10 男女共同参画を推進し多様な選択を可能にする教育・学習の充実

施策の基本的方向 具体的施策 担当府省

(1)男女平等を推進する教育・学習

学校教育及び社会教育において、自立の意識を育み、男女平等の理念を推進する教育・学習の一層の充実を図る。

学校教育においては、日本国憲法及び教育基本法の精神にのっとり、発達段階に応じ、個人の尊厳、男女平等に関する教育の充実に努める。

社会教育においては、男女が生涯を通じて個人の尊厳、男女平等の意識を高めるよう、学習機会の提供に努める。

また、これらの教育に携わる者が男女共同参画の理念を理解するよう、意識啓発等に努める。

ア 初等中等教育の充実

  • 学校教育全体を通じた指導の充実等

    学校教育全体を通じて、人権の尊重、男女の平等、相互理解・協力についての指導の充実を図るとともに、教科書などの教材においても適切な配慮がなされるよう留意する。また、自立の意識を育む教育、一人一人の個性や能力を尊重し、児童生徒が主体的に学び、考え、行動する姿勢を育む教育を推進する。

    学校行事などの学校運営やPTA活動などの地域活動が、性別に基づく固定的な役割分担を前提に行われることがないよう、留意する。

  • 家庭科教育の充実

    家庭科教育については、男女共同参画社会の推進に対応し、新しい学習指導要領(平成10年12月、平成11年3月改訂)において、家庭の在り方や家族の人間関係などに関する指導の充実を図っており、特に、高等学校家庭科では、男女が相互に協力し、家族の一員としての役割を果たし、家庭を築くことの重要性について認識させることとしており、その趣旨の普及・徹底に努める。

イ 高等教育の充実

  • 高等教育機関における男女共同参画の推進

    高等教育機関における教育・研究活動において、ジェンダーに敏感な視点が組み込まれるよう努めるとともに、様々な学問分野への女性の参画を促進する。

    国立大学協会の男女共同参画に関するワーキング・グループが行った、国立大学における男女共同参画を推進するための提言等も踏まえ、学術・研究の分野における女性の参画の促進に努める。

  • 奨学金制度の充実

    自立の意識を醸成していくため、学生が、親の金銭的援助に過度に依存することなく、自立して学ぶことができるよう、奨学金制度の充実を図る。

ウ 社会教育の推進

  • 男女共同参画の視点に立った家庭教育の推進

    男女が相互の人格を尊重し、相手の立場を理解し助け合うような人間形成を図るため、親や親になる前の者等を対象とした家庭教育についての学習機会の一層の充実を図る。

  • 男女共同参画に関する学習機会の提供

    女性問題の解決に資する学級・講座等の開設、男女共同参画の意識を高める学習プログラムの開発等、男女共同参画に関する学習機会を提供する。その際、特に高齢期の男女について配慮する。

  • 固定的な男女の役割分担意識にとらわれない教育についての調査研究の充実

    家庭や地域において、生涯にわたり固定的な男女の役割分担意識にとらわれない教育を行うため、学習プログラムや教材の研究・開発、指導者用資料の作成、専門的な指導者の養成などを推進する。

エ 教育関係者の意識啓発

  • 教職員の男女共同参画に関する理解の促進

    教員養成課程における男女平等などの人権教育を促進するとともに、学校における男女共同参画の推進等を図るため、学校長を始めとする教職員が男女共同参画の理念を理解し、男女共同参画意識を高めることができるよう、各教育委員会や大学等が実施する研修等の取組を促進する。

  • 社会教育関係者の意識啓発

    青少年教育活動の指導者など社会教育に携わる者に対しても、様々な機会を活用し、男女共同参画についての意識啓発に努める。

オ 女性学・ジェンダーに関する調査・研究等の充実

  • 高等教育及び社会教育における女性学等の振興

    高等教育機関等における女性学・ジェンダー研究の一層の振興を図るとともに、研究成果を女性教育施策や社会教育の場におけるプログラム開発などへ幅広く活用し、社会への還元を促進する。また、社会教育の場においても女性学・ジェンダー研究に関する講座を開設するなど、女性学等の振興に努める。

  • 日本学術会議におけるジェンダーに関する検討

    日本学術会議において、特別委員会を設置し、ジェンダー問題に関し、人口、健康、暴力等の観点から多角的に検討する。

文部科学省、総務省

(2)多様な選択を可能にする教育・学習機会の充実

男女が各人の個性と能力を十分に発揮し、社会のあらゆる分野に参画していくためには、生涯学習の振興は極めて重要な意義を持つ。特に、女性の多様化、高度化した学習需要に対応し、女性のエンパワーメントに寄与するため、女性の生涯にわたる学習機会の充実、社会参画の促進のための施策を一層充実させる。

また、男女が共に、各人の生き方、能力、適性を考え、固定的な性別役割分担にとらわれずに、主体的に進路を選択する能力・態度を身につけるよう、進路指導、就職指導に努める。

ア 生涯学習の推進

  • リカレント教育の推進

    子育てと仕事の両立のためにも、リカレント教育の重要性はますます高まっており、編入学の受入れ、大学等における社会人特別選抜の実施、昼夜開講制の推進、夜間大学院の設置、公開講座の実施等に努め、大学等の生涯学習機能の拡充を図るとともに、高等学校等における開放講座の充実を図る。

  • 放送大学の整備等

    時間・空間的制約なしに生涯にわたって学習する機会を提供するものとしてテレビ・ラジオを利用して高等教育の機会を提供する放送大学や放送大学大学院の整備を推進する。また、単位制高等学校や専修学校の整備を推進するとともに、社会通信教育の振興を図るなど多様な学習歴や生活環境を持つ学習者に対する学習機会の提供を促進する。

  • 学校施設の開放促進等

    地域住民の学習機会や子どもたちの活動の場を幅広く提供するために、学校施設を学校休業日や放課後に地域住民や子どもたちに開放し多様な学習機会の提供を行う。また、学校・家庭・地域社会が連携協力して、児童生徒の教育を行うことができるよう、地域コミュニティの拠点としての学校施設の整備促進を図る。

  • 青少年の体験活動等の充実

    男女共同参画意識の高揚に配慮しつつ、青少年の奉仕活動、自然体験活動等の場や機会の充実を図る。

  • 民間教育事業との連携

    民間教育事業者に対して、男女共同参画社会の理念を踏まえながら、事業の実施、相互の連携、地方公共団体との連携を図るよう指導、助言を行うなど、民間教育事業者の健全な発展を促進するよう努める。

    また、生涯学習に関する意識啓発等のため、商工会議所が行う生涯学習振興方策に関する国際シンポジウムを開催し、学習機会の提供を図る。

  • 高度情報通信ネットワーク社会に対応した教育の推進

    学校教育、社会教育を通じて情報活用能力を育成するための情報教育を推進するとともに、情報通信技術を活用した教育の推進に努める。

  • 現代的課題に関する学習機会の充実

    政策・方針決定への参画の促進にも資するよう、現代的課題に関する学習機会の充実を図ることにより、現代的課題について自ら学習する意欲と能力を培うとともに、課題解決に取り組む主体的な態度を養う。

  • 学習成果の適切な評価

    様々な学習活動の成果が適切に評価されるようにするために、学習成果の活用に関する調査研究を行うととともに、文部科学省認定技能審査を引き続き実施し、大学等において専修学校での学習の成果や文部科学省認定技能審査に合格した場合などを単位として認定することを奨励する。

イ エンパワーメントのための女性教育・学習活動の充実

  • 女性の生涯にわたる学習機会の充実

    女性が自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画するための力をつけるため、女性の多様化・高度化した学習需要や情報ニーズに対応する生涯にわたる学習機会を充実させる。

  • 女性の能力開発の促進

    職業生活に必要な能力開発のための学習プログラム等の充実及び学習機会の提供に努める。特に、結婚・出産等により、職業生活の中断を余儀なくされた女性に配慮する。

  • 女性の学習グループの支援

    女性団体・グループ、NPO等の学習活動の支援、リーダー養成に努め、女性の社会参画の促進を図るとともに、参画した女性の活動成果の普及促進に努める。また、女性団体等の情報活用能力の向上のための取組を促進する。

  • 国立女性教育会館の事業の充実等

    国立女性教育会館において、女性教育指導者その他の女性教育関係者に対する研修、女性教育、家庭教育に関する専門的調査・研究、情報収集・整理・提供を行うとともに、女性教育関連施設と連携を図りつつ、男女共同参画社会の形成の促進に努める。さらに、国内外の関連機関・施設、団体・グループ、個人等とのネットワークを充実し、女性情報ネットワークの拠点としての機能の強化を図る。また、公私立の女性教育関連施設の運営及び情報のネットワーク化の推進、地域の実情に応じた学習機会の提供、相談、調査研究等の各種事業の支援を図ることにより、地域における女性の生涯学習を総合的に推進する。

ウ 進路・就職指導の充実

  • 進路指導の充実

    学校において、入学時から様々な機会をとらえて、男子向き女子向きといった固定的な考え方にとらわれず、生徒一人一人が主体的に進路を選択する能力・態度を身につけ、幅広い分野に進むことができるようにするとともに、高い職業意識の育成を図るため、職場体験やインターンシップ(*)を推進するなど、指導の一層の改善・充実に努める。

  • 女子高校生、女子学生に対する職業意識の醸成、意識啓発の実施

    女子高校生、女子学生自身が女子向けとされる職種にとらわれることなく、幅広い職業選択を念頭において、進路決定を行うことができるよう意識啓発を行うほか、職業選択や就業に当たっての心構え等について意識の醸成を図る。

  • 就職指導の充実

    大学等の就職担当者及び企業の採用担当者間で情報交換・協議等を行う機会の提供や、大学等の就職指導担当者が就職問題について協議を行う場などを設置し、また、各大学等における学生に対する職業教育の充実、就職関連情報の迅速な提供等を通じ、女子学生への就職指導の充実を図る。

  • 各経済団体等への協力要請

    各経済団体等に対し、女子高校生、女子学生の均等な就職機会の確保等について、引き続き協力要請を行う。

文部科学省、内閣府、総務省、厚生労働省、経済産業省

*インターンシップ:学生等が在学中に自らの専攻、将来のキャリアに関連した就業体験を行うこと。

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