第2節 性犯罪・性暴力への対策の推進

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第2節 性犯罪・性暴力への対策の推進

1 性犯罪に適切に対処するための法整備についての法制審議会の答申が得られたときは、それを踏まえて所要の措置を講ずる。【法務省、関係府省】

2 監護者による性犯罪・性暴力や障害者に対する性犯罪・性暴力等の実態把握に努めるとともに、厳正かつ適切な対処に努めるなど、必要な措置を講ずる。【法務省、文部科学省、厚生労働省、関係府省】

3 男女間の取り巻く環境の変化に応じた被害傾向の変化等に対応する施策の検討に必要な基礎資料を得ることを目的に平成11(1999)年度から実施している「男女間における暴力に関する調査」について、次回の調査に向けて、必要な検討を行う。(再掲)【内閣府(男女共同参画局)、関係府省】

4 各都道府県警察の性犯罪被害相談電話につながる全国共通番号「#8103(ハートさん)」の活用についての広報や性犯罪捜査担当係への女性警察官の配置推進等、性犯罪被害に遭った女性が安心して警察に届出ができる環境づくりのための施策を推進し、性犯罪被害の潜在化防止に努める。【警察庁】

5 性犯罪に関して被害の届出がなされた場合には、被害者の立場に立ち、明白な虚偽又は著しく合理性を欠くものである場合を除いて、即時に受理することを更に徹底する。また、被害届受理時の説明によって、被害者に警察が被害届の受理を拒んでいるとの誤解を生じさせることがないよう、必要な指導を行う。【警察庁】

6 性犯罪等の被害者は、PTSD(心的外傷後ストレス障害)等の精神的な疾患に苦しむケースが少なくない現状を踏まえ、捜査関係者を含む関係者において、被害者の精神面の被害についても的確に把握し、事案に応じた適切な対応を図る。【警察庁、関係府省】

7 痴漢は犯罪である。特に電車内における痴漢については、今後も徹底した取締り等により、加害者に厳正に対処していく。また、鉄道事業者等と連携して、車内放送やポスター掲示等を通じ、痴漢防止の広報・啓発活動を行うなどにより、国民の痴漢撲滅意識の向上を図ることなど痴漢防止対策を推進する。【警察庁、国土交通省】

8 ワンストップ支援センターについて、24時間365日対応化や拠点となる病院の整備促進、コーディネーターの配置・常勤化などの地域連携体制の確立、専門性を高めるなどの人材の育成や運営体制確保、支援員の適切な処遇など運営の安定化及び質の向上を図る。また、全国共通短縮番号「#8891(はやくワンストップ)」を周知するとともに、夜間・休日においても相談を受け付けるコールセンターの運営及び地域での緊急事案への対応体制の整備等、相談につながりやすい体制整備を図る。さらに、全国共通短縮番号について、運用の在り方を検討する。さらに、若年層等の性暴力被害者が相談しやすいよう、SNS相談「Cure time(キュアタイム)」を実施する。【内閣府(男女共同参画局)、厚生労働省、関係府省】

9 ワンストップ支援センターと婦人相談所・婦人相談員などとの連携を強化し、機動的な被害者支援を展開する。また、被害者の要望に応じた支援をコーディネートできるよう、性犯罪被害者支援に係る関係部局と民間支援団体間の連携を促進する。さらに、障害者や男性等を含め、様々な被害者への適切な対応や支援を行えるよう、研修を実施する。【内閣府(男女共同参画局)、警察庁、厚生労働省、関係府省】

10 内閣府において、性犯罪・性暴力被害の相談件数の傾向を把握するため、半年ごとに、ワンストップ支援センターにおける相談件数を集計し、公表する。【内閣府(男女共同参画局)】

11 被害者からの事情聴取に当たっては、その精神状態等に十分に配意するとともに、被害者が安心して事情聴取に応じられるよう、引き続き女性警察官等の配置や、被害者の心情に配慮した被害者専用の事情聴取室の活用などによる事情聴取等の推進に努める。被害者の事情聴取の在り方等について、精神に障害がある性犯罪被害者に配慮した聴取(代表者聴取)の取組の試行を行うほか、より一層適切なものとなるような取組を検討し、適切に対処する。また、被告人の弁護人は、被害者に対する尋問に際しては、十分に被害者の人権に対する配慮が求められることにつき、啓発に努める。【警察庁、法務省、厚生労働省、国土交通省】

12 被害者に対する不適切な対応による更なる被害を防止する観点も含め、支援に従事する関係者に対して、啓発・研修を実施する。また、刑事司法に関係する検察官等に対し、性犯罪に直面した被害者の心理や障害のある性犯罪被害者の特性や対応についての研修を実施する。

内閣府では、性犯罪被害者等が安心して必要な相談・支援を受けられる環境を整備するために、ワンストップ支援センターの相談員等を対象としたオンライン研修教材を作成し、提供するとともに、研修を実施する。(再掲)【内閣府(男女共同参画局)、法務省、関係府省】

13 医療機関における性犯罪被害者の支援体制、被害者の受入れに係る啓発・研修を強化し、急性期における被害者に対する治療、緊急避妊等に係る支援を含む、医療機関における支援を充実させるとともに、支援に携わる人材の育成に資するよう、とりわけ女性の産婦人科医を始めとする医療関係者に対する啓発・研修を強化する。【厚生労働省、関係府省】

14 性犯罪被害者に対する包括的・中長期的な支援を推進するとともに、警察庁においては、医療費・カウンセリング費用の公費負担制度の効果的な運用を図る。内閣府では、性犯罪・性暴力被害者支援交付金により、ワンストップ支援センターにおける、医療費・カウンセリング費用について、引き続き、助成する。また、性犯罪に関する専門的知識・技能を備えた医師、看護師、医療関係者等や民間支援員の活用を促進する。【内閣府(男女共同参画局)、警察庁、法務省、厚生労働省】

15 性犯罪・性暴力事件及びその裁判に関する報道において、被害に関する詳細な描写や被害者が特定される情報が深刻な二次被害をもたらすことから、その取扱いの配慮について、メディアへの啓発を行う。特に、子供への性暴力事件に関しては、一層の配慮に関する啓発を行う。【内閣府(男女共同参画局)、関係府省】

16 医師や看護師を養成する教育の中で、性犯罪被害等に関する知識の普及に努める。【文部科学省、厚生労働省】

17 被害者の心のケアを行う専門家の育成等相談体制の充実を図る。【厚生労働省】

18 関係府省や都道府県警察において、13歳未満の子供を対象とした暴力的性犯罪受刑者の出所後の所在等の情報を共有し、その所在を確認するとともに、地方公共団体等において活用可能な、刑事手続終了後の性犯罪者を対象としたプログラムの開発に係る調査研究を実施するなど、効果的な再犯防止対策を進める。【警察庁、法務省】

19 刑事施設及び保護観察所において性犯罪者に実施している専門的プログラムを改訂するとともに、指導担当者の研修体制の充実を図るほか、仮釈放中の性犯罪者等にGPS機器の装着を義務付けること等について、諸外国の法制度・運用や技術的な知見等に関する調査の結果を踏まえ、所要の検討を行う。【法務省】

20 二次被害防止の観点から被害者支援、捜査、刑事裁判手続における被害者のプライバシー保護を図るとともに、メディア等を通じた的確な情報発信により性犯罪に対する一般社会の理解を増進する。【内閣府(男女共同参画局)、警察庁、法務省、関係府省】

(21) 性犯罪・性暴力の実態把握に努めるとともに、これを含め、性暴力等を許さない気運の更なる醸成に向けた予防啓発の拡充に努める。【内閣府(男女共同参画局)、関係府省】

(22) アダルトビデオ出演被害について、令和4年3月31日に決定されたアダルトビデオ出演被害に係る緊急対策パッケージに基づき、被害の拡大を予防するための集中的な広報・啓発の実施や、学校教育の現場などで教育啓発を進める。また、アダルトビデオ出演被害への被害者保護に係る法制度は、多面的・重層的に存在しており、泣き寝入りやあきらめによる撮影を防ぐため、各種法制度の運用を強化するとともに、性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター、都道府県警察の本部・警察署・交番等の警察の各種相談窓口、法テラス、人権擁護機関における専用相談窓口等に向けて周知し、対応を強化する。【内閣府(男女共同参画局)、関係府省】