「共同参画」2017年8月号

特集1

平成29年度「男女共同参画社会づくりに向けての全国会議」開催報告
内閣府男女共同参画局総務課

男女共同参画週間の中央行事として、平成29年度「男女共同参画社会づくりに向けての全国会議」が、6月21日(水)に東京国際フォーラム(東京都千代田区)において開催されました。

会議には、あいにくの悪天候の中、全国各地からおよそ550名の方々にご出席いただきました。

主催者挨拶・基調講演

始めに、加藤内閣府特命担当大臣(男女共同参画)による主催者挨拶と基調講演が行われました。

加藤大臣からは、スライドを使用しながら、近年における政府や民間の取組により女性の就業者数や管理者数が増加傾向にあること、今後の我が国の経済成長のためには女性の活躍が不可欠であること等について説明があり、「いずれは、“女性活躍”という言葉が必要なくなる時代にしたい」と決意を述べられました。

大臣講演

対談「女性活躍に向けて」

続いて、OECD東京センター所長の村上由美子さんと、脚本家・演出家である大森美香さんとの対談が行われました。

大森さんは、NHKの連続テレビ小説「あさが来た」の主人公のモデルとして広岡朝子を選んだ理由は、「江戸時代に生まれ、明治・大正という時代にビジネスウーマンとして活躍した女性だったこと」であり、「あの時代にこんな破天荒な女性がいたということを皆さんに知ってほしいという気持ちがあった」と述べられました。また、「江戸から明治へと価値観が大きく変わった時代と、現在は似ている」と指摘し、「朝子さんと、今の時代に活躍している女性達との共通点は柔軟さ。環境等の変化に柔軟に対応していく力が女性にはある」と女性にエールを送り、「女性も男性も応援したい。そのために、これからも人を励まし、元気づけるドラマを作りたい」と今後の抱負を述べられました。

これに対し、村上さんは、「あさが来た」の脚本を大森さんが小さい子を育てながら書いていたからこそ、視聴者にも届くようなパワーが感じられるドラマになったのではないかと分析されました。さらに国際機関で仕事をして様々な国を見てきて「現在は、技術革新によって、人の働き方や社会システムなどが根本的に変わろうとしている」と感じると共に、「女性の方が、気持ちの切り替えも早く、外部環境の変化に適応する能力が高いようだ」とも実感したとのことでした。そして最後に、「男性と女性は張り合うのではなく、お互い補い合うことで、社会に多様性やイノベーションが生まれ、一人一人が自己表現できるような世の中になる」と述べられました。

対談


取組事例紹介

取組事例紹介では、『特定非営利活動法人マドレボニータ』代表の吉岡マコさん、『雪の日舎』代表の佐藤可奈子さん、『国立大学法人滋賀医科大学』学長補佐(男女共同参画担当)の尾松万里子さんにご登壇いただき、それぞれの取組についてご紹介いただきました。

取組事例紹介


パネルディスカッション「地域ぐるみで女性活躍を実現する」

パネルディスカッションでは、三菱UFJリサーチ&コンサルティング主席研究員の矢島洋子さんをコーディネーターに迎え、5名のパネリストの方々にご登壇いただきました。はじめに、矢島さんから「女性活躍推進法の施行から1年経ち、地域や企業にどのような変化をもたらしているのか。様々な方面で男女共同参画の実現に取り組んでいる方々からお話を伺いたい。」と、このパネルディスカッションのテーマについて説明があり、続いてパネリストの方々からそれぞれの取組を発表していただきました。

第一生命ホールディングス株式会社執行役員・加納裕之さん「全国に1300の拠点を有しているネットワークを生かし、全ての都道府県と協定を締結して、健康増進、女性活躍推進、高齢者支援等の多岐にわたる分野で地域の抱える課題解決に向けた活動を展開している。社内では、2018年に指導的地位に占める女性の割合25%を目指している。」

株式会社リクルートキャリア リクナビNEXT編集長・藤井薫さん「『働き方のリ・デザイン』をキーワードに、皆が働く喜びを感じる社会を目指す。そのためには、働き方の多様性の拡大、企業の生産性の向上が必要であり、自社のサービスで支援していきたい。」

学校法人日本女子大学生涯学習センター所長・坂本清恵さん「結婚や出産を機に離職した女性に、再教育を受けてもらい、再就職を支援するリカレント教育課程を設置している。受講生は20代から50代まで幅広くおり、他大学の卒業生も受け入れている。修了後は、正社員に約半数、派遣や契約等を含めると8割が働き始めている。」

株式会社長岡塗装店常務取締役・古志野純子さん「若い社員を定着させるために、子供の看護休暇の有給化、資格取得の奨励・費用負担等の環境を整えた。また、社内の世代間の不公平感をなくすため、再雇用制度を導入した。結果、女性がどんどん入ってきて、また資格取得で社員のレベルも上がって仕事の質の向上にもつながっている。」

京都府府民生活部男女共同参画監・足立阿季子さん「平成22年度からオール京都体制で、企業における家庭と仕事の両立支援や、ワークライフバランスの推進に取り組んできた。現在、京都女性活躍応援男性リーダーの会の結成準備をしており、京都府知事と京都市長も賛同している。官民連携して、中小企業を中心として支援をしている。」

パネルディスカッション


その後のディスカッションでは、女性活躍推進法が施行されたことの効果として、官民で連携した取組が増えていること、結果として女性社員だけでなく社員全体のモチベーションアップにつながったこと、転職サイトへの女性の応募者が増加したこと、リカレント教育課程への入学希望者が3倍になったこと、現場に出る女性社員が入ってきたこと等が挙げられ、着実に成果が出てきていることが確認できました。また、今後の課題として、行政の支援の在り方、リーダーの育成、これまでの動きを一過性のものにしないこと、等が挙げられました。

そして最後に、今後の女性活躍に向けた取組のキーワードをそれぞれ発表していただき、矢島さんから「今日は、近年におけるたくさんの嬉しい変化についてお話を伺うことができたが、まだまだ取組には時間がかかる。新しい日本を支える産業構造の転換につながるのだという長期的な視野をもって、女性活躍推進の取組を進めていかなくてはならない」と締めくくっていただきました。

<キーワード>

  • 個性を活かし、共に成長!!(加納さん)
  • 4つのS“しなやかに、したたかに、しぶとく、スピード感をもって!”(足立さん)
  • 不公平感のない社内文化の中で、責務を果たす社員の育成(古志野さん)
  • ニーズに合わせた新たな学び(坂本さん)
  • 3C(Clear、Choice、Commu-nication)の強化(藤井さん)
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