コラム9 子育てにやさしい中小企業の事例

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コラム9

子育てにやさしい中小企業の事例


子育てしながら仕事のキャリアを積むことはなかなか難しい。家庭の事情に配慮した柔軟な働き方ができる正社員の職はまだ少ないからだ。ひとり親となればますます深刻である。

そうした中,手術用医療処置具の製造・開発を行うリバー・ゼメックス株式会社(長野県岡谷市)では,平成28年2月現在,正社員60人(うち50人が女性)のうち3分の1の20人がひとり親の女性である。

同社では,内視鏡や心臓カテーテル等,極小の高度医療器具の組立てを全て手作業で行っている。時には顕微鏡を見ながらの細かい作業に,従来から女性が多く従事しており,ひとり親の雇用も自然に増えた。長期の教育訓練が必要な業務のため,社員は子育て期に技術を磨き,子育てが一段落した頃,実力に応じて職場リーダー等へ登用されている。

同社では,小学校低学年頃までの子を持つ社員には,子供への対応を優先して休暇取得や短時間勤務を行うことを積極的に認めている。社員全体に子育てへの理解があること,また,社員それぞれが複数の部署を兼務していることから,急な休みにも代わりの者が業務を継続でき,周囲でフォローする体制が整えられている。このため,納期の遅れもなく,安定して高品質な製品の製造を実現している。

同社によると,ひとり親の社員は,就業時間が限られることや,一人で子育てを担っている等の環境の中で,集中力や生産性が高い人材が多いという。同社会長は,中小企業こそ家庭の事情等への偏見をなくし,ひとり親の正社員としての雇用機会を広げてほしいと考えている。

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