平成16年版男女共同参画白書

本編 > 第2部 > 第4章 > 第4節 多様な就業ニーズを踏まえた就業環境の整備

1 パートタイム労働対策の総合的な推進

(1)パートタイム労働法及び指針の周知・徹底等

厚生労働省では,短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律(平成5年法律第76号)及び同法に基づく「事業主が講ずべき短時間労働者の雇用管理の改善等のための措置に関する指針」(平成5年労働省告示第118号。以下「指針」という。)に基づき指導等を行っている。

また,労働政策審議会雇用均等分科会において,通常の労働者との均衡を考慮した処遇の考え方を具体的に指針に示すことにより,その考え方の社会的な浸透・定着を図っていくことが必要である等との提言を内容とする報告が平成15年3月に取りまとめられた。その提言を踏まえ,同年8月に指針の改正を行い,通常の労働者との均衡処遇に向けた考え方を具体的に示し,また,事業主が講ずるべき措置として正社員への転換に関する条件の整備等新たなものを追加した。指針改正により具体的に示された考え方の浸透・定着を図るため,都道府県労働局等を通じて広報活動,集団説明会の実施により,改正指針の周知徹底に努めている。

短時間労働援助センターにおいては,雇用するパートタイム労働者に一定の雇用管理面での改善を図る等,他の事業主の模範となる取組を行う中小企業事業主やパートタイム労働者の雇用管理改善等のための活動に取り組む中小企業事業主の団体に助成金を支給している。また,雇用管理アドバイザーによる情報提供,相談援助を実施するとともに,事業主による自主点検を行っている。さらに,パートタイム労働者と正社員との均衡処遇の確保に意欲のある事業所への具体的な助言を行うとともに,事業所の属している事業所別団体等の使用者会議を開催している。

(2)パートタイム労働者の雇用の安定

パートタイム雇用に関する職業紹介サービス等を提供するパートバンク及びパートサテライトを設置し,パートタイム雇用に係る円滑な需給調整を推進している。

(3)パートタイム労働者に対する能力開発

公共職業能力開発施設においては,パートタイム等の短時間の就労を希望する者に対し必要となる基礎的な能力を身に付けさせるための短時間の職業訓練を実施している。

2 労働者派遣事業に係る対策の推進

労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律(昭和60年法律第88号)に基づき,適正な事業運営が確保されるよう派遣元事業主,派遣先等に対し,制度の周知及び指導の徹底を図るとともに,派遣労働者等からの苦情相談に対応している。

また,平成15年6月に,1年の派遣受入期間の制限を3年まで延長,「物の製造」の業務への派遣を可能とする等を内容とする同法の改正(平成15年法律第82号)が行われ,関係政省令等の考え方について検討を進め,労働政策審議会の諮問・答申を経て,12月25日に関係政省令・告示を公布し,16年3月1日より施行した。

3 女性起業家,家族従業者等に対する支援

経済産業省では,中小企業金融公庫及び国民生活金融公庫を通じた,優遇金利適用や担保徴求免除の特例等を旨とする融資制度により,女性による開業・創業の支援を行っている。

また,全国商工会連合会,日本商工会議所に対する補助を通じて,創業に向けて具体的なアクションを起こそうとする者を対象に,事業計画を完成させ,創業に必要な実践的能力を10日間(30時間)程度で修得させる創業塾を実施しており,この中で女性向け創業塾も実施している。

さらに,新事業創出促進法の一部改正による,商法上の最低資本金規制(株式会社1,000万円,有限会社300万円)の特例措置を実施することにより,会社設立のためのハードルを引き下げる等,女性による創業・起業環境の整備を行っている。

厚生労働省では,「女性と仕事の未来館」において,女性起業家等に対し,個別相談や女性起業家との交流を含めたセミナーの開催等支援事業を実施している。

4 在宅勤務,SOHO等,新しい就業形態等に係る施策の推進

(1)テレワーク・SOHOの普及促進

総務省では,官民におけるテレワーク導入の気運を高める啓発,周知活動等の普及促進を行っている。また,SOHOや在宅テレワーカーの実態把握を通じて,求められる情報通信システムの機能並びにITを活用する上での技術的課題等についての調査研究を実施している。

経済産業省では,SOHO事業者の活動を支援するため,SOHO事業者と発注者側企業の仲介機能(エージェント機能)の強化等を推進している。

国土交通省では,総務省,厚生労働省,経済産業省と連携して,自治体・企業等の先進的なテレワークの取組状況等を把握し,テレワークに取組む上での課題を解決するための方策の検討等を行っている。また,テレワークによる社会的効果を把握し,その効果を宣伝するため,セミナー等による普及啓発活動を実施している。さらに,女性や高齢者等がテレワークを気軽に実施することができる環境を整備している。

厚生労働省では,労働基準関係法令における適用関係等を明確にした在宅勤務に係るガイドラインの策定,テレワークシンポジウムの開催,テレワーク相談センターでの相談活動等により,テレワークの適正な就業環境の下での普及を図っている。

また,非雇用型で,文章入力,テープ起こし等比較的単純・定型的な作業を行う在宅ワーカーに対し,契約をめぐるトラブル等の発生を未然に防止するため,契約に係る最低限のルールを定めた「在宅ワークの適正な実施のためのガイドライン」を作成し,発注者等への周知徹底を図っている。

さらに,在宅ワーク希望者や初心者を対象に,在宅ワーカーとして必要な心得や能力を自己診断するシステムをインターネット上で公開する等の支援事業を実施している。

(2)家内労働者の労働条件の改善

厚生労働省では,家内労働者の労働条件の向上と生活の安定を図るため,委託者,家内労働者に対し,家内労働手帳の普及,工賃支払の確保,最低工賃の決定・周知,安全衛生の確保等家内労働法(昭和45年法律第60号)の周知徹底を図っている。

また,内職希望者に対して,いわゆる「インチキ内職」の被害防止等に関する注意喚起を促している。

(3)ワークシェアリングについての検討

多様な働き方の選択肢を拡大する多様就業型ワークシェアリングについては,平成14年12月26日に「多様な働き方とワークシェアリングに関する政労使合意」を厚生労働省,日本経済団体連合会,日本労働組合総連合会の間で取りまとめた。この中で,政労使は,多様な働き方とワークシェアリングに関する事項について課題を整理し,それぞれの立場で,着実に具体化を進めていくことに合意した。

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