「共同参画」2019年8月号

トピックス2

調製液状乳(液体ミルク)に関する行政説明会の開催について
内閣府男女共同参画局総務課

液体ミルクは、液状で流通する特徴に基づく高度な衛生管理が必要です。このため、平成31年2月13日から3月14日にかけて、地方自治体の行政担当者から消費者に対し安全意識を啓発していただくことを目的として、厚生労働省と消費者庁による説明会が、公益社団法人日本栄養士会の協賛のもと、全国7ブロックにおいて開催されました。

液体ミルクの規格基準等について(厚生労働省)

液体ミルクについては、食品衛生法に基づく、“乳等省令”において、定義が定められるとともに、製造方法等の規格基準が定められた。

(1)製造方法等

原料を混合し均質化した後、容器に充填してレトルト殺菌するレトルト殺菌タイプと、加熱殺菌後に予め殺菌した容器包装に充填する無菌充填タイプがある。規格基準の設定にあたっては事業者団体から、殺菌条件、賞味期限等の他、細菌検査にて商業的無菌性を確認していること、栄養成分が特別用途食品の基準値内に残存すること等のデータが提出された。

(2)規格基準

常温での長期保存を可能とする目的で、商業的無菌性を確保するために必要な方法での製造、原材料や添加物及びこれらの混合割合に関する厚生労働大臣の承認、常温で長期間保存可能な容器包装の使用等を規定している。

(3)注意事項

液体ミルク内での微生物の増殖について試験したところ、開封以降増殖が始まり、4時間後には約10倍~100倍に、12時間後には、約10万倍に増殖。このため、開封後の速やかな使用や、飲み残しを再利用せず廃棄することが重要とされた。

特別用途食品の許可等について ‐乳児用調製液状乳の例‐(消費者庁)

(1)特別用途食品制度における液体ミルク

健康増進法により、乳児の発育に適する母乳代替食品として乳児用調製液状乳(液体ミルク)を販売する場合は、「特別用途食品」として表示許可を受ける必要がある。消費者庁は、平成30年8月、特別用途食品の許可基準に係る告示・施行通知を改正した。基準では、母乳代替食品としての特別用途表示、必要な栄養素の基準、消費者に適切に利用いただく為の必要的表示事項を定めており、国際的な食品規格であるCODEXに準拠した内容としている。

(2)液体ミルクの活用について

消費者や指導者の方々に正しく理解していただく必要がある為、使用上の注意、特徴等を分かりやすく記したリーフレットを作成し、HPに掲載することとした。

(消費者庁HP「乳児用液体ミルクってなに?」より)
(消費者庁HP「乳児用液体ミルクってなに?」より)

今後の活用に向けては、製品の特性と対象者を正しく理解し、母乳代替食品として適切に利活用するため、医師・管理栄養士等の指導を得て利用すること、表示を通じて提供された情報をよく確認し、利用いただくことが必要である。

赤ちゃん防災プロジェクトについて (公益社団法人日本栄養士会)

東日本大震災において、最も栄養的な配慮を必要としていた者は乳児であった一方で、地方自治体における粉ミルクの備蓄は低い状況にあった。このため、日本栄養士会は、平成30年11月、授乳婦や乳幼児に対する避難所の環境整備及び母乳代替食品の備蓄、提供について、関係機関・団体と連携・推進していく「赤ちゃん防災プロジェクト」を開始した。本プロジェクトでは、(1)「災害時における乳幼児の栄養支援に関する手引き」等の作成・周知、(2)災害時の乳幼児の栄養・食支援に向けた地域防災活動の支援、(3)母乳代替食品の備蓄推進、災害時における搬送体制の拡充と提供を柱として活動していくこととしている。

(1)の手引きは母子双方への栄養支援を記載しており、感染症予防の観点からの母乳継続支援の重要性、母乳代替食品利用にあたっての基本的な取扱、特徴等を専門職向けに解説。また、一般向けに「災害時に乳幼児を守るための栄養ハンドブック」を作成する。

(日本栄養士会HP「災害時に乳幼児を守るための栄養ハンドブック」より)
(日本栄養士会HP「災害時に乳幼児を守るための栄養ハンドブック」より)

また、今年度以降、地域における母乳代替食品の備蓄推進と知識の普及を図ることとしている。母乳代替食品については、常温(おおむね25℃以下)での保管が必要である他、「母乳代用品の販売流通に関する国際基準(WHOコード)」への留意が必要。

おわりに

液体ミルクは新たな製品であり、乳児の健康を守るためには、母乳育児との関係、製品の特性や適切な使用方法、表示等について消費者が正しく理解し、安全に利用されるよう、啓発していくことが必要です。今般の説明会では、地方自治体の食品衛生担当者の他、健康、母子、防災担当者といった、複数部門から参加があり、関心の高さがうかがえました。また、液体ミルクに関連した規格基準及び食品表示制度並びに災害時の栄養支援体制について広く説明があり、今後、地方自治体における啓発や災害時の妊産婦・乳幼児支援に寄与することが期待されます。

液体ミルクの普及に向けた手続きの経緯等の詳細については、以下の内閣府男女共同参画局のHPよりご覧いただけます。

http://www.gender.go.jp/policy/saigai/milk.html

内閣府男女共同参画局 Gender Equality Bureau Cabinet Office〒100-8914 東京都千代田区永田町1-6-1
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