「共同参画」2019年9月号

トピックス2

私にもできる! 人と人とのつながりを活かした復興支援の事例紹介
~福島県浜通りでの実践例~
復興庁男女共同参画班

東日本大震災から8年が経過し外部リソースが少なくなる中、地域における人的ネットワーク形成や女性によるきめ細かな支援は、地域リソースの掘起しや地域づくり・コミュニティづくり等に大きな役割を果たしていると考えられることから、人と人とのつながりを活かした復興支援の事例を紹介し、参加者が復興支援を始め、続けていくための後押しとすることを目的に開催しました。

■ 事例紹介

福島県浜通りで活動されている御二人にご登壇いただきました。

子育て女性のネットワーク形成づくり
「いわき・双葉の子育て応援コミュニティ cotohana」代表
鈴木 みなみ氏
  • 大学進学したのが東日本大震災直後で、当時は東北を出てみたいとの思いだったが、このまちの変わっていく様子を見ていたいと思うようになり学生ボランティアとして活動した。
  • 当時は専門性もなかったが、学生ということを活かして住民の媒介役になれたらと思っていた。
  • 2013年に初めて福島を訪れ、原発事故の影響もある福島県で何が起きているのかということを知りたくて大学を休学し、福島のNPOで活動した。
  • その後、女性たちが子どもを連れて安心して集える場所を作りたいという思いで「子育てママサロン」を始めた。
  • 知っていれば不便や不安が解消される情報があるため、今後、子育て支援情報誌の制作に取り組みたい。
  • 地域内外の子育て支援に取り組む団体と行政とのネットワークづくりによって、支援を必要とする人に確実にアプローチしていきたい。支援を受けた女性たちがエンパワーメントされていくことによる地域力の向上も期待したい。
  • 自分がこの地域での暮らしを楽しむ、楽しくなるように工夫していきたい。

浪江町で地域ネットワークづくり
「なみとも」代表
小林 奈保子氏
  • 浪江町は震災当時は21,434名の住民が住んでおり、双葉郡の中でも一番人口の多い町だったが、本年5月末の居住人口は1,051名。
  • 震災関連死も年々増え続けている状況。
  • 一旦人口もゼロになった、産業も一旦ストップしたからこそできるチャレンジがあると、前向きに考えている方が浪江町には多い。
  • 移住をしてくる方々と一緒に何かできないかなと考えている。
  • 浪江町で町民と若者の交流の場づくりをするため、ゲストハウス「あおた荘」を運営。
  • 自分が楽しく活動しているうちに、「なんか楽しそう」と混ざってもらい、「一緒に何かやれたらいいね」と声が増えていく。


会場の様子

■ パネルディスカッション


コーディネーター
復興庁男女共同参画班
秋田主査

Q.活動のきっかけは?

鈴木氏

  • 2011年3月まで山形県米沢市に住んでおり、避難者の受入れを市内の施設で行っているのを横目で見て、お手伝いしたい気持ちはあったが、迷惑になるのではとの思いがあり引き返していた。その後悔が原動力となっている。

小林氏

  • 短大時代に受けたボランティア学という授業がきっかけとなった。
  • 震災前は、地域の方との会話により、今まで見たことも聞いたこともない世界を知る楽しみが活動の原動力となっていた。
  • 震災後、社会人として自立するためにまずは民間企業で働いた。
  • 2013年にNPOの知人の方から声を掛けていただき、田村市の都路町で活動した。コミュニティ支援や住民の方々のやりたいことをサポートした。
  • 自分ができることは小さなことだが、その人の助けになったらOKという考え方でやってきた。

Q.仲間を増やすコツは?

鈴木氏

  • 「子育て支援」とテーマを絞って活動し始めたときから仲間が集まってきた。自分が子どもとの暮らしを良くしていきたいという自分発信の活動だったことがよかった。

小林氏

  • 一人でも二人でも共感し合った仲間でやっていくと良いスタートが切れる。身近な誰かに相談してみたり、外部から来てくれた方々に気持ちを伝えてみると意外と反応してくれる。

■ 質疑応答

Q.失敗した点は何か?

小林氏

  • 気の遣い方を間違えたのが一番の大失敗。料理教室を年4回開催する活動をしていた中の3回目のとき、住民の負担が大きくなっていると感じ、違う住民に中心にやってもらう案を伝えたところショックを受けられた。その後の住民等との関係のことまで想像力を働かせなければいけなかった。

鈴木氏

  • 住民と行政の板挟みに合うことが多くあり、違うニュアンスで伝わってしまったことでトラブルになったことがあった。自分で解釈を加えずに、コミュニケーションを促していくことに努めている。

■ 閉会挨拶

復興庁男女共同参画班
原田参事官

福島県浜通りで活躍されているお二人に失敗の話も含め非常に貴重なお話を頂いた。

皆様も様々な課題を感じ、思いを持たれているかと思うので、是非そういったものを大切にして、ご自身で活動をはじめたり、周りの人に働きかけたりして、思いを活動につなげていって頂ければと思う。

議事録等を復興庁HPで公開していますので是非御覧ください。

(私にもできる! 人と人とのつながりを活かした復興支援の事例紹介~福島県浜通りでの実践例~開催結果)
http://www.reconstruction.go.jp/topics/main-cat1/sub-cat1-16/20190705093914.html


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