「共同参画」2019年11月号

巻頭言

「女性に対する暴力の防止に向けて」

2017年秋に米国で始まった#me too運動は、瞬く間に世界に広がりました。2018年春、日本でもセクハラ被害を告発する声が上がり、今まで沈黙を余儀なくされてきた性暴力やセクハラの被害者を勇気づけました。しかし、声をあげたとしても周囲の理解を得ることは難しく、被害を受けた人びとは孤立しがちです。でも今度は違いました。声をあげた人を「一人ぼっちにしてはならない」と始まったのが#we too や#with youです。

ところが、110年ぶりの刑法性犯罪規定の大幅改正から1年以上経た2019年春、立て続けに性暴力への無罪判決が下されました。衝撃を受けた女性たちは、すぐさまフラワーデモを始めました。夕暮れの街頭で、もちろん、安全を守りながら、当事者の方がたが次々と被害の経験を語ることは、今までにないことです。

国際社会では、イスタンブール条約など「女性に対する暴力」をなくすための条約が制定され、多くの国で法改正が進んでいます。諸外国では、「女性に対する暴力」根絶をめざして、同時に男女共同参画推進の努力が行われていることも学びたいと思います。

 


お茶の水女子大学名誉教授
戒能 民江

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