「共同参画」2013年12月号
連載 その1
男女共同参画の視点からの防災・復興の取組事例(5)
男女共同参画センターを活かした広域避難者のつながりづくり(埼玉県)
内閣府男女共同参画局総務課
東日本大震災での経験
東日本大震災において、発災5日目の平成23年3月16日に、埼玉県がさいたまスーパーアリーナを広域避難者を受け入れる大規模避難所に指定し、主に福島県からの避難者の受入れが始まりました。
埼玉県男女共同参画推進センター(以下「センター」という。)は、さいたまスーパーアリーナから徒歩5分のところに位置することから、センターのボランティアスタッフ等から声が上がり、アリーナに避難してきた避難者に、センター内のシャワー室及び休憩所を提供することにしました。シャワー室の提供をきっかけに、ボランティアスタッフの手によって、女性用物資の提供や子どもの遊び場づくりなども行われました。
アリーナでの避難者の受入れが終了する3月末までの2週間で、約1,200人の避難者がセンターを利用し、その運営には、多くのボランティアが関わりました。
避難所閉鎖後も避難者への支援を継続
避難所閉鎖後も避難者への支援を継続したいとの思いから、センターのボランティアと協働し、広域避難者の集いの場を企画し、平成23年9月から、月に2回定期的に、センターの和室を会場とした避難者交流の場「さいがい・つながりカフェ」を開催しています。
運営は、ボランティアによる実行委員会形式で行うこととし、センターのボランティアスタッフが代表となりました。センターは、場所の提供をはじめ、スタッフによる活動の側面支援や、広報協力を行っています。
活動費については、平成23~24年度は特定非営利活動法人全国女性会館協議会による東日本大震災女性センターネットワーク募金事業の助成を、25年度はコープみらい市民活動助成金を受けています。
様々な「つながり」を生み出す
カフェは、その時々でアロママッサージやお茶、化粧など様々な特技を有するボランティアが参加し、広域避難者同士の交流を促進しています。
平成25年11月現在、50歳代以上の女性を中心に毎回約15~20人が参加しており、夫婦での参加も見られます。また、親戚のもとに避難してきた方で、今年になって人づてにカフェを知り、震災後はじめて、同郷の人と会うことができた方もいました。カフェは、避難者同士の交流のみならず、避難者と支援者、支援者同士の交流の場にもなっています。
参加者からは、「知らない地域に来て知らない人ばかりの中で、カフェのことを知り、ようやく人と話すことができた」、「先行きが見えない不安など積もりに積もっていたものが、カフェに来て話すことで気持ちが切り替わり、この後のことが考えられるようになった」といった声が聞かれました。一方、避難生活が長期化するなかで、体調を崩される方やふさぎこみがちになるという声も聞かれました。
現在では、埼玉県内の他の男女共同参画センター等でも避難者交流会が開かれるようになり、それらの横のつながりによる支援者同士の情報交換会が、被災者や民間の支援グループによって開かれるようになりました。
男女共同参画センターの役割
避難生活が長期化するなかで、避難者の方が安心して集う場は重要です。男女共同参画センターは、場の提供、情報発信、支援グループや支援者間を結び付けその力の発揮を支援する機能等の役割を果たしています。
「さいがい・つながりカフェ」の様子
- さいがい・つながりカフェ
- <月2回 木曜日>
- 主催:さいがい・つながりカフェ実行委員会
- 場所:埼玉県男女共同参画推進センターほか
- URL:http://www.withyou-saitama.jp/view.rbz?cd=598