「共同参画」2017年1月号

特集2

シンポジウム「アジア・太平洋 海を越えて活躍する先輩女性たちの魅力 ~起業家と企業人の世界から~」開催
内閣府男女共同参画局総務課

内閣府は、平成28年11月にシンポジウム「アジア・太平洋 海を越えて活躍する先輩女性たちの魅力 ~起業家と企業人の世界から~」を開催しました。ここではその概要をご紹介します。

シンポジウム「アジア・太平洋 海を越えて活躍する先輩女性たちの魅力 ~起業家と企業人の世界から~」の開催

平成28年11月23日、新宿・京王プラザホテルにおいて、内閣府主催のシンポジウム「アジア・太平洋 海を越えて活躍する先輩女性たちの魅力~起業家と企業人の世界から~」が開催されました。

本シンポジウムは、内閣府が平成28年度から開始した、「アジア・太平洋輝く女性の交流事業」の一環として開催され、我が国とアジア・太平洋諸国において活躍している国内外の「架け橋女性」の活躍に焦点を当てています。本年度は、起業、企業勤務等における活躍の実態、アジア・太平洋諸国と日本の両方での経験から感じた魅力や今後の活躍における課題等について明らかにするために、32名の「架け橋女性」を招聘しました。

加藤大臣からのビデオメッセージ

開会に先立ち、加藤勝信 男女共同参画・女性活躍担当大臣からビデオメッセージが寄せられました。

加藤大臣からは、まず、我が国が、戦後、平和国家として、隣人であるアジア・太平洋諸国と共に歩んで来ており、戦後70年を迎え、特に女性の交流を通じて、友好・信頼関係を深化させるため、今年度から本事業をスタートしたことが述べられました。

次に、多くの「架け橋女性」たちが、我が国の魅力を海外に広めたり、また、海外の視点を我が国に広げたりと、地域の友好・信頼関係構築のための架け橋となっていることへの感謝の気持ちが示されました。

さらに、こうした機会を通じ、将来の架け橋女性、あるいは架け橋女性の良きサポーターが生まれ、個性と能力を生かして輝く女性が増えることにより、我が国、ひいてはアジア・太平洋地域の女性活躍推進のムーブメントが一層広がっていくことへの期待が示されました。


加藤大臣からのビデオメッセージ

奥田浩美氏による基調講演

続いて、奥田浩美氏(株式会社ウィズグループ代表取締役)による基調講演『未来を創る仕事~Entrepreneurship aimed at solving social challenges~』が行われました。

奥田氏は、自身の時間の使い方について、Job、Role、Missionのそれぞれに3分の1ずつ使うとともに、ワーク・ライフ・バランスではなく、仕事と生活が密接に絡み合い統合された「ワーク・ライフ・インテグレーション」という考え方を紹介し、これまでは多くの人が「自分の軸を持て」と教えられてきたが、これからの社会は片足で立ち、ぐらぐらする不確かなことに慣れることが必要であり、1つの役割だけではなく、様々な役割を持たないといけない時代が来るとの見通しを示しました。

その上で、奥田氏が多彩な活躍を見せ、様々な職業に就いていることもあり、何歳になっても母親から「あなたは将来、何になるんだろうね」と聞かれることでワクワクする気持ちになることから、会場の参加者にも「あなたは将来、何になりますか?」との言葉を贈り、会場は大いに盛り上がりました。


奥田氏

パネルディスカッション1

奥田氏による講演の後、モデレーターである大沢真知子氏(日本女子大学人間社会学部教授、現代女性キャリア研究所 所長)の下、パネルディスカッション1『女性の多様な働き方について』が行われました。

パネリストは、基調講演者でもある奥田浩美氏、白木夏子氏(株式会社HASUNA代表)、濵田真里氏(株式会社ネオキャリア海外事業部 編集ディレクター、ABROADERS編集長、なでしこVoice代表)、文美月氏(リトルムーンインターナショナル株式会社 創業者、取締役副社長)、ウィラヌッ・カモンルンワラクン氏(INFINITUS SERVICES CO., LTD. 、CEO)の5名です。

このセッションでは、参加者から事前に寄せられた質問も踏まえ、各パネリストの起業のきっかけや、多文化の中で働くことの魅力等について意見が交わされました。

奥田氏からは、起業家に向いているのは、方向を指し示し、人の利点をきちんと見ることのできる人だとの指摘が、白木氏からは、起業は究極的な自由であり不安定である一方、自己実現の可能性や自分の人生・生活をコントロールしやすいこともあり、刺激的な日々を楽しめる人におすすめしたいとの意見も出されました。また、濵田氏からは、外国人から日本人の長時間労働について指摘を受けて人生が有限であると気付き、両親と過ごす時間を大事にしたいと考えているとの意見や、文氏からは、自分で自分を雇うと決めた瞬間から自分で決めた人生であり、本当に好きなことだったから苦にならなかったが、子育ては本当に時間がなく、取捨選択をしながら自分らしい人生を生きているとのコメントがあり、カモンルンワラクン氏からは、多文化を知ることで自分の視野が広がることや、タイではメイドが一般的で家事をアウトソーシングできるので、人の力を借りつつ、家族や親との時間や自分の時間を大事にすることができているとの経験が紹介されました。


パネルディスカッション1


(左から)文氏、カモンルンワラクン氏


(左から)白木氏、濵田氏


大沢氏

パネルディスカッション2

続いて、パネルディスカッション2『女性・起業の実態・課題について』が行われ、モデレーターである矢島洋子氏(三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社 女性活躍推進・ダイバーシティマネジメント戦略室長)から本事業の調査・研究の中間報告が行われた後、久保田学氏(一般社団法人留学生支援ネットワーク事務局長)から、留学生の日本における起業・企業への就職について、鈴木有理佳氏(アジア経済研究所地域研究センター動向分析研究グループ長代理)から、フィリピンにおける女性活躍の現状について、それぞれの専門分野に基づいたコメントがありました。


(左から)久保田氏、鈴木氏

グループディスカッション

その後、登壇者、架け橋女性、一般の参加者を交え、12テーブルに分かれて、グループディスカッションを行い、非常に闊達な議論や知見・経験の共有が行われました。

具体的には、「成功or失敗」ではなく、「成功or学び」と考えるのが良いといったアドバイスや、仕事においてもプライベートにおいても、働き方や家族の在り方について「こうあるべき」という型に囚われない柔軟な発想が重要との意見や、仕事で得たものを子育てに活かし、子育てで得たものを仕事に活かす「ワーク・ライフ・シナジー」といった考え方・経験が共有されるなどしました。

グループディスカッションの様子


グループディスカッションの様子

参加者からの反響

会場で行われたアンケートでは、「起業・結婚・出産のタイミングで悩んでいたので参考になった」「自分の夢や目標に向かって背中を押してくれた」などの感想が寄せられました。

特に、グループディスカッションへの反響が大きく(大変参考になった80%、参考になった20%、参考にならなかった0%)、架け橋女性たちと直接話し、経験・知見の共有や、質疑応答が行えたことに、多くの参加者から得るところが多かったとの意見が寄せられました。

本シンポジウムを含む事業の結果については、平成28年度内に報告書を取りまとめ、内閣府HP等で公表予定です。


シンポジウム出席の架け橋女性及び登壇者

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