第3節 外国人が安心して暮らせる環境の整備

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第3節 外国人が安心して暮らせる環境の整備

法務省の人権擁護機関では,外国人に対する偏見や差別の解消を目指して,「外国人の人権を尊重しよう」を啓発活動の年間強調事項の一つとして掲げ,1年を通して全国各地で,講演会等の開催,ポスターの掲出やリーフレットの配布等の啓発活動を行う。

文化庁においては,我が国に居住する外国人が,日本語能力が十分でないことなどから,安心・安全に生活できないという問題を解決し,外国人が日本社会の一員として円滑に生活を送ることができるよう,日本語教育の推進を図ることを目的とする「「生活者としての外国人」のための日本語教育事業」を実施し,地域における日本語教育に関する優れた取組の支援,日本語教育の充実に資する研修及び調査研究を行う。

文部科学省では,不就学・自宅待機等となっている外国人の子どもに対して,日本語等の指導や学習習慣の確保を図るための教室を設置し,公立学校等への円滑な転入ができるようにする「定住外国人の子どもの就学支援事業」を国際移住機関(IOM)において実施する。

また,平成26年4月1日施行の「特別の教育課程」による日本語指導の導入を踏まえ,外国人児童生徒等の多様性や地域の実態に応じた,全国的な日本語指導・支援体制を構築するための取組を引き続き実施する。

さらに,学習指導要領に基づき,子どもたちが広い視野を持って異文化を理解し,共に生きていこうとする姿勢を育てるため,国際理解教育を推進する。

厚生労働省においては,配偶者からの暴力被害者である在留外国人への適切な支援を確保するため,専門的な知識を持った通訳者の養成を行うための専門通訳者養成研修事業を推進する。

人身取引対策に関する関係省庁では,「人身取引対策行動計画2009」に基づき,人身取引対策の取組を進める。

法務省入国管理局では,人身取引が重大な人権侵害・犯罪であるとの認識の下,被害者である外国人に対しては,関係機関と連携して適切な保護措置を講ずるとともに,被害者の立場に十分配慮しながら,本人の希望等を踏まえ,被害者が在留資格を有している場合には,在留期間の更新や在留資格の変更を許可し,被害者が不法残留等の入管法違反の状態にある場合には,在留特別許可を付与するなど,被害者の法的地位の安定を図る。

日本司法支援センター(法テラス)では,人身取引被害者が,加害者に対して損害賠償請求を行うに当たっては,当該被害者が我が国に住所を有し,適法に在留している場合であって,収入等の一定の要件を満たすときは,総合法律支援法(平成16年法律第74号)に基づく民事法律扶助制度が活用可能であることから,関係各所にリーフレットを配布して民事法律扶助制度の周知を図る。また,人身取引被害者が被害者参加人として刑事裁判に参加するに当たっては,収入等の一定の要件を満たす場合には,法テラスを経由して国選被害者参加弁護士の選定を請求することが可能であることから,被害者参加人のための国選弁護制度の周知も併せて行う。さらに,人身取引被害者が被害者参加人として刑事裁判の公判期日等に出席した場合には,裁判所を経由して被害者参加旅費等を請求することが可能であることから,被害者参加旅費等支給制度の周知も併せて行う。