平成15年版男女共同参画白書

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第2節 多様な選択を可能にする教育・学習機会の充実

1 生涯学習の推進

(1)リカレント教育の推進

大学等における,編入学の受入れ,社会人特別選抜の実施,昼夜開講制の推進,夜間大学院の設置,公開講座の実施等や,大学・大学院や専修学校等の高等教育機関における,産官学の連携による先導的なプログラム開発や講座提供等の推進などにより,大学等の生涯学習機能の拡充とともに,キャリアアップを目指す社会人の受入体制の整備を図る。

(2)放送大学の整備等

放送大学では,平成14年4月から大学院(修士課程)の学生受入れを開始した。また,放送大学の全国化等に伴い,学習センターの充実整備やサテライトスペースの設置など,学習支援体制の整備に取り組んだ。また,多様な学習歴や生活環境を持つ者が高等学校教育を受けられるよう,単位制高等学校の充実を図っている。

専修学校は,社会の要請に即応した実践的な職業教育,専門的な技術教育等を行う教育機関として着実に発展しており,女性の職業教育等において大きな役割を果たしている。

(3)学校施設の開放促進等

文部科学省では,地域住民の学習機会や子どもたちの活動の場を幅広く提供するため,学校施設を学校休業日や放課後に地域住民や子どもたちに開放し,多様な活動の場として提供を行っている。

また,学校・家庭・地域社会が連携協力して,児童生徒の教育を行うことができるよう,地域コミュニティの拠点としての学校施設の整備充実を図っている。

さらに,地域との連携協力を図るため,校舎や屋外運動場の開放に必要な施設の整備に補助を行っている。

(4)青少年の体験活動等の充実

青少年の社会性をはぐくむために,地域の子どもたちが年間7日程度の奉仕活動に取り組むモデル事業や,悩みを抱える青少年を対象とした体験活動推進事業を実施している。また,独立行政法人国立オリンピック記念青少年総合センターに「子どもゆめ基金」を新たに設け,民間団体の行う子どもの体験活動等に対する助成を行っている。

(5)民間教育事業との連携

文部科学省では,平成11年6月の生涯学習審議会答申「生活体験・自然体験が日本の子どもの心をはぐくむ」における「民間教育事業者は学校教育とは異なる子どもたちの多様な学習ニーズに応えていくという役割が求められていく」という提言を受け,「完全学校週5日制実施等に関する連絡協議会」を開催するなど,学習塾を含む民間教育事業者に体験活動プログラムの提供の協力を求めた。

(6)高度情報通信ネットワーク社会に対応した教育の推進

文部科学省では,高齢者や女性等がパソコンやインターネットの操作方法等を学習するため,公民館等の社会教育施設におけるIT基礎技能講習への支援を実施している。また,「エル・ネット」(教育情報衛星通信ネットワーク)を活用し,全国の社会教育施設等に対して,多様な教育情報の提供に努めている。

(7)現代的課題に関する学習機会の充実

文部科学省では,人々が社会生活を営む上で理解し,体得しておくことが望まれる現代的課題や地域の実情に応じた学習活動に関する機会を提供するため,市町村がNPOをはじめとする民間団体と連携して行う学級・講座などへの助成を行っている。

(8)学習成果の適切な評価

文部科学省では,青少年,成人が習得した知識・技能について,民間団体がその水準を審査・証明する事業のうち,教育上奨励すべきものを文部科学大臣が認定する「文部科学省認定技能審査制度」の推進を図り,合格に係る学習成果が学校教育や社会において適切に評価されるよう努めている。

2 エンパワーメントのための女性教育・学習活動の充実

(1)女性の生涯にわたる学習機会の充実

文部科学省では,市町村や女性団体などが行う女性の生活上の課題についての学習等の普及奨励に努めているほか,都道府県が行う大学等と連携した高度で専門的な学習機会の提供を奨励している。

(2)女性の能力開発の促進

文部科学省では,女性の地位向上や能力の開発を図るため,女性学級などにおいて子育て後の女性を対象として再就職に必要な知識,技術,心構え等の学習の普及奨励に努めている。また,女性団体・グループが男性とのパートナーシップを図りつつ,男女共同参画の視点から地域社会づくり等に参画する事業を推進することにより,女性が社会のあらゆる分野に参画する力を付けるための学習活動の支援を行っている。

(3)女性の学習グループの支援

文部科学省では,教育委員会や女性教育団体等が行う女性教育指導者の研修を奨励し,学習活動の企画・運営への女性の参画の促進を図るよう,女性教育指導者の養成に努めている。

(4)国立女性教育会館の事業の充実等

独立行政法人国立女性教育会館は,女性教育に関する我が国唯一の国立の女性教育等に関する施設として,国内外の女性関連施設・機関等と連携しつつ,全国の女性教育指導者などに対する実践的な研修や専門的・実践的な調査・研究,女性及び家庭・家族に関する国内外の情報の収集・提供,国内・国際交流の事業を実施している。平成14年度は,女性情報のデータベース化を推進し,統計データベースを再構築するとともに,用語集である「女性情報シソーラス」を組み込み,情報検索の利便性の向上を図っている。

さらに,文部科学省においては,各地の公私立の女性教育施設が行う事業の充実に向けて支援を行っている。

3 進路・就職指導の充実

中学校及び高等学校においては,性別にとらわれることなく,生徒が自らの生き方を考え,自分の意志と責任で進路を選択・決定する能力と態度を身に付けることができるよう,組織的・計画的な進路指導が行われている。

文部科学省は,発達段階に応じたキャリア教育の推進ため,中・高等学校の一貫した指導内容・指導方法等の開発やキャリア・アドバイザー等地域人材の活用方策等について実践的な研究を行う「キャリア教育実践モデル地域指定事業」を実施するとともに,進路指導担当教員等のキャリア・カウンセリング能力の向上方策等について検討する「キャリア教育の推進に関する総合的調査研究」を開始した。

また,大学生に対する就職支援としては,「全国就職指導ガイダンス」を開催し,企業に対して,学生の就職機会の拡充や,女子学生の男子学生との機会均等の確保に努めるとともに,各大学等に対して,学生一人一人に応じたきめの細かな就職指導や就職相談体制の充実を行うよう要請している。

このほか,青少年の奉仕活動・体験活動等の充実のため,平成14年度から新たに,国,都道府県,市町村において,幅広い関係機関・団体と連携等を図る協議会を組織するとともに,情報提供やコーディネイト等を行う支援センターを設置し,学校教育と社会教育を通じた青少年の奉仕活動・体験活動の推進体制の整備を図るなどの施策を実施した。

厚生労働省では,女子学生,女子高校生等に対して,意識啓発セミナーの開催や就職ガイドブックの配布により,適切な職業選択を行えるよう啓発を図っている。

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