「共同参画」2018年5月号

連載/その2 女性首長から

歴史と文化のまちから活気のある未来を目指す那須烏山市
那須烏山市長 川俣 純子

那須烏山市章

那須烏山市は、栃木県の東部に位置し、清流那珂川が流れる緑豊かな自然に恵まれたまちです。また、450年以上受け継がれ、2016年に全国33の祭礼行事とともに「山・鉾・屋台行事」として、ユネスコ無形文化遺産に登録された「烏山の山あげ行事」に代表される歴史と文化が魅力のまちでもあります。

烏山の山あげ行事は、7月の第4土曜日を含む金土日の3日間、6町輪番により烏山市街地で繰り広げられる日本最大の移動式野外劇です。道路上に奥行き100メートルに及ぶ大掛かりな舞台装置(大山、中山、前山、館など)を遠近よく配置し、それらを舞台背景に、烏山山あげ保存会芸能部会の皆さんによる常磐津の三味線や浄瑠璃に合わせて「三番叟」「将門」「戻橋」などの歌舞伎舞踊が上演されます。舞台装置の組立て、片付け、移動は、すべて若衆の手作業で行われます。演目の進行に合わせて変化する舞台背景や若衆の一糸乱れぬ動きは必見です。また、若衆が気持ちを一つにして高さ10メートルを優に超える大山をあげる様子は圧巻で、祭りの名前の由来になっています。

私の説明では中々理解できないと思いますので、今年の夏は是非ともお祭りを見に栃木県那須烏山市にお出掛けください。(平成30年7月27日~29日開催)

さて、私は平成29年11月に市長に就任しましたが、当市では、男女共同参画を推進する計画が未策定であり、取り組みも遅れている状況でした。

平成30年3月に先進事例等を参考にしながら今からでも身近なところから始めていこうという思いを込めて名付けた「~今日から ここから みんなから~ なすから男女共同参画計画」を策定することが出来ました。これからが大切な時です。誰もがいきいきと活躍できる共同参画社会を実現するための意識づくり、環境づくり、社会づくりを1つ1つ進めていきたいと思っています。

また、女性ならではの視点や価値観で新しいものを市政にとり入れていければと考えており、まずは、女性の体や心、仕事、家庭等の悩みや疑問を相談できる場所等の環境を整備したいと思っています。子育て支援策については、妊娠、出産、育児、学童保育と安心して子育てしながら近くで働けるような施設整備、支援策を充実していきたいと思っています。

前段で説明しました烏山の山あげ行事は、城下町の気質?といいますか、各町の意地のぶつかり合いや心意気によって切磋琢磨され現代に受継がれた歴史、伝統を重んじた八雲神社の宮座組織による男性中心の祭りですが、ご家庭では相互理解のもと育児や家事を一緒にする優しい男性が増えてきているようです。有難いことです。

一方、消滅可能性都市といわれる本市において、人口減少、若者の流出が活力の低下につながっており、大きな課題となっています。住みやすい、働きやすい、子育てしやすい環境を「全員参加のまちづくり」でいかに実現していくか、常に市民との対話の中から、優れた意見や発想を積極的に取り入れ、市全体が希望に満ちた地方都市となるよう那須烏山市を創造していきたいと思います。

執筆者写真
かわまた・じゅんこ/1960年生まれ/2010年から那須烏山市議会議員(2期7年4ヶ月、那須烏山市監査委員)。2017年11月那須烏山市長就任(1期目)。
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