「共同参画」2018年7月号

行政施策トピックス3

「調達におけるワーク・ライフ・バランス等推進企業評価の推進に関する調査研究報告書」の公表について
内閣府男女共同参画局推進課

ワーク・ライフ・バランス(以下「WLB」という。)を推進することは、企業における生産性等の向上、事業の品質の確保・向上などにつながるものであり、長期的には、少子高齢化、人口減少に直面する我が国社会全体の持続可能性を高めていくきわめて重要な取組です。

平成28年度から国等の調達において、価格以外の要素を評価する総合評価落札方式又は企画競争による場合は、WLB 等を推進する企業(以下「WLB 等推進企業」という。)を加点評価する取組を実施しています。

今後、地方公共団体においても国に準じた取組が進められるよう、本調査研究においては、加点評価の取組が企業における「えるぼし」等の認定取得やWLB等の推進に及ぼす効果・影響等を把握するとともに、地方公共団体への効果的な働きかけや啓発を行うための参考となる情報を得ることを目的として本調査研究を実施しました。

*本調査研究における用語の定義は図表1を参照してください。

図表1 分析における基本区分
図表1 分析における基本区分


■加点評価の取組による認定取得のインセンティブ

企業調査において、認定取得の目的として「国の入札での加点等のメリット」を挙げるWLB等推進企業が38.3%であるなど、認定取得に向けた一定のインセンティブ効果が認められました(図表2)。

図表2 認定取得の目的(複数回答)
図表2 認定取得の目的(複数回答)


特に公共調達の現場(企業の営業部門)へ与えた影響は大きく、加点評価の取組の認知度を一層高めていくために、当該部門へのアプローチが効果的であると考えられます(図表3)。

図表3 認定取得について働きかけを行った部署(複数回答)
図表3 認定取得について働きかけを行った部署(複数回答)


■加点評価の取組による企業の意識・行動への影響

認定取得を視野に入れた取組による効果として、「多様な人材の確保」「男性の育児休業取得率の向上」等、約8割が既に何らかの効果を実感していますが、効果があったと実感している企業の割合が少ない項目もありました(図表4)。

図表4 国の認定の取得を視野に入れた取組による効果(複数回答)
図表4 国の認定の取得を視野に入れた取組による効果(複数回答)


これは、WLBの取組から直接派生し、すぐに現れやすい効果と、WLBの取組との関係が間接的で現れるまでに時間がかかる効果との違いと考えられます。このことも踏まえ、加点評価の取組が与える影響とともに、加点評価が促進しようとするWLBの取組状況や効果について、今後とも継続的に把握していくことが加点評価の取組を検証していく上で重要です。

■加点評価の取組を地方公共団体に展開していくための方策

加点評価の取組が地方公共団体の調達に広がることの期待は高く、地方公共団体の入札参加資格を保有するWLB等推進企業においては、期待する割合が約8割となっています(図表5)。

図表5 加点評価の取組が地方公共団体の調達に広まることへの期待
(ベース:都道府県/市区町村の入札参加資格保有)

図表5 加点評価の取組が地方公共団体の調達に広まることへの期待(ベース:都道府県/市区町村の入札参加資格保有)


地方公共団体調査においては、国に準じた加点評価の取組を進めるに当たり、国や地方公共団体での実施プロセスや実施要綱、配点表、配点例の紹介等、国に対する支援のニーズもありました。

加点評価の取組を地方公共団体に展開していくためには、既に取組を開始した国や地方公共団体における取組状況等、地方公共団体における検討に資する情報を提供することが重要です。

■参考資料集の作成

加点評価の取組が地方公共団体に広がることにより、WLB等推進企業の公共調達への参加や、企業における認定取得に向けた取組の促進が期待されます。地方公共団体の調達において加点評価の取組を推進するための支援として、地方公共団体の職員を対象とした「国及び地方公共団体における加点評価の取組推進のための参考資料集」を作成し、国の調達におけるポジティブ・アクションの取組の経緯や、各府省等における特徴的な配点割合、地方公共団体における事例等を紹介しています。

調査研究報告書はこちら→
http://www.gender.go.jp/policy/positive_act/work/research.html

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