男女共同参画影響調査研究会(第1回)議事要旨

  • 日 時 : 平成11年12月6日(月) 10:00~12:00
  • 場 所 : 総理府5階特別会議室
  • 出席者 :
    (研究会)
    大澤眞理座長、山谷清志座長代理、片山泰輔、城山英明、橋本ヒロ子、御船美智子の各研究協力者
    (総理府男女共同参画室)
    大西男女共同参画室長、武川参事官、田河企画官、大塚男女共同参画推進官、池永男女共同参画調整官
  • 議 題 :
    ・男女共同参画影響調査に係るこれまでの動き
    ・今後のスケジュール及び考えられる論点等について
    ・海外調査について
    ・フリーディスカッション
  • 会議経過

    (1) 冒頭、大澤座長により山谷研究協力者が座長代理として指名された。

    (2) 事務局から男女共同参画影響調査に係るこれまでの動き、今後のスケジュール及び考えられる論点について説明し、これらについて以下のような意見交換が行われた。

    ○ 政策が実行されるまでのいくつかの過程に対応して、何を調査するのかを考え、この中で、重要なものをいくつか取り上げることになるのではないか。また、色々な分野の女性の地位指標の利用を検討したらよい。

    ○ ジェンダー分析、評価というものは、海外援助の領域で早くから取り組んでいる。援助する国・機関があって、事業の計画・実施を行う者、そして対象となる現地があるという関係上、事業の達成度を評価する必要があり、この中で、ジェンダーの視点が入っていないと成果が上がらないということから、一見ジェンダーには無関係と思われるような事業でもジェンダーの評価を組み込むようになった。

    ○ 各省の政策を男女共同参画の視点で事後的にチェックするためのシステムを作るのか、あるいは、各省がプロジェクトなどを行う段階でのガイドラインのようなものを作り、そして、そのガイドラインが実際に運用できるような支援の仕組みを作ることを考えているのか。

    ○ カナダの場合は、各省の施策を立案段階でも事後でも抜き出して評価・分析するようなものもある。各省はそれぞれの思惑で事業を実施し、それらが互いに拮抗、相殺してしまうようなこともあり得る。横断的な観点からの調査・評価については内閣府のようなところでしかできないのではないか。これら両側面を考える必要がある。

    ○ 我が国では、中央も地方も政策、施策、事業の分類が混乱しており、評価対象が定まっているとは言い難い。

    ○ 男女共同参画等人々の価値観に影響を与えるための政策に関する問題と、そういう価値観があるにもかかわらず政策の不備から不均衡が生じてしまうというような技術的な問題とに整理する必要があるのではないか。

    ○ 政策の目的と政策手段がうまくいっているかというような議論も必要。

    ○ 政策目的自体をオペレーショナル(operational)にすること(政策目的をより具体化・特定化すること)が重要である。

    ○ 政策を考えるとき、対象とするグループをどう区分するかが重要であるが、当然考えるべき区分として男女別というものがある。この区分をどういうバランスで、また、どういう重み付けをして考えるかということは価値観によるところがあるのだろう。各種政策について男女共同参画という要素が相対的にどの程度重要かを考えると、どの政策に影響調査を適用するのかということ、そして、その道具立てのイメージがわかり易くなる。

    ○ 男女平等の推進、あるいは対象とするグループが女性であり、女性の地位向上が目標となっている政策でないもので、男女共同参画社会の形成に影響を及ぼし得る政策をどう評価するかを考えていくことがこの研究会の重要課題の一つである。

    ○ 他省庁の取組の結果を調べ、それらを積み重ねていくとある程度何か見えてくるのではないか。

    ○ いくつか指標についての試みはあるが、まだ十分に指標になり得るような統計がとられているとはいえないのではないか。

    (3) 事務局から海外調査について説明し、これについての意見交換及びフリーディスカッションが以下のように行われた。

    ○ 評価は大体アウトカム(outcome:直接的な成果)までしかできないのではないか。インパクト(impact:波及効果や副次効果)となると、価値観が入ってきて、また、長期的な話になる。

    ○ 成果指標と言い得るためには、政策の目標というものが明確に、ある程度指標をもってこの目標を達成する、というふうに立てられている必要がある。

    ○ NGOが政策について評価を与えることもある。

    ○ 政府の政策の効果は数値化しにくいし、社会慣行というものにどの程度間接的に影響を及ぼしたのかも、色々な要因が絡むため、政策の効果の評価は難しい。といって、数値になり易いところだけ見てしまうと、男女共同参画という分野では過大評価となってしまう可能性があり、注意が必要。

    ○ 数値のみに頼ると実態からかけ離れていく恐れがあり、質的な評価も併せて考える必要がある。

    ○ 数値化に努めることは第一歩として必要である。たとえ偏った見方の数字であっても、同じ調査で経年できちんとデータがとれていれば、少なくとも変化は見ることができる。

    ○ 横断的政策課題で、現場の担当者に立案段階からチェックを求めているものとして、例えば環境分野があるのではないか。

    (4) 次回(第2回)研究会は、12月17日(金)13:00から開催することとされた。

以  上

(文責:総理府男女共同参画室)


(参 考)

男女共同参画影響調査研究会研究協力者

◎大澤眞理    東京大学社会科学研究所教授

  片山泰輔    東京財団研究員

  城山英明    東京大学大学院法学政治学研究科助教授

  田中由美子  国際協力事業団社会開発協力部部長

  橋本ヒロ子   十文字学園女子大学社会情報学部助教授

  御船美智子  お茶の水女子大学大学院人間文化研究科助教授

○山谷清志    岩手県立大学総合政策学部教授

(◎ 座長、○ 座長代理)
(敬称略、五十音順)