(開催要領)
- 開催日時:平成19年 10月30日(火)17:30~18:20
- 場所:総理大臣官邸4階大会議室
- 出席議員:
- 福田 康夫 内閣総理大臣
- 議長
- 町村 信孝 内閣官房長官
- 議員
- 上川 陽子 少子化対策、男女共同参画担当大臣
- 同
- 増田 寛也 総務大臣(代理:谷口隆義総務副大臣)
- 同
- 鳩山 邦夫 法務大臣
- 同
- 額賀 福志郎 財務大臣
- 同
- 渡海 紀三朗 文部科学大臣
- 同
- 舛添 要一 厚生労働大臣(代理:岸宏一厚生労働副大臣)
- 同
- 若林 正俊 農林水産大臣(代理:岩永浩美農林水産副大臣)
- 同
- 甘利 明 経済産業大臣(代理:中野正志経済産業副大臣)
- 同
- 冬柴 鐵三 国土交通大臣
- 同
- 鴨下 一郎 環境大臣(代理:桜井郁三環境副大臣)
- 同
- 泉 信也 国家公安委員会委員長
- 同
- 岩田 喜美枝 株式会社資生堂取締役執行役員常務
- 同
- 植本 眞砂子 全日本自治団体労働組合副中央執行委員長
- 同
- 内永 ゆか子 日本アイ・ビー・エム株式会社技術顧問
- 同
- 帯野 久美子 株式会社インターアクト・ジャパン代表取締役
- 同
- 鹿島 敬 実践女子大学教授
- 同
- 加藤 さゆり 全国地域婦人団体連絡協議会事務局長
- 同
- 神津 カンナ 作家
- 同
- 佐藤 博樹 東京大学教授
- 同
- 袖井 孝子 お茶の水女子大学名誉教授
- 同
- 橘木 俊詔 同志社大学教授
- 出席者
- 石破 茂 防衛大臣(代理:江渡 聡防衛副大臣)
(議事次第)
- 開会
- 議題
- (1)政策・方針決定過程への女性の参画の拡大に係る取組(「2020年30%」の目標に向けての取組)
- (2)ワーク・ライフ・バランスの推進について
- (3)その他
- 閉会
○ 福田内閣総理大臣よりあいさつがあり、男女共同参画担当を兼務していた官房長官時代を振り返りつつ、大きく変化している社会情勢の中で男女共同参画社会の実現はますます重要であり、政策・方針決定過程への女性の参画の拡大や、ワーク・ライフ・バランスの推進について取り組みたい旨が述べられた。
(1)政策・方針決定過程への女性の参画の拡大に係る取組(「2020年30%」の目標に向けての取組)
○ 政策・方針決定過程への女性の参画の拡大に係る取組について
上川男女共同参画担当大臣より、政策・方針決定過程への女性の参画の拡大に係る取組について、資料1~資料4に基づいて報告があった。○ 女性国家公務員の採用・登用の拡大状況等について
谷口総務副大臣より、女性国家公務員の採用・登用の拡大状況等のフォローアップの実施結果について、資料5に基づいて報告があった。
続いて町村官房長官より、国家公務員採用Ⅰ種試験等による平成20年度の採用内定者に占める女性の割合について、資料6に基づいて説明があり、その後各議員間での意見交換があった。(加藤議員)
所信表明演説で男女共同参画に触れていただき感謝している。30%の目標は単なる期待ではなく、達成すべき目標である。政策的にコントロールできるものは着実に女性比率を上げてほしい。特に国にはしっかりと取り組んで欲しい。平均値だけでなく、目標値を達成していない省庁、市町村名など具体的に公表すべきである。省庁はワースト3、都道府県はワースト10、市町村はワースト100を公表すべきである。政策的にコントロールできない分野については、細かく分析して要因を取り除くことが必要だ。社会全体で長時間労働の慣行の見直しなどを早急に行っていくべきだ。
(神津議員)
2020年30%という目標はあるが、数にごまかされずに質を見る必要がある。例えばメディアの場合、新聞では、記者より解説委員、論説委員などに、テレビでは、アナウンサーよりディレクター、プロデューサーなどに着目すべきであろう。審議会でも、委員長などの役職がどうなっているかに着目すべきであり、数だけで終わらせてしまうのは避けたい。
民間では女性活用をダイバーシティととらえているが、企業にとってどういう意味があるのか発信する必要がある。諸外国は世界中で優秀な人材を集めている。日本の企業は、ダイバーシティ、女性活用を進めなくては競争力が高まらない。この問題にもっと注目して、女性、引いては外国人を活用しなければ日本の企業は強くならない。そういったメッセージを出していく必要があり、そのため自分はNPO法人を立ち上げ、85社も賛同した。
(帯野議員)
6月、APECのWLN(女性指導者ネットワーク会議)に出席した。各国からの出席者は皆輝いていたが、日本からの出席が自分と随行の内閣府職員の2名だけだった。しかし、自分が日本の取組を紹介すると、好評であった。2010年に日本で開催されるときには、日本がリーダー国となるべくぜひたくさんの女性に参加してほしい。
意見交換の後、町村官房長官より、一層の女性の参画拡大に向けて、施策の推進に努めることを各府省に引き続き求める旨の発言があった。
(2)ワーク・ライフ・バランスの推進について
○ 仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)に関する専門調査会の調査・検討状況について
佐藤議員から、仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)に関する専門調査会の調査検討状況等について、資料7~9に基づいて説明があった。その後、各議員より以下のような意見が述べられた。
(袖井議員)
ワーク・ライフ・バランスは子育ての一時期の問題ととらえられがちであるが、実際はあらゆる世代、あらゆる時期において必要なことである。介護休業の取得率が進まないことが気になっている。介護休業制度ができる前、旧労働省でガイドライン作りに携わったことがあり、とりあえず3ヵ月という時期を設定した。ところがそれがそのまま固定して、最低3ヵ月が、現状では最高3ヵ月になっている。また、育児休業と違って、休業中の社会保険料免除ができない問題もある。長寿時代を迎え、これから介護休業の利用促進に向けて、各府省、とりわけ厚生労働省に、制度を使いやすいものにするなど、取得の推進に向けた施策に取り組んでほしい。
(岩田議員)
ワーク・ライフ・バランスを実現するに当たって最優先の課題は、正社員の働き方の問題である。ぜひ真正面から取り組んでほしい。行動指針に数値目標を掲げることに産業界から懸念の声が挙がっていると聞くが、社会全体の状況を把握するものであって、個別の企業を束縛するものではないことへの理解不足や、ワーク・ライフ・バランスがコストに跳ね返るという誤った認識があるためであり、むしろワーク・ライフ・バランスの推進によって労働生産性を高められる可能性があると思う。そういった誤解を解きながら、産業界の理解を十分に得てほしい。
(植本議員)
働く立場として、働き方の改革が重要であるという認識の下、労使で働き方改革の宣言をしたいと考えている。憲章、行動指針、実現度指標の3つが密接不可分に関連していると考えている。短期及び中期の行動計画を政府、自治体、企業、労働組合それぞれが作成することが重要であり、そのためのスキームづくりが必要である。そのことによってはじめて、マクロの指標が意味を持つのではないか。実現度指標を単なる評価指標に止めずに、具体的な社会の改革・改善につながるようなものにしてほしい。
(鹿嶋議員)
日本のワーク・ライフ・バランスは、ワーク・ライフというより、まだワーク・ファミリー・バランスに重点が置かれている。このような現状では、ややもすると、女性だけが働きやすい、仕事と家事育児が両立しやすい環境を作ればよいのだということにも流れかねない。そうならないために男女共同参画の視点が重要である。女性にとって仕事と家事育児が両立しやすいというものに止まってしまうと、固定的性別役割分担を助長してしまう。日本・スウェーデンジョイントシンポジウムに出たところ、スウェーデンでは、男女共同参画教育の上にワーク・ライフ・バランスという花が咲いている。日本もワーク・ライフ・バランスという花を咲かせるためには、男女共同参画の"肥料"をまかなければならない。
(橘木議員)
近年、日本では非正規雇用が増加している。多様な働き方を選択できるよう改革することがワーク・ライフ・バランスの実現につながると思う。とはいえ、本来フルタイムでの就業を望みながら非正規雇用に甘んじている人もいる。多様な働き方の選択に対しては、処遇面の問題がハードルとなることもある。同一賃金・同一労働の原則など、公平性の高い処遇が達成されることが重要である。
以上の意見交換を受け、上川男女共同参画担当大臣より、ワーク・ライフ・バランスの実現は個人の生活の在り方や社会基盤にも関わる重要な政策であり、仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)専門調査会において、ワーク・ライフ・バランス社会の実現度指標について、社会全体を見渡すことができるようなものとなるよう、引き続き議論を重ねることを求める旨の発言があった。
(3)その他
○ 各専門調査会の今後の進め方について
上川男女共同参画担当大臣から各専門調査会の今後の調査について、資料10に基づいて説明があり、監視・影響調査専門委員会において、男女共同参画基本計画(第2次)の中間的フォローアップを、年度内を目途に取りまとめることが了承された。
○ 平成20年度男女共同参画推進関係予算概算要求について
上川男女共同参画担当大臣より、資料11-1、資料11-2及び資料11-3に基づき、平成20年度男女共同参画推進関係予算概算要求について報告があった。
○ 「男女共同参画社会に関する世論調査」について
上川男女共同参画担当大臣より、本年9月に公表された「男女共同参画社会に関する世論調査」の結果について、資料12に基づいて報告があった。
○ 防衛省における男女共同参画への取組について
最後に、江渡防衛副大臣より、自衛官への育児休業代替要員制度の導入について、資料13に基づいて報告があった。
(以上)