第8節 セクシュアルハラスメント防止対策の推進

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第8節 セクシュアルハラスメント防止対策の推進

1 雇用の場におけるセクシュアルハラスメント防止対策の推進

メディアと行政の間で起きたセクシュアルハラスメント事案を踏まえ,平成30(2018)年6月に緊急対策(すべての女性が輝く社会づくり本部決定)を取りまとめ,その緊急対策に基づき,政府を挙げてセクシュアルハラスメントの被害の予防,救済,再発防止に向けた取組を推進している。

厚生労働省では,事業主に対して男女雇用機会均等法に沿った実効あるセクシュアルハラスメント対策を講じるよう,セクシュアルハラスメントの予防・事後対応の徹底が盛り込まれた「セクハラ指針」の内容も含め周知啓発,指導を行うとともに,労働者及び事業主等からの相談に適切に対応している。また,セクシュアルハラスメントによって精神障害を発病した時には,労災補償の対象となる場合があることについて,リーフレットを配布するなど,その周知を図るとともに,臨床心理士等の資格を持った職員の活用等により,精神障害を発病した労働者からの相談に適切に対応している。

人事院では,一般職国家公務員について,人事院規則10-10(セクシュアル・ハラスメントの防止等)に基づき,セクシュアルハラスメントの防止等の対策を講じている。平成31(2019)年3月,人事院規則10-10を改正し,新たに指定職職員となった者等に対する研修の実施を各省各庁の長に義務付けるとともに,一般職の国家公務員からセクシュアルハラスメントを受けたと思料する外部の者からの相談窓口を人事院に設けることとし,平成31(2019)年4月1日に施行した。令和元(2019)年10月には,全職員向けにセクシュアルハラスメント等の基礎的事項を理解させることに主眼を置いた自習用研修教材を新たに作成し,各府省に配布した。また,「国家公務員ハラスメント防止週間」(毎年12月4日から同月10日まで)を定め,職員の意識啓発等を図る講演会を開催し,セクシュアルハラスメント防止等についての認識を深め,各府省における施策の充実を図るため,各府省担当者会議を開催するとともに,ハラスメント相談員の育成を目指すセミナーを実施した。さらに,セクシュアルハラスメントの防止等に関する職員の意識を高め,管理・監督者にその果たすべき責務・役割について理解を徹底すること等を目的として,「ハラスメント防止研修」の指導者養成コースを各府省の人事担当者等を対象に,「幹部・管理職員ハラスメント防止研修」を各府省の幹部・管理職員を対象にそれぞれ実施した。

防衛省では,セクシュアルハラスメントの防止のため,一般職国家公務員と同様の措置を採ることとし,幹部職員等に対する研修を実施するとともに,部外からの苦情相談への対応窓口の設置等を実施している。

総務省では,各地方公共団体宛てに通知を発出し,ハラスメントに関して雇用管理上の必要な措置を速やかに講ずるよう要請している。

2 教育の場におけるセクシュアルハラスメント防止対策等の推進

文部科学省では,セクシュアルハラスメント防止のため,国立大学法人等に対し,人事院規則や「国家公務員セクシュアル・ハラスメント防止週間」に関する資料等必要な情報の提供を行っているほか,公私立大学・教育委員会等に対しても引き続き取組を促している。

また,被害者を含めて児童生徒等の相談等に適切に対応できるよう,スクールカウンセラー等の配置を推進するなど,学校における相談体制の充実を支援している。