男女共同参画白書(概要版) 平成30年版

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第7章 女性に対する暴力

第1節 配偶者等からの暴力の実態

(配偶者からの暴力についての被害経験)

これまでに結婚したことのある者のうち,配偶者(事実婚や別居中の夫婦,元配偶者も含む。)から「身体的暴行」,「心理的攻撃」,「経済的圧迫」又は「性的強要」のいずれかについて「何度もあった」とする者の割合は,女性13.8%,男性4.8%となっている(I-7-1図)。

I-7-1図 配偶者からの被害経験

(配偶者間における暴力の被害者の多くは女性)

警察における配偶者からの暴力事案等の相談等件数は,平成29年は7万2,455件であり,配偶者暴力防止法施行(13年10月)後最多となっている。検挙件数は,保護命令違反の検挙は80件と27年以降減少している一方,配偶者からの暴力事案等に関連する刑法犯・他の特別法犯の検挙は8,342件であり,継続して増加している。

また,相談等件数のうち82.8%(6万15件)は女性が被害者であるが,男性の割合も増加傾向である。

(配偶者暴力相談支援センター等への相談件数等)

配偶者暴力相談支援センターの数は年々増加しており,平成30年3月現在,全国278か所(うち市町村が設置する施設は105か所)が同センターとして,相談,カウンセリング,被害者やその同伴家族の一時保護,各種情報提供等を行っている。

また,平成28年度に全国の配偶者暴力相談支援センターに寄せられた相談件数は10万6,367件であり,3年連続で10万件を超える高水準で推移している(I-7-5図)。

I-7-5図 配偶者暴力相談支援センタ-数及び相談件数の推移

第2節 ストーカー行為,性犯罪,子供に対する性的暴力,売買春,人身取引の実態

(ストーカー事案の相談等の状況)

平成29年のストーカー事案の相談等件数は2万3,079件。前年に比べ342件(1.5%)増加し,24年以降高水準で推移している。また,被害者の88.3%が女性で,加害者の82.7%が男性となっている。

これまでにある特定の相手から執拗なつきまといや待ち伏せ,面会・交際の要求,無言電話や連続した電話・メール等の被害経験を聞いたところ,1人以上の者から被害を受けたことがある者の割合が,女性10.9%,男性4.5%となった(I-7-8図)。

I-7-8図 特定の相手からの執拗なつきまとい等の被害経験

(ストーカー事案に対する対応状況)

平成29年のストーカー規制法違反の検挙件数は926件とストーカー規制法施行後最多となっている。一方,ストーカー事案に関連する刑法犯・他の特別法犯の検挙は,24年以降高水準で推移していたところ,29年は1,699件と減少した。

(強制性交等・強制わいせつの認知件数)

強制性交等及び強制わいせつの認知件数は,いずれも平成16年以降減少傾向にあり,29年は強制性交等1,109件(前年比120件増加),強制わいせつ5,809件(同379件減少)となっている。

(子供に対する性的暴力の検挙件数)

平成29年の児童買春事件の検挙件数は956件,児童ポルノ事件の検挙件数は2,413件であり,過去10年間の推移を見ると,児童買春事件は26年以降増加傾向にあり,児童ポルノ事件は過去最多を更新した。また,児童虐待のうち性的虐待の検挙件数は169件(前年比7件増加)となっている。

(売春関係事犯検挙件数)

平成29年の売春関係事犯検挙件数は624件となり,前年に比べ減少した。また,要保護女子総数は270人で前年に比べ減少したが,そのうち未成年者が占める割合は49.3%であり,前年に比べ15.7%ポイント増加している(I-7-13図)。

I-7-13図 売春関係事犯検挙件数,要保護女子総数及び未成年者の割合の推移

(人身取引事犯検挙件数等)

平成29年における人身取引事犯の検挙件数は46件,検挙人員は30人(うち,ブローカーは3人)である。また,被害者総数は42人と2年連続で減少した。