はじめに 令和元年度を振り返って

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第1部 令和元年度に講じた男女共同参画社会の形成の促進に関する施策

はじめに 令和元年度を振り返って

1 女性活躍加速に向けた施策の着実な推進

「第4次男女共同参画基本計画」(平成27年12月閣議決定。以下「第4次基本計画」という。)策定から既に4年が経過した。この間,女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(平成27年法律第64号。以下「女性活躍推進法」という。)の制定・施行による各界各層の自主的な取組や女性活躍状況の「見える化」の促進を始め,政治分野の女性の参画状況の「見える化」,保育の受け皿確保に向けた取組など,女性活躍加速に向けた施策は着実に推進されている。このような中,女性を始めとする多様な労働者が活躍できる就業環境を更に整備するため,女性活躍推進法附則に基づく見直しの検討を実施し,一般事業主行動計画の策定義務の対象拡大,情報公表の強化,ハラスメント対策の強化等の措置を講ずることを内容とする女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律(令和元年法律第24号。以下「女性活躍推進法等一部改正法」という。)が,第198回通常国会において,令和元(2019)年5月に成立した。

女性に対するあらゆる暴力の根絶については,児童虐待と密接な関係があるとされるDVの被害者の適切な保護が行われるよう,相互に連携・協力すべき機関として児童相談所を法律上明確化すること等を内容とした,配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(平成13年法律第31号。以下「配偶者暴力防止法」という。)の一部改正を含む児童虐待防止対策の強化を図るための児童福祉法等の一部を改正する法律(令和元年法律第46号)」が第198回通常国会において,令和元(2019)年6月に成立した。

2 男女共同参画に関わりの深い制度改革の動き

社会保障制度については,被用者保険の適用拡大を進めることとしており,大企業で働く短時間労働者を対象とした被用者保険の適用拡大に加えて,平成29(2017)年4月からは,中小企業等で働く短時間労働者についても,労使合意を前提に企業単位で適用拡大の途を開いた。また,更なる適用拡大について,令和元(2019)年財政検証結果を踏まえ,全世代型社会保障検討会議等で議論を行い,短時間労働者に対する被用者保険の適用について,令和6(2024)年10月に50人超規模の企業まで適用範囲を拡大することを盛り込んだ「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律案」を第201回通常国会に提出した(令和2(2020)年5月成立)。民間企業における配偶者手当については,「配偶者手当の在り方の検討に関し考慮すべき事項」について広く周知を図り,労使に対しその在り方の検討を促した。

また,教育の無償化・負担軽減に向けた取組に関して,「経済財政運営と改革の基本方針2018」(平成30年6月閣議決定)に基づき,令和元(2019)年10月から,3歳から5歳までの子供及び0歳から2歳までの住民税非課税世帯の子供についての幼稚園,保育園,認定こども園等の費用が無償化された。

ひとり親家庭等の親子が安心して生活できる環境づくりに関しては,養育費の確保にも資する債務者財産の開示制度の実効性の向上等を内容とする「民事執行法及び国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律の一部を改正する法律」が第198回通常国会において,令和元(2019)年5月10日に成立し(令和2年4月1日施行),改正法の内容を解説するパンフレット等を配布してその周知を進めている。

3 国際的な動向への対応

フランスG7議長国の下,「不平等との闘い」をテーマとし,男女平等が重要課題の一つとなる中,令和元(2019)年5月に,パリにおいて男女共同参画担当大臣会合が開催され,国際社会が直面する様々な男女共同参画,女性活躍に関する課題について活発な意見交換を行い,「男女平等に関するパリ宣言」が取りまとめられた。同年8月にはG7ビアリッツ・サミットが開催され,「ジェンダー平等及び女性のエンパワーメントに関するG7宣言」が採択された。アフリカのセッションでは,アフリカにおける女性の起業の促進も議論され,付属文書として「女性起業家支援」が発出された。

令和元(2019年)6月,日本が議長国を務めたG20大阪サミットでは,女性のエンパワーメントを主要な議題の一つとして取り上げ,女性の労働参画,特にSTEM分野における女児教育支援,女性起業家を含む女性ビジネスリーダーの声の反映の3つについて,成果文書に盛り込んだ。また,同サミットの公式プログラムの一部として,G20各国首脳や主要国際機関が参加する,「女性のエンパワーメントに関する首脳特別イベント」を開催。女性のエンパワーメントに対するG20のコミットメントを再確認した。

同年9月末~10月頭,チリの地方都市ラ・セレナで開催されたアジア太平洋経済協力(APEC)女性と経済フォーラムでは,「経済への女性の包摂の推進」をテーマに,APEC域内で共通して取り組むべき課題について議論が行われ,フォーラムの結果が「APEC女性と経済フォーラム声明」として採択されるとともに,APEC初の女性の経済的なエンパワーメントに係るロードマップとなる「女性と包摂的成長のためのラ・セレナ・ロードマップ」が取りまとめられた。