「共同参画」2015年 8月号

「共同参画」2015年 8月号

連載 その2

地域における女性の活躍推進(2)
「避難所運営における女性リーダーの育成」
内閣府男女共同参画局総務課

今回は、平成26年度「地域防災における男女共同参画の推進事業」から2事業を紹介します。

○命とくらしを守る避難所運営ガイドライン作成講座(特定非営利活動法人参画プランニング・いわて)

災害発生時に必要な対策や対応を迅速に行うためには、男女共同参画の視点を活かした市民の手による市民のための「避難所運営マニュアル(ガイドライン)」の作成が急務であると考えました。

まず、女性防災リーダー養成講座修了生の女性たちとともにマニュアル検討部会で原案の検討を行い、その後、全5回の連続講座で検証を重ね、多様な人々にとって安全で安心な避難所運営について検討を深めました。続く連続講座は、女性防災リーダーと盛岡市町内会連合会等の地域の男性が共に基礎知識を習得し、グループワークを通して課題の共有を行いました。図上訓練も実施し、実際の場面でどのように行動するべきかを参加者同士で一緒に考えました。連続講座では、東日本大震災時に避難所運営をされた大槌町の方々や、盛岡市玉山地区の水害後に避難所を開設した自治会の方々の貴重な体験談を聞くことができ、「避難所運営でどんな弊害が出るのかよく分かり、その改善についての理解も進んだ」との参加者の声もいただきました。

本事業は、女性防災リーダー養成講座修了生の参加により、地域防災の要となる女性防災リーダーの養成も兼ねて実施しました。また、検討会の意見を基に、実際に活用していただくために、「マニュアル」ではなく「ガイドライン」とし、地域の実情に合わせた内容に変更し活用できるよう見直したことが、よりよい事業成果につながったと考えています。

詳細はHPをご覧ください。

http://www.sankaku-npo.jp/2015/02/25

○突然の災害から地域や大切な人を守るための「エセナおおた」避難所研修(特定非営利活動法人男女共同参画おおた)

大田区地域防災計画において、大田区立男女平等推進センター「エセナおおた」は災害時には「女性のための相談窓口」と「女性の意見交換会」を早急に開設すると定められました。日常業務の中で前触れもなく起きる発災時の対応を迅速に実施できるよう、センター職員、ボランティア・スタッフ、町会・自治会、関連団体の方々と共に、「誰もが男女共同参画の視点が理解できる」防災一日研修を行うこととしました。

具体的には、被災地仙台から講師を招き基調講演を実施、その後、電気・水・火を使わない非常食試食会、オリジナルカード作成による避難所運営ゲーム、備蓄品とトイレの使い方を体験する防災力アップワークショップを実施しました。避難所運営ゲームでは、性別や障がいによって配慮が異なることに気づいてもらい、女性の視点を活かしながら災害時要配慮者への必要な支援を話し合ってもらいました。

工夫した点は、(1)避難所運営ゲームにおいて、既存の避難所運営ゲームHUGを基本としながらも、防災プロジェクトメンバーで話し合いを重ねて「男女共同参画の視点」および「性別による配慮」を踏まえたオリジナルのカードを作成したこと、(2)頻繁に使用するトイレは汚物処理などさまざまなことが生じる場所であるため「マイトイレ」を提案し、簡易トイレを購入して体験したことです。

詳細はHPをご覧ください。

http://www.kyoudou.city.ota.tokyo.jp/gnko05/pub/sheet.php?id=54260

○命とくらしを守る避難所運営ガイドライン作成講座


公開講座「避難所開設図上訓練」の様子


完成した報告書とガイドライン


○突然の災害から地域や大切な人を守るための「エセナおおた」避難所研修


避難所運営ゲームの様子


備蓄品の検証の様子