平成16年版男女共同参画白書

本編 > 第1部 > 序説 おわりに

男女共同参画を推進する国内本部機構や基本法制の整備等法律的・制度的枠組みは,国際的な動きに連動して整えられつつあるが,それらに比較して男女共同参画社会へのあゆみが緩やかである状況を,主に意識やライフステージの視点から検討してきた。

意識面からみると,固定的性別役割分担意識は薄れつつあるものの,依然として根強く残っている状況が分かった。また,ライフステージの各局面における男女共同参画は総じて大きくは進展しておらず,なお一層の対応が必要なことも検証した。具体的には,男女とも仕事と家庭生活を両立できるような職場環境や子育て環境の整備等,仕事と家庭・子育ての両立支援策を強力に推進することが必要であることが分かった。また,家事・育児の負担が極端に女性に偏っている現状は,晩婚化・未婚化の要因にもなっていると考えられ,家庭生活における役割分担について夫婦が互いに協力していく環境を作り上げていくことも期待されるところである。

また,男女共同参画を取り巻く最も基本的なデータの一つである今後の人口の推移を展望すると,日本の将来にとって厳しい姿となっている。合計特殊出生率は1970年代半ばから人口置き換え水準(それ以下になると人口減少を招く出生率の水準:2.08程度)を大きく割り込んでおり,現在の状況に大きな変化が無ければ,2006年には日本の人口は減少し始め,2020年には1億2,411万人(2000年は1億2,693万人)になると推計されている。労働生産年齢人口(15~64歳)は,2000年の8,638万人から,2020年には7,445万人と1,193万人(14%)も減少することが見込まれている(国立社会保障・人口問題研究所推計)。このため,男女共同参画が進展しないならば,労働力人口が急激に減少することが懸念され,日本の活力ある発展に支障が生ずる恐れがある。

こうした懸念に的確に対処するためには,高等教育の場における様々な分野への女性の参画を促進し,女性の潜在的能力を開発するとともに,職場や地域の場において女性の能力が正当に評価され活かすことができる社会を構築することがぜひとも必要である。女性が男性とともに職場や地域の場でその個性と能力を十分に発揮する機会が保障され,男女共同参画が進展することによって初めて,日本の社会・経済の明るい未来への展望が開けてくると言えよう。

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