第6分野 男女共同参画の視点に立った貧困等生活上の困難に対する支援と多様性を尊重する環境の整備

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第1節 貧困等生活上の困難に直面する女性等への支援

ア 就業・生活の安定を通じた自立に向けた取組

1 男女の均等な機会及び待遇の確保の徹底、男女間の賃金差異の解消、女性の就業継続や再就職の支援、女性に対する各種ハラスメントの防止、ワーク・ライフ・バランスの推進等に向けた取組を行う。【内閣府、厚生労働省】

2 男性に比べ女性の方が雇用者に占める非正規雇用労働者の割合が高いことが女性が貧困に陥りやすい背景の一つとなっていることから、公正な待遇が図られた多様な働き方の普及、同一企業・団体内における正規雇用労働者と非正規雇用労働者との間の不合理な待遇差の解消等を推進する。【厚生労働省】

3 被用者にふさわしい保障の実現の観点から、短時間労働者への更なる被用者保険の適用拡大などについて、引き続き取り組む。(再掲)【厚生労働省】

4 都道府県等に対する交付金(性暴力・配偶者暴力被害者等支援交付金(配偶者暴力被害者等支援調査研究事業))により、官民連携の下で民間シェルター等による先進的な取組を推進する都道府県等への支援を行う。(再掲)【内閣府、法務省、厚生労働省、国土交通省、関係省庁】

5 生活困窮者の抱える課題は、経済的困窮を始めとして、就労、病気、住まいの不安定、家庭の課題、家計管理の課題、債務問題など多岐にわたり、かつこうした課題を複数抱えている場合もある。こうした生活困窮者のそれぞれの状況に応じて包括的な支援を行い、その自立を促進するため、生活困窮者自立支援法(平成25年法律第105号)に基づく相談支援、就労支援、居住支援、家計改善支援等を行う。【厚生労働省】

イ ひとり親家庭等の親子が安心して生活できる環境づくり

1 ひとり親家庭の実情に応じ、マザーズハローワーク、ひとり親家庭等支援窓口等において、ひとり親を含む子育て女性等に対するきめ細かな就職支援を実施するとともに、就職又は転職の準備段階から就職先の決定及び就職後のフォローアップまでの一体的な支援等を実施する。また、ひとり親家庭の親等の就労支援に資する職業訓練や各種雇用関係助成金の活用を推進する。さらに、就職に有利になる資格の取得や主体的な能力開発の取組を促進し、生活の安定を図るため、ひとり親家庭の親に対する給付金等により、ひとり親家庭の生活の安定に資する就業に向けた資格取得を促進する。加えて、企業に対して、ひとり親の優先的な雇用について協力を要請し、助成金を通じて企業の取組を支援するとともに、マザーズハローワーク等において、協力企業に関する情報を提供する。【こども家庭庁、厚生労働省】

2 ひとり親家庭等が安心して子育てをしながら生活できる環境を整備するため、以下の取組を含めた総合的な支援を展開する。【内閣府、こども家庭庁、厚生労働省、国土交通省】

  • ひとり親世帯や住宅困窮度の高い子育て世帯の公営住宅に係る優先入居、新たな住宅セーフティネット制度による子育て世帯等の住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅の登録促進、居住支援、住宅の改修や入居者負担の軽減等への支援を通じ、居住の安定を支援する。
  • ひとり親家庭等の子供に対し、学校や放課後児童クラブ等の終了後に生活習慣の習得・学習支援、軽食の提供等を行うことが可能な居場所づくりを推進する。
  • 児童扶養手当の支給、母子父子寡婦福祉資金貸付金の貸付けにより経済的な支援を実施するとともに、引き続き支給要件の周知等を図る。
  • デジタル化の進展に伴う経済・産業構造の変化の中で、女性が経済的に自立できるよう、女性デジタル人材の育成など、地方公共団体の経済担当部局や商工会議所等との連携・協働による真に効果の高い地域の実情に応じて地方公共団体が行う取組を、地域女性活躍推進交付金により支援する。

3 ひとり親家庭を対象とした様々な支援情報を提供する。また、ひとり親家庭の相談窓口において、ひとり親家庭が直面する様々な課題や個別のニーズに対応するため、適切な支援メニューをワンストップで提供する体制を整備する。【こども家庭庁】

4 養育費の取決め等を促進するため、動画やパンフレット等による効果的な周知・啓発を行う。養育費・親子交流相談支援センターや地方自治体における養育費の相談支援について、身近な地域での伴走型の支援、専門的な相談を更に充実・強化するとともに、離婚前後家庭支援事業において、弁護士等による支援を含めた離婚前からの支援の充実や、関係部署の連携強化を含めた地方自治体の先駆的な取組への支援を実施する。また、養育費等を取り決めるための共同養育計画の作成促進に関する調査研究によって、養育費の支払確保に向けた調査・検討を進める。第三者から債務者の財産に関する情報を取得する手続を新設するなどした民事執行法(昭和54年法律第4号)の改正法による全ての手続が、令和3(2021)年5月から利用可能となったため、引き続き関係機関等への周知をしていく。また、資力の乏しい者でもこれらの手続を円滑に利用できるようにするため、法律相談援助や弁護士費用等の立替えを行う日本司法支援センター(法テラス)の民事法律扶助について、関係機関等への周知に努める。安全・安心な親子交流のための具体策を検討する。子供の利益を図る観点から、養育費制度も含めて父母が離婚した後の子の養育の在り方を見直すことを内容とする民法等の一部を改正する法律(令和6年法律第33号)が第213回国会(令和6(2024)年)において成立した。引き続き法律の円滑な施行に向けて準備を進める。【こども家庭庁、法務省】

5 家庭の経済状況等によって子供の進学機会や学力・意欲の差が生じないように、以下の取組を推進する。【こども家庭庁、文部科学省、厚生労働省】

  • 生活困窮者自立支援制度の子どもの学習・生活支援事業において、生活保護世帯を含む生活困窮世帯の子供とその保護者を対象に、学習支援や生活習慣・育成環境の改善に関する助言、進学や就労といった進路選択に関する情報提供・助言、関係機関との連絡調整など、世帯全体へのきめ細やかで包括的な支援
  • 学校におけるスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー等の配置の充実を図るとともに、地域全体で子供の成長を支える地域学校協働活動を推進
  • 高校中退を防止するため高等学校における指導・相談体制の充実を図るとともに、高校中退者等を対象とした学習相談及び学習支援を実施する地方公共団体等の取組の支援等
  • 教育費に係る経済的負担の軽減
  • 進学に向けたチャレンジを後押しするため、ひとり親家庭等の子供に対し、学校や放課後児童クラブ等の終了後に生活習慣の習得支援、大学等受験料の支援を含む学習支援等

6 ひとり親家庭等の自立を社会全体で応援すべく、「こどもの未来応援国民運動」を展開する。【こども家庭庁】

ウ 子供・若者の自立に向けた力を高める取組

1 社会人・職業人として自立できる人材を育成するため、キャリア教育・職業教育を体系的に充実する。進路や就職に関する指導も含め、男女共に経済的に自立していくことの重要性について伝えるとともに、自らの学びのプロセスを記述し振り返ることができる教材「キャリア・パスポート」の効果的な活用等を通じて、長期的な視点に立って人生を展望し、働くことを位置付け、準備できるような教育を推進する。また、大学等におけるキャリア形成支援活動の理解増進や好事例の普及を目的としたイベントを実施する。【文部科学省】

2 若者が充実した職業人生を歩んでいけるよう、就業等の実態を男女別等きめ細かく把握し、新規学校卒業者への支援、中途退学者や未就職卒業者への対応、正社員就職を希望する、安定した就労の経験が少ない若者への支援等を行う。【文部科学省、厚生労働省】

3 ニート、ひきこもり等、困難を有する子供・若者が、社会生活を円滑に営むことができるよう、子ども・若者総合相談センター、地域若者サポートステーション、ひきこもり地域支援センター等において、多様な主体間の連携により、複数の支援を組み合わせて行うなど、地域の実情に合った切れ目のない支援を行う。

文部科学省では、高校中退者等を対象に高校や地域若者サポートステーション、ハローワーク等の地域資源を活用しながら学習相談及び学習支援を実施する地方公共団体の取組を支援する。【こども家庭庁、文部科学省、厚生労働省、関係府省】

4 ヤングケアラーへの支援を強化するため、令和6(2024)年6月に改正された子ども・若者育成支援推進法(平成21年法律第71号)に基づき、地方公共団体が行う実態調査や関係機関・団体等職員への研修、コーディネーターの配置やピアサポート等の取組について、必要な経費の支援を行う。また、令和4(2022)年度から令和6(2024)年度までの3年間を「集中取組期間」として実施したヤングケアラーの認知度向上のための広報・啓発活動を踏まえ、ヤングケアラーに対する正しい理解の浸透や子供・若者自身に気付きを与えるような広報・啓発活動に取り組む。【こども家庭庁】