巻頭言
「男女共同参画の推進と統計の活用」
近年、政策立案や政策評価においてエビデンス(証拠)を示すことが強く求められるようになってきており、そのような中、統計は、全体の状況を数量的に示すものとして、従来にも増して重要視されるようになっています。白書や内閣府のサイトをみると、男女共同参画の推進においても、それは同様であることがうかがわれます。また、国際的にもジェンダー統計※は重要視されており、国連がジェンダー指標のミニマムセットを提唱するなどしています。
必ずしも男女共同参画分野に限ったことではありませんが、統計利用に際しては、地域別結果や住民の意識についての結果の重要性も忘れることはできません。例えば、管理的職業における女性の割合は、高まってきてはいるものの、まだ15%程度にとどまっています(図参照)。一方、この割合を都道府県別にみると、20%を超える県も10%に満たない県もあって地域差が大きく、地域別の分析も重要であることが示唆されます。また、最近公表された「男女共同参画社会に関する世論調査」によると、今後女性がもっと増える方がよいと思う職業として企業の管理職が上位に位置しており、管理的職業における女性の割合の拡大は世論としても重視されています。
上記は一例に過ぎませんが、各種の関連統計のさらなる活用や整備を通じ、男女共同参画が一層推進されていくことを期待したいと思います。
※男女間の意識による偏り、格差や差別の現状及びその要因、現状が生み出す影響を客観的に把握するための統計。
総務省統計研究研修所客員教授
大林 千一