「共同参画」2013年 9月号

「共同参画」2013年 9月号

行政施策トピックス2

都道府県労働局雇用均等室における男女雇用機会均等法、育児・介護休業法、パートタイム労働法に関する相談、指導等の状況について
厚生労働省雇用均等・児童家庭局雇用均等政策課、職業家庭両立課、短時間・在宅労働課

都道府県労働局雇用均等室について

雇用均等室は47都道府県にある労働局の中にあります。男女雇用機会均等法、育児・介護休業法、パートタイム労働法、次世代育成支援対策推進法を施行しています。具体的には、職場での性別を理由とする差別的取扱いや、セクシュアルハラスメント、育児休業、妊娠・出産や育児休業取得等を理由とする不利益取扱い、パートタイム労働者の雇用管理等に関する労働者や事業主の方々からの相談に対応しています。また、これらに関することで労働者と事業主の間にトラブルが起きた場合は、速やかな解決が図られるよう援助を行っています。

さらに、相談内容から法律違反が疑われる場合や適切な雇用管理がなされていないと考えられる場合は、事業主から事情を聴き、法律に違反している場合には、違反を正すよう指導しています。

【労働局雇用均等室の所在地一覧】

http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/roudoukyoku/


労働局雇用均等室における法施行状況(平成24年度)

1 雇用均等室への相談

雇用均等室に寄せられた男女雇用機会均等法、育児・介護休業法、パートタイム労働法に関する相談は115,496件で、前年度(108,575件)より6,921件増加しました。

各法律に関する相談内容は、次ページの図1〜3のとおりです。


図1 男女雇用機会均等法に関する相談内容 図2 育児・介護休業法に関する労働者からの相談のうち、個別の権利の侵害等に関する相談内容 図3 パートタイム労働法に関する相談内容


2 紛争解決の援助

労働者と事業主との間で、男女均等取扱い、育児・介護休業、パートタイム労働者の雇用管理等について民事上のトラブルが生じた場合の紛争解決援助制度のうち、労働局長による紛争解決の援助(※1)申立受理件数は734件で、このうち、男女雇用機会均等法に関する事案が504件で、婚姻、妊娠・出産等を理由とする不利益取扱いに関する事案(232件)が最も多く、次いでセクシュアルハラスメントに関する事案(231件)となっています。また、募集・採用、配置・昇進・降格・教育訓練等に関する事案が増加しています。

育児・介護休業法に関する事案は226件で、育児休業に係る不利益取扱いに関する事案(117件)が最も多く、次いで期間雇用者の育児休業に関する事案(34件)となっています。

(※1)都道府県労働局長による紛争解決の援助
労働局長が、労働者と事業主との間のトラブルを公正・中立な立場から、当事者双方の意見を十分に聴取し、双方の意見を尊重しつつ、問題解決に必要な具体策の提示(助言・指導・勧告)をすることによりトラブルの解決を図る制度です。

また、調停会議(※2)による調停申請受理件数は79件で、このうち男女雇用機会均等法に関する機会均等調停会議による調停申請受理件数は63件で、セクシュアルハラスメントに関する事案(45件)と婚姻、妊娠・出産等を理由とする不利益取扱いに関する事案(15件)があわせて全体の9割以上を占めています。

育児・介護休業法に関する両立支援調停会議による調停の申請受理件数は16件で、育児休業に係る不利益取扱いに関する事案が最も多くなっています。

(※2)機会均等調停会議、両立支援調停会議、均衡待遇調停会議による調停
調停委員が、労働者と事業主双方から事情を聴き、紛争解決の方法として調停案を作成し、当事者双方に調停案の受諾を勧告することにより紛争の解決を図る方法です。調停委員は弁護士、学識経験者等の労働問題の専門家です。

3 雇用均等室が行った是正指導

雇用均等室が、雇用管理の実態把握を行った事業所のうち、男女雇用機会均等法、育児・介護休業法、パートタイム労働法に関する何らかの法違反が確認され、是正指導を行った件数は67,509件となっています。

【平成24年度雇用均等室における法施行状況】

>http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r985200000335p5.html

【都道府県労働局長による紛争解決の援助事例】

●期間雇用者の育児休業取得

産前・産後休業、育児休業の取得を申し出たところ、制度がないと言われたために退職の意思表示をした事例

□女性労働者からの申立内容 アルバイトとして入社。労働契約期間は2か月だが、労働条件通知書(労働契約書)を交付されたのは最初だけであり、その後は自動更新している。妊娠し、産前・産後休業、育児休業の取得を希望したところ、担当者からそのような制度はない、アルバイトが取得した前例がないとの説明を受け、本意ではないが退職の意思表示をした。その後、制度があることを知り、担当者に退職せず産前・産後休業と育児休業を取得したいことを伝えたが、取り合ってもらえない。 産前・産後休業と育児休業を取得し、働き続けたい。

□事業主からの事情聴取 労働者から退職したいとの申出は受けたが、退職を撤回し、産前・産後休業と育児休業を取得したいという希望が出されていることは把握していなかった。

□労働局長による援助 会社は、労働者から育児休業の申出があった場合は、その申出を拒むことはできず、産前・産後休業、育児休業の申出を理由として不利益な取扱いを行うことは法律で禁止されていることを指摘した。担当者の対応が不適切であったことも考えられることから、労働者の退職の撤回及び産前・産後休業、育児休業の申出について検討するよう助言した。

□結果 労働者の退職が取り消され、労働契約を更新した上で産前・産後休業と育児休業の取得が認められた。

【調停事例】

●セクシュアルハラスメント

顧客からのセクシュアルハラスメントに対する対応が不適切であったために、休職に追い込まれたとする事例

□女性労働者からの申請内容・主張 顧客から体を触られる、顧客の体を触らせる等のセクシュアルハラスメントを受けたことを直属の上司に報告したが、「見ていた人もいない」等言われ、まったく対応してもらえなかった。 精神的苦痛を受け、休職せざるを得なくなったことに対して補償してもらいたい。

□事業主の主張 顧客からセクシュアルハラスメント等があった場合の対応について、周知が不十分であった。会社の申請者への対応については、不適切な点があったと認識しているが、申請者の希望どおりの補償には応じられない。

□機会均等調停会議 調停委員が申請者と被申請者の双方から事情や意見を聴き、検討した結果、(1)被申請者は申請者に対し、解決金を支払うこと、(2)申請者や被申請者は、本件紛争および調停内容について今後一切他言しないこと 等を内容とする調停案の受諾を勧告した。

□結果 関係当事者双方が受諾し、調停は終了した。