平成14年版男女共同参画白書

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第1章 政策・方針決定過程への女性の参画

(国会議員に占める女性割合は増加)

国会議員に占める女性割合について,その推移をみると,衆議院においては,戦後の一時期を除いて,昭和61年(第38回選挙)までは1~2%の間を推移していたが,平成8年(第41回選挙)に小選挙区比例代表並立制が導入されたことを機に大きく増加し,14年1月現在7.5%(36名)となっている。

また,参議院においては,昭和22年(第1回選挙)の4.0%からおおむね増加傾向にあり,平成元年(第15回選挙)においてそれまでの8.7%から13.1%と大幅に増加した。それ以降も増加を続けたが,非拘束名簿式比例代表制が導入された13年(第19回選挙)は,15.4%(38名)となっている。

(立候補者,当選者に占める女性割合は増加)

国政選挙における立候補者及び当選者に占める女性割合をみると,衆議院では昭和35年(第29回選挙)以降,立候補者に占める女性割合が当選者に占める割合を上回っている。また,立候補者,当選者ともに増加傾向にある。特に,平成12年6月の選挙では,立候補者の14.4%,当選者の7.3%を女性が占め,8年10月の立候補者10.2%,当選者4.6%から大きく増加している(第7図)。

第7図  衆議院立候補者,当選者に占める女性割合の推移

また参議院では,昭和58年(第13回選挙)以降,立候補者に占める女性割合は着実に増加しており,平成13年(第19回選挙)では,立候補者の27.6%を占め,10年(第18回選挙)の23.2%から大きな伸びを示している。一方,当選者に占める女性割合は,13年(第19回選挙)では14.9%となっており,7年(第17回選挙)以降わずかながら減少している(第8図)。

衆議院,参議院とも,当選者に占める女性割合は長期的には増加しているが,それ以上に立候補者に占める割合が大幅に伸びており,女性が積極的に政治に参加していこうとする意識・意欲が高まっていることがうかがわれる。

第8図  参議院立候補者,当選者に占める女性割合の推移

(長期的には増加している国家公務員在職者に占める女性割合)

行政職(一)俸給表適用者に占める女性割合は,昭和60年度からみると増加傾向にあり,平成12年度の在職者について,職務の級別に女性割合をみると,定型的な業務を行う職務である1級に占める女性割合は34.3%と3分の1を超えているものの,職務の級が上がるにつれて女性割合は減少し,本省係長級である4級から6級にかけては10%台,本省準課長・課長相当級である9級から11級になると,約1%まで低くなるなど,職務の級により,女性割合にはかなりの違いがあることがわかる。

(着実に増加する国の審議会等における女性委員の割合)

平成13年1月の審議会等の統廃合に伴い,各府省において審議会等委員の見直しを行い,女性委員の割合に配慮したことから,審議会数,審議会委員数ともに統廃合前の半分以下となったものの,13年9月30日現在の国の審議会等における女性委員の割合は24.7%と前年に比して高くなっている。

(女性の参画の程度にばらつきのある地方議会)

都道府県議会,市議会,町村議会,特別区議会の女性議員の割合をみると,平成13年末時点で,女性議員の割合が最も高い区議会では20.0%,政令指定都市の市議会は15.0%,市議会全体は10.5%,都道府県議会は5.7%,町村議会は4.8%となっており,都市部で高く郡部で低い傾向にあることがうかがわれる(第9図)。

第9図  地方議会における女性議員の割合の推移

(地方公務員管理職に占める女性割合)

平成13年では,都道府県で4.3%,政令指定都市で5.4%となっている。推移をみると増加傾向にあり,特に政令指定都市における10年以降の伸びが大きくなっている。

(増加する司法分野における女性割合)

判事,判事補,検察官,弁護士に占める女性割合は,総じて増加している。特に,弁護士は,前年に比べて大幅に増加した。なお,判事補については,総数の増加の一方で女性数が伸び悩んでいることから,その割合は低下している。

司法試験合格者に占める女性割合も,年によって増減があるものの,昭和51年度の8.4%から平成13年度には22.5%へと着実に増加していることから,今後の司法分野での女性割合の増加が期待される。

(国会における女性議員割合の国際比較)

IPU(列国議会同盟)の調査によると,国会議員に占める女性割合について国際比較では,北欧諸国が上位を占めている(2002(平成14)年3月1日現在)。

我が国の女性議員は増加しているとはいえ,他国と比較すると,かなり低い状況にあることがわかる。フランス,韓国等では,クォータ制を導入するなど,積極的に女性議員を増やすための取組を行っている(第10図)。

第10図 女性国会議員割合の国際比較(下院又は一院制)

(人間開発に関する指標)

2001(平成13)年に国連開発計画(UNDP)が発表した「人間開発報告書」によると,我が国は人間開発指数(HDI1))が測定可能な162か国中9位,ジェンダー開発指数(GDI2))が測定可能な146か国中11位,ジェンダー・エンパワーメント指数(GEM3))が測定可能な64か国中31位と,GEMの順位がHDI,GDIの順位に比して大きく落ち込んでいる。しかし,12年6月の衆議院議員選挙によって,衆議院議員に占める女性割合が4.6%から7.3%へ大幅に上昇したこともあり,前年のGEM41位から31位へと改善がみられる。

GEMの上位5か国はノルウェー,アイスランド,スウェーデン,フィンランド,カナダである。これらの国では,HDI及びGEMの順位がともに高い。


  1. HDI 人間開発指数(Human Development Index)
    基本的な人間の能力がどこまで伸びたかを測るもので,基礎となる「長寿を全うできる健康的な生活」,「知識」及び「人並みの生活水準」の3つの側面の達成度の複合指数である。具体的には,平均寿命,教育水準(成人識字率と就学率),調整済み一人当たり国民所得を用いて算出している。
  2. GDI ジェンダー開発指数(Gender-Related Development Index)
    HDIと同じく基本的能力の達成度を測定するものであるが,その際,女性と男性の間でみられる達成度の不平等に注目したもの。HDIと同様に平均寿命,教育水準,国民所得を用いつつ,これらにおける男女間格差ペナルティーを割り引くことにより算出しており,「ジェンダーの不平等を調整したHDI」と位置付けることができる。なお,「ジェンダー」とは社会的・文化的に形成された性別。生物学的な性別であるセックスと区別して用いられる。
  3. GEM ジェンダー・エンパワーメント指数(Gender Empowerment Measure)
     女性が積極的に経済界や政治生活に参加し,意思決定に参加できるかどうかを測るもの。HDIが人間の能力の拡大に焦点を当てているのに対して,GEMは,そのような能力を活用し,人生のあらゆる機会を活用できるかどうかに焦点を当てている。具体的には,女性の所得,専門職・技術職に占める女性割合,行政職・管理職に占める女性割合,国会議員に占める女性割合を用いて算出している。

なお,UNDPによると,1999年報告書よりデータの算出方法が変更になり,1998年以前の報告書に掲載されている値との比較はできなくなっている。


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