9 メディアにおける女性の人権の尊重

施策の基本的方向 具体的施策 担当府省

(1)女性の人権を尊重した表現の推進のためのメディアの取組の支援等

性の商品化や暴力表現が女性の人権を侵害している現状を改善し、メディアが自主的に女性の人権を尊重した表現を行うようその取組を促すとともに、性・暴力表現を扱ったメディアを青少年やそれに接することを望まない者から隔離することを含め、メディアにおける人権尊重を推進する実効的な方策について検討する。その際、インターネットを始めとした各種のメディアの特性に応じた方策がとられるよう、また、特に児童の権利の保護、青少年の健全育成の観点が重視されるよう配慮する。

また、高度情報通信社会が進展する中では、メディアからもたらされる膨大な情報を、各人が無批判に受け入れるのではなく、主体的に読み解いていく能力が不可欠であることから、メディアからの情報を主体的に読み解き、自己発信する能力(メディア・リテラシー)の向上のための支援を積極的に行う。

ア メディアにおける人権尊重、性・暴力表現を望まない者からの隔離等に関する方策の推進

  • メディアにおける女性の人権の尊重のための取組の支援

    メディアが、女性の人権の尊重を十分念頭に置いた基準を定め、遵守すること、女性の人権に対する認識を深め、ジェンダーに敏感な視点を養うための社内教育を充実すること等により、女性の人権を尊重した情報発信が行われるよう、関係者への働きかけを行う。

    放送分野においては、「放送と人権等権利に関する委員会機構」等が設けられているが、民間における自主的な取組が機能していない分野については、表現の自由を踏まえつつ、第三者機関の活用等、女性の人権の尊重に関する意見や苦情、提言を受け付け、人権侵害における被害者救済等を行う仕組みについて、検討を行う。

  • 性・暴力表現を扱ったメディアの、青少年やこれに接することを望まない者からの隔離

    青少年や性・暴力表現を望まない者が視聴することが不適切な放送番組等について、視聴者がより適切な番組を選択できるよう、番組情報の提供方法等について、放送のデジタル化を踏まえ検討を行う。 性・暴力表現を扱った出版物、コンピューターソフト等については、青少年の健全育成のために、出版、販売等の関係業界への自主的な取組の徹底、青少年保護育成条例における有害図書類の指定制度の効果的な運用、地域の環境浄化を図るための啓発活動等の方策を推進する。

    これらの方策の一層の推進に資するために、メディアの実態や青少年に与える影響、諸外国における取組の動向等について調査研究に努める。

  • 児童を対象とする性・暴力表現の根絶

    児童ポルノは、対象となった児童の権利に対する重大な侵害であり、その心身の成長に甚大な悪影響を及ぼすおそれがあることから、児童買春・児童ポルノ法に基づく取締りを厳正に行い、心身に有害な影響を受けた児童の保護に努める。

  • 地域の環境浄化のための啓発活動の推進

    学校・家庭・地域社会が連携した有害環境浄化活動を推進するなど、青少年を取り巻く地域の環境を浄化するための啓発活動を推進する。

  • メディアにおける男女共同参画の推進

    性・暴力表現や固定的な性別役割分担意識に基づく表現などの改善の観点から、企画、制作、編集などメディアのあらゆる段階、特に方針決定の場に女性を積極的に登用するよう、メディアの自主的取組を促す。

イ インターネット等新たなメディアにおけるルールの確立に向けた検討

  • 現行法令の適用による取締りの強化

    インターネット等新たなメディアにおけるわいせつ情報や性の商品化に対しては、刑法第175条、児童買春・児童ポルノ法等現行法令の適用による取締りを強化する。また、違法・有害コンテンツの把握のための民間団体を通じた効果的な推進方策を検討する。

  • インターネットにおける不適切な情報を受信者側で排除できるシステムの開発、普及

    情報発信を制限することなく、インターネットにおける不適切な情報を排除するための受信者による自主管理システムの開発、普及を行う。

  • 接続事業者及び情報提供者に対する広報・啓発活動の推進

    接続事業者に対して自主的なルールの形成及びその遵守を促し、情報提供を行う者のモラルを確立するため、広報・啓発活動を推進する。

  • 自主ガイドラインの策定の支援等

    インターネット等新たなメディアの活用、内容表現に関する倫理規定等の自主ルール基準の策定及びその遵守など、メディア自身による取組を一層支援する。

  • インターネット等新たなメディアにおける情報の規制等及び利用環境整備の在り方等に関する検討

    インターネット等新たなメディアにおける性・暴力表現など女性の人権を侵害する情報の規制等の在り方について、表現の自由、通信の秘密の保障に配慮しながら、国際的な動向を踏まえつつ、有識者、ネットワーク事業者、消費者代表等の参加も得るなどして検討を行う。また、迷惑通信への対応、苦情処理体制の整備などの利用環境整備の在り方についても検討する。

ウ メディア・リテラシーの向上

  • メディア・リテラシー向上のための広報・啓発

    メディアの健全な発達のためには、批判的な読者・視聴者の目に晒されることが不可欠であることから、国民、特に心身ともに成長過程にあり感受性に富む青少年のメディア・リテラシーの向上を図ることにより、メディア社会に積極的に参画する能力を涵養する。

  • 情報教育の推進

    学校教育、社会教育を通じて、情報そのものを主体的に収集・判断等できる能力の育成に努める。

    学校教育において、インターネットを始め様々なメディアが社会や生活に及ぼす影響を理解し、情報化の進展に主体的に対応できる能力を育成する。

内閣府、警察庁、総務省、法務省、文部科学省、厚生労働省、経済産業省

(2)国の行政機関の策定する広報・出版物等における性にとらわれない表現の促進

性別に基づく固定観念にとらわれない、男女の多様なイメージを社会に浸透させるため、まず国の行政機関自らが、男女の描写方法に関するガイドラインを策定するなど率先して取組を行う。他の機関や民間のメディアにおいても自主的な取組が促進されるようガイドラインを広く周知する。

  • 男女共同参画の視点からの国の行政機関の広報ガイドラインの策定、浸透

    男女共同参画の視点から、国の行政機関の策定する広報・出版物が遵守すべきガイドラインを策定し、職員に広く周知することにより、国の行政機関の広報・出版物において、性別に基づく固定観念にとらわれない、男女の多様なイメージを積極的に取り上げるものとする。

  • ガイドラインの他の機関への啓発

    国の行政機関の広報・出版物に関するガイドラインを地方公共団体、民間のメディア等に広く周知するとともに、これを自主的に規範として取り入れることを奨励する。

全府省
内閣府男女共同参画局 Gender Equality Bureau Cabinet Office〒100-8914 東京都千代田区永田町1-6-1
電話番号 03-5253-2111(大代表)
法人番号:2000012010019