第4節 性犯罪への対策の推進

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第4節 性犯罪への対策の推進

警察では,性犯罪捜査員の育成等により捜査体制の充実を図り,被害者が安心して被害を届け出ることができる環境づくり等の性犯罪の潜在化防止に向けた施策を推進する。また,関係機関・団体と連携を図りながら,性犯罪被害者のニーズを十分考慮した支援に取り組む。さらに,警察庁において,地方公共団体等と連携して,地域における関係機関・団体間の連携を促進するなどの取組を行う。

加えて,子供を対象とした強制わいせつ等の暴力的性犯罪で服役し出所した者について,法務省から情報提供を受け,その出所者を訪問しての所在確認や,必要に応じ,同意を得て面談を行うなど,性犯罪の再犯防止に向けた措置の強化を図る。

内閣府では,地方公共団体の職員や性犯罪被害者等の支援を行う相談員を対象とした研修を引き続き行うとともに,性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターについて,全都道府県でのセンターの設置及び安定的運営が可能となるよう,平成29年度に創設した性犯罪・性暴力被害者支援交付金によりセンターの整備等に取り組む都道府県を支援し,性犯罪・性暴力被害者支援の更なる拡充を図る。

また,若年層の女性に対する性的な暴力である,いわゆるアダルトビデオ出演強要問題や「JKビジネス」問題等については,平成29年5月に策定した「いわゆるアダルトビデオ出演強要問題・『JKビジネス』問題等に関する今後の対策」に基づき,引き続き,問題の根絶に向けて取組を推進する。

内閣府では,若年層における女性に対する暴力の予防啓発の充実に向けた啓発媒体の開発・制作や,相談支援の質の向上を図るための対応マニュアルを作成し,被害者支援の拡充の促進を図る。

警察では,アダルトビデオのスカウト行為に対する街頭での指導・警告及び悪質な事犯の検挙,いわゆる「JKビジネス」営業が多く見られる大規模繁華街における児童等の一斉補導,高校・大学等における被害防止教育や街頭キャンペーン,警察署,交番等の相談窓口においては24時間相談を受け付けていることを周知する活動等の対策を実施する。

法務省では,平成29年6月に成立し,同年7月に施行された,強姦罪の構成要件及び法定刑の見直し等並びに強姦罪等の非親告罪化を内容とする刑法の一部を改正する法律(平成29年法律第72号)の趣旨及び内容等を周知するなどして被害者の心情に配慮することを含め,適正な運用がなされるよう努める。

厚生労働省では,医師,保健師,精神保健福祉士等の医療従事者等を対象に,「PTSD対策に係る専門家の養成研修会」を実施する。

また,都道府県,指定都市の精神保健福祉センターにおいて,性犯罪によってPTSD等の精神的な症状が引き起こされた者に対して,精神保健福祉に関する相談支援等を実施する。

さらに,若年被害女性等に対して,公的機関と民間支援団体が密接に連携し,アウトリーチによる相談支援や居場所の確保等を行うモデル事業を実施する。