「共同参画」2016年1月号

「共同参画」2016年1月号

巻頭言

人々の行動を動かすには、どのような動機が一番働くのか。経済心理学の世界でも様々な研究が行われている。補助金などの制度があるからという経済的な動機、正しいことだからという道徳的動機、社会全体にとって好ましいことだからという社会的動機、周りの皆がやっているからという群集行動的動機。これらを比べると、群集行動的動機が多くのケースで大きな意味を持つことが知られている。人間は群れを好むようだ。

女性の活躍推進、ワークライフバランスの実現など、国が目指す課題の実現においても、この点は重要な示唆を与えているように思える。税制や社会保険制度などを見直し、女性の活躍の障害になっている制度を見直すことは重要だ。ワークライフバランスの実現が私たちの生活の質を大幅に高めることを訴えていくことも必要だろう。

ただ、もっとも効果的なことは、群集行動的なダイナミックスを起こすことである。女性の活躍推進やワークライフバランス実現の具体的な事例を社会のあちこちに広げていって、それを皆が意識するようになることが重要なことであると思う。


東京大学大学院経済学研究科・経済学部教授
伊藤 元重

主な予定

1月12日~2月29日 「男女共同参画週間」キャッチフレーズ募集
2月10日 企業×女性起業家の出会いの場の創出 ビジネスにも運命の赤い糸ってあるんです
─WEPs(女性のエンパワーメント原則)の実現に向けて─(東京都中央区)
2月27日 男女共同参画を頑張る企業と学生のマッチングのための
「男女共同参画に向けた学生と企業のマッチングシンポジウム」(岡山県岡山市)