平成16年版男女共同参画白書

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第1節 雇用の分野における男女の均等な機会と待遇の確保対策の推進

1 男女雇用機会均等法の履行確保

(1)均等取扱いのための行政指導等の実施

厚生労働省では,男女差別的な取扱いを実施している企業に対して,都道府県労働局長の助言,指導,勧告により男女雇用機会均等法違反の是正を図るとともに,採用,配置,昇進等における男女労働者間の格差が大きい企業に対しては,女性の採用拡大,職域拡大,管理職の登用等に向け,積極的取組(ポジティブ・アクション)を行うよう促している。

(2)セクシュアル・ハラスメントに関する雇用管理上の配慮の徹底

厚生労働省は,事業主のセクシュアル・ハラスメントに関する雇用管理上の配慮を徹底するため,男女雇用機会均等法及び「事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上配慮すべき事項についての指針」(平成10年労働省告示第20号)の内容について一層の周知を図るとともに,措置を講じていない事業主に対しては行政指導により措置の実施を求めている。

(3)コース等で区分した雇用管理に関する留意事項の周知徹底

厚生労働省では,コース等で区分した雇用管理制度を導入している企業に対し,「コース等で区分した雇用管理についての留意事項」の周知徹底を図るとともに,留意事項に沿った制度運用を行うよう指導を行っている。

(4)個別紛争の解決援助

厚生労働省では,女性であることや妊娠・出産を理由とする解雇等の男女差別的取扱いに関する女性労働者と事業主との間の個別紛争については,都道府県労働局長による助言,指導,勧告及び機会均等調停会議の調停により,紛争の円滑かつ迅速な解決を図っている。

また,これらの措置が十分活用されるよう,個別紛争解決援助制度について,女性労働者等に積極的に周知している。

(5)女子学生の就職問題に関する施策の推進

厚生労働省は,企業の募集・採用における男女差別的取扱いに対して是正指導を行うとともに,企業の採用担当者等に対して男女雇用機会均等法に基づく男女均等な選考ルールの徹底を図るための啓発指導を実施している。

また,採用実績に男女差が大きい企業に対しては女性の採用拡大についてのポジティブ・アクションに取り組むよう指導を行っている。

(6)女子船員の待遇の確保対策

男女雇用機会均等法及び同法に基づく指針について,周知や指導等を引き続き行い,女子船員がその能力を十分に発揮する機会を確保するための環境の整備及び女子船員の地位の一層の向上に努めている。

2 企業における女性の能力発揮のための積極的取組(ポジティブ・アクション)の推進

厚生労働省では,男女労働者間の格差が大きい企業に対して,ポジティブ・アクションを行うよう促すほか,具体的取組方法についての相談,情報提供等を実施し,企業での取組を促進している。

また,ポジティブ・アクションの取組を一層広く普及させていくため,経営者団体と連携し,厚生労働省及び都道府県労働局ごとに企業のトップや有識者をメンバーとする女性の活躍推進協議会を開催し,企業トップに対し,ポジティブ・アクションの取組を働きかけるとともに,普及のための様々な取組を行っている。

さらに,女性労働者の能力発揮を促進し,その活用を図るため,ポジティブ・アクションを積極的に推進している企業に対し,公募により「均等推進企業表彰」(厚生労働大臣賞及び都道府県労働局長賞)を実施しているほか,平成15年度から個々の企業が実情に応じた目標を立てる際に活用できるよう,同業他社と比較したその企業の女性の活躍状況や取組内容についての診断が受けられるベンチマーク事業を実施している。

3 男女均等を確保する方策等についての幅広い検討

厚生労働省では,平成14年11月に取りまとめた「男女間の賃金格差問題に関する研究会報告」を受け,15年4月に「男女間の賃金格差解消のための賃金管理及び雇用管理改善方策に係るガイドライン」を作成し,現在その周知・啓発に努めているところである。また,同研究会報告に基づき,男女間賃金格差の現状や男女間賃金格差縮小の進ちょく状況を継続的にフォローアップするために男女間の賃金格差レポートを作成した。

さらに,平成9年男女雇用機会均等法改正時の国会の附帯決議に盛り込まれた残された課題及び男女雇用機会均等法の施行状況を踏まえ,14年11月から有識者による男女雇用機会均等政策研究会を開催し,男女双方に対する差別の禁止,どのようなケースが間接差別になるか,ポジティブ・アクションの推進方策及び妊娠・出産等を理由とする不利益取扱いについて検討を行っているところであり,16年春頃までに報告を取りまとめる予定である。

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