第6節 人身取引対策の推進

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第6節 人身取引対策の推進

人身取引対策に関する関係省庁では,「人身取引対策行動計画2009」に基づき,関係行政機関が緊密な連携を図りつつ,人身取引の防止・撲滅と被害者の適切な保護を推進している。人身取引対策に関する関係省庁連絡会議において,平成22年6月には,「人身取引事案の取扱方法(被害者の認知に関する措置)」を,23年7月には,「人身取引事案の取扱方法(被害者の保護に関する措置)」をそれぞれ申し合わせ,両申合せに基づき,関係省庁で適切な措置を講じている。また,人身取引対策に関する関係省庁連絡会議として,25年6月の「外国人労働者問題啓発月間」(毎年6月),同年11月の「女性に対する暴力をなくす運動」(毎年11月)にそれぞれ合わせ,人身取引に係る政府広報を実施した。

さらに,25年9月,人身取引被害の防止及び人身取引被害者の保護を一層推進するため,人身取引対策に関する関係省庁連絡会議とNGO関係者の協議の結果,人身取引と疑われる事例をNGO関係者が把握した場合には,現場レベル及び国レベルの公的機関に確実に通報することで両者の合意を得た。

内閣府では,女性に対する暴力をなくしていく観点から,関係省庁,地方公共団体等と連携・協力して,国民一般に対し,人身取引に関する広報・啓発活動を実施している。

警察では,人身取引の被害者である外国人女性が,風俗営業や性風俗関連特殊営業において売春の強要等の搾取を受けている状況を改善するため,平成17年に風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律を改正し,人身売買の罪等を犯した者であることを風俗営業の許可の欠格事由に加えること,接待飲食等営業を営む者等に接客従業者の生年月日,国籍,就労資格等の確認を義務付けることなどの措置を採ったところであるが,同法を適切に運用するとともに,様々な法令を適用して人身取引事犯の取締りを推進している。

また,女性と児童の人身取引を防止するため,関係法令による適切な取締りを始め,被害女性の保護等の総合的な対策を,関係省庁,関係団体と連携して推進する一方で,外国捜査機関等との情報交換の緊密化や連携強化に取り組んでいる。さらに,警察庁では,在京大使館,関係NGO等との間で,コンタクトポイントを設置して人身取引に関する情報交換を行っている(本章第5節1参照)。また,警察庁の委託を受けた民間団体が,市民から匿名による事件情報等の通報を電話又はインターネットで受け付け,これを警察に提供して捜査等に役立てようとする匿名通報ダイヤルを運用し,少年の福祉を害する犯罪や人身取引事犯の被害者となっている子どもや女性の早期保護等を図っている。法務省入国管理局では,人身取引が重大な人権侵害であるとの認識の下,被害者の法的地位の安定を図っている(第9章第3節参照)。

なお,平成17年から25年までの9年間で,入国管理局が保護又は帰国支援した人身取引被害者は321人であり,そのうち不法残留等入管法違反の状態であった141人全員に対し,在留特別許可を付与している。

厚生労働省では,婦人相談所が実施する人身取引被害女性の保護において,通訳雇上げのほか,他の法律・制度が利用できない場合には,被害女性の医療に係る支援も行っている。

また,平成22年度から,通訳・ケースワーカー(外国人専門生活支援者)の派遣を民間団体等に依頼し,婦人保護施設に入所する人身取引被害者に対する支援の強化を図っている。

独立行政法人国立女性教育会館では,人身取引に関する調査研究の成果を基に作成したパネルやブックレットの貸出を行うとともに,ホームページにおいて広く情報提供を行っている。

我が国は,人身取引に関連した国際的な取組に積極的に参画している。「人身取引対策行動計画2009」に基づき,平成16年度から,人身取引被害の発生状況の把握・分析及び諸外国政府等との情報交換を行うことを目的として,人身取引対策に関する政府協議調査団を各国に派遣している。26年2月には同調査団をフィリピンに派遣した。

外務省では,人身取引被害者の安全な帰国及び社会復帰のため,国際移住機関の「人身取引被害者帰国・社会復帰支援事業」への拠出を平成17年度から開始し,被害者の帰国(平成26年1月1日までに総計252人)や帰国後の社会復帰を支援している。