平成21年版男女共同参画白書

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第9章 生涯を通じた女性の健康支援

第1節 生涯を通じた女性の健康の保持増進

1 生涯を通じた健康の管理・保持増進のための健康教育・相談支援等の充実

厚生労働省では,女性の健康をめぐる様々な問題について気軽に相談できる体制を整備している。また,生涯を通じた女性の健康に関する調査・研究を推進している。

さらに,平成19年12月から開催した「女性の健康づくり推進懇談会」において,女性の健康の実態に関する調査や,生涯を通じた女性の健康管理について検討を行うとともに,毎年3月1日から8日を「女性の健康週間」と定め,各種の啓発事業及び行事等を展開している。

保健所,市町村保健センター等においては,女性の健康をめぐる様々な問題について気軽に相談できる体制を引き続き整備するとともに,ライフステージに応じた健康教育を実施している。

女性と仕事の未来館では,働く女性の職場での健康問題に関するセミナーや相談,情報提供などを実施するとともに,全国の女性関連施設等の担当者を対象に,女性の健康に関する相談強化のための研修会を開催している。

また,生涯を通じた健康の保持のためには,性差に応じた的確な医療を受けられることが必要と考えられるため,性差を加味した女性の健康支援のための科学的根拠の構築などを目的とした研究の実施を行っている。

学校においては,健康診断や体育・保健体育の教科を中心として,健康教育を実施するとともに,文部科学省では,学校と地域保健が連携し,児童生徒の心身の健康相談や健康教育を行うモデル的な事業を実施している。

2 成人期,高齢期等における女性の健康づくり支援

(1)成人期,高齢期の健康づくりの支援

厚生労働省では,平成12年から,9分野70項目の目標を掲げた「21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)」を推進しており,14年には,「健康日本21」を中核とする国民の健康づくり・疾病予防を更に積極的に推進するため,健康増進法(平成14年法律第103号)が制定され,15年5月に施行された。19年4月に公表した「健康日本21」の中間評価の結果を踏まえ,代表目標項目や新規目標項目を設定するとともに,20年からは「適度な運動」,「適切な食生活」「禁煙」に焦点を当てた新たな国民運動として「健やか生活習慣国民運動」を展開するなど生活習慣病対策の一層の推進を図っている。


(2)子宮がん,乳がんの早期発見,骨粗しょう症の予防対策の推進

厚生労働省では,女性のがん罹患率の第一位であり年々増加傾向にある乳がんや,発症年齢の低年齢化が指摘されている子宮がんについて,科学的根拠に基づくがん検診の推進を通じて,早期発見や死亡率の減少に努めている。具体的には,検診従事者研修の実施や精密検査機器の整備等によりがん検診の精度向上を図るとともに,がんに関して有効かつ的確な普及・啓発事業を実施するために,平成20年10月から「がんに関する普及啓発懇談会」を開催し,がん検診の重要性や学校教育におけるがんに関する正しい知識の普及などの先駆的な事例を収集し,意見を聴取しているところである。

また,骨折等の基礎疾患となり,高齢化の進展により今後増加が予想される骨粗しょう症については,早期に骨量減少者を発見し,予防することを目的として,市町村(特別区を含む。以下この節において同じ。)において,その市町村に居住する40歳,45歳,50歳,55歳,60歳,65歳及び70歳の女性に対して骨粗しょう症検診を実施している。

なお,骨粗しょう症検診は,平成19年度までは老人保健法に基づき実施されていたが,20年度からは,乳がん検診及び子宮がん検診を始めとするがん検診とともに健康増進法に基づき実施されている。


(3)女性の生涯にわたるスポーツ活動の推進

文部科学省では,国民の誰もが,いつでも,どこでも,いつまでもスポーツに親しむことのできる生涯スポーツ社会の実現に向けて,総合型地域スポーツクラブの全国展開等を推進している。