4 農山漁村における男女共同参画の確立

施策の基本的方向 具体的施策 担当府省

(1)あらゆる場における意識と行動の変革

男女を問わず農林水産業・農山漁村の担い手が、その持てる力を十分に発揮し、評価され、方針決定過程に参画できる社会を実現するためには、「個」としての主体性を確保すること、農山漁村における家庭や地域社会にややもすれば残存している固定的な役割分担意識とそれに基づく慣習・慣行や行動様式を是正することなど、あらゆる場における意識と行動の変革を進めることが必要である。このため、農山漁村の女性の地位の向上に向けた啓発活動等を行う。

  • 「個」としての主体性の確保

    農山漁村に暮らす男女が、自分の生き方を自由に選択し、自分の人生を自身で設計・実現していくことができるようにするため、家庭及び地域社会に対する啓発活動を行う。

  • 固定的な役割分担意識の是正

    農山漁村にややもすれば残存している固定的な役割分担意識に基づく慣行や習慣を解消するため、女性の農林漁業経営や地域の方針決定過程への参画の促進などの啓発活動を行う。

  • 社会的な気運の醸成・高揚

    「農山漁村女性の日」の活動等を通じて、男女共同参画社会の形成に向けた社会的気運の醸成を図る。

  • 調査研究・研修・統計等における取組の充実

    家事を含めた女性の労働の実態、社会参画に必要な条件、男女の意識の違い及び女性の果たしている役割を的確に把握できるような調査研究や統計調査を促進する。また、男女共同参画社会の形成への理解を深めるための研修の充実を図るとともに、参画促進に向けた先進的取組事例などに関する情報の提供を行う。

農林水産省

(2)政策・方針決定過程への女性の参画の拡大

農林水産業において女性の果たしている役割の重要性に照らして、地域の生産・生活に関するあらゆる方針決定の場において、今後、女性の参画を飛躍的に高めていくため、各都道府県において策定される女性の参画目標を踏まえ、関係機関との連携の下、策定された参画目標の達成に向けた体制整備を支援するとともに、啓発活動等を推進する。

  • 政策・方針決定過程への女性の参画の拡大

    各都道府県において策定された農山漁村における女性の参画目標に基づき、市町村等各地域レベルにおいても参画目標の策定を行うことを奨励するとともに、目標の達成に向けた積極的な取組を促進する。

    農業協同組合、森林組合及び漁業協同組合等の運営に女性の意思を反映させるため、役員や農業委員への女性の登用や方針決定過程への参画を促進する。さらに、土地改良区の役員、地域開発事業の計画策定の委員等にも女性の登用を進めるなど、農林漁業関係団体とも連携して女性の参画を促進する。

  • 女性の能力の開発と適正な評価

    意欲のある女性が地域における方針決定に参画する上で必要な能力を開発するための研修等を実施する。また、女性の職業、生活管理・地域活動指導等に係る能力について、地域社会での適正な評価を確保するため、女性農業士等の認定を推奨する。

農林水産省

(3)女性の経済的地位の向上と就業条件・環境の整備

男女が社会の対等な構成員としてあらゆる活動に参画することが重要であることにかんがみ、女性の経営における役割を適正に評価するとともに、女性が自らの意思によって経営及びこれに関連する活動に参画する機会を確保するための環境整備を進める。

  • 女性の経済的地位の向上

    女性の経営における役割を適正に評価し、就業環境の整備等を図る。また、女性の行う部門経営や農林水産業に関連する起業活動への支援、融資、税制等経営参画に係る知識の普及等を推進する。

  • 技術・経営管理能力の向上

    配偶者との結婚等をきっかけとして農林水産業に携わることが多い女性は、生産技術・経営に関する知識や経験について個人差が大きい。このため、個々のライフステージに応じた知識や技術、経営管理能力の修得のための研修や交流等を促進する。

  • 快適に働くための条件整備

    女性が安全で快適に就業できるようにするため、農林水産業における作業の安全の推進、労働軽減技術の確立、労働時間の適正化、労働環境の点検・整備、休日の取得等環境整備等を実施する。さらに、女性の労働改善のための調査研究・技術開発を促進する。

農林水産省

(4)女性が住みやすく活動しやすい環境づくり

農山漁村には、職業として農林水産業に携わる女性、地域社会活動を行っている女性、また、ライフステージから見れば、出産・子育て期や壮年期、高齢期等に属する様々な女性がいる。これらの者が農林水産業・農山漁村に就業・定住する良さを実感しつつ、多様な生き方ができるように、住みやすく生き生きと活動しやすい環境づくりを推進する。また、農林水産業・農山漁村に関心のある都市の人々が就業・定住しやすい環境づくりを進める。

  • 主体的な活動を支援する労力調整システムの形成

    農林水産業に従事する女性が、生産と生活の両面において過重な負担を負うことがなく、無理なく農林水産業や多様な社会活動ができるように、地域における育児や介護との両立を支援するための施設の整備及び各種サービスの充実を図る。さらに、これらを気軽に利用できるよう家庭及び地域社会に対する啓発を行う。また、各種ヘルパーシステムの充実に努め、労力調整システムの形成を推進する。

    住みやすく快適な生活環境の整備

    農山漁村地域社会の安定的発展と地域環境の保全を図り、農山漁村の特性をいかした生活優先の暮らしができるよう、豊かな自然や景観をいかした地域づくり及び美しく快適な農山漁村の生産・生活環境の整備を進める。

    また、生活技術や文化・自然も含めた地域資源の活用を通じ、農山漁村への理解の醸成を図るとともに、それを担う人材の育成を図る。

  • 交流ネットワークの形成

    活力ある農山漁村地域社会の形成を図るため、農山漁村における地域資源をいかした農産物加工等の起業活動や自然環境等とのふれあいのための活動等を通じて、農山漁村に関心のある人々との交流を促進するとともに、ネットワークの形成の促進を図る。

農林水産省

(5)高齢者が安心して活動し、暮らせる条件の整備

農山漁村においては、高齢の親や配偶者、配偶者の親等の介護は女性の役割であるという考え方が残っており、介護サービス等の利用に関する抵抗感もある。このため、農山漁村の女性は、農林水産業の作業・家事・育児等に加えて介護を行うことが多い。また、介護する女性自身が高齢者であることも多いことから、女性の負担は大きい。

また、農山漁村の男女が平等な立場で高齢期を安心して迎えられる環境を整備していくことが重要である。

  • 高齢者生活支援体制の整備

    農業協同組合、漁業協同組合等の女性・青年組織等を活用した声かけ、安否確認、給食サービス、公共施設への送迎等のボランティア活動を推進するとともに、農業協同組合等によるホームヘルパーの養成を含め、高齢者介護体制に関する人材育成を図る。

  • 高齢者の活動の推進

    農山漁村の特質をいかして、高齢者が能力と意欲に応じて生涯現役を目指して活動し、安心して暮らすことができる地域社会を形成するため、地域における高齢者ビジョンに基づく活動計画づくり、高齢者の活動の場づくりを進めるとともに、施設のバリアフリー(*)化などのハード面、高齢者への助け合い活動等のソフト面の両面から、高齢者の生活の快適化に配慮した生活環境の整備を行う。

  • 老後の自立の確保

    農山漁村における高齢期の女性の生活が安定し、いきいきと農林水産業に関する活動が行えるよう、環境の整備の充実を図るとともに、各種社会保障制度について一層の普及に努める。

農林水産省

*バリアフリー(barrier free):障害のある人が社会生活をしていく上で障壁(バリア)となるものを除去するという意味。元来は建築用語として、建物内の段差の解消等物理的障壁の除去という意味合いが強いが、より広く障害者の社会参加を困難にしている社会的、制度的、心理的なすべての障壁の除去と言う意味でも用いられている。

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