「共同参画」2012年 7月号

「共同参画」2012年 7月号

取組事例ファイル/企業編

キリンホールディングス株式会社

キリンホールディングスのダイバーシティ推進~女性の活躍推進を中心に

弊社では、2007年より多様性推進の第一歩として、女性社員の活躍推進に取り組んでいます。取り組む理由の一つ目は「お客様へ新しい価値提案を行うイノベーティブな組織になる」ためです。お客様のニーズがますます多様になってくる昨今、モノを創る側が今までのように同質な集団では企業競争力を保っていけません。二番目の理由は「企業の社会的責任」、そして三番目の理由は「優秀な人材の確保、活用」。女性が働き甲斐をもって会社貢献できる環境を整えることが、企業の成長にとって必須の課題です。

女性の活躍を推進するにあたり、トップダウンとボトムアップという二つの方針を掲げています。トップダウンとしては、まずトップ自らが率先して多様性を推進するメッセージを発すること。そして、女性が活き活きと働き続けるための環境を整え、積極的に採用、登用、配置することで育成の機会を積極的に作っています。目標は、2015年に国内グループの女性管理職を200名にする、です。しかし、環境や目標を作っても、女性の意識が変わらなくては意味がありません。そこでボトムアップとしてキリンウィメンズネットワーク(以下KWN)という組織を作り、女性社員の意識醸成、キャリア支援を行っています。

KWNでは3つのテーマで活動を行っています。(1)女性が働く環境整備・育成機会の提供、(2)組織の意識変革、(3)女性社員自身の意識変革とキャリア支援の3点です。

(1)の女性が働く環境の整備ではKWNより毎年社長に提言を行っています。そこから「配偶者の異動により3年間休職できる」制度や、女性リーダーの育成機会として「キリンウィメンズカレッジ」が生まれました。

(2)の組織の意識改革では、管理職に「多様性推進研修~女性社員のキャリア支援」を行いました。実際の女性の声を伝え、育成の方法やライフイベントに対する支援の仕方などを話し合い、キャリア支援のポイントを汲み取ることができたようです。(3)の女性社員の意識変革では、様々な年代の女性社員のキャリア支援を行っています。育児休職者や営業担当者のフォーラムなどで、同じ悩みを持つメンバーや先輩との会話は何よりもモチベーションアップにつながっています。また若手女性社員のキャリア支援として女性管理職によるメンタリングを行っています。まずは女性管理職に役員とのメンタリングを体験してもらった上で、若手女性社員のメンターになってもらいます。若手からは「視野が広がった」「両立していけそう」という前向きな声が聞こえています。

活動を進めることで社内において「女性の活躍を推進する」という空気が当たり前のようになってきたと感じます。また女性管理職も5年間で2倍に増えました。

一方で、これからは育児介護で時間制約がある人が増えてきます。その人たちの「違い」が組織に受容され、それが「強み」となって、イノベーティブな企業に変容することがこれからの大きな課題であると感じています。


女性リーダー育成、キリンウィメンズカレッジ


女性管理職によるメンタリング


管理職向け多様性推進研修


KWNフォーラムで社長が女性活躍推進メッセージを発信

キリンホールディングス株式会社 設立年月日:1907年(明治40年)2月23日 ※2007年に麒麟麦酒株式会社より商号変更 代表者:代表取締役社長 三宅占二 資本金:1,022億円 売上高:2兆717億円(2011年度) 従業員数:40,348人(2011年12月末時点) 事業内容:国内外での飲料・食品・医薬品の製造販売企業を傘下に持つ持株会社 傘下企業:キリンビール(株)、キリンビバレッジ(株)、協和発酵キリン(株)、メルシャン(株)他