平成21年版男女共同参画白書

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第5章 女性に対する暴力

(潜在する被害)

内閣府「男女間における暴力に関する調査」(平成20年)によると,これまでに結婚したことのある人(2,435人)のうち,配偶者(事実婚や別居中の夫婦,元配偶者も含む。)から“身体に対する暴行”,“精神的な嫌がらせや恐怖を感じるような脅迫”,“性的な行為の強要”のいずれかについて「何度もあった」という人は,女性10.8%,男性2.9%,「1,2度あった」という人は,女性22.4%,男性14.9%,1度でも受けたことがある人は,女性33.2%,男性17.7%となっている(第24図)。


第24図 配偶者からの被害経験(性別)
第24図 配偶者からの被害経験(性別)

(増加傾向にある夫から妻への暴力の検挙件数)

配偶者間における犯罪のうち女性が被害者である場合の検挙件数の推移を罪種別にみると,暴行,傷害はそれぞれ平成12年以降,増加傾向にある。20年においては,暴行が975件で前年よりも105件(12.1%)の増加,傷害も1,268件で13件(1.0%)の増加となっている(第25図)。


第25図 夫から妻への犯罪の検挙状況
第25図 夫から妻への犯罪の検挙状況

(性犯罪の実態)

警察庁の統計によると,強姦の認知件数は,平成12年以降6年連続で2,000件を超えていたが,16年から減少傾向に転じ,20年は1,582件であり,前年に比べ184件(10.4%)減少した。

強制わいせつの認知件数は,平成11年以降毎年増加していたが,16年から減少し,20年では7,111件と,前年に比べ553件(7.2%)減少している。

(売買春の実態)

平成20年の売春関係事犯送致件数は2,396件となり,前年に比べ減少した。また,要保護女子総数は1,794人で前年に比べ減少したが,未成年者が占める割合は24.1%で,前年に比べ5.8ポイント増加している。

(人身取引の実態)

警察庁の統計によると,平成20年における人身取引事犯の検挙件数は36件,検挙人員は33人であり,検挙人員のうちブローカーが7人となっている。また,警察において確認した被害者の総数は36人と,前年に比べ7人(16.3%)減少している。

(雇用の場におけるセクシュアル・ハラスメントの実態)

平成19年度に都道府県労働局雇用均等室に寄せられたセクシュアル・ハラスメントの相談件数は15,799件で,前年度に比べ4,697件(42.3%)増加しており,そのうち,女性労働者等からの相談件数は8,169件(51.7%)となっている。

(ストーカー行為の実態)

平成20年中に警察庁に報告のあったストーカー事案の認知件数は,14,657件で,前年と比べ1,194件(8.9%)増加している。また,被害者の90.3%が女性で,行為者の90.1%が男性となっている。