「共同参画」2011年 9月号

「共同参画」2011年 9月号

連載 その3 女性首長から

町民と共に「活力、やさしさ、希望あふれる町」を
苅田町長 吉廣 啓子

苅田町は豊かな自然と文化遺産を有し、港を中心に多くの企業が立地する九州屈指の工業港湾都市として発展してきました。

2006年には北九州空港が開港、東九州自動車道、苅田港とあわせ、陸・海・空の交通結節都市として、産業と豊かな自然・文化・歴史との調和を図り、子どもから高齢者まで健康で元気に暮らせる、住んでいる人にも、訪れる人にも魅力ある町を目指しています。

苅田町においては、女性職員の比率は高くなっていますが、係長以上の職員は少なく、課長以上については、1人もいません。

町の政策を決定するに当たっては、町民の多様な意見を反映させる必要がありますので、そういう観点からも、男性職員だけではなく、女性職員も政策決定のプロセスにできるだけ関与していくことが、魅力あるまちづくりのためには重要であると考えています。

そのため、苅田町では町の重要な計画、例えば町の基本構想等を策定する際には、若手の男女職員による検討会を設けるなど、政策決定の過程においても、できるだけ多様な意見が反映されるよう努めています。

また、行政だけでなく、民間においても女性が社会進出し、活躍することは、非常に重要ですので、苅田町では、女性が社会で活躍することをサポートするため、保育所や学童保育に加え、放課後こども広場事業、中学生までの医療費助成、小中学校の34人以下学級の実現など「子育て支援」の充実に努めています。

これからのまちづくりは行政からの一方通行ではなく、住民一人ひとりの自由で自発的な活動を通して住民と行政が協働していくことが必要だと考えています。

それを実現していくために、また、苅田町を美しく、潤いのあるまちにしたいとの思いから、「花いっぱい運動」というよりはむしろ「花一本運動」を進めています。

「町民一人ひとりが1本の花を植えれば、3万5千本の花が町中に咲き、きっとすばらしい美しいまちになります。」と町民の皆さんに伝え、私自身も、時間があればボランティアの仲間と一緒に町内の各所に花を植えてまわります。

この運動は、環境美化や景観づくりのほかに、町民一人ひとりが自分の手で花を植えていくことで、まちづくりの心を育て、住んでいる住民の心が美しくなっていく仕組みづくりとして重要であると考えています。

住民一人ひとりが自分の住んでいるまちを愛し、美しくしようとする心があれば、苅田町を訪れる方々に対するホスピタリティの向上にもなり、多くの人たちが苅田町を訪れてくださるようになります。人が訪れたくなるまちは、当然のことながら私たち自身にとっても住みやすいまちになっていくと確信しています。

「まちづくりはひとづくり」と云われています。

多くの皆さんに「住んで(訪れて)みてよかった。」と言っていただけるように、今後も町民・職員と共に魅力あるまちづくりを進めていきたいと考えています。

苅田町長 吉廣啓子
略歴等:九州大学文学部英文学科卒業。その後約30年間福岡県立高等学校の英語教師を勤める傍ら昭和62年より苅田町教育委員、平成14年より、苅田町ボランティア連絡協議会会長を勤める。主として文化、教育、福祉の分野で活動を続け、平成17年苅田町長に就任