「共同参画」2021年9月号

特集1

成年年齢引下げとAV出演強要問題・「JKビジネス」問題<キュアタイム等に相談を!>
内閣府男女共同参画局男女間暴力対策課

令和4年4月1日から、「民法の一部を改正する法律」が施行され、成年年齢が、20歳から18歳に引下げとなります。これにより、18歳になると、一人で有効な契約をすることができ、また、父母の親権に服さなくなることになります。

18歳で成人になるということは、18歳、19歳の人たちの生活にどういった影響を及ぼすことになるのでしょうか?実は、男女共同参画局が取り組む若年層の性暴力被害予防・啓発や相談事業とも関わりが深いのです。「成年年齢引下げ」と内閣府の取組について、御紹介します。

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1.成年年齢の引下げ

平成30年6月、民法の定める成年年齢を18歳に引き下げること等を内容とする「民法の一部を改正する法律」が成立しました。この改正法は令和4年4月1日から施行されます。

引下げによって、18歳、19歳の方は、自分の意思で、親や監護者の同意を得なくても、様々な契約ができるようになります。例えば、携帯電話の購入、クレジットカードの作成、自動車などの購入についても、親の同意は必要なくなります。進学や就職も自分の意思で決めることができるようになります。

ただし、お酒やたばこ、公営競技(競馬、競輪等)の年齢制限は、青少年保護の観点から、20歳のままです。18歳になったからといってお酒を飲むことはできません。

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2.未成年者取消しができなくなります

契約において、社会経験の少ない未成年者が親の同意を得ずに契約した場合、契約を取り消すことができます。これを「未成年者取消権」と言います。

未成年者取消権の対象も、現在は、20歳未満ですが、来年4月1日からは、18歳未満となります。18歳、19歳の人も成年者として、自らの責任により、契約することが求められます。

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3.アダルトビデオ出演強要問題や「JKビジネス」問題との関係

一方で、若年層が、いわゆるアダルトビデオ出演強要問題や、いわゆる「JKビジネス」と呼ばれる営業により、性的な被害に遭うといった問題が起きています。こうした問題は、被害者の心身に深い傷を残しかねない重大な人権侵害であるとともに、女性活躍の前提となる安全で安心な暮らしの基盤を揺るがす問題です。

成年年齢の引下げにより、こうした問題による被害が増えることが懸念されます。

例えば、18歳、19歳の人が、お金に困っているなどの理由から、アダルトビデオの出演契約を締結してしまったり、「JKビジネス」での就労を決めてしまうと、来年度以降、未成年者取消権が行使できず、契約を解除することは難しくなると言えます。18歳になったら、自らの行動がどういった結果につながるのか、より慎重に、考える必要があります。

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4.内閣府の取組①「広報啓発」

内閣府では、平成29年から毎年4月に「AV出演強要・『JKビジネス』等被害防止月間」を実施しており、本年度からは、これを発展的に継承し、「若年層の性暴力被害予防月間」として、アダルトビデオ出演強要や「JKビジネス」などの問題の更なる啓発に加え、若年層の様々な性暴力被害の予防啓発や性暴力被害に関する相談先の周知、周りからの声掛けの必要性などの啓発を行っています。

また、人身取引根絶に向けた広報においても、ポスターやリーフレットでアダルトビデオ出演強要問題を取り上げ、注意喚起を図っています。

今後は、来年4月1日の成年年齢引下げの施行に向けて、SNS等も活用しながら、予防啓発や注意喚起をより強力に推進していきます。


5.内閣府の取組②「相談窓口の提供」

内閣府では、性暴力被害等について、若年層が相談しやすくなるよう、性暴力に関するSNS相談「Cure time」(以下「キュアタイム」という。)を実施しています。

キュアタイムは、年齢性別を問わず、チャットで相談ができるというものです。匿名でも相談を受け付けており、相談の秘密は必ず守ります。性暴力被害者支援の専門家が相談を受け付けています。必要に応じ、関係機関を紹介することも可能です。アダルトビデオ出演強要や「JKビジネス」に関することも、お気軽にご相談ください。相談することが、まずは解決への第一歩です。

また、全国の性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターでも、相談を受け付けています(全国共通短縮番号「#8891(はやくワンストップ)」)。


内閣府では、今後とも、アダルトビデオ出演強要問題、「JKビジネス」問題を含む若年層の性暴力被害について、予防啓発を進めるとともに、SNS相談を推進し、相談しやすい環境の整備に努めてまいります。

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キュアタイムへの御相談はこちら
https://curetime.jp/


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