「共同参画」2011年 8月号

「共同参画」2011年 8月号

行政施策トピックス

東日本大震災復興に向けてのシンポジウム in 宮城

平成23年6月28日(火)、宮城県仙台市青葉区のせんだいメディアテークにおいて、「東日本大震災復興に向けてのシンポジウム in 宮城」が内閣府、宮城県、仙台市、財団法人せんだい男女共同参画財団の共催で行われました。宮城県をはじめ東北地方から、遠くは九州からも150人余りが参加しました。

冒頭、内閣府から岡島敦子男女共同参画局長、宮城県から小泉保環境生活部長、仙台市から奥山恵美子市長(代読:白川由利枝市民局市民協働推進部長)より挨拶があり、その後会場へ駆け付けられた岡崎トミ子参議院議員(前内閣府男女共同参画担当大臣)より、「復旧・復興の段階で男女共同参画の視点が大事。声を上げにくかった女性等が居場所と出番をもち、地域が活性化していくことが実感できるまで、今こそ女性のパワーを発揮するために力を合わせていきたい。」と挨拶をいただきました。

<基調講演>

次に、兵庫県理事の清原桂子氏より、「震災復興に女性たちの視点と力を」と題した基調講演が行われました。

阪神淡路大震災後、生活者である女性の視点が復興に重要な役割を果たしたことなど多くの事例を交えてのお話をいただきました。復興過程への女性たちの参画と活躍を応援するしかけつくりが大切として、復興会議・まちづくり協議会などへの女性委員の割合の確保、避難所・仮説住宅等の女性リーダーの配置などがあげられました。また被災者の「今」を支援し、復興プロセスを共有していくためにはふれあい・交流・仲間づくりの拠点の整備と運営が必要として、看護協会の協力による「まちの保健室」等が紹介されました。また、被災された方々が「支援する側」となる「いきいき仕事塾」、「女性たちの仕事づくりセミナー」や各種支援制度など紹介され、ライフ・サポート・アドバイザーとして生活支援相談員や高齢世帯生活援助員の雇用、また生活の丸ごとパッケージでの情報収集や提供のためにフェニックス推進員が公募されたことなど今後の復興に向けてのヒントをたくさんいただきました。

<パネルディスカッション>

続けて、清原氏のコーディネートのもと、登米市企画部市民活動支援課男女共同参画支援員の足立千佳子氏、小野リース株式会社代表取締役の小野明子氏、名取市産直グループ「サンサンメイト」代表の洞口とも子氏、NPO法人イコールネット仙台代表理事の宗片惠美子氏をパネリストに、「今こそ女性のパワーを発揮しよう!」をテーマにしたディスカッションが行われました。

各パネリストは、これまでの取組・震災後に実施したことをそれぞれ紹介し、これからの活動に向けた抱負等をお話されました。

足立氏は登米市の女性の視点による被災者女性への支援の話から「えがおねっと」の女性グループやRQ被災地女性支援センターの活動と広い意味での仕事を作っていくことなどついて話をされました。小野氏からは6年前に主婦から建設機械器具のリースの会社の社長となり、生活者の視点から社員が働きやすい環境に会社を立て直したこと、また社員とともに復興に向けてできるだけの工夫を行い事業を続け、雇用を守っていきたいとの話がありました。洞口氏は名取市の農村後継者育成事業でニュージーランドの視察で触発され、農産加工、農と食と環境をつなげるレストランの立ち上げ等多くの事業展開を紹介し、農家の女性が実績を作って力をつけ収入を得て発言していくことの大切さが話されました。宗片氏からは阪神淡路大震災時の女性の困難を知り災害時におけるニーズ調査を行ったことから女性の視点に立った支援が必要と確信し、ハンドマッサージなどの女性たちのリフレッシュの時間の提供や「せんたくネット」のボランティアの活動、被災女性たちの「語り合いサロン」などが紹介されました。

終盤では、会場からご質問・ご意見を受けた後、清原氏が、復興に向けて、(1)女性の視点が大切であること、(2)これを声に出していくことが大切であること、(3)地域・人脈を知り、生活のノウハウを持った女性がリーダーになること、これら3つが必要であるとまとめられました。

<参加者による対話・交流の場>

最後に、「参加者による対話」では、マザーズハローワーク青葉、宮城県看護協会、のびすく仙台、日本女性法律家協会のご協力のもと、参加者が、「就労」、「女性の健康」、「子育て」、「法律」の各グループへ分かれて話し合い、これら協力者によるアドバイスも加わり、活発なやりとりがなされました。

「就労」では十数人が集まり、中小企業家同友会のリードの下で、復旧・復興場面での地元企業の活用を通じた雇用確保の重要性、子育てしながら働く女性への支援の充実等について意見交換を行いました。マザーズハローワーク青葉から、求人・求職の状況や雇用創出基金事業等について説明がありました。

「女性の健康」では「ストレス」の話からスタートし、宮城県看護協会の方々からの感想や意見が述べられ、20人ほどの参加者全員がそれぞれの立場から発言をしました。「何かをしたい」「私たちは何をやれば役に立てるのか」等多くの方の思いが発露されました。

「子育て」では10人ほどの参加者からの質問に対してのびすく仙台およびエル・ソーラの方々が回答や意見を述べる形で進められました。震災後の「心のケア」が子どもや親、子どもを失った親などには特に必要である、日頃から特に父親(男性)が、地域の人たちとのつながりを持っておくことが重要、保育園、学校など行政の災害時における臨機応変な措置・対応が求められることなどが話し合われました。

「法律」においては、男女センター職員、研究者、NPOの方などが参加し、義捐金の給付が世帯単位であること、相続や扶養に係る問題などに関し議論が行われました。また、日本女性法律家協会の弁護士の方から配偶者暴力が増加しないか今後とも注視していきたいといった発言がありました。

「交流の場」では行政関係者を中心に、一般参加者約10名の参加により、ボランティア活動のアプローチ方法、今回の震災における行政の取組状況等について意見交換が行われました。

さらに、会場では日本赤十字社による被災者支援の様子がパネル展示され、募金も行われました。

講演中の清原理事
講演中の清原理事

熱心に話をされるパネリストの方々 熱心に話をされるパネリストの方々

熱心に話をされるパネリストの方々 熱心に話をされるパネリストの方々

熱心に話をされるパネリストの方々
熱心に話をされるパネリストの方々

会場からの質問
会場からの質問

対話の様子 対話の様子
対話の様子

赤十字パネル展示/資料コーナー
赤十字パネル展示/資料コーナー