「共同参画」2011年 12月号

「共同参画」2011年 12月号

行政施策トピックス

「第5回ジェンダー統計関係機関間・専門家会合(IAEG-GS)」について
内閣府男女共同参画局調査課

ジェンダー統計関係機関間・専門家会合

国連統計委員会(委員国は我が国を含む24か国)が「ジェンダー統計に関するプログラムレビュー」を実施し、本年2月に国連本部で開催した第42回委員会において、これまでの取組の評価や今後の取組強化に関する提案を行ったことについては「共同参画」2011年5月号にてご報告したとおりです。

その中で、ジェンダー統計推進に関する国連統計部のリーダーシップの強化や、ジェンダー統計関係機関間・専門家会合(IAEG-GS)への付託事項の拡大等が決議されました。これを受け、必要な議論と作業を行うため、第5回目となるジェンダー統計機関間・専門家会合が10月4日~6日の3日間、ニューヨークの国連人口基金本部において開催されました。会議には13の国際機関及び14か国から40名超の専門家が参加し、我が国からは内閣府男女共同参画局調査課の高村静男女共同参画分析官がオブザーバーとして参加しました。

会議場となった国連人口基金本部会議室
会議場となった国連人口基金本部会議室

OECDとは回線をつないでビデオカンファレンスを実施
OECDとは回線をつないでビデオカンファレンスを実施

議論の概要

初日はまず、主催・共催者である国連統計部、国連人口基金、UN Womenの責任者より挨拶がなされ、事実に基づく政策立案(Evidence Based Policy)の一層の推進と、様々な課題解決における女性のエンパワーメントの重要性が国際的に訴求される中、政策課題の設定、政策の立案・評価等におけるツールとしてのジェンダー統計の重要性はより高まるとの認識が示されました。また国連統計委員会での議論によって認知が高まり、着実な実践が求められていること、IAEG-GSの役割が重要である点も指摘されました。

続いて参加各機関及び各国の取組の進捗状況の報告がなされ、我が国からは、「公的統計の整備に関する基本的な計画」に沿ったワーク・ライフ・バランスの状況把握のための関連統計整備の検討、「第3次男女共同参画基本計画」に沿った成果目標・参考指標のモニタリング、国際貢献及びOECDジェンダー・イニシアティブ(「共同参画」2011年8月号参照)やAPEC女性と経済サミット(本号特集ページ参照)での議論を踏まえ、女性の経済分野での活躍促進をテーマとする議論(「共同参画」2011年9月号参照)の概要等について報告を行いました。

2日目以降は、統計委員会から IAEG-GSへの付託事項(指標群の設定、マニュアルの作成、質問票の作成)について具体的内容が検討されるとともに、新たな取組としてOECDとの連携に関する具体的内容についての検討が行われました。

挨拶をする国連統計部のディレクターPaul Cheung氏
挨拶をする国連統計部のディレクターPaul Cheung氏

「指標群」に関する議論

上記のうち特に「指標群(Minimum set of indicators)」等については第43回国連統計委員会にドラフトが提出され委員会の承認を得た後、データベース化が図られる予定です。これらの指標群は第4回世界女性会議行動綱領(1995年)のA.~L.の「戦略目標」、及びミレニアム開発目標の8つの「目標」をできる限りカバーすることが意図されており、各国間に共通の指標を設定することによって男女共同参画の推進状況の国際比較を可能にするとともに、データの収集等が困難な国・地域に対しては能力開発等の国際的な支援を行いつつ、全世界的に男女共同参画の推進を図ることを目指しています。

なお、会議後も引き続き、同様の統計のデータベース化を進める世界銀行、OECDなどとの連携や、指標の定義の明確化などの検討が、国連統計委員会を中心に行われることが確認されました。我が国も関係各府省が連携しつつ必要な協力を行っていく予定です。