「共同参画」2011年 9月号

「共同参画」2011年 9月号

取組事例ファイル/団体編

一般社団法人 日本ヒーブ協議会

生活者と企業のパイプ役として

ヒーブとは、1923年にアメリカ家政学会の分科会として設立されたHEIB(Home Economists in Business 企業内家政学士)が語源です。消費者庁誕生に先立つこと約30年前の1978年に、日本ヒーブ協議会は、企業の消費者関連部門等で働く女性が「生活者と企業のパイプ役」として生活者の利益と企業の健全な発展に寄与することを目的として設立されました。会員は食品、化学、家電、流通、金融などの様々な業種の企業に所属する女性で、職種も消費者対応や消費者教育のほか、広報、商品企画・開発、マーケティング、コンプライアンス、CSRなど多岐にわたります。月例研究会の講演や分科会での自主的な研究活動などを通じて異業種間で情報や意見の交換を行ない、能力向上を目指しています。

ヒーブの提言活動

当協議会では社会に貢献すべく、研究活動で得られた知見を提言としてまとめています。「働く女性と暮らしの調査」を1985年から開始。第8回目となる2010年にはテーマを「女性が前向きに働き続けるために」とし、仕事、ワークライフバランス、消費・サービス、健康などの項目に関する調査を実施しました。その中で、企業で働く多くの女性たちが自分の将来性が見込めないと感じていることもわかりました。

また2009年には、暮らしに必要な知識や知恵の伝承が困難になっている現代の生活者に正しい生活情報を届けたいと「情報カード」を発行しました。2010年には生活者と企業の間でギャップが生じる要因のひとつである「表示」に着目し、「生活者にわかりやすい表示ルール11箇条」をまとめました。さらに、消費者相談の応対マニュアルの作成にも取り組みました。今年度は新たに安心・安全に関するテーマも加え活動しています。

女性の活用と能力向上への取組

生活者から支持される企業活動の推進には、新しい価値の創造により生活者の暮らしを向上させ、かつ安心・安全である商品・サービスの提供が不可欠です。働く女性たちの家事や育児、介護の経験から得られる知恵やアイデアは数多くあり、企業人と同時に生活者でもある女性たちの感性や能力を企業活動に活かしていくことは重要であると感じています。

一方、女性が企業内でより活躍していくためには、様々な情報や知識だけではなく、分析力・企画力・プレゼンテーション力などのスキルも必要となり、能力開発に自ら積極的に取り組んでいくことが大切です。

当協議会では、今年度のテーマを「日本ヒーブ協議会の原点再考-生活者・行政・企業のさらなる『連携と協働』を目指して-」として活動しています。「国・地方連携会議ネットワークを活用した男女共同参画推進事業」への参画を踏まえ、5月には「私の仕事とキャリア」として活躍している女性に学ぶ他、9月以降、キャリアアップセミナーや企業見学会、講演会などを順次実施し、さらなる能力向上を図るべく活動して参ります。

これまで当協議会を通じてネットワークを広げ、キャリアアップを実現された先輩ヒーブも数多く、私たちはその後を追い羽ばたいていくため、より一層活躍の場を広げていきたいと思います。

2010年 公開講演会
2010年 公開講演会

月例研究会の様子
月例研究会の様子

日本ヒーブ協議会の活動報告書および機関誌「レポートヒーブ」
日本ヒーブ協議会の活動報告書
および機関誌「レポートヒーブ」

団体名:一般社団法人日本ヒーブ協議会

代表理事:高野逸子【アフラック(アメリカンファミリー生命保険会社)所属】

概  要:1978年に設立。会員数は127名(東京89名 関西27名 九州11名)、賛助企業は25社。

企業の消費者関連部門等に働く女性が「生活者と企業のパイプ役」として生活者の利益と企業の健全な発展に寄与することを目的とし、定期的な勉強会や情報交換を行っている。

所在地:東京都渋谷区代々木2-22-2金杉ビル401 問合せ先:03-3320-3155 URL:http://www.heib.gr.jp/