平成21年版男女共同参画白書

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第3節 女性にとっての仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の重要性

(女性の就業継続をめぐる状況)

昭和55年以降,夫婦ともに雇用者の共働き世帯は年々増加し,平成9年以降は共働きの世帯数が男性雇用者と無業の妻からなる片働き世帯数を上回っている。直近の20年では,共働き世帯が1,011万世帯であるのに対し,男性雇用者と無業の妻からなる片働き世帯は825万世帯となっている(第1-特-17図(再掲))。

その背景としては,女性の社会進出に対する意識変化などがあると考えられる。内閣府「男女共同参画社会に関する世論調査」(平成19年)によると,「夫は外で働き,妻は家庭を守るべき」という考えに賛成する割合をみると,「賛成」あるいは「どちらかといえば賛成」の割合の合計は男女ともに低下している。また,女性の就業についての考えについては,「子どもができても,ずっと職業を続ける方がよい」と考える「継続就業」支持が,「子どもができたら職業をやめ,大きくなったら再び職業をもつ方がよい」と考える「一時中断・再就職」支持を上回っている。

女性就労が増加する中,男女にかかわらず働きやすい職場環境づくりの必要性が一層高まっているが,女性の就業継続や再就職をめぐる状況は依然として厳しい。

育児休業を取得している女性は増えているが,出産前後に継続就業している割合は増えておらず,出産を機に離職する女性は以前と変わらず多い(第1-特-26図(再掲))。また,きょうだい数1人(本人のみ)の世帯の出産前後の女性の就業状況をみると,出産を機に約7割(67.4%)の女性が仕事を辞めており(厚生労働省「第1回21世紀出生児縦断調査」(平成13年度)),仕事と育児の二者択一の状況はここ20年間ほとんど変わりない。

また,いったん仕事を辞めても,子どもが育つにつれて就労を希望する女性は多いが,実現できていない人が多い。子どもが小さいころは「家でできる」仕事,子どもが小学生のころは「短時間勤務」,子どもが中学生以上になると「残業のないフルタイム勤務」を希望する人も多いが,現状では働くことを希望しながらも実現できていない人の割合が高い(第1-3-3図(再掲))。

(夫婦の生活時間)

女性の社会進出が進む中で,女性がその能力を十分に発揮し,新たな発想を取り入れていくことは将来にわたり活力ある経済・社会を創造していくために重要であるが,先にみたように,現実には,女性の就業継続や再就職をめぐる状況は依然として厳しい。

夫婦の生活時間の状況をみると,夫の家事・育児・介護等に関わる時間は,既に述べた男性の長時間労働の影響もあって,妻の就業状況に関わらず30分程度と非常に短くなっている(第1-3-8図)。また,我が国の夫の家事・育児に費やす時間は世界的にみても低水準にとどまっている(第1-3-9図)。男性も女性もあらゆる世代の誰もが仕事や子育てなど様々な活動を自分の希望するバランスで展開できる社会を構築するためには,こうした現状を踏まえ,それぞれが働き方の見直しや意識改革を図るなど仕事と生活の調和の推進に向けた取組が重要である。

第1-3-8図 夫婦の生活時間 別ウインドウで開きます
第1-3-8図 夫婦の生活時間

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第1-3-9図 6歳未満児のいる夫の家事・育児時間 別ウインドウで開きます
第1-3-9図 6歳未満児のいる夫の家事・育児時間

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