護による離職も問題でありますが、介護に携わりながら離職せずに働き続ける「ビジネスケアラー」ないしは「ワーキングケアラー」も、プレゼンティーイズムと呼ばれる生産性や能率の低下という問題を抱えているということが指摘されました。女性登用及び女性の管理職への登用においても、介護離職やビジネスケアラーは今後大きな障壁になると指摘されました。
2ページ目に移動いたします。ワーク・ライフ・バランスについて、働き方関連法によりまして、長時間労働の問題はある程度是正されてまいりました。ライフステージや個人ごとにより異なる「ワーク・ライフ・バランス」のみに着目するのではなく、個人が多様で柔軟な働き方を選択した上で、「ウェルビーイング」を高める仕組みをどのようにしていくのか、ここにかじを切っていくべきではないか。
そして、「ワーク・ライフ・バランス」における重要な視点は、男女の別を問わず「生きづらさがあるか」という点であるため、6次計画には「生きづらさを感じないようにする取組」等の表現があるとよいのではないかという指摘がありました。
中小企業についてでございます。中小企業等ではいまだにジェンダー・ギャップが大きい傾向にある理由として、そもそも企業自体に経営的に余裕がなく、労働者の性別を考慮できていないこと、大企業のような制度的なインセンティブが働きづらいことなどが指摘されています。こういった場合、中長期的な視点を持ってもらうために、女性登用をジェンダーの文脈のみで議論するのではなく、経済的要素及び時間軸等、複数の要素を絡めて企業の中長期的な成長につながることを説得するという対応が考えられる。また、中小企業の成功事例等を可視化していくことも必要ではないかという指摘がありました。
次の部分、「生涯を通じた健康支援」です。
男性から女性特有の症状に悩む職員に対して声をかけにくい場合、産業医、産業保健師を活用できるとよいという指摘があります。
そして、仕事と家庭等だけではなくて、個人の治療と就労の両立支援も盛り込んでほしいという御意見がございました。
そして、生涯を通じた健康支援を進めるためには、疾病の罹患率や治療効果等の性差及び臨床試験における被験者の比率の性差が課題となっているため、6次計画には「性差医学」という言葉をしっかり入れていくことがよいではないかという指摘がありました。
続きまして、「地域における男女共同参画の推進」についてです。
地域の産業・活動等についてということで、1ポツ目、スマート農業に代表されるように、IT等を積極的に活用しまして、地場に根づいた地域産業を活性化させながら女性活躍の機会を設ける大きな施策が必要である。その際に、その現場、現地にいらっしゃる地域の当事者の女性の意見を吸い上げる仕組みが必要ではないかということが指摘されております。
次のポツです。同じように、地域においてシニアの男性が中心となってしまっている地域活動も、やはり残業をしない、長時間労働を防いでいく、ワーク・ライフ・バランスを考慮した取組があると、女性や若い男性、働く人全てが参画できるようになり、DXを活用しながら地域活動ができればよいという指摘がありました。
3ポツ目、地域の優良な企業が後継者不足のために廃業するケースが出てきております。そういった分野に女性の力をきちっと入れ込めるような仕組みをどうつくっていくのか。
次のポツが、農業においては、そもそも意思決定権者だけではなく、家族経営という点もあったのですけれども、女性の参画が進んでいた一方、意思決定の場の多くが男性社会という特徴があるため、農業とほかの産業は分けて記載する必要がある、そして、その理由をしっかりと言及しておく必要があるという指摘がありました。
地域の意識等について。地域活動の中心となっている男性自身も疲弊しており、女性の参画を望んでいるが、地域独特の女性自身の根強い性別役割分担意識のため参画できていないケースもあります。女性の意識改革も同時に進めていく必要があるという指摘がありました。
次のポツです。固定的な性別役割分担意識は、日本における経済分野のジェンダー・ギャップの構造的背景の中でも特に大きな課題になっております。昭和の家庭モデルを前提とした社会保障制度、税制、企業の家族手当等、固定的な性別役割分担意識を強固にする制度の改革なく意識のみを変えることは非常に難しいということで、意識だけではなく、国を挙げた制度の改革も必要であるという指摘がありました。
3ポツ目です。性別役割分担及び無意識の偏見から脱却するためにも、自治体もしくは業界・企業単位で実態のデータを把握することが重要であるという指摘があります。
最後になりますけれども、企業の経営者等、トップの意識改革が進み、コミットすることで会社が動くと指摘されております。
3ページ目に移動します。
地方から都市部に出る一つの理由に、「都会の生きやすさ」ということが挙げられていますが、実際には東京でもジェンダーバイアスが強いことがあるため、地方出身者が都会で直面するジェンダーバイアス及び地方から都会に出た若者・女性が本当に生きやすいかどうかに関して調査すべきであるという指摘が出ております。
次のポツです。特に地方においては、女性は結婚・出産・地域活動、男性は家業・安定・地域の担い手といった役割を期待されており、生き方の選択が性別による影響を受けやすい構造や文化があります。男性もこの点で生きづらさを抱えています。こういった背景が「自由な生き方を選びたい」、「制約されずに生きたい」等、若者を都市部に向かわせる大きな要因となっています。ジェンダー視点で地域を見直すことが、若者が行きたいと思う、居心地がいいと思う、そのままとどまるという地方になる、その鍵となると指摘をされています。
地域における取組の体制等について、地域の課題は、地方自治体と地域のステークホルダーが連携することによって解決することができると指摘があります。男女共同参画センターがある地域では、センターがハブとなって女性活躍が促進されていく。センターのない地域では、自治体が率先して旗振り役になることが重要であります。
それと同時に、多くの男女共同参画センターは予算の確保及び専門家の常駐が非常に困難な状況であるため、国としてどう予算措置をしていくのかを考える時が来ております。
3ポツ目です。地域社会、産業界、官が連携して、男女が平等に働けるような機会をどう提供していくのか。
続きまして、当事者の意見が反映された政策にしない限り地方創生はあり得ません。当事者の考えがどう反映されていくのか、この仕組みをつくる必要があります。6次計画には、当事者の意見を酌み取って合意形成をしていく旨の記載が必要であると考えております。
こちらの最後のポツです。地方において当事者の意見を取り入れるためには、委員にユース枠や女性枠をつくって登用すること、当事者だけの会議体をつくること、イベントなどを通して当事者の意見を聞くこと、SNSやICTを活用して意見を聞くこと、男女共同参画センターの来館者に話を聞く、こういうことを使って当事者の意見を吸い上げていくことが必要と考えられます。
その他になります。全国各地を見ると、今回のワーキング・グループでもそれぞれ発表いただいたのですが、個別に進んでいる地域もございます。また、そういう取組もございます。それを個の扱いではなく、全国に広げるための方策を考えていきたい。次期基本計画を、より汎用性のある事例を全体に展開していく構造にしたいと考えております。
地域社会は多様化しております。地域ごとに取り組むべき課題及びその優先順位は異なってきております。それぞれの地域において優先度の高い課題から取り組むことを重要視しておりますし、そのように表記する必要があると考えております。
続きまして、「科学技術・学術における男女共同参画の推進」です。
女子学生が理工系に進む道筋を立てるためには、現在の入試制度等、入り口を見直し整備をする必要があります。また、前回の会議でもありましたけれども、文系・理系だけの表記で果たしていいのか、この辺の議論もあると思います。
続きまして、修士・ドクターが積極的に採用されるようになっているという状況が周知されていません。ドクター卒業後の進路や就職先について、ロールモデルの存在を発信する仕組みが必要であります。
3ポツ目です。各分野及び大学教員における女性の割合が少ないというデータ及びその公表場所を開示・周知し、議論の材料を提示することが重要であります。
4ポツ目です。母数を増やさなければパイの取り合いに終始するため、特定の分野でのみポジティブ・アクションを導入するのではなく、多くの分野で導入し、全体としてパイを増やす必要があります。また、ポジティブ・アクションを導入する際には、前提条件の整理や、導入に当たる基盤整備をしっかりと検討する必要があると指摘されています。
科学技術分野に進む女性を積極的に増やすためには、アファーマティブアクションを一定期間継続して導入する必要が強く求められます。
3ページ目の最後。「ポジティブ・アクション」の取組支援及び「登用促進に向けての環境整備」について具体化する必要があります。
4ページ目に行きます。研究者としての一つ一つの段階における障壁及び課題を丁寧に検証・分析し、この辺も同じように公表していく。次につながりますが、情報公開をして、どの指標がどれぐらい有効なのかということを国が主導して公表することによって競争も働きます。そこから、子育てをしている親の意識も変わりまして、科学技術・教育分野におけるジェンダー規範に対する意識は、本人だけではなく親のジェンダー規範も変化すると指摘されました。
「教育・メディア等を通じた男女双方の意識改革、理解の促進」です。
1ポツ目です。ステレオタイプ等で自分を縛っている若者も少なくない成長過程でジェンダーバイアスが積み重なっていることによって、選択肢が狭まる要因になっています。そのため、早い段階からこのバイアスを植え付けてしまう環境や教育の改善も急ぐ必要があります。
2ポツ目です。ジェンダーについて分かりやすく解説しているページは、行政も民間にもあまりないと指摘されております。手軽にジェンダーや現状について知れるサイトや動画コンテンツが必要になってくるのではないかとありました。 SNSによって生まれてくる若者間の分断や誤解への対処として、正しく若者が見る情報をどこに出していくのかということが必要であると指摘されました。
4点目は、医療従事者、教育者、経営者等、専門性に合わせた人材教育が必要であるとされています。医療や生物関係の研究には、ジェンダー教育だけではなく生物学的な性差であるセックスの違いに着目した教育も重要であり、教育者には生徒・学生の進路選択にも深く関わるアンコンシャス・バイアスの理解を求める教育機会を提供する必要があります。
同じように、教育においては、世代に応じたジェンダー教育が必要になっております。中でも親が子に及ぼす影響は非常に大きいため、親世代に対するジェンダー教育をどのように提供し、実施していくかということが必要となってきます。
ミソジニーという形で、近年では女性ばかり優遇されているという声が出てきます。ジェンダー平等に関する誤解を取り除くことが必要になってきています。性別による差別があったというこれまでの歴史を同時に正しく伝える必要が出てきております。
「その他」でございます。
6次計画は計画の背景にも言及し、男女共同参画の今までの実績、経過、変化を記述し、全ての人が正確に読み取りやすい資料にしていく必要があると考えます。
テクノロジー及びイノベーション創出のために女性の参画が必要なのではなく、テクノロジーを利用して男女共同参画を推進したり、これまで困難だった政策課題を解決したりする必要があると指摘しています。
最後になりますが、テクノロジーの利活用の推進の阻害要因については、国が中心となって正しい知識を発信すべきであるというふうにございます。
最後に、「他のWGに関する事項」です。
基本構想ワーキング・グループに関しては、女性登用の目標の達成は、その入り口という意味で、新卒一括採用時に男女同数を目指すことが重要ではないかと指摘されました。
2ポツ目です。データは新たな取組や研究のきっかけになるため、社会的・文化的性差を指すジェンダーと生物学的な性差であるセックスとの違いを正確に理解し、必要性を認識した上で、最新のデータを提供・周知し、議論の基盤となる環境を整備していく。
3ポツ目です。ジェンダー、若者の視点からの地方創生には、意思決定の制度設計に当事者が参画できる仕組みづくり、データに基づいた政策づくり、制度のアップデート、そして、男女センターの機能強化等、総合的な取組が必要であると指摘されました。
安全・安心ワーキング・グループに関しては、近年ではSNSやAIの進化により、性的な画像の拡散及び個人情報の流出等、テクノロジーを利用したジェンダーに基づく暴力が出てきており、政策的な規制を含めて取り組む必要があると指摘されています。
2つ目です。DV被害を訴える男性及び疎外感の高まりを訴える男性の数に増加があるように感じると指摘がありました。実際に、男性も環境によってはマイノリティーになる状況があります。今後の男女共同参画の施策を考えるに当たって、男性の声を聞くことは今まで以上に必要になるではないかと指摘がありました。
最後になります。若者の中にも、外国人、障害者、生活困難者、ヤングケアラー等、様々な状況を複数抱えておられる方々がいらっしゃいます。そういった方にジェンダーの課題が重なることになり、さらに困難な状況を抱える現状があります。6次計画においても交差性の視点は非常に重要なポイントになるのはないかという指摘がありました。
以上になります。
○山田会長 ありがとうございます。
続いて、安全・安心ワーキング・グループにおける検討状況について、小西座長、お願いいたします。
○小西委員 私からは、安全・安心ワーキング・グループにおける議論を御報告いたします。
資料3をご覧ください。
安全・安心ワーキング・グループは、御存じのとおり3つの主なテーマがございました。DVや性犯罪・性暴力などのあらゆる暴力の根絶、貧困等生活上の困難に対する支援と多様性を尊重する環境の整備、さらに、防災・復興分野における男女共同参画の推進を担当しております。3月から4月にかけて、ほかのワーキング・グループと同様、3回の議論を行っております。
まず、安全・安心ワーキング・グループで扱っている分野の関係上、6次計画策定に当たって留意すべき社会情勢や現状に関しては、計画全体にも関係がある意見もございました。
「基本的な方針」のところをご覧いただきますと、ジェンダー平等や男女共同参画の推進を今後さらに推進するためには、それが男性の利益を奪うものではなく、男性の生活の質を高めるものであるという側面を強調していくことが重要ということで、いわゆる弱者に当たる男性に対し保護や支援が行き届きにくい現状があること、それから、二重のマイノリティー性を抱えた人たちの二重の差別、二重の困難というような、見えないところでの様々な困難を抱える人たちに支援が届くような政策の方向性を考える必要があるという意見もございました。
次に「女性に対するあらゆる暴力の根絶」のところですけれども、分野名をどうするかを含めて議論しております。女性に対するあらゆる暴力の根絶の下には「Violence against women」、これも国連でずっと使われていた言葉ですし、もう一つ「gender-based violence」ということもありますが、こちらは90年代後半ぐらいから特に国際的な場所で使われてきている言葉であります。
分野名については、男性や性的マイノリティーの視点もカバーできるので、「ジェンダー」という言葉は必要という意見がある一方、一般的になじみがない、いまだに女性の被害者が多いことの併記は必要という意見もありまして、引き続きの議論となっています。特にこの分野は、女性の被害者が圧倒的に多いというところで、対象者にもいろいろな意見があるかと思います。
施策面では、DVや性暴力被害者支援の状況や、ビジネスと人権の観点、AI活用の広がり等に伴うテクノロジーの負の影響など、幅広く議論いたしました。刑法、こども性暴力防止法等、広範囲をカバーできるようになりましたが、一層の啓発と司法関係者の意識改善が必要とされています。
それから、DVや性暴力の相談支援に当たる方の待遇改善が急務であるという御意見、
教員、医師、司法関係者等の養成課程からの研修や、在外邦人への対応の関係者や薬剤師への研修も必要という御意見もございました。
「生命の安全教育」の内容面の充実と、さらなる普及のための実効的な手段の検討が必要という意見もいただいております。
なお、4月11日に、女性に対する暴力に関する専門調査会でも6次計画に向けて幅広く議論いたしましたので、その際の議論の内容も安全・安心ワーキング・グループで共有させていただきまして、専門調査会での意見に加える形で意見をいただきましたので、女性に対する暴力に関する専門調査会での意見も後ろに参考につけさせていただいております。
続いて、「貧困等生活上の困難に対する支援と多様性を尊重する環境の整備」に関する議論での意見です。
まず、生活上の困難と申しましても様々な困難があり、今後は高齢者の単身世帯の割合が増えていくこととなるため、高齢女性の貧困の問題が生じることの御指摘、女性支援新法で支援の対象となるような女性が抱えている困難についての実態把握調査の要望がございました。
また、介護や子育てというきっかけがないと公的機関や支援とつながりにくく、女性支援新法では、DVなどだけでなく、経済的困窮等も対象に含まれ、全ての女性が利用できることの周知が必要ではないかということがございました。
女性相談支援員の市・区への配置率等の実施体制が重要であるということ、
未婚の女性や子供が成人した後のシングルマザー、父子世帯など、独り親世帯への支援施策の対象を広げてほしいということがございました。
住まいに関わる支援や相談窓口間での連携が必要という意見もございました。
日本における定住外国人は今後速いペースで増加していく見込みであるとのことで、エビデンスの整備の必要性や、移民女性の交差性の分析において、移住ルートや階層的地位によって移民女性の中でも大きく異なることなどの御指摘がございました。
続いて、「防災・復興における男女共同参画の推進」に関しては、能登半島地震での状況も踏まえて議論を行いました。
意思決定の場への女性の参画拡大に取り組む意義を伝えていくことが必要であり、
単に防災会議の委員の女性比率を上げればよいのではなく、被災や復興の過程にジェンダーダイバーシティーの視点が含まれることが重要であり、評価指標を工夫することもあり得るのではないかという御指摘がありました。
それから、消防大学校や消防スペシャリスト養成研修等の防災に関わる人材の養成課程で、男女共同参画の視点からの防災に関する研修機会を確保することも必要だという御指摘もございました。
災害時の課題は、社会の平常時の課題を大きく顕在化させることを念頭に、平常時の課題を改善していくことが防災においても重要といった意見がございました。
そのほか、ほかのワーキング・グループにも関連する意見も議論の中で出てまいりました。
男女共同参画センター等の相談員について、高いスキルを持ちながら生活が安定しないという困難を抱えている点も何か盛り込めないか。これは先ほども出ておりました。
それから、メディアやIT業界における女性割合の低さが顕著で、人権尊重意識を高めていくためにも男女の数的不平等が喫緊の課題であるという指摘もございました。
学術分野や研究機関での女性研究者の採用・登用推進に関する事項が抜けないようにしたい、章の枠を変えるとするとそういうものが抜けてしまわないようにしてほしいという議論もございました。
生成AIが学習しているデータセットに性差別的・人種差別的な学習データが使用されていることが報告されており、生成AIを活用していく際にはどのようなデータを学習した上でAIが働いているかに留意する必要があるという指摘もございました。
幾つも今までの指摘と重なっているところでございます。
以上、安全・安心ワーキング・グループにおける議論について御報告させていただきました。ありがとうございます。
○山田会長 小西座長、ありがとうございました。
それでは、3つのワーキング・グループからの報告について御意見や御質問のある方は、Zoomの挙手機能を使っていただき挙手をお願いいたします。ワーキング・グループの検討内容に関連して、追加、深掘りすべき論点や具体的な取組に関する御意見のほか、議論を深めるため、他の委員から出された御意見についてのお考えなども積極的にお述べいただければと思います。
御質問については、一通り御発言をいただいた後、各座長及び事務局からまとめて御回答いただくようにさせてください。よろしくお願いします。挙手機能を使っていただければ幸いです。
納米委員、よろしくお願いします。
○納米委員 御説明ありがとうございます。
3つのワーキング・グループの議事の要旨とかプレゼンテーションの資料なども公開されていらっしゃいますので、それらも拝見いたしまして、大変熱心な議論が行われていることは承知しております。その上で、7点ほど質問があるのですね。もしあまり長くなってしまうようでしたら途中で止めますので、山田会長、おっしゃってください。
1点目は、基本構想ワーキング・グループに対してです。「基本的な方針」のところに、「積極的なポジティブ・アクションを進めて登用していくというムーブに関して、抵抗感が強くなっている風潮もある」といった記載、それから、「女性に対するポジティブ・アクションだけを推進しているような印象を与え続けてきたことによる弊害」といった記載があります。ほかのワーキング・グループでも、例えば「ジェンダーの文脈のみで議論するのではなく」といった言及であるとか、「男性の利益を奪うものではなく」といった言及があって、これらは具体的にはどういうことを指しているのかということについて御説明いただければと思うのです。
先ほど、弱者男性に対する目配りが必要なのではないかといったことも出てまいりましたけれども、いろいろな動きがあることは漏れ聞いていますが、中には誤解に基づくクレームもあると思いますし、それに対しては毅然とした対応をする必要があるのではないかというのが意見の1点目です。
それから、基本構想のワーキング・グループの「政策・方針決定過程への女性の参画拡大」で、公務員についても触れられていらっしゃいます。これは、人材・地域のほうでも触れられていたかと思うのですけれども、公務員も女活法の対象ですよね。そこで、10年経過をして公務員に関してどういう進捗があったのかということについて検証したほうがよいのではないでしょうか。厚労省でやっていらっしゃるプロジェクトチームの資料を拝見しますと、給与差異について詳細な分析を行っている地方公共団体の例なども紹介されていまして、計画には公務員の賃金格差の是正に向けて実質的な施策を盛り込んだほうがよいと思います。
3点目ですが、男女センターについて各ワーキング・グループで言及してくださっていること、ありがたく思います。今回の独立行政法人男女共同参画機構法とその関連法で、男女センターを基本法に位置づける改正が行われようとしていまして、これはぜひ成立してほしいと思っています。
そこで、男女センターの予算ですけれども、事業予算だけ増えても職員体制が弱いと仕事は進まないのですね。男女センターで働いている職員は、多くが女性で、非正規が非常に多いという実態が分かっています。そうすると、女性支援をしようとしている職員自身の働き方が経済的に非常に脆弱だという矛盾を抱えていて、そういう中で事業費だけが増えると、かえって業務負荷が高まってしまうという矛盾が生じるので、ぜひともセンターの職員体制の充実と処遇改善ということも盛り込んでいただきたいと思います。
ここまでが基本構想ワーキング・グループに関連する意見です。
続けてよろしければ、人材・地域・意識のワーキング・グループについてです。「雇用等における男女共同参画の推進と仕事と生活の調和」というところで、ショートワーカーについて言及されていますよね。ショートワーカーということが、パートタイマー、パートタイム、短時間労働者、短時間就業者、様々な言葉で言われているのですけれども、生産性の向上、能力の開発というところに、短時間、ショートワーカー、ショートタイマーを取り上げる意図はどういうことなのでしょうか。どうしてこういうふうに考えられたのかということについて聞かせていただきたいと思います。
あと、地域についてです。今は地方と東京という図式が立てられていますけれども、私は川崎で、東京の周辺に住んでいるのですね。そうすると、何が起こっているかというと、男性は長時間労働に加えて東京に通う長時間通勤ということです。東京は不動産価格が高過ぎて住めないので、川崎だけではなくて、その周辺地域では長時間通勤という問題が起こっていて、それに性別役割分業が絡まって、女性は地元で非正規で就労するということになっていて、地方対東京だけではなくて、そういうことも起こっている。その元はやはり性別役割分業だということを押さえる必要があるのではないかなと思います。
これが最後です。安全・安心ワーキングでは、冒頭で申し上げたように、「男性の利益を奪うものではなく」を書く必要があるのだろうかということへの疑問と、あとは、4月11日の女性に対する暴力に関する専門調査会で出た意見はかなり具体策がありますので、それを計画に確実に取り込んでいただきたいと思います。
長くなって恐縮です。以上です。
○山田会長 ありがとうございます。
続きまして、北仲委員、小林委員の順番でお願いいたします。
○北仲委員 人材・地域・意識ワーキングの方に対して、質問はないので幾つかコメントをしたいと思います。
司法のところで主権者教育が必要だという御意見があったそうですけれども、人材とか働き方について、今回非正規のことがたくさん言及があったのは本当に大事だと思うのですけれども、そこに関連するのは主権者教育だけではなくて、雇用契約とか賃金、正規・非正規とは何なのか、休暇制度、社会保険、あるいは税金の控除などのことについて、子供たちや若い人は本当に知識がないということを大学生とかに接していてずっと私は実感しています。こういう雇用者教育がないのですね。パッケージもないですし、学校のカリキュラムでもない。キャリア教育はある。職業とか能力開発、職業選択についてはいろいろな工夫がされていますけれども、メリットもデメリットもよく知らないまま非正規を選んでいることがたくさんあって、雇用契約関係の雇用教育というのがどこかでなされるべきではないかなと思っています。
それから、人材育成というところで科学技術のところです。私も大学におりまして、特に理系研究者の話とか、医学部の人々と接しているわけですけれども、理系の女性の研究者を増やすというのはいいわけですが、まさに理系の世界というのは徹夜で実験することが美しい働き方なのだというような意識が非常に強いのです。そこで、研究者の中でワーク・ライフ・バランスということ自体が「研究をするなということですか」というような反発を受けるという現状があるので、女性研究者を増やすと同時に、長時間労働をどうやって変化させていくかという視点が必要だなと感じています。
それから、人材のところで出てきた、先ほど納米委員もおっしゃいましたけれども、暴力のところに出てくる男性の話です。男性の弱者とか男性の理解の少なさという話だけではなくて、ジェンダー施策への理解を増やすことは必要ですけれども、ごく一部の人ではあるのですが、非常に強い嫌がらせをする、ジェンダー平等施策に対する反発をする人たちがいることは事実で、それが、一つはオンライン上のデマとか嫌がらせという形になり、それは単発ではなくてネットワーク化されて嫌がらせ行動をしていますし、男女センターの施策などにクレームをつけるというような、それぞれの地域での行動にもなっていると思います。
それに対して、男女センターとか自治体の行政の人たち、またその上の管轄する人たちというのは非常にクレームに弱いので、萎縮してしまって、現場に控えさせてしまう、いろいろな活動をやめさせたり、縮小させてしまうということが起きているので、これはノウハウの問題だと思うのですよね。
カスタマーハラスメントも施策として入ろうとしていますけれども、ただ予算を増やすだけではなくて、このような一部の人だけでもかなり強烈な嫌がらせやデマに対して日本中どこでも同じように対応できるようなノウハウを共有していくような対策が必要かなと思っています。
最後に、安全・安心の暴力などの施策のところです。たくさん言及されていますように、1つは職場のセクシャルハラスメントというのは非常に重大で、被害者も多いのですけれども、これに本格的に対応できる相談窓口やそのノウハウは日本では本当に少ないです。それから、子供の性暴力被害というのが非常に深刻で、全般的に性暴力やDV被害の中でも、特に職場対策と子供の対策にきちんと意識して取り組む必要があると思います。
そのためには、ここで幾つかのところで言われていますように、相談員の待遇改善というのは本当に賛成ですけれども、それと同時に相談員の能力の向上が必要で、先ほど言いましたように、セクシャルハラスメント対応とか、様々な施策が準備されていても、本当にばらつきがあって、それを使いこなせる相談員が少ないことを改善する必要があります。
それから、日本の施策は初期の相談に限られていて、住まいの話も出ていましたけれども、中長期の生活だとか、住まいだとか、それから、健康を回復するような支援というのはちゃんと用意されていない。そこにも手をつけるべきだなと、皆様の意見を聞きながら感じました。
以上です。
○山田会長 ありがとうございます。
続きまして、小林委員、井上委員の順番でお願いいたします。
小林委員、お願いします。
○小林委員 ありがとうございます。
まず基本構想ワーキングのほうですが、先ほど来出ていますように、「基本的な方針」の中で、「女性に対するポジティブ・アクションだけを推進しているような印象を与え続けたことによる弊害」というのは一体何なのかというところで、これは資料2とか3でも指摘がありますけれども、仮に女性だけという印象を受けているという側面があるとすれば、その点の理解を求めるほうが先ではないのかなと思っております。
それから、「政策・方針決定過程への女性の参画拡大」の中で、30%の目標数値は決して後退させてはならず、目標達成への意欲が減退したかのような計画にしてはならないというのは、まさしくそのとおりだと思うのですが、そこでとどめるのではなくて、最終目標はパリティなのだよ、フィフティー・フィフティーなのだというところは何らかの形で表現されてはいかがかなと思っております。
それから、司法分野のところですが、「裁判官の成果目標を念頭に置きつつ」と書いてあるのですが、何を想定されているのかがよく分からないのですね。司法の独立であるとか裁判官の独立を侵すものではないと先ほど御説明をいただいたのですが、例えば、判決とか和解という事件処理の数を意味するということだとすると、それ自体が適正な司法権の行使をゆがめるという指摘は、司法改革は1990年代ですから、そのあたりから指摘があるのですね。事件自体は多種多様なので、全てが短時間でできるわけでありませんので、この指摘によってはかなりハレーションが起きるのではないかという気がします。
同じくハレーションということでちょっと気になったのは、公務員のところに「現状としてその評価がなかなか効いておらず」という表現があるのですが、これだけを読むと、公務員の評価システムは機能していないと読めてしまうので、具体的にどのようなことを想定されたのかを知りたいと思いました。
それから、「ジェンダーバイアスに起因している制度は、女子差別撤廃委員会からの勧告に幾つか具体的に示されている。それを6次計画にどのように盛り込むか検討すべきではないか」という指摘は賛成なのですが、その前の選択的夫婦別姓の問題と同じく、特に女子差別撤廃委員会からの指摘については、政府から拠出資金の用途に対する対応というのがありました。そうすると、選択的夫婦別姓、女子差別撤廃委員会への対応というのは、下手をするとイデオロギー的に見られてしまう危険性があるので、仮に記述をするとすれば、そこは独り歩きをしないような記述が求められているのではないかと思いました。
これは質問ですが、資料2でジョブ型雇用の話が出てくるのですが、「ジョブ型雇用では評価制度と連動していくことが重要」という記述があるのですが、そもそもジョブ型雇用というのはジョブの内容が職務要件となっているわけですが、ここで言っている「評価制度と連動していくことが重要」というのは、職務給についての評価の話なのか、つまり、そこが限定されているのかどうかというところが分からなかったので、それをお聞きしたいと思いました。
もう一つ、科学技術分野において、「科学技術分野に進む女性を積極的に増やすためには、アファーマティブアクションを一定期間継続して導入する必要がある」ということですが、女活法との関係で、少なくとも国立大学法人においてアファーマティブアクションはかなりの面で取られていると思うのですね。私自身も顧問先で異議が出て人権救済の申立てをされているというのがありますので、ここは現実的な実態、数字の確認が必要ではないかなと思っております。
それから、地域の意識等については、山田先生がかねてからおっしゃっているように、農協連合会等の業界団体をどうするのかというところも取り上げてはいかがかなと思いました。
以上です。
○山田会長 ありがとうございます。
井上委員、石黒委員の順番でお願いいたします。
井上委員、お願いします。
○井上委員 ありがとうございます。
それぞれ詳細な御説明をありがとうございました。文章を読んでいるとあれと思っていたところが、説明をいただくと分かりやすくなっており、それぞれありがとうございました。
その上で、資料1の基本構想のところから参ります。先ほど来、納米先生、北仲先生、小林先生からも出ていた「基本的な方針」のところの女性に対するポジティブ・アクションの弊害のところについては、やはり私も違和感を覚えましたので、そこは説明をいただければと思います。
それから、次の「政策・方針決定過程への女性の参画拡大」ですが、30%目標という記載がありますけれども、世界は203050、2030年までに50%、先ほど小林委員からもありましたパリテを目指していますから、やはりそこはきちんと書き込む必要があるのではないかと思います。
それから、2ページ目、女性起業家のハラスメントのところです。この間、私も発言し意見書も出しましたけれども、投資家と起業家という関係の中でハラスメントが横行していることがもう明確に出ていますので、これはしっかりと新しい課題として触れるべきだと思います。
環境問題に関して、「公正な移行」が入りました。私は、国連気候変動枠組条約、COPの会議にも出ておりまして、その意味では「公正な移行」が入ったことに関しては大変うれしく思っているところです。産業構造が変わる中で、どうしても弱い立場にある人たちが影響を受けやすいところがありますので、「公正な移行」をしっかり書き込んでいただくことは大変有意義だと思っています。
次の「男女共同参画の視点に立った各種制度等の整備」ですが、選択的夫婦別制に関しては私もずっと言い続けております。連合が2025年2月にインターネット調査を行った際に、20代男性の5人に1人が「婚姻の際、いずれか一方が氏を改めなくてはならないことが婚姻の妨げになる」と回答しています。その意味では、これが実現されないことによって、若者、そして、事実婚をしている皆さん方がとても苦労していますから、これはしっかりと書き込んでいただきたいと思っております。
それから、3ページの「他のWGに関連する事項」のところです。安全・安心ワーキングのところとも関係する最後から4行目、国際比較のジェンダー・ギャップ指数のところに、「日本の教育水準は高いが、僅かながらも男女差が開いてきている」とあります。もともと日本の教育水準は識字率で今まで高かったところが、高等教育に上がる女性たちが少なくなっているというか、そこがジェンダー・ギャップ指数の調査項目に入ってきているのではないかと思いますので、そういうところでの調査もしっかりとしていく意味があるのではないかと思いました。
続いて、人材ワーキングのところです。働き方の多様性で、先ほどから出ているショートワーカーを取り上げた理由という御意見がありましたけれども、ショートワーカーあるいはスポットワークを推奨することでさらに女性の貧困層を拡大するのではないか。スポットワークで働きやすいのはいいのですが、社会保障とかはどうなるのだという課題がありますので、ここはセットでやっていかないと、さらに女性の非正規あるいはフリーランス、弱者の人たちを生んでしまう、貧困層をさらに生んでしまうことになるため、ここは気をつけなければいけないと思います。
それから、2ページ目以降の地域のところです。「女性自身の根強い性別役割分担意識のため参画できていないとも聞くため、女性の意識改革が必要である」とあるのですが、ここは卵が先か鶏が先かなのですが、もともとの地域の背景の中でどうしても女性は前に出られないというところもあるのではないかと思います。例えば、産業がない地域、あるいは若者がいない地域などでは昔の文化・風習が残っていて、女性がそこに住みづらい環境がありますから、それを女性自身の意識の問題のような理由にされてしまうのはいかがなものかなと個人的に思いました。限界集落なり、産業がない地域をどうやって活性化していくかというのがこれから課題になってくるのではないかと思います。
4ページには、ジェンダー規範に関する親の働きかけ等がありましたけれども、これはぜひ進めていただきたいところです。
資料3の安全・安心ワーキングですが、「女性に対するあらゆる暴力の根絶」の分野名のつけ方については、今、男性に対してもというのがあるので難しいと思うのですが、gender-based violenceというのが国際的になってきている中で、それを説明するようなことがあってもいいのではないかと思いました。
それから、女性支援新法に関してはまだまだ国民に知られていないということがたくさんあると思いますので、その周知は大変重要です。また、男女平等参画センターとか女性相談支援員、先ほど北仲委員からもありました相談員の能力向上であるとか、予算をつけるだけではなくて能力向上についてもしっかりとしていくことが必要だと思います。
3ページの防災・復興のところです。能登半島地震を中心に議論されたということですけれども、「救援者が過酷な状況に置かれていたことも一因」という記載があります。もう一つは、地方自治体における防災などの部署にいる女性たちは非正規で働いている女性たちが多いと思うのです。結果、非正規で働いている多くの女性たちは補助的業務なので、何かがあったときに第一線として働けない、任されないという実態があると思います。そういう意味でも、自治体の非正規で働く女性たちの処遇改善は大変重要になってくるのではないかと思います。
長くなりましたが、以上です。
○山田会長 ありがとうございます。
続きまして、石黒委員、山本委員の順番でお願いいたします。
石黒委員、お願いします。
○石黒委員 ありがとうございます。
全体を通して、特に今回から始まったということではないのですが、比較的新しい視点のものが議論されていることが評価できるところではないかなと思っています。例えば、投資家と起業家というのもそうですし、中でも、ジェンダー・ギャップというものは日本が遅れているから対策をきちんと取らなくてはいけないということももちろんそうなのですが、反対に、日本が課題先進国になっていて、それを対策することによってグローバルに指針を示せるものがあることはいいことではないかなと思います。
例えば、安全・安心ワーキング・グループの中に高齢女性の貧困ということがありました。これは恐らく将来的に非常に大きなリスクになっていくと考えています。世界経済フォーラムでもいろいろ研究がなされていて、2050年に60歳以上の方が世界で21億人になると指摘されているのです。これは非常に大きな問題です。
世界経済フォーラムでは部門が10個ぐらいあるのですけれども、部門というのはセンターと呼んでいます。センターの中でもCentre for Financial and Monetary Systemsという経済などとかを扱っているところがイニシアチブを持っていて、longevity economy、世界的に長寿社会になっていることに対して経済の面から対応を求めていくものですけれども、当然テクノロジーを使ってとか、福祉の観点、健康の観点、様々なところから何らかの対応をしていくのですが、このように、日本の中で世界に先駆けて課題があるものに対して今後もっとたくさんの指針を示していくことができるのではないかと思います。日本が課題先進国なので、例えば高齢女性の貧困に対してどういった対応をしていくのかということを議論することは、グローバルに対して日本が示していける対応策ということで、国際的な視点からさらに取り組んでいくことはいいことではないかなと思いますので、この視点から言えば課題は長寿ではなくて何個かあると思います。ぜひそこのところを強く推進していっていただきたいと思いました。
以上です。
○山田会長 ありがとうございます。
山本委員、佐々木委員の順でお願いいたします。
○山本委員 まず基本構想について大きな違和感はないのですが、基本構想ワーキング・グループなので、これまでの5次計までに何ができて、まだ何ができていないのでこういう計画を6次で立てるのだというような大きな方針が示されるべきなのかなと思っていたのですが、1つ目のポチでそうかというと、ちょっと中途半端かなという印象を受けました。女性が辞めにくくなった、コロナの影響で男性が柔軟な働き方を選択できるようなってきたというのが、これが5次までの成果なのかというと、どうもそれだけではないような気がする。今後に向けたというところも、ほかの委員からも出てきていますけれども、少し偏っているような気がします。
そういう意味では、柔軟な働き方が進展したり、女性が辞めにくくなったとか、女性活躍が企業で進んだというのは大きな進展だと思うのですが、それが上場企業とか優良企業、一部の企業ないしは都市部の企業では確かに進展した。ただし、中小とか地方ではまだまだ進んでいない。言い換えれば、格差が開いてきたとも言えるというのがこれまでの状況なのかなと私は思っています。
それを考えると、6次計画では、例えば大企業、優良企業で起きている流れを裾野に広げていくということを大きく打ち出してもいいのかなと思いました。具体的には、それを地方とか中小企業にどう浸透させるかというところで、それこそが今年の女性版骨太の方針にもかなり関係してくるでしょうし、政権の目標とも近くなってくるので親和性があるのかなと思いました。
また、一部で進んだ働き方改革、柔軟な働き方ないしは労働時間を短くするという動きが、そこに対してもまた最近中小企業などではバックラッシュがあって、働き方の自由度を高めたいとか長時間労働をしたいという意見も出てきているので、そういう流れは止めないで、むしろそれを中小に落とし込んでいくというようなメッセージを強く出していただきたいなと思いました。
それから、基本構想のほかの委員の方が述べていないところで、推進体制の整備に触れていただいているのはすごくいいことだと思いました。私は計画実行・監視専門調査会の委員になって間もないですけれども、感じているのは、客観的な検証あるいはエビデンス・ベースド・ポリシーになっていないとか、省庁の方がこれまでこういうことをやってきましたというふうに実行・評価をされるのですが、第三者による評価・検証があまりされていないというところが課題かなと思っていまして、計画実行・監視専門調査会のようなものも、今のような形でも大事なのかもしれませんけれども、もう少し地道に検証するという組織、委員会をつくることも大事かなと。それに加えて、学術的な効果検証を行うような体制もぜひ必要だということを書いていただければなと思います。
具体的には、検証するには研究者にお願いしたり、研究者にインセンティブを出すという意味で、例えば科研費のような形、あるいは厚労科研とかほかの省庁が助成金を出しているように、女性活躍推進とか男女共同参画に関する研究を募集して、このテーマについて研究してください、結果を出してくださいということをうまく活用していくような、学術研究の研究助成とリンクさせるような体制整備をすることで、エビデンス・ベースド・ポリシーが進んでいくのではないかなと思いまして、ぜひそこを盛り込んでいただきたいなと思いました。
次に、人材・地域の部分です。大きくは賛成なのですが、少し違和感があったのが、2ページ目のワーク・ライフ・バランスというところで、先ほどの発言にも関係するのですが、「働き方改革関連法により長時間労働の問題はある程度是正されたため」と言い切っているのですが、やはりこれは一部だけだと思うのです。地方、中小などではまだまだ長時間が残っているし、柔軟な働き方にもなっていないという意味では、そこは誤ったメッセージを出さないようにしたほうがいいのかなと思います。
かつ、「ウェルビーイングを高める仕組みを作るという方向に舵を切るべきである」、これは恐らく大企業や優良企業だとそうだと思うのですが、中小企業ではそこまで行っていないので、まずは働き方改革、長時間労働の是正というところがまだまだ必要なので、そこは誤解を与えないような形で、地道な、これまで必要だと言われていたような働き方改革も大事で、さらに次のステップとしてウェルビーイングの向上を狙うというような書き方がいいのではないかなと思いました。
それから、AIの進展、普及に対する対策として、そこと非正規雇用をもう少しリンクさせた記述が必要なのかなと思いました。どうしても影響を受けやすいのが定型的なタスクを多く担っている非正規雇用で、その多くが女性ということもありますので、AIの普及の仕方によっては大きな負の影響を受け得るのが女性でもあるということなので、人材育成の機会で女性あるいは非正規雇用の能力開発が必要だというような、少しAIの進展とリンクさせて能力開発の提言などにもつなげていくといいのかなと思いました。
あとは細かいところですけれども、ジョブ型雇用について、私もこれはなぜここに出てきたのかがよく分からなかったのですが、ジョブ型雇用はこれまでの日本的雇用慣行あるいはメンバーシップ型に比べれば、かなり女性活躍推進には親和的だと思うので、ジョブ型雇用を評価するというのはいいことだと思うのですが、もしそうするとした場合には、ジョブ型雇用というのはポストが大事ということで、そうすると、このポストは女性、このポストは男性というふうに、かつての一般職・総合職のような形で分断されないかというところも心配になるので、そうならないような形で適正なジョブ型雇用の運用が必要だというところもメッセージとして出していただければと思います。
最後に、「短時間労働者と正規雇用者の社会保障を含む雇用条件の格差是正」というところがありますけれども、社会保障のところで配偶者控除の話、その辺りをもう少しドラスティックに、就業抑制的にならないとか、性差につながり得る制度ですので、そこをもう少し踏み込んだメッセージを出してもいいのかなと思いました。
私からは以上です。
○山田会長 ありがとうございます。
では、佐々木委員、お願いいたします。
○佐々木委員 ありがとうございます。
ワーキングのところから外れてしまうかもしれないのですけれども、以前いただいた資料で、第6次男女共同参画基本計画の構成の中で、第3次から第5次まで入っていた「科学技術・学術における男女共同参画の推進」というものをなくして、テクノロジーの進展・利用・活用の広がりを踏まえた男女共同参画の推進というところに抱合しようという感じが書かれていたのですが、これは非常に問題だと思っています。
科学技術・学術はテクノロジーだけではないです。テクノロジーだけで進んでしまうとすごく危険なところがあって、今回、女性版骨太のほうでもジェンダード・イノベーション、ちゃんと性差の視点を入れていきましょうという活動も入ってきていますけれども、それはテクノロジーを生み出している人たちが築いたのではなく、科学史をやっていて、科学の歴史をずっとやっていた中から問題点が見つかって、そこを指摘して、我々科学者がそれをちゃんとやらなくてはいけないという流れになってきたというものがあります。やはり人文・社会科学系と科学技術というのはしっかり融合しながら進んでいかなくてはいけないので、科学技術と学術というものは分けてはいけないものだと思っています。
また、テクノロジーに入らなかったものを女性参画拡大を図るための取組に入れるという話だったのですけれども、女性参画だけの取組ではなく、我々大学は教育機関にもなってくるので、学術分野、科学技術、人文社会等も含む幅広い教育を通じて、国民の知識というか教育を高めて、持続可能な知の創出とその基盤形成に非常に深く関わってくるので、「科学技術・学術における男女共同参画の推進」というものはしっかり一本入るべきだと思っています。どちらかというと、テクノロジーの進展と一本立てようとしたものをその下に入れるという形が正しいのではないかと思います。
ここからはワーキング・グループの話になります。まず基本構想ワーキング・グループの方のコメントで入っていた、若者というものを入れていきましょうと。「テクノロジーを利用した暴力や、若者に関し見えづらいところで深刻化している課題」というのがありますけれども、テクノロジーの分野では高齢者がなかなか入っていけない、特に女性と男性では女性のほうがテクノロジーに弱いということで、先ほどインターセクショナリティーという文言も出てきましたけれども、二重の困難を抱えてしまったところが非常に弱くなりますので、そこにぜひ高齢者という考えも入れていっていただければと思います。
また、選択的夫婦別姓のところです。今、通称使用拡大みたいな方向に行きそうな雰囲気もあるのですけれども、もし本当にそちらのほうに流れてしまうのであれば、女性研究者は通称使用ではなく、選択的夫婦別姓が使えないということで事実婚をしている人が非常にたくさんいるのですね。事実婚は婚姻をした人と同じような権利がもらえていないので、もし通称使用の拡大のほうだけで進みそうになっているのであれば、事実婚に関するちゃんとした権利をしっかり与えていくということも一緒に検討していただく必要があるのではと思います。
人材・地域・意識ワーキング・グループの方に対するコメントになります。「ジョブ型雇用では評価制度と連動していくことが重要」と書いてあるのですけれども、本当にそうではあるのですが、こちらも2年ぐらい前の『ネイチャー』という雑誌に、論文とかに名前が入ってくるのですけれども、そこに女性研究者の名前が入ってこない。論文で評価します、論文が幾つあるかで評価しますと言っているのですけれども、そもそも評価対象になる論文作成のところで女性は名前が入ってきにくい。それもライフイベントとか何かといったら、学生の段階からずっと低いという問題があります。評価は重要なのですけれども、その評価自体が正しい評価になっているのかという視点が重要になってくると思います。
また、「生涯を通じた健康支援」ですけれども、ここも女性だけではなく男性ということで、「性差」という言葉を使っていただけるといいのかな。「性差を考慮した生涯にわたる健康支援」ということです。かつ、どうしても更年期ぐらいまでの対策しか考えられていないので、やはり高齢者、老年期の健康支援というものをしっかり入れていただければと思います。
また、「『性差医学』という言葉が入るとよい」と書いていただいていますけれども、本当に性差医学というものがしっかり広まっていって、かつ、それが実際の医療に実装されるように医学教育というところを本当にしっかりしていただかないと、国民がそういう治療、医療を受けられないということがあります。
次に農業です。農業は別立てにしたほうがいいというのは、本当にそうだなと思います。農業は食を支えるというところで重要な分野なので、農業という項目を一つ立てる必要があるのかなと思います。
また、先ほど長距離通勤の話がありましたけれども、なぜ長距離通勤になってしまっているのか、都市の開発の方法に問題はないのか、まちづくり自体に問題はないのか、町ごと変えなければいけないのではないかと思います。働き方を変えるというよりは、町自体を変えるというような方向性が重要かなと思います。
「科学技術・学術における男女共同参画の推進」です。ここは、教科書自体が現在問題だと思います。そういうステレオタイプが埋め込まれてしまう。例えば、歴史の教科書だと、歴史上の女性が出てくる割合が非常に少なくて、男性が歴史をつくってきたみたいな教育になってしまっています。
また、大学に対する支援はいろいろしていただいているのですけれども、企業にもたくさん女性科学者がいるので、企業の女性科学者への支援というものをしっかり書き込んでいただかないと、せっかく理系に進んだ女子学生が増えたとしても、その後のキャリアをしっかりステップアップできるようなものをつくるためには、経産省とかが関わって企業にいる女性科学者というものをやっていただければと思います。
あとは、ここに書いていただいている「テクノロジーを利用して男女共同参画を推進したりこれまで困難だった政策課題を解決したりする必要がある」、その視点も非常に重要だと思います。そういうものを生み出すために女性の参画が必要だ。実際そうではあるのですけれども、それを強く主張してしまうと女性がやらなくてはいけない。テクノロジーを利用してやるのは、男女ともにそういうテクノロジーを開発できるわけなので、そこは書きぶりをしっかりしていただければと思います。
性暴力に関しましては、この間の会議でも障害者のデータを国が持っていないということを言っていたので、しっかり性暴力のところに障害者という視点を入れていただければと思います。
以上です。
○山田会長 ありがとうございます。
白波瀬委員が所用で退出いたしましたので、あと残りで私が、時間が押しているのですけれども、コメントというか要望をさせていただきます。
まず、基本構想ワーキング・グループは、アファーマティブアクションに対する反発というところがありましたけれども、それを書くと根拠があるように思われてしまうので、そういうものは男性にとってもメリットがあるというメリット側面を書いてもらう、それを周知するというような形にすると納得が進むのではないかなという気がします。
あと、私は家族社会学者ですので、社会保障の面でもう少し具体的に書き込んでもいいのかなと思いました。例えば、私がいつも言っているのですけれども、育児休業は基本は正社員しか取れないし、短時間パート、フリーとか自営業の方々は育児休業のメリットは全くないので、そういう人たちが多い地方で子供の数が減っているという主張をよくします。さらに、制度があっても取れない人たちがいる。私の知り合いの先生の派遣社員調査では、雇い止めが怖くて育児休業を言い出せない人が結構いたということもありますので、ぜひ家族や労働形態にとらわれないような社会保障・税制というものを、できれば具体的なものも含めて進めていただくように書き込んでいただければありがたいと思っております。
働き方、暮らしのほうですけれども、やはりこれは地方ですよね。複雑な問題がいろいろ絡んでおりますので、そこを重点的に、ほかの委員もおっしゃっていましたけれども、差別的な慣行、労働形態、そういうものを含めて書いていただければいいと思います。
農業に関しては、私は家族社会学専門なので、男の跡継ぎがいて嫁というシステムがある限り、農業地区での男女平等はなかなか進まないのですよね。さらに、婿探しで大変だという声も私はよく聞いていて、今は次男、三男がほとんどいないので、いわゆる名前を変えてもらう人しか婿さん候補がいないということで、そういう点から夫婦別姓を望む後継ぎ女性の声も非常に多くなっております。それだけが理由ではないのですけれども、そういう選択肢を増やすことが農山村地域も含めた地域社会のメリットになるというところを強調していただければいいと思います。家族農業というのを今後どうしていくかというのは、もちろんここだけで解決できる問題ではありませんけれども、せめて女性が活躍できるような農業経営の在り方の提言も含めていただければありがたいと思います。
安全・安心のほうです。私はそちらの部会に属していたものですから、職場の上司から部下へのセクハラだけではなくて様々なハラスメントがある、さらに男性へのハラスメントもあるというところで、ぜひここを広い意味でのあらゆる性暴力、職場における性暴力、私は何回も強調しますが、看護師、介護士、接客業におけるカスタマーからのハラスメントがあったり、さらに芸能界のスキャンダルになりましたけれども、フリーランスから正社員へのハラスメントまであるわけですから、取引関係でのハラスメント、もちろん話題になっている女性起業家へのハラスメント、そういう職場的環境というか、仕事上のセクハラというものが結構あるというところも少し書き加えていただければと思います。
あと、名称に関しては、これも前回、問題提起して書き込んでいただきましたけれども、女性に対する暴力として女性と書いてあるけれども、実は男性への暴力も含むというふうにするか、もしくはジェンダー性暴力として、女性に対する暴力が非常に多いことは問題というふうに書くか、どっちに決まるにしても注意書き等を入れていただければありがたいと思います。よろしくお願いいたします。
それでは、これまでの御質問について、御回答というか、方向性でもいいですので、3座長の皆様、リプライをお願いできればと思いますが、いかがでしょうか。
鈴木座長からお願いいたします。
○鈴木委員 いろいろな御意見や御質問をありがとうございます。
まず前提として、私の理解では、本日のこの委員会ではオープンに委員の皆様方から意見を出していただくということで、資料1にはワーキングでの構成員の意見をあまり加工せずに載せておりまして、優先度が高い順に並んでいるわけでもなければ、この内容自体を、この専門調査会が最終的にまとめる計画策定に当たっての基本的な考え方に書くべきだという意味で載せているわけでもないと理解しております。
その上で、納米委員、小林委員、井上委員から資料1の冒頭のところについてご質問がありました。これは冒頭に書いてあるので非常に目立ってしまったのだと思いますけれども、ここはワーキングの構成員から、実際に民間企業の現場でこの分野の調査やコンサルティングなどをされている経験を踏まえて、実際に企業に触れていらっしゃる上での所感としてこういうことを感じているというお話があったということであります。そういう意味では私から具体的に何か申し上げるのは難しいのですけれども、女活法に基づく取組を進めてきてうまくいっているのかというと、そうではない部分もある中で、一方的にポジティブ・アクションを強化すればうまくいくとは限りませんうし、そこは一定の慎重さを伴ってやったほうがむしろうまくいくのではないかという意見が出された、ということです。
それから、納米委員から、公務員に関して、女活法の対象でもあるのだから検証すべきというのは、まさにおっしゃるとおりだと思いました。
男女センターの予算について、事業予算だけ増やしても業務負担が増えるばかりというお話はまさにおっしゃるとおりで、私も昨年秋までの2年間、男女センターの機能強化に関する議論にかなり関わらせていただきました。職員の育成・確保や処遇についてどうすべきかについて議論して、ガイドライン等にきちんと書き込むべきだと思っております。その際、予算を獲得していく上でも、職員の能力・技能の向上とか、男女センターの機能の向上、どんな成果が上がっているのかということとセットで体制充実の必要性を打ち出していければと思います。
それから、小林委員、井上委員から、30%目標の次はパリティであるというお話がございました。その点は5次計でも、「30%を超えて更に上昇し、2030年代には、誰もが性別を意識することなく活躍でき、指導的地位にある人々の性別に偏りがないような社会を目指す」と書いているわけであります。現状でも相当な書き方をしていると思いますけれども、ここは、6次計でどういう表現にするのがいいのかという具体的な案を委員の皆様からぜひ出していただきたいなと思うところでございます。
小林委員から、司法分野のところで成果目標とは何のことかというご質問ですが、政策・方針決定過程への女性の参画拡大に関して、統治機構の中で女性割合について具体的な数字で成果目標が設定されていないのは裁判官だけだと認識しております。議員の候補者の女性割合や行政のいろいろなレイヤーの女性割合は、独法まで含めて設定されています。現在の計画では、統治機構の中で裁判官だけ女性の割合の成果目標を書いていないことについて、そのままでいいのか、そこは何かしら司法への働きかけも考えて今回打ち出すべきかということをぜひこの専門調査会で議論できればと思います。
同じく小林委員から、公務員の人事評価について御指摘がございましたが、もちろんきちんと評価されていないということを申し上げたいわけではなく構成員から、公務員というのはキャリアの進み方というのでしょうか、人事評価とか、年齢との関係とか、あくまでも民間との対比において硬直性があるのではないかという意見が出たということでありまして、現状で問題がないならそういう整理になると思いますけれども、多様性を高めていく上で何らか硬直的なところがあるのであれば是正することも考えたらどうかということです。
それから、小林委員から、女子差別撤廃委員会のところで日本政府の拠出金使途除外措置の対応との関係で、考え方がイデオロギーになってはならないという指摘がございました。それはまさにおっしゃるとおりで、そこはきちんと政治的な調整をしていただいて書いていくことになろうかと思います。
井上委員から、女性起業家へのハラスメント問題や「公正な移行」の重要性について御賛同いただき、大変ありがとうございます。
選択的夫婦別氏について、井上委員、佐々木委員からお話がございました。これは今、国会などで議論が進められている中で、行政としてどこまで書けるのかということは今後検討だと思いますけれども、様々な議論がある中で、我々が望むこれこれこのような方向で検討を進める必要があるというような書き方を工夫できればいいのではないかと個人的には思います。
それから、井上委員から、ジェンダー・ギャップ指数について、そこは高等教育のところの影響ではないかという指摘がございましたので、事実を事務局に確認いただければと思います。
山本委員から、基本的な考え方の記述内容が、中途半端だという話がありましたが、まさに今日は生の意見を優先度は関係なく資料として並べたにすぎません。今後、計画策定に当たっての基本的な考え方を記すに当たりましては、基本的な方針について、きちんと目指すべき社会の方向性を述べた上で、社会の現状認識、予想される環境変化について十分な論述をし、さらに5次計の結果や成果を踏まえて、6次計で何をやるのかという事項を体系として書き込む。その文面については今後案が出されて、この専門調査会で議論することになると理解しております。
それから、推進体制について、EBPMになっていないという御指摘もありましたが、同感でございます。基本法上、きちんと監視や影響調査をやっていかなければいけないはずで、それを専門調査会でやるのがいいのか、アカデミアの方々に集まってもらってやるのがいいのかということも含めて、どういう仕組みがいいのかということも、推進体制について今後この委員会でぜひ議論していただきたいと思っております。
最後、山田会長から、男性のメリットの側面を述べることで納得感をというお話はまさにおっしゃるとおりだと思いました。また、社会保障のところでもう少し書けるのではないかと、育児休業のお話がございましたが、これは基盤整備のところで書くのがいいのか、働き方のところで書くのがいいのか、そこの整理は必要かもしれませんが、おっしゃったことに同感でございます。
もし質問への回答を漏らしていたら申し訳ございません。足りないところがあれば、最後に事務局から補足いただければと思います。
私からは以上です。
○山田会長 ありがとうございます。
では、順番で、徳倉座長、よろしいでしょうか。
○徳倉委員 ありがとうございます。
多岐にわたりますので、簡潔にお答えできればなと思っております。
鈴木座長からもありましたけれども、そもそも今回、それぞれの委員から出てきたものを実はちょっとオブラートに包んでいる表現もありながら出させていただいています。その点が丁寧に書けていないところで御指摘いただいている部分もありますが、その辺をフォローしながらお話しできればなと思います。
まず、納米委員からありましたショートワーカーを入れた意図としては、実態背景から様々な働き方が出てきている中で、これは後ほど、井上委員や山田会長等も御指摘がありましたが、社会保障との関連というところをきちっと意識をしながら、これは書きぶりのところですけれども、様々な雇用形態とともに、税を含めて、家族にまつわる部分に関して丁寧に書いていく上では、やはり新しい働き方が出てきている以上、ここはやはり触れていかねばならぬというところで入れさせていただいている意図がございます。
あとは、納米委員から同じ御指摘で、地域の中で、首都圏の中にあっても、納米委員が川崎でということでお話をいただきましたけれども、特段、地方から東京だけを意識しているわけではなくて、私は四国にいますけれども、例えば九州ですと九州の中では福岡に集まってくるとか、中部辺りからになると名古屋に集まってくるとか、その地域地域の中での都市部に集まってくる問題の中で、佐々木委員からもありましたけれども、まちづくりも含めて諸問題が出てきている。だからこそ、我々のワーキングで書かせてただいていますけれども、実際に都市部に移動した方にどのようにデータを取って、生きづらさや男女共同参画が進んでいないところをつまびらかにしていくのかというところが一つ大事なポイントかなと思いました。
北仲委員からコメントで頂戴したのをそのまま返させていただきます。雇用に関する教育は私も賛成なのですが、どのタイミングで雇用教育をし、誰が担うのかというところまで、できればここの委員会の中でも議論をしながら、そこにはやはり負荷がかかる人たちが出てくるというところも踏まえて、どのタイミングで、どのような内容で、誰が担っていくのかというところまで書ければなと思っております。
カスハラの対策等で男女共同参画センターの話でいきますと、私自身が2月から、私が住んでいる自治体の男女共同参画のセンター長になりました。うちの職員が言うには、私がセンター長になった途端、極端にカスハラが減ったと言うのですね。私がそこに座っている。出てきた人に僕が対峙するのですけれども、これは公開されているので言うのもあれなのですけれども、僕は結構強いのですよね。もちろん専門知識もありますし、会社も経営していますし、様々な対応ができるということもあって、そういうものが激減したということも踏まえて、カスタマーハラスメントに近いようなものをどう専門性を持って対峙していくのかというのを、センターの実装の教育の一環としてもある意味とても大事だなというのは北仲先生のお話を伺いながら非常に思ったので、これをお伝えしておきます。
小林委員からありました、なぜジョブ型雇用では評価制度と連動となったのか、もともとジョブに対して評価がされるからその職に就くのではないかという御指摘があったのですが、これは地方というところでフォーカスされていますけれども、なかなか評価制度と連動しているようで連動していない。ジョブ型雇用だけではなくて、メンバーシップ型雇用も含めて、男性だからとか、女性だからとか、ただの年功序列でみたいな、きちっとした評価制度と連動できていない。制度と風土の問題と表現されていましたけれども、制度をきちっと運用できる風土をつくっていくというところで、ちょっと言葉尻が短くなり、「評価制度と連動」と一言になったのかなというところでございます。
井上委員から御指摘いただいた、これは私もそうなのです。これは書きぶりといいますか、地方においてという文脈の中である委員から出てきたのです。地方の中では、アンコンシャス・バイアスを含めて、女性が女性をというような表現がありました。これは非常に丁寧な書き方だとか、その背景だとか、先ほどあった鶏が先か卵が先かというところを踏まえて、これは我々の中でどのような表現をし、発信をしていくのか、我々のワーキングの中でも発信が大事だという書き方をさせていただきましたが、この辺の事実を受け止めつつも、ある諸問題に対してどういうふうに発信をしていくのか、これはまた皆さんのお知恵を借りながら表現していきたいと思います。
山本委員からもありました、AIもジョブ型雇用も、あと踏み込んで書いていくというところと、もう一つ一番大きい御指摘をいただいたのはワーク・ライフ・バランスの長時間労働の部分だと思います。長時間労働が是正されたという書き方が果たしていいのかというところも、これは幾つかのデータを表記しながら、この部分はこのぐらいで、もっと進めていかないといけない、ここはクリアできているけれども、もっとここは足りていないよね、これが地方の中の上場企業と中小企業、零細企業ではどうなのか、ここは丁寧な表現が必要かなと思っております。
一足飛びに行かせていただきました。
山田会長の部分のところも大体網羅できたかなと思っています。まさにここの部分は、多様な方々が多様な立ち位置で生きづらさを抱えているというところですので、一言で片付けられない問題があるので、上手な表現と正確な発信を心がけながらまとめ上げていきたいと思いますので、皆さんの御意見を引き続きいただきたいと思います。
以上になります。
○山田会長 ありがとうございます。
では、小西座長、お願いいたします。
○小西委員 ありがとうございます。
いろいろな御意見をありがとうございました。
まず、納米委員、そのほかの方からもあったと思いますが、「男性の利益を奪うものではなく」というところですが、もちろんもともとがそうではないし、おっしゃっていることはよく分かっております。ただ一つ、タイミング的に性暴力の問題というのが、ちょうど今、男性の被害もLGBTQの方の被害も実際に出てきていて、支援が必要なのに薄いということも確かなのですね。私は、「基本的な方針」のところを見たときに、随分男性のことばかりになっているなと正直自分でも思ったのですけれども、性暴力の中に支援の対象の拡がりがあるということは確かなので、そこも書きぶりの問題だとは思いますが、足りていないところのニーズがようよう見えてきているということについては、やはり書く必要があるかなと思っております。
もう一つ、gender-based violenceとviolence against womenの問題というのは議論し出すと切りがないのですけれども、簡単に言うと、女性に対する暴力という言い方では女性の被害ということについて焦点が当然当てられますし、一方で、gender-based violenceという場合には性のダイバーシティーとインターセクショナリティーの両方に割と強いということですね。
今後、例えば、障害者の性暴力被害ということを出していく、もう少し明らかにしていくとか、支援を考えていくとか、あるいは多様な性の在り方の中でも当然性被害はあるわけなので、そういうものを扱っていくと考えると、gender-based violenceという概念のほうが扱いやすいということがあります。
ただ、先ほど申しましたように、この分野で被害を受けている人の9割以上はやはり女性なのですよね。その人たちが十分に支援を受けているわけではなく、例えば、中長期の問題とか相談員の能力というのは、結局そういう被害者の支援が適切にできていないということにもつながります。そういう意味では、問題がまだたくさんあるところで、ちょっと変えるのは難しいかもしれない。ただ、gender-based violenceの概念というのは今後絶対必要なことですので、書いていく必要があるのかなと思います。
そういうふうに考えたときに、北仲委員も中長期の生活を支える支援が薄いというのを言っていただきましたが、高齢女性の貧困について書いたのは、石黒委員から御指摘をいただいてありがたいと思いましたが、まさに被害を受けた女性が20年、30年たったときに高齢女性の貧困に完全に陥っている。例えば、DVから逃げた母子家庭で非正規の収入しか得ずずっとやってきて子供を育て上げた人は、もう完全に低年金の貧困に陥っているわけですね。性暴力を受けた人も正規の職業から外れてしまうということが非常に多いです。
そういう意味では、第3分野においても高齢女性の貧困というのは目の前のところにある。私は普段中長期のスパンで被害者を見ているので、自分では現にそういう状態にある人を見て大きな問題だと思っております。そこが、例えば日本のユニークな問題だということであれば、ぜひそこからいろいろなところに視点を広げて、何か指摘していただけるとよろしいのかなと思っています。
幾つもお答えしていないことがあるのですが、まとめて申しますと、その辺が一番大きかったかなと。
例えば、防災・復興で井上委員から、救援者が地方に行ったときの問題と、地方における部署でそもそも女性の職員が少ないからという御指摘がありました。それはもちろんそうだと思います。どこでも、そもそも女性の決定権を持つ人が非常に少ないために、防災の問題なんかもなかなか変わらないでいるわけですよね。ですから、それは当然必要なことかなと思っております。
私のほうからは大体以上でございます。
○山田会長 ありがとうございます。
時間が押しておりますので、どうしてもという方はいらっしゃいますでしょうか。
では、大崎委員、よろしくお願いします。短めにお願いいたします。
○大崎委員 ありがとうございます。
私は基本構想ワーキング・グループのメンバーでございます。今日は、バックラッシュが起きている中で、男性に対してどういうふうな言及の仕方をしていくのかいろいろな方から問題提起されたかと思います。
情報提供ですけれども、皆さん御存じのとおり、バックラッシュは今世界的に起きており、今年3月の国連女性の地位委員会でも非常に大きなトピックでした。
これはSNS上でも起こっているし、企業や大学、地方で戦略的にミソジニスティックなナラティブを使って民主主義を破壊していく行為が見られると。そういう議論の中で、どういうふうにバックラッシュを乗り越えていくのか、いろいろな国の人たちと議論があったわけです。
その中で、やはり重要なのは、今までどおり客観的なデータをしっかり使っていくということ。ただ、客観的なデータは今までも使ってきたのだけれども、それを伝えるナラティブの在り方がどうなのかというのをもう一度見直す必要がある。やはり男性は取り残されているのではないか、これは女性だけを対象としているのではないかという捉えられ方をされてきたのではないか。ナラティブの構築の仕方をいま一度検証することが必要ではないかというのはほかの国の人たちも言っていました。
もう一つ出てきた意見は、ジェンダーの視点というものを改めて強化すべきであるという点です。つまり、ジェンダーというのは男性も女性もですから、男性特有のジェンダーに起因する様々な問題、自殺、メンタルヘルス、トキシック・マスキュリニティ、様々問題があるわけですから、そこをしっかりとジェンダーの視点で捉えて、男女共同参画推進政策のようなところにしっかりと位置づけていくことの重要性も改めて確認されたかと思います。
その点でいいますと、第3次男女共同参画基本計画は1つの柱が男性だったと思います。その中で、メンタルヘルスとか、自殺とか、先ほど申し上げたような男性にとってのジェンダー問題をしっかりと捉えていました。ところが、第4次以降はかなりトーンダウンした。女性活躍というものが出てきたので、それと連動する形で男性のジェンダーというのはかなりトーンダウンしたところがあります。男性の問題を捉えるということもそうですが、やはりジェンダー平等社会をつくる主体的な担い手が男性であるというメッセージももっと強化していくべきだと思いますので、そういったところを含めて新しい計画ではしっかりともう一回検証していけるといいのではないかと思いました。
以上です。
○山田会長 ありがとうございます。コメントとして受け取っておきますので、よろしくお願いいたします。
では、これまでの委員の御発言について事務局から何かありますでしょうか。
○岡田局長 本日は、3座長の先生方からそれぞれのワーキング・グループでの御意見を御紹介いただき、また、ワーキング・グループでの検討に御参加いただいていない先生方からさらに御意見を頂戴いたしました。データに基づいた議論がなされるように、私ども事務局としても今後も取り組んでまいりたいと思います。
ここでは、一つ一つのお答えをするというよりも、これまでのワーキング・グループでの御議論、また本日の専門調査会での御議論を踏まえまして、さらに座長の先生方の御指導をいただきながら議論を進めていきたいと考えております。
以上でございます。ありがとうございます。
○山田会長 ありがとうございました。
大変恐縮ですが、時間の都合上、ここまでとさせていただきます。
事務局のほうから事務連絡等はありますでしょうか。
○岡田局長 度々失礼いたします。特にございません。今日も長時間ありがとうございました。
○山田会長 ありがとうございました。
それでは、本日の会議は以上となります。皆様、お疲れさまでした。ありがとうございました。