「共同参画」2019年9月号

トピックス3

女子生徒等の理工系分野への進路選択支援に向けた保護者等の理解促進に関する調査研究
内閣府男女共同参画局推進課

1.調査研究の目的

本格的な人口減少社会を迎える我が国にとって、イノベーションの創出や社会課題の解決には女性の積極的な関与が必要です。

技術開発や創業、社会改革に必要な専門能力を備えた、理工系分野の女性研究者・技術者は、増加傾向にあるものの依然として少ないのが実情です。次代を担う理工系学生における女子比率は低く、特に工学分野においては15%に留まります。この解決策の一つとして、進路選択の過程での理工系分野への進学促進が求められます。

そこで平成30年度、理工系進路選択における情報提供ニーズを把握することを目的として当該調査研究を実施しました。具体的には保護者等に対するアンケート調査を通じて有効な取組の検討を行うとともに、対話形式のシンポジウムの試行・分析から、その効果や課題を明らかにし、今後の取組拡大の方向性を整理しました。

2.調査研究の概要

【オンライン調査】

生徒の進路に関して、どのような情報を提供することが効果的かを把握するために、女子中高生の保護者(回収1,000件)と中学・高校に勤務する教員(回収1,064件)に調査を行いました。

【シンポジウムの実施】

調査結果を踏まえ、実際に理工系分野を学び働いている女性から、保護者・教員に、彼らが知りたいと考えている情報を提供するプログラムを策定し、1~2月に3都市(盛岡・東京・松本)でシンポジウムを行いました。

3.調査研究の結果

保護者及び教員の立場から「保護者に不足していると考えられる」進路に関する情報

【オンライン調査】

保護者が子の進路選択に不足していると考える情報の上位4項目は、「進学にかかる費用」「新しい入試の仕組み・内容」「(大学の各学部・学科の)基本的な学問内容と学び方の違い」「(大学の各学部・学科で学ばれる基本的な)学問/教育・研究内容と将来の仕事での有効性との関連」となりました。

教員の立場から「保護者に不足していると考えられる」進路情報も、保護者が不足していると考える情報と同様の傾向が見られました。

しかし、保護者と教員での差が大きいものでは、「進学にかかる費用」は、保護者の方が13ポイント高く、教員が考える以上に、保護者にとって不足している(インプットが必要な)情報となりました。一方、「(各大学・学部・学科の)出身女性の活躍情報」については、保護者よりも教員の回答が13ポイント高く、卒業後の女性の活躍情報について、必ずしも保護者が重要視していないとしても、教員からは保護者にとって不足している(インプットが必要な)情報であると考えられていました。

また、教員調査において、理工系への進学を希望する生徒への指導で不安な点・苦労する点では、「理工系の中でも、どの分野の人材が社会で求められているのかがわからない」と理数系担当教員の約3割が回答しており、理数系担当教員であっても必ずしも理工系人材がどこで活躍できるのかを把握しているわけではないことが分かりました。

【シンポジウムの実施】

3都市で実施したシンポジウムでは、各会場30人~40人程度来場し、理工系分野で活躍する女性のロールモデルを中心に情報を提供しました。来場者アンケートでは、内容の有益さ、来場満足度はいずれも高い評価でしたが、開催時期については、1~2月の開催よりも夏~秋の方が参加しやすいという意見や、もっと開催のアナウンスを行うべきとの意見がありました。

シンポジウムの表

4.よりよいシンポジウム開催に向けて

令和元年度は、進路検討前段階の女子生徒が科学技術に興味を持つきっかけを提供するシンポジウムを、内閣府が全国10都市で開催します。

〈令和元年度シンポジウム開催地〉

開催地の表

プログラムは、ロールモデルとなるSTEM Girls Ambassadors(理工系女子応援大使)等による基調講演、地元企業・大学による理工系女子が活躍する職場紹介、実験教室を予定しています。

本調査研究において得られた知見を活かして、発信する情報、登壇者、情報チャネルの選択を行い、より効果的なシンポジウムの実施を目指します。

女子生徒等の理工系分野への進路選択支援に向けた保護者等の理解促進に関する調査研究報告書(平成31年3月)
http://www.gender.go.jp/research/kenkyu/pdf/girls-course_h30.pdf


今年度内閣府主催シンポジウム「Let's be a STEM Girl!!~地域から未来の理工系女子を~」
https://www.libertas.co.jp/stem2019/

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