第2節 男女共同参画に関する分野における国際的なリーダーシップの発揮

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第2節 男女共同参画に関する分野における国際的なリーダーシップの発揮

政府は,平成27(2015)年2月に閣議決定した「開発協力大綱」及びそれに基づく「女性の活躍推進のための開発戦略」に則り,開発協力のあらゆる段階における女性の参画を促進し,また,女性が公正に開発の恩恵を受けられるよう,男女共同参画の推進及び女性のエンパワーメントに積極的に取り組む。

また,ジェンダー主流化の観点から,あらゆる分野や課題の支援に当たって,社会における男女双方の多様な役割や責任,男女で異なる課題・ニーズを把握して取り組むなど,ジェンダーの視点に立った事業実施を推進する。また,ジェンダー平等と女性のエンパワーメントのための国連機関(国連女性機関(UN Women))や,紛争下の性的暴力国連事務総長特別代表を始め,国連を中心として展開する世界の女性のエンパワーメントのための諸活動に対する積極的な協力に努める。加えて,紛争関連の性的暴力生存者のためのグローバル基金への拠出を通じて,生存者に対する償いや救済へのアクセスの促進を支援する。さらに,平和構築の観点から,女性を被害者の側面で捉えるだけでなく,国連安保理決議1325号女性・平和・安全保障(Women,Peaceand Security : WPS)及び関連決議履行のため平成27(2015)年に策定し,平成31(2019)年3月に改訂した第二版の「女性・平和・安全保障に関する行動計画」に基づき,紛争の予防・管理・解決を含む政策・方針決定過程への女性の積極的な参画を促進する。平成30(2018)年4月のG7プロセスにてG7女性・平和・安全保障(WPS)パートナーシップ・イニシアティブが発表されたところ,日本がスリランカをパートナー国とし,令和元(2019)年度から開始したスリランカのWPS行動計画の策定及び紛争寡婦世帯のエンパワーメントを含めたWPSアジェンダ推進を,引き続き支援する。さらに,平成29(2017)年7月のG20ハンブルク・サミットで立ち上げられた女性起業家資金イニシアティブ(We-Fi)に対しても,トップドナーの一つとして積極的に貢献していく。

保健分野においては,平成27(2015)年9月に,ミレニアム開発目標(MDGs)の後継となる「持続可能な開発のための2030アジェンダ」が国連サミットで採択され,MDGsから引き続き,乳幼児,妊産婦死亡率の削減や三大感染症対策,性と生殖の健康サービスの普及の改善等が目標となっている。「平和と健康のための基本方針」(平成27年9月健康・医療戦略推進本部決定)の下,引き続き取組の必要な母子の課題,また女性の健康の課題に,ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の推進を通じて取り組み,また,「国際保健のためのG7伊勢志摩ビジョン」の履行を通じ,女性の健康課題解決に貢献していく。さらに,今後のUHC推進のため,平成29(2017)年12月のUHCフォーラム2017の際に表明した保健,栄養,水・衛生分野に対する支援を通じ,女性の健康維持・改善に取り組んでいく。

教育分野では,平成27(2015)年9月に発表した,我が国の教育協力政策である「平和と成長のための学びの戦略」に基づき,女性・女児のエンパワーメントとジェンダー平等に配慮した教育協力を実施していく。

国際社会における我が国の存在感及び評価を高めるために,様々な機会を利用して我が国の男女共同参画に関する取組を国際社会に効果的に発信する。具体的には,国際分野における政策・方針決定過程への女性の参画を促進するとともに,日本の特徴を生かしたテーマ(防災や環境分野における男女共同参画の視点等)の対外発信に努める。また,令和2(2020)年度も「平和構築・開発におけるグローバル人材育成事業」として,平和構築・開発の分野で文民専門家として活躍できる人材を発掘・育成するとともに,国際機関等でのキャリア構築を支援する。現在,国連は女性職員の採用に力を入れており,また,平和維持活動においても女性職員の不足が指摘されていることなどから,当該事業の実施が国連機関における邦人女性職員の増強につながることも期待される。加えて,国際会議への政府代表団への女性メンバーの参加を積極的に進めるとともに,国際機関への就職支援を強化する。また,男女共同参画の視点に立った国際交流・協力の推進のため,NGO等との効果的な交流・連携・協力を強化する。

令和2(2020)年は,「北京宣言・行動綱領」が採択されてから25周年にあたり,平等を目指す全ての世代フォーラムの開催が予定されていたが,5月に予定されていた閣僚級会合,7月に予定されていた首脳級会合は,新型コロナウイルス感染症の感染拡大を踏まえて延期され,それぞれ令和3(2021)年上半期に予定されている。また,令和2(2020)年10月にはマレーシアにおいてアジア太平洋経済協力(APEC)女性と経済フォーラムが,令和3(2021)年3月にはニューヨークの国連本部においてCSWが開催される予定であり,これらの関連する国際会議に,更に積極的に貢献していく。その上で,国連,UN Women,APEC等国際機関等や諸外国の国内本部機構等との連携・協力に努める。特に国連やUN Women等の国際機関との関係においては,ジェンダー平等の視点に立った新型コロナウイルス感染症への各種対応策を含む各種支援について連携と協力に努める。

また,世界の各分野の第一人者の参加を得て第6回国際女性会議WAW!(World Assembly for Women)を開催予定である(開催時期未定)。

なお,平成28(2016)年から開始した「アジア・太平洋輝く女性の交流事業」を令和2(2020)年度は「アジア・太平洋,アフリカの女性交流事業」として,日本,アジア・太平洋諸国及びアフリカの行政官や女性支援団体等の人材に対し,研修を行って能力の向上に資するとともに,国際交流を通じてネットワーキングを行う。