「共同参画」2012年 8月号

「共同参画」2012年 8月号

行政施策トピックス3

女性がいきいきと活躍できる社会に
~埼玉版ウーマノミクスプロジェクトを進めています~
埼玉県産業労働部ウーマノミクス課

女性の社会進出を強力に進める

女性が夢を持っていきいきと働き、得た収入を消費や投資に使い、それが結果として企業の経済活動を活発にし地域の活性化に貢献できるような好循環を生み出していく。

埼玉版ウーマノミクスプロジェクトはこうした目標を掲げて進めている取組です。

日本の生産年齢人口は1995年の約8,700万人をピークに2010年には約8,100万人と600万人も減少しました。働き手が減ったことが景気停滞の大きな要因となっています。

全国的にみれば県民の平均年齢が若い埼玉県ですが、今後急速に高齢化が進むことから社会を支える働き手をいかに確保していくかは大きな課題です。

また出産や子育てを機に仕事を辞める女性が多いことから、いわゆるM字カーブの底が全国平均よりも深い状況が続いています。

その背景には、核家族率が全国第2位と高く子育て期の男性の長時間労働もあり、子育てが女性の肩に重くのしかかっている現状があります。働きたいけれども両立が困難で仕事をあきらめる女性が多く、そのため30代女性の就業率の落ち込みがあると考えられます。

そこで埼玉版ウーマノミクスプロジェクトでは、仕事と子育てが両立できるような働きやすい環境づくりや女性の再就職支援を行っています。

両立できる多様な働き方の導入促進

女性が働くうえでまず重要なのは、仕事と子育てを両立できる働き方ができるかどうか、ということです。

そこで平成24年度から新たに「多様な働き方実践企業」の認定事業を始めました。

認定の基準は

(1)育児介護休業法による短時間勤務をはじめフレックスタイムや在宅勤務など多様な働き方が選べる

(2)法定を上回る短時間勤務制度が職場に定着している

(3)出産した女性が働き続けている

(4)女性管理職が活躍している

(5)男性社員の子育て支援等を積極的に行っている

(6)多様な働き方への取組を経営方針等で内外に表明している

の6つの基準です。

これらの基準を2つ満たすと「シルバー」、4つで「ゴールド」、すべての基準を満たすと「プラチナ」に認定し、ステップアップできる仕組みとしました。

7月には第1号として75社を認定し、9法人11事業所が初のプラチナとなりました。ハードルが高い分、企業には「くるみん」に並ぶステイタスと思っていただいていると実感しています。

企業の取組内容も業種や業態によってさまざまな工夫がされており、事務局の予想を超えた先進的な制度を導入している企業もありました。

今後は毎年500社を認定していく目標です。

業がこうした取組を進める背景には「優れた人材の確保」という狙いがあることから、認定制度を大学に積極的にPRしています。大学生が就職を考える際には企業選択の視点に「多様な働き方ができるか」という点を加えてもらい、中小企業でも働きやすい職場が地元にあることを知ってもらえるようにしたいと考えています。

複数企業等による企業内保育所共同設置

これまでも埼玉県では保育所サービスの充実に努めてきました。平成23年度までの5年間に17,206人の受入枠を拡大し、首都圏1都3県で唯一、3年連続で待機児童を減らしてきました。

また多様な保育サービスの一つとして平成18年度から企業内保育所の設置助成も行ってきました。

これに加え平成24年度は複数の企業や団体が共同で設置する場合には開設から3年間、運営費を補助することとしました。工業団地や商業地域など企業集積がある場所で設置が進むよう、働きかけを行っています。

きめ細かな再就職支援

働きたい女性が継続就労できるような職場環境に変えていくこととともに、出産を機に退職した方が再就職できるような支援も必要です。

特に仕事から離れている期間が長いと職場復帰への不安も大きくなります。

平成20年度に設置した「女性キャリアセンター」では、これまでも一人一人のニーズに応じたきめ細かな就業相談と職業紹介を行ってきました。

今後は多様な働き方実践認定企業などの協力を得て、両立支援に理解がある働きやすい職場があることを知ったうえで、自信を持って就職活動に臨んでもらえるような体験型の取組も進めていきたいと考えています。

活躍の場をさらに広げる

近年、女性の視点を生かして開発された商品が大ヒットし、企業業績にも大きく貢献している事例が増えています。

埼玉県では女性を対象としたセミナーや商品企画力を育成する研究会、異業種交流会などを開催し、女性起業家の発掘や経営拡大を支援しています。

平成24年度は女性の起業や事業拡大を資金面から支援するため、新たな県の制度融資を始めました。

女性の活躍の場が広がることによって、新たなビジネスチャンスが広がり、企業のイノベーションが起こることが期待できます。

成功事例を発信

プロジェクト推進に当たっては経済団体との連携が重要です。

そこで県内の経済6団体にウーマノミクスの推進体制を整備し、それぞれの団体ごとに積極的に取り組んでもらえるよう依頼しました。すべての団体に賛同をいただき、中には委員会を設け企業トップに対してセミナーを開催している団体もあります。

こうした官民一体となった取組の中で、先進企業の優れた事例を参考に、多くの企業が取組を進めてほしいと考えています。

また夢を実現した女性の事例が刺激となり、後に続く女性が増えていくよう県としても情報発信に努め、プロジェクトの成果を目に見える形で示せるよう取り組んでいきます。


プラチナ企業で働くロールモデルの女性を招いて-第1回多様な働き方実践企業認定証授与式

多様な働き方実践企業の認定マーク