第4節 性犯罪への対策の推進

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第4節 性犯罪への対策の推進

警察では,性犯罪捜査員の育成等により捜査体制の充実を図り,被害者が安心して被害を届け出ることができる環境づくり等の性犯罪の潜在化防止に向けた施策を推進する。また,関係機関・団体と連携を図りながら,性犯罪被害者のニーズを十分考慮した支援に取り組む。さらに,警察庁において,地方公共団体等と連携して,地域における関係機関・団体間の連携を促進するなどの取組を行う。

加えて,子供を対象とした強制わいせつ等の暴力的性犯罪で服役し出所した者について,法務省から情報提供を受け,その対象者を訪問しての所在確認や,必要に応じ,同意を得て行う面談等,性犯罪の再犯防止に向けた措置の強化を図る。

内閣府では,地方公共団体の職員や性犯罪被害者等の支援を行う支援員を対象とした研修を引き続き行うとともに,都道府県による性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターの設置及び安定的運営等の被害者支援の取組を促進するため,性犯罪・性暴力被害者支援交付金を創設する。

また,若年層の女性に対する性的な暴力である,いわゆるアダルトビデオ出演強要問題や「JKビジネス」問題等については,「いわゆるアダルトビデオ出演強要問題・『JKビジネス』問題等に関する関係府省対策会議」において,更なる実態把握や取締り等の強化,教育・啓発の強化,相談体制の充実等を内容とする「いわゆるアダルトビデオ出演強要問題・『JKビジネス』問題等に関する今後の対策」を取りまとめた。内閣府では,被害者支援を行っている民間支援団体の協力を得て,若年層の女性に対する性的な暴力の被害実態を把握するとともに,有識者検討会を開催し,被害者に対する効果的な相談・支援の在り方について検討を行う。

警察では,アダルトビデオのスカウト行為に対する街頭での指導・警告及び悪質な事犯の検挙,いわゆる「JKビジネス」営業が多く見られる大規模繁華街における児童等の一斉補導,高校・大学等における被害防止教育や街頭キャンペーン,警察署,交番等の相談窓口においては24時間相談を受け付けていることを周知する活動等の対策を実施する。

法務省では,平成28年9月の法制審議会の答申を踏まえて,強姦罪の構成要件及び法定刑の見直し等を内容とする「刑法の一部を改正する法律案」を第193回通常国会に提出している。

厚生労働省では,医師,保健師,精神保健福祉士等の医療従事者等を対象に,「PTSD対策に係る専門家の養成研修会」を実施する。

また,都道府県,指定都市の精神保健福祉センターにおいて,性犯罪によってPTSD等の精神的な症状が引き起こされた者に対して,精神保健福祉に関する相談支援等を実施する。