「共同参画」2018年10月号

特集

「“おとう飯”始めよう」キャンペーン実施自治体からの報告 Vol.2
内閣府男女共同参画局総務課

目指せ、カジダン(家事男子)!
(三重県桑名市)

おとう飯サポーターへの参加

桑名市では、働き方改革・女性活躍推進室を設置し、働き方改革をはじめ、女性の活躍を推進する取組を進めています。昨年8月には市長がおとう飯サポーターに参加し、市長自ら得意料理であるあさりの和風パスタを作り、その様子を内閣府のおとう飯キャンペーンのサイトや市のHP、Twitter、広報チラシ等、広く市民に紹介し、男性の家事・育児参画の促進を呼びかけました。

あさりの和風パスタと伊藤市長
あさりの和風パスタと伊藤市長


簡単料理参画セミナー

今年の2月には、市長がおとう飯サポーターに参加したことをきっかけに、男性講座として「簡単料理参画セミナー」を実施しました。セミナーの講師には、(株)よしもとクリエイティブエージェンシーの松橋周太呂さんをお迎えし、時短レシピを参加者に教えながら作っていただきました。

セミナー参加者を募集すると、すぐに満員となりたくさんの方が参加されました。

当日のレシピは、トマトの赤い冷製パスタとみりんプリンで、料理が初めての方でも簡単に作れるようなレシピでした。参加者からは「とても簡単に作れたので家でも実践したい」、「簡単でおいしかったので子どもにも食べさせたい」という意見をたくさんいただきました。パスタのソースはトマト缶と白だしをミキサーにかけて作ったり、プリンは砂糖を使わずに作るプリンで、料理経験者の方もそのレシピに驚かされるとともにとても勉強になるものでした。

簡単料理参画セミナーの様子
簡単料理参画セミナーの様子


おとう飯サポーター市内への周知

桑名市では、毎年2月に桑名市立中央図書館において「男女共同参画に関する啓発パネルの展示並びに男女共同参画に関する書籍の紹介」を実施しています。今年の2月は書籍の紹介として、パパ育児に関する書籍を中心にPRし、市長がおとう飯サポーターに参加したことや男性の家事・育児参画を促進していることなどの情報を発信しました。

桑名市立中央図書館での展示の様子
桑名市立中央図書館での展示の様子


今後の展開

平成29年8月に実施した「桑名市男女共同参画に関するアンケート調査」では、家事分担の現状について、女性が「ほぼ1人で担当している」「かなり担当している」と回答する割合が男性よりも高い結果となりました。さらに、1日の平均の家事時間についても、男性の「30分未満」という回答が最も多かったのに対して、女性は「5時間以上」という回答が最も多いという結果でした。

共働きの世帯が増えている今、料理だけでなく、すべての家事、育児に男性の参画が必要です。

市では「おとう飯始めようキャンペーン」をきっかけに、今後も男性の家事・育児参画を促進する事業を検討していきたいと考えています。


千葉県初の「おとう飯サポーター」誕生!!
(千葉県大網白里市)

◇おとう飯サポーターへの参加

大網白里市では、「男女がともに認め合い、支え合い、個性と能力を発揮できる社会の実現」を基本理念に、男女共同参画社会の実現に向けた取組みを推進しています。

平成29年度からは、市民協働団体とともに啓発イベント等を開催するなど、男女共同のさらなる活性化に向けた活動を行っていますが、同時期に開催した市民アンケートでは、女性の大半が男性に対し「料理、洗濯など家事全般を手伝ってもらいたい」と思っているのに対し、実際に男性が行っている家事は、ごみ捨てや掃除などの限られた分野にしかおよばず、なかでも、「料理をつくる」と答えた男性はほとんどいないということがわかりました。

このような中、「男女共同参画を進めていこう!」との想いから、自身も子育て経験がある市長自らが先頭に立ち、平成29年9月に千葉県初の「おとう飯サポーター」に名乗りを上げました。

「火なし寿司」を作りました
「火なし寿司」を作りました


◇市長とイクメンパパの料理教室を開催開

おとう飯サポーターとしての第一歩は、小学校就学前の子を持つ市職員を対象とした“市長とイクメンパパの料理教室”でした。市長自らが参加を呼びかけたところ、該当者の9割にのぼる職員に参加してもらうことができました。当日は、「おとう飯の心得」を実践してもらうため、昼休みの1時間で調理から試食、片づけまでのすべてをこなす「火を使わずにつくるお寿司(火なし寿司)」に挑戦しました。

参加者の中には、ほとんど調理経験がなく、食材を切ることに苦戦している人もいましたが、一方で、華麗な包丁さばきを披露し、皆から「おー!すごーい!」との歓声を受ける場面も見られ、和気あいあいと作ることができました。

料理への挑戦はハードルが高いように思えますが、やってみると意外に面白く、簡単にできるということが伝わったのではないかと思います。

参加者からも「簡単にできて美味しかった」や「家でも作ってみたい」などの感想が聞かれました。

イクメンパパさん、真剣に調理中です
イクメンパパさん、真剣に調理中です


◇次代を担う若い世代へ男女共同参画に関するメッセージを発信

男性の家事・育児への参加は、パパになる前から行っていく必要があることから、市では、次代を担う若い世代に対し、男女共同参画に関するメッセージを発信する取組みを行っています。

市内の図書室では、「男女共同参画の視点で読める絵本の特集コーナー」を設け、絵本を通し、子どものうちから男女共同参画に対する考え方が身近なものになるよう啓発を行っています。

また、市内にある県立大網高校へ市の職員が出向き、男女共同参画に関するメッセージを発信しています。高校生にとっては、馴染みのないテーマですが、生徒たちは、熱心に耳を傾けてくれています。

絵本を通して男女共同参画を啓発
絵本を通して男女共同参画を啓発


このように、一つ一つは、小さな取組みですが、市内のイクメンパパが家事や育児等に少しでも参加し、家族みんなの笑顔が増えるよう、今後もさまざまな取組みを進めていきたいと考えています。


男の料理教室
(新潟県十日町市)

十日町市では、「一人ひとりが自分らしく生きる元気なまちづくり」を目標とする十日町市男女共同参画基本計画を策定し、「男女平等を推進する社会づくり」「女性が活躍できる社会づくり」「多様な生き方が選択できる社会づくり」のための施策を展開しています。

おとう飯キャンペーンについては、男性の家事・育児等への参画の促進に繋がるものとして平成29年度に賛同し、おとう飯サポーターとして、地元の銘柄豚である妻有ポークと十日町産の茄子を使ったみそ炒めを作りました。

関口芳史 十日町市長
関口芳史 十日町市長


また、おとう飯キャンペーンに関連する取り組みとして、十日町市では成人男性を対象とした「男の料理教室」という講座を行っています。

これは、性別による固定的役割分担や社会的慣習の見直しのため、男性が調理や栄養の基礎を学び、家庭でも料理をする機会を得られるようになることを目的とした講座です。

包丁の研ぎ方、野菜の切り方などの料理の基礎からはじめ、夏を乗り切るためのバランス献立や、旬の魚を使ったレシピなど、気軽に作れる料理を学ぶことができます。

約半年の期間に全11回実施され、料理経験の全くない男性であっても、講師に指導してもらいながら、家庭でも作れるような料理を完成させていきます。

はじめのうちは包丁の扱いにも苦労していた参加者が、回を重ねるにつれて上達していき、簡単な料理であれば手際よく作れるようになっていきます。

参加者が教室に参加する動機としては、「料理男子に憧れて」「自分でも料理を作れるようになりたい」「家族に喜んでもらいたい」といったものから、「普段から料理はするが、レパートリーを増やしたい」といったものまで様々で、みんなでわいわい料理する楽しさから、多くの方がリピーターとなる大人気の講座です。

男の料理教室チラシ(H30年度版)
男の料理教室チラシ(H30年度版)


平成29年度に作った料理としては、和風チンジャオロース、こんにゃく炒り煮、レンジ蒸し茄子のお浸し、ラタトゥイユサラダ、きのこの焼きナムル、すくい豆腐のえのきあん、鯖の豆板醤炒め、鯵香味焼き、野菜カレーなどなど・・・。

名前だけ見ると難しそうな料理でも、作ってみると意外と簡単で、参加者の皆さんも喜んでいました。

真剣に料理するお父さんたち
真剣に料理するお父さんたち


習った料理を家に帰って家族に披露し、褒めてもらえることもあれば、まだまだだと辛口な評価を受けることもあるようです。

がんばれ、お父さん!

また、教室外においても、参加者の1人が講師となって手打ちそば教室を開催したり、各自で得意料理を持ち寄っての納涼会・忘年会を開催したり、地域住民が集まる公民館まつりで「ざる蒸しパン」を販売(あっという間に完売)したりするなど、「男の料理」は地域に広まってきています。

十日町市では、誰もが得意なこと・やりたいことを通じて自分らしく生きられるよう、今後も取り組みを進めてまいります。


作ってみよう!おとう飯inとよたを実施しました!
(愛知県豊田市)

1.さんかくフェスタ

豊田市では、毎年6月の男女共同参画週間にあわせ、男女共同参画センター登録団体によるブース出展やステージ発表などを行い、楽しみながら男女共同参画について学べる啓発イベント「さんかくフェスタ」を開催しています。

今年度の計画にあたり、親しみやすく、楽しんでもらいながら男女共同参画について啓発できる方法はないか?と考える中で「おとう飯始めようキャンペーン」をやってみようか、という意見が職員から出たことをきっかけに、メインステージでの料理&トークショーと、男性向け料理講座の2本立てでイベントを行うこととしました。

2.地元農家とコラボした地産地食のおとう飯(はん)

豊田市というと車のイメージが強いかもしれませんが、実は農業が盛んな都市でもあります。せっかくなら地産地食で!ということで、豊田市周辺の若手農家集団「夢農人とよた」の皆さんにメニュー考案、地産地食の食材提供とステージ出演を依頼しました。

メニューを考案してくれたのは、市内にあるレストラン「ころも農園」の二宮マネージャー、ステージには、自身も「お父さん」であるきくらげ農家の築山さんが出演してくださることになりました。

3.笑いに包まれた料理&トークショー

「さんかくフェスタ」当日、ステージでは、よしもと芸人イシバシハザマをゲストに迎え、おとう飯大使の石橋さんと相方のハザマさん、太田市長、夢農人とよたの築山さんによる料理実演が繰り広げられました。メニューは、「きくらげたっぷり中華飯」をメインに、お肉を油で揚げる手間を省いた「油淋鶏」ならぬ「焼淋鶏」、ビニール袋に入れてたたくだけ!「きゅうりとツナの和え物」で、豊田市産の食材をふんだんに使った3品です。

石橋さん主導で、包丁切りのアドバイスも交えながら、市長の見事な包丁さばきで料理は進行。市長のボケにツッコミを入れるなど軽妙な掛け合いに観客からも笑いが起こりました。ホットプレートがなかなか熱くならないというトラブルが発生しましたが、「そのうち焼けるので細かいことは気にしなくて大丈夫!」と、石橋さんの臨機応変な対応もあり、見事3品が完成しました。

料理&トークショーの様子
料理&トークショーの様子


4.和やかな雰囲気の料理教室

一方、センター内の調理実習室では、男性向け料理講座を開催。センター登録団体である「おやじの食卓」の皆さんのサポートを得て、約10名の男性が参加し、ステージのメニューと同じ3品を調理しました。参加者は料理初心者が多く、同時に3品を調理するというハードルの高い状況の中で、講師の奮闘もあり、無事に完成させることができました。

参加者の方からは「料理は経験がなかったが、やってみると楽しかった」という声がありました。また、2名の方が「おやじの食卓」に入会することとなり、男性ネットワークが広がるきっかけにもなりました。

おとう飯(はん)メニュー
おとう飯(はん)メニュー


今回の「さんかくフェスタ」を契機に、太田市長は内閣府のおとう飯サポーターに就任。豊田市では、今後も男性の家事育児参加を様々な形で応援していきます。

エプロン姿の太田市長
エプロン姿の太田市長


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