男女共同参画影響調査研究会(第3回)議事要旨

  • 日 時 : 平成12年1月26日(水) 10:00~12:00
  • 場 所 : 総理府5階特別会議
  • 出席者 : (研究会)
    大澤眞理座長、山谷清志座長代理、片山泰輔、城山英明、田中由美子、橋本ヒロ子、御船美智子の各研究協力者
    (総理府男女共同参画室)
    大西男女共同参画室長、武川参事官、田河企画官、池永男女共同参画調整官
  • 議 題 :
    ・フィリピン調査報告(大澤座長)
    ・海外調査項目の再検討
    ・男女共同参画の視点についての討議
  • 会議経過

    (1) 大澤座長からフィリピン調査について、以下のような報告があった。

    ○ 平成12年1月10日から12日にかけて、フィリピンの国内本部機構であるフィリピン女性の役割国内委員会(NCRFW)、NGOの北京スコアボード、フィリピン議会下院女性委員会事務局及び農業省を調査した。

    ○ 行政府においては、すべての政府省庁・機関が歳出の最低5%をジェンダー課題を打ち出す事業に当てること、NCRFWが各省庁・機関に「ジェンダーと開発(GAD)」計画の提出(1999年では、334の省庁・機関のうち133が提出)を求め、それを審査すること、また、各省庁・機関がGAD関連の施策・事業・活動の業績と執行額を示す年次報告を提出することなどが法律で定められている。GAD計画の業績評価基準については策定中。また、NCRFWは、GAD関連予算のヒアリングに参加している。

    ○ 立法府においては、上下両院に常任の「女性委員会」が設置されており、女性の政治的、経済的、社会的状態に影響する諸法律の主要省庁による実施状況の審査、また、GAD予算の年次報告の審査を行っている。この委員会の中には監視小委員会がおかれ、NGOが参加している。ここで、NGOは独自の調査に基づいて関係省庁の喚問などを要求している。

    (2) 大澤座長からの報告について、主な発言は以下のとおり。

    ○ GAD関連予算が各省庁・機関からあまり提出されないのは、GAD関連予算として計上するための基準が各省庁の担当者によく理解されていないからではないか。

    ○ 立法府が審査を行うため取り上げる法律は、女性委員会で戦略的に判断して決める。また、そのために必要なデータや情報をNGOが提供している。

    ○ ジェンダー対応あるいはGAD視点で実施されるべきとされる施策・事業は、各省庁・機関の取りまとめ担当部局でジェンダー関連の施策・事業であると判断し、GAD施策としてNCRFWに提出している。

    (3) 事務局から海外調査項目及び男女共同参画の視点について説明し、これらについて以下のような意見交換が行われた。

    ○ すべての施策を調査するのは難しいので、例えば、次年度予算のポイントとなるような施策を選び、その予算額の増額の基準が一体何であったのか、モデル的に調査することなどを通じて、予算の編成の過程でジェンダーの視点が組み込まれていくような方法が考えられるのではないか。

    ○ 同じ予算額でもジェンダーに配慮したかどうかといった視点を入れ込んだ評価がなされるような仕組みを提起していくのもよいのではないか。

    ○ 施策形成の過程で各施策の担当者が配慮すべき事項についてのガイドラインのようなものを作るとともに、配慮が実際なされたかを事後的に調査することが考えられるのではないか。

    ○ 男女間の公平性、すなわちジェンダー問題への配慮については、政策の評価基準としての公平性に関連づけられるのではないか。

    ○ 男女共同参画影響調査は政策評価の仕組みには収まらないのではないか。

    ○ 政策評価の基準と考えられている公平性の概念はジェンダー問題への配慮も含むが、男女共同参画影響調査ではもっと広い視野に基づいて評価を行うことになるのではないか。

    ○ 男女共同参画の実現といった大きな課題の下に、それを促進するための細かな複数の施策を考え、各施策の効果が大きな課題に対してどうであったかについて、横断的な評価を行うことが必要ではないか。

    ○ 男女共同参画影響調査の重要な役割は、単なる行政の評価に止まらず、政府のやっている仕事について戦略的にジェンダーの視点を入れ込んでいくことである。

    ○ ジェンダーに関する目標をオペレーショナライズ(operationalize:政策目的をより具体化・特定化すること)するという点については、例えば、各施策における調査事項を、施策の対象を男女別に把握しているか、男女双方のニーズ、満足度を把握しているか等の比較的やり易いものとすることが考えられるのではないか。

    ○ 男女共同参画影響調査は、その結果を広く社会に問い、社会の意見を取り入れていくといった仕組みを考えるのがよいのではないか。

    ○ 例えば公共事業などの場合、立案段階でただジェンダーに配慮しているかどうかを調べるだけでなく、執行段階において事業の発注をする企業が女性を差別していないかどうかなど具体的に調査をすれば、問題が明らかになるのではないか。

    (4) 次回(第4回)研究会は、平成12年3月24(金)10:00から開催することとされた。

以  上

(文責:総理府男女共同参画室)