「共同参画」2019年10月号

巻頭言

「一人ひとりが大切にされる新しい時代を生きる」

「理系」と「文系」、この違いはいったい何でしょうか。数式や法則を使って定量的に物事を捉え未来を考えるのが理系、人を対象として定性的に過去の事象を捉えるのが文系という説もあります。一昨年の内閣府委託の調査研究では、文系に対する中学生の印象は「日常生活で役に立つ」が多く、理系の印象は「知識や技能が習得できる」、「就職して高い給料が得られそう」が多いという結果が得られました。つまり、文系は日常生活の知、理系は職業の知という印象を多くの中学生が持っているということです。

この印象は、理系には男性が多く、文系には女性が多いという傾向につながっていると考えられます。女性が仕事より日常生活に興味を持ち、男性はむしろ仕事に興味を持つというのは、高度経済成長を成し遂げた昭和時代の生き方であり、その印象が今も残っている結果かもしれません。

これから日本は人口縮小の時代を迎えます。大量生産、大量消費、大量廃棄の時代から抜けだし、一人ひとりの個性が尊重される時代をどのように迎えるのか、今の時代に生きる私たちの責任です。「女子は文系」という古き印象から脱却し、本当にやりたいこと、自分が得意なこと、人のためになることに迷わず進める、そしてそれが過去にない学問なら新しい学問を作ればよい、そんな社会を実現できたら、多くの人の幸せにつながる未来を築くことができるのではないでしょうか。

やりたいこと 得意なこと 人のためになること の図


国立研究開発法人 科学技術振興機構
副理事
渡辺 美代子

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